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現場のやらかしトラブルシューティング遮断器設計基準

【現場のやらかし】モーターを起動するたびにブレーカーが遮断!始動突入電流(インラッシュ)を考慮しない動作特性選定のミス

読了目安: 8分 編集: 電材サーチ編集部(編集・出典ポリシー

本記事の事例は、安全啓発を目的として典型的な事象を再構成したものです。特定の現場・企業を指すものではありません。

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モーターの定格電流・始動方式から突入電流の目安を確認したい方は、モーター用ブレーカー選定支援ツールもご利用ください。

1. 現場のやらかしエピソード:工場の排気ファン用30Aモーターの電源用ブレーカー

ある工場の排気用大型有圧ファン(三相200V・定格電流30A)を新設する現場。若手の設計担当者は、モーターの銘板に「定格電流 30A」と書かれているのを見て、電源供給用に「配線用遮断器 30A(3P 30AF/30AT)」を選定し、電線には許容電流を満たす5.5sqのCVケーブルを配線した。

工事が終わり、いよいよ試運転。コントロール盤の起動ボタンを押した瞬間、「バチン!」と激しい音を立てて、1次側の30Aブレーカーが遮断(トリップ)した。 「どこかでショートしているのか?」と、配線の結線や絶縁抵抗測定(メガー)を行うも、異常は一切見つからない。

再度ブレーカーを上げてボタンを押すも、またしても起動した瞬間にトリップ。 モーターの始動時に発生する巨大な「始動突入電流(インラッシュカレント)」と、選定したブレーカーの「動作特性(時間-電流特性)」のミスマッチが原因のやらかし事例だ。


2. モーターの始動電流とブレーカートリップの物理現象

モーターはその動作原理上、動き出しの瞬間に莫大な電流を消費します。

graph TD
    A[モーター起動スイッチON] --> B[ローターが停止した状態 ➔ インピーダンスが極小]
    B --> C[定格の4〜8倍程度の始動突入電流が流れる]
    C --> D{遮断器の特性は?}
    D -- 1. 一般配線用遮断器 --> E[突入電流を短絡ショートと誤認 ➔ 瞬時トリップ]
    D -- 2. モーター保護用遮断器 --> F[瞬時特性が甘く設定されており、始動時は落ちない]
    F --> G[モーターが通常回転に達し、電流が定格値に落ち着く ➔ 正常運転]

① なぜ始動電流は大きいのか?

停止しているモーターに電圧を印加すると、まだ逆起電力(モーターの回転によって発生する、電流を押し返す電圧)が発生していないため、巻線抵抗と漏れリアクタンスからなる拘束時インピーダンスだけで電流が決まり、定格の4〜8倍程度の大きな電流が流れます。モーターが回転して定格速度に近づくにつれて、逆起電力が生じて電流は定格値(30A)へと減少していきます。

② 遮断器の瞬時トリップ特性

ブレーカーには、規定以上の電流が流れてから落ちるまでの「特性曲線」があります。

  • 熱動電磁式・電子式遮断器: 許容値の約5〜10倍以上の過電流が流れると、コイルの電磁吸引力などによって「瞬時(0.01〜0.02秒)」にトリップします。
  • 一般の配線用遮断器(分電盤用など)は、この瞬時トリップが早いため、モーターの起動電流を検知して落ちてしまいます。

3. モーター回路設計におけるブレーカー選定の鉄則

モーターを安全かつ安定して稼働させるためには、以下のいずれかの設計を行わなければなりません。

① 「モーター保護用配線用遮断器(M仕様)」の選定

メーカー(三菱電機、富士電機など)は、一般用とは別に「モーター保護用遮断器」をラインナップしています。 これらは瞬時引外しの整定を定格の約10〜15倍と高くとってあり、始動電流(定格の4〜8倍程度)ではトリップせず、長時間の過負荷や、本当に電線がショートした時のみ遮断するよう特性が調整された専用品です。

② 電磁開閉器(マグネットスイッチ + サーマルリレー)との併用

ブレーカーは短絡(ショート)保護のみに徹し、モーターの過負荷(オーバーロード)は電磁開閉器に付属する「サーマルリレー」に受け持たせます。 この場合、大元のブレーカーは始動突入電流で落ちないように容量を大きめ(例: 定格30Aに対して遮断器50Aなど)にし、電線は遮断器の容量に適合する太さ(例: 8sqや14sq等)にサイズアップして設計します。


4. モーター回路設計の安全セルフチェックリスト

  • 選定したブレーカーは、一般用(配線保護用)か、それとも「モーター保護用(M)」か?
  • モーターの始動電流値(A)と始動時間(秒)を、メーカーカタログで確認しているか?
  • ブレーカーの「動作特性曲線」と、モーターの「始動電流時間特性」を重ね合わせて、交差(トリップ範囲)していないか確認したか?
  • スターデルタ始動やインバータ始動など、始動電流を抑える制御方式を検討したか?(特に大容量モーターの場合)

5. モーター用遮断器・開閉器の調達は「電材サーチ」へ

「工場のファン増設用に、三菱電機製のモーターブレーカー(MB型)や、富士電機製の電磁開閉器(SWシリーズ)を急ぎで見積もってほしい」「モーターサイズアップに伴い、適合する幹線CVT電線とブレーカーの組み合わせを選定サポートしてほしい」という設備設計・保全ご担当者様。

「電材サーチ」では、各種配線用遮断器、モーターブレーカー、漏電遮断器から、マグネットコンタクタ、サーマルリレー、インバータユニットまで国内主要メーカー品をフルカバー。

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参考文献・出典

  • かご形三相誘導電動機の始動電流特性(じか入れ始動で全負荷電流の4〜8倍程度、大形の高圧機では6〜10倍とする資料もある)に関する一般的な電気工学知見

この内容は、第二種電気工事士ではこう問われる

始動電流が定格の4〜8倍程度になる理由と、その対策としての始動方式。試験でも電動機の始動法として問われます。分岐回路の保護とあわせて確認できます。

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