モーターの始動時に遮断器が落ちる場合、定格電流だけで容量を上げず、故障の有無と、始動電流・継続時間に対する保護装置の動作特性を確認します。 モーターブレーカーに交換すればどのモーターでも解決する、という関係ではありません。
本記事はモーター回路の選定・調達条件を整理するページです。LED照明・電源装置などを含む原因調査は、電源投入時にブレーカーが落ちる場合の切り分けをご覧ください。
先に確認すること
異常音、発煙、焦げ、機械の拘束、絶縁の問題が疑われる場合は再投入を繰り返さず、設備管理者・電気工事業者に調査を依頼します。始動時に落ちたというタイミングだけで、突入電流による不要動作と断定できません。
| 確認対象 | 必要な情報 | 選定で確認する点 |
|---|---|---|
| モーター | メーカー・型式、定格出力、電圧、全負荷電流 | カタログの電流値と実際の使用条件 |
| 始動方式 | 直入、スターデルタ、インバータなど | 始動時の電流と加速時間、切替時の条件 |
| 遮断器 | 正式型番、AF・AT、極数、整定値、動作特性曲線 | 始動中の不要動作と事故時の遮断能力 |
| 電磁開閉器・サーマルリレー | 正式型番、整定範囲、組合せ表 | 過負荷・拘束時のモーター保護 |
| 電線 | 種類、太さ、長さ、布設・周囲温度 | 許容電流、電圧降下、短絡時の熱的保護 |
| 負荷機械 | ファン・ポンプなどの種類、始動負荷 | 加速に必要な時間と再始動頻度 |
始動電流を倍率だけで扱わない
誘導電動機の始動電流は始動方式や機種、負荷条件によって異なります。「定格の何倍」という目安は、それだけで遮断器を確定する基準にはできません。電流の大きさに加えて継続時間を調べ、メーカーの動作特性曲線と照合します。
インバータ入力側の遮断器は、モーターへの出力電流と同じ条件で選ぶものではありません。インバータの取扱説明書にある適用遮断器・配線条件を確認します。
モーターブレーカーと電磁開閉器の組合せ
三菱電機のFAQ「モータブレーカの選定について」(FAQ番号38466)は、対象のKC・WS-Vシリーズについて、全負荷電流を基に選定する目安と、始動時の不要動作が考えられる場合の遮断器・電磁開閉器の組合せ検討を案内しています。他メーカーや全回路へ同じ条件を一律に広げることはできません。
日本電気技術者協会の保護協調の解説では、遮断器だけでなく、サーマルリレー、電動機の熱特性、電線の許容電流時間特性を合わせて確認する考え方が示されています。機器単体の名称より、回路全体の組合せが重要です。
容量だけを大きくしない
遮断器のATを上げると、電線や負荷を過負荷から守る条件が変わります。AF(フレーム容量)が同じでもATや引外し特性が同じとは限りません。既設の電線・盤・保護装置が使えるかを確認せず、30Aを50Aへ、といった交換判断をしてはいけません。
始動方式の変更も、対応するモーター、トルク、制御回路、保護装置を含む設計変更です。インバータやスターデルタ始動器を追加すれば既設回路に適合すると断定しません。
選定相談をまとめる
見積には、銘板と既設遮断器の型番、電源方式・電圧、始動方式、電線の種類・太さ・長さ、必要数量を添えてください。既設品の後継を調べる場合は、取付寸法・端子方式・付属接点も確認項目です。
モーター用ブレーカー選定支援ツールで確認項目を整理し、ブレーカー・遮断器の製品情報へ進めます。ツールの目安は個別機種の適合保証ではありません。
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