銘板に「TFO-LK」とある。同じ日立産機システムのインバータで、型式の数字部分がそのまま容量を表していた経験があると、ここでも似た読み方を試したくなる。ハイフンの前の並びが構造の何かを、後ろの英字が容量の何かを表しているに違いない、と。
その予測は、後半だけ外れる。
トップランナーモータの総合カタログ(SM-484Y、2023年7月発行)を開くと、型式の構成自体はすぐに分かる。分からないのは、その構成のどこにも出力(kW)を示す数字が一つも出てこないという事実のほうだ。
型式の骨格――2つの記号列でできている
型式説明資料は、こう定義している。型式は「型記号」-「式記号」の順で表示する。型記号は①取り付け方式、②外被形状、③通風方式、④軸受方式、⑤保護構造(⑥冷却方式、⑦特殊機能は標準品の場合省略)。式記号は①シリーズ名、②回転子型をさす。
全閉外扇型の型式構成図は「T F O - L K」という並びで示されている。先頭に本来入るはずの①取り付け方式は、脚取付なら空欄になる決まりなので、TFO-LKという表記には現れない。立て型フランジ取付ならV、横型フランジ取付ならYが頭に付く。続く②③④の3文字が外被形状・通風方式・軸受方式で、T=全閉型、F=自己通風式、O=ころがり軸受。⑤保護構造も、屋内型なら空欄、屋外型ならAが付く。
ハイフンの後の式記号は2文字。①がシリーズ名で、標準効率の「ザ・モートル」は無印、JIS高効率品の「ザ・モートルSuper Power」も無印(両者は式記号を共用している)、標準効率の「ザ・モートルNeo100」はF、JIS高効率品の「ザ・モートルNeo100 Super Power」はH、そしてトップランナー規制のプレミアム効率(IE3相当)に対応する「ザ・モートルNeo100 Premium」はLになる。②が回転子型で、K=普通かご形、KK=特殊かご形。
ここまでは、他社の型式表示と大きく変わらない構成に見える。
分解してみる――「TFO-LK」に足りないもの
「TFO-LK」を素直に分解すると、こうなる。取り付け方式は空欄=脚取付。外被形状・通風方式・軸受方式はT・F・O=全閉型・自己通風式・ころがり軸受。保護構造は空欄=屋内型。シリーズ名はL=トップランナー「ザ・モートルNeo100 Premium」。回転子型はK=普通かご形。
読み終えて、気づくことがある。ここに書かれているのは、すべて構造の情報だ。取り付け方、外被の作り、軸受、屋内か屋外か、シリーズ名、かご形の種類。出力(kW)も、極数(2極・4極・6極)も、電圧(200V・400V)も、枠番号も、ただの一つも入っていない。
回転子型のK・KKだけは出力と関係がありそうに見える。K=普通かご形は「モータ出力3.7kW以下」、KK=特殊かご形は「5.5kW以上」という区分だからだ。しかしこれは出力を読み取るための記号ではない。3.7kWと5.5kWの間に線を引いているだけで、「TFO-LK」という文字列を見ても、それが0.75kWなのか3.7kWなのか、型式だけからは特定できない。
驚きの発見――出力・極数・枠番号は、型式の「外」にある
カタログの標準仕様表を見ると、この読み方が思い違いではないと分かる。型式欄には、脚取付・屋内型ならTFO-LK(0.75〜3.7kW)とTFO-LKK(5.5kW以上)が並んでいる。極数/出力の欄は「2極0.75〜300kW、4極0.75〜300kW、6極0.75〜250kW」という広い範囲が書かれているが、この数値は型式の文字列とは別の行に書かれた、別軸の情報にすぎない。
さらに製作対応範囲表を追うと、もっとはっきりする。出力0.75kWの行も300kWの行も、2極の列も6極の列も、200Vの欄も400Vの欄も、型式の文字列はTFO-LK(LKK)のまま一切変わらない。変わるのは、各セルに入る製作可否の記号(見込品か、注文品か、対応不可か)だけだ。型式が5種類の記号の組み合わせで表現しているのは製品の「構造」であって、「サイズ」ではない。
枠番号(フレーム番号)に至っては、型式構成図にも標準仕様表にも出てこない。寸法図表という、まったく別のページの表を見て初めて、枠番号132Sは2極なら5.5または7.5kW、4極なら5.5kW、6極なら3.7kWに対応する、という枠番号↔出力の対応が分かる。この表は型式の一部ではなく、型式とは独立した、寸法を確認するための一覧表だ。
電圧・周波数の扱いも同じだ。標準仕様表によれば、2極0.75〜18.5kW・4極0.75〜15kW・6極0.75〜11kWの帯は200V50Hz、200/220/230V60Hzまたは400V50Hz、400/440/460V60Hzの「4電圧仕様」だが、2極22〜55kW・4極18.5〜132kW・6極15〜110kWまで上がると、200Vと400Vの両系統を合わせた「8電圧仕様」に切り替わる。口出し線の本数も、3.7kW以下は端子台方式で3本、5.5kW帯からは端子台方式のまま6本、22kW帯からはラグ方式で12本と、出力帯ごとに変わる。これだけ細かく分かれた仕様の一つひとつに、型式は指1本触れていない。TFO-LKという5文字は、電圧が4電圧仕様か8電圧仕様か、口出し線が3本か12本かを何も語らないまま、どちらの機種にも等しく使われる。
同じ日立産機システムのインバータWJ-C1では、型式「C1-022LF2」のハイフンの後ろの3桁がそのまま容量コードで、001は0.1kW、150は15kWというように、出力(kW)を10倍して3桁化した数字が型式に埋め込まれていた。同じメーカーの、同じ「型式」という言葉を使いながら、インバータは容量を数字で語り、モータは語らない。
なぜそうなっているのか――型式が答えるべき問いが違う
なぜモータの型式は出力を持たないのか。一次資料には、その理由を明言した記述は見当たらなかった。ここから先は推測になる。
型式が表しているのは、取り付け方式・外被形状・通風方式・軸受方式・保護構造という、モータを盤や設備に据え付けるときに関わる機械的な仕様だ。据え付け方法とシリーズ名さえ分かれば、同じ型式のまま出力・極数・電圧を幅広く選べるという製作対応範囲表の作りは、逆に言えば「型式は据え付け仕様の識別子であって、出力までは受け持たない」という設計思想の表れとも読める。インバータの容量コードが「この1台の中身がいくらの容量か」を一意に決める必要があるのに対して、モータの型式は「この構造の製品群の中から、必要な出力・極数・電圧を選んでください」という、注文の入口としての役割を担っているのかもしれない。
現場での実務的な注意点
置き換え・後継品選定の場面では、型式の文字列だけを見て判断すると足をすくわれる。
一つ目は、通販サイトや商社が使う表記との混同だ。「TFO-LK-3.7kW-4P-200V」のように、型式の後ろに出力・極数・電圧をハイフンで連結した表記を見かけることがある。これは注文時の識別をしやすくするための実務上の慣例であって、カタログが定義する「型式」そのものはTFO-LKまでしかない。後ろの3.7kW・4P・200Vは、型式とは別に指定する仕様項目だ。この違いを知らずに「型式が違うから別物」と早合点すると、実際には同一構造で容量違いのだけの製品を見落とすことになる。
二つ目は、枠番号を手がかりに互換品を探すときの注意だ。枠番号は極数によって対応する出力が変わる。枠番号132Sは2極なら5.5〜7.5kW、6極なら3.7kWというように、同じ枠番号でも極数が違えば出力も変わる。枠番号だけを合わせて極数を確認し忘れると、寸法は合っても回転数(極数)が想定と違うモータを選んでしまう。
三つ目は、防爆仕様の扱いだ。トップランナーモータのカタログには防爆モータへの案内枠があるが、それは別のカタログ番号(SM-443)を持つ独立した製品としての紹介であり、TFO-LKの型記号・式記号のどこにも防爆を示す区分はない。標準品と防爆品は型式の枝分かれではなく、そもそも別ラインの製品だ。防爆区域向けの更新工事で標準品の型式だけを頼りに代替品を探しても、答えは出ない。
型式を読み解くところまでは自分でできても、その型式に対応する出力・極数・電圧・枠番号の組み合わせが今も製作可能か、旧型式からの読み替えが必要かどうかの判断は、カタログの製作対応範囲表と寸法図表を突き合わせる手間がかかる。
あわせて読みたい
- 日立産機システムのインバータWJ-C1シリーズの型番はどう読むのか|『C1-022LF2』が銘板を変えずにWJ200にもなる理由
- 住友重機械工業のサイクロ減速機付きギヤモータの型式はどう読むのか|『枠番』はモーター出力だけでは決まらない
- モーターの絶縁クラス(耐熱区分)E種・B種・F種・H種とは|記号が示す『温度の上限』とインバータ駆動での注意点
- モーターの始動方式|直入れ・スターデルタ・ソフトスタータの違いはなぜ生まれるのか
関連する日立産機システム・三相モータ・TFO-LK・型式・型番・見方・読み方・ザ・モートルの品種・型番をお探しですか?
電材サーチでは、メーカー横断で目的の型番を素早く見つけ、そのまま見積もりを依頼できます。