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IDECの安全リレー(HR6S・HR5S)の型番はどう読むのか|AB・AF・AK・AT・BAC・DN・EP・SとC/Pが分ける機能グループ・端子形状・時延表現の規則

読了目安: 10分 編集: 電材サーチ編集部(編集・出典ポリシー

HR1S・HR2Sの型番を読み解いた記事の最後に、こう書いた。現行品として残っているのはHR5SとHR6Sの二つだけだ、と。読み終えた人の中には、盤の中の実機がまさにそのHR6Sだった、という人もいるだろう。銘板には「HR6S-AF1P」とある。HR2S-301Pの読み方をすでに知っているなら、直感的にこう読みたくなるはずだ。末尾のPは、たしか正論理(Positive)だったはずだ、と。

その直感は、たぶん外れる。

IDEC公式カタログ「安全リレーモジュール HR6S形」の種類[形番]表を見ると、HR6S-AF1Cが「Push-in端子」、HR6S-AF1Pが「ねじ端子」と書かれている。電源電圧はどちらもAC/DC24V。末尾のPが表しているのは論理方式ではなく、端子がねじ式かどうかという、まったく別の軸だ。同じ一文字が系列をまたぐたびに意味を変える現象は、前回のHR1S・HR2Sの記事でも確認した。HR6Sはその続きの、しかも現行品の話である。

結論——HR6Sの型番は「機能記号+電圧枝番+端子記号」の3層

HR6Sの型番は、HR6S-AF1Pのように「HR6S」+機能記号(AB・AF・AK・AT・BAC・DN・EP・Sのいずれか)+数字の「1」+末尾のC(Push-in端子)またはP(ねじ端子)という3層で組み立てられている。機能記号が接続できる入力機器と安全出力の構成を、末尾のC・Pが端子の方式を決める。数字の「1」は今のところ固定値で、カタログの種類[形番]表を見る限り、AB・AF・AK・AT・DN・EPのどの機種も電源電圧はAC/DC24Vの一種類しか用意されていない。

機能記号ごとの違いは、カタログのSelection Guideに一覧表としてまとまっている。AF形は非常停止・安全柵の監視に使う標準タイプで安全出力3NO、AK形はマットスイッチなどの感圧スイッチにも対応し安全出力2NO-1NC、AT形はオフディレー出力を持つタイプで即断3NOに加えて時延3NO-1NCが加わる。DN形は入力機器を6系統までパラレル接続でき安全出力3NO-1NC、S形は2系統のパラレル入力に対応し安全出力2NO。AB形はカテゴリ1構成でPL=cにとどまる代わりに両手操作スイッチ(ISO 13851準拠)を監視できる、他とは毛色の違う一台だ。

機能記号最大PL/カテゴリ安全出力(即断)入力機器のパラレル入力特徴
ABPL c/カテゴリ11c1系統両手操作スイッチ(ⅢA)監視、出力拡張不可
AFPL e/カテゴリ3,43a1系統非常停止・安全柵監視の標準タイプ
AKPL e/カテゴリ3,42a-1b1系統感圧スイッチにも対応
ATPL e/カテゴリ3,43a(時延3a-1b追加)1系統オフディレー出力を内蔵、ダイヤルで0〜900秒
SPL e/カテゴリ3,42a2系統複数の入力機器を並列接続
DNPL e/カテゴリ3,43a-1b6系統最大6系統のパラレル入力に対応
EPPL e/カテゴリ3,44a-2b1系統出力拡張専用モジュール(AB形を除く各形に接続可)

(出典:IDEC公式カタログ「安全リレーモジュール HR6S形」Selection Guide。BACは2021年版カタログの本表には未掲載)

驚きの発見——BACという機能記号は、公式カタログの比較表に載っていない

ここまでの機能記号を数えると7つになる。ところが、現行のHR6S形安全リレーモジュール製品一覧ページには、この7つに加えてもう一つ、BACという記号の製品が並んでいる。HR6S-BAC1Cの製品ページには「4NO1NC安全出力を備えたスリムモジュールを用意。プッシュイン端子」とあり、4NO-1NCという、AB・AF・AK・AT・DN・EP・Sのどれとも一致しない出力構成を持つ。

不思議なのは、手元にあるIDEC公式カタログ「安全リレーモジュール HR6S形」(P1744-4、2021年4月版)のSelection Guide比較表には、BACという行が存在しないことだ。表にはAB・AF・AK・AT・S・DN・EPの7列しかない。つまりBACは、少なくともこの2021年版カタログが作られた時点ではラインナップに存在せず、その後に追加された機能記号だということになる。型番の規則を「カタログ1冊読めば分かるもの」だと思っていると、この手の増設に気づけない。現行の型番を正確に把握するには、印刷済みのカタログPDFだけでなく、公式サイトの製品一覧ページを都度確認する必要がある。

もう一つの発見——時延の表し方が、型番から消えていく

HR1S・HR2Sの記事で扱ったHR2S-332N-T075・T15・T30を覚えているだろうか。あの型番は、末尾の3桁でオフディレーの調整レンジそのものを切り替えていた。T075なら最大7.5秒、T15なら最大15秒、T30なら最大30秒という具合に、必要なレンジに応じて型番ごと選び直す方式だ。

現行のHR5S-C2D形は、この発想をさらに単純化している。IDEC公式製品ページを見ると、HR5S-C2D-T025・T050・T100・T200・T400という5つの型番が並び、いずれも「オフディレータイプ PL=d」という同じ製品名で、末尾の数字だけが違う。T025は0.25秒、T050は0.5秒、T100は1秒、T200は2秒、T400は4秒。レンジではなく、固定された1点の時間そのものが型番に埋め込まれている。調整幅を持たせる代わりに、必要な秒数ぴったりのモデルを選ぶという方式に変わったわけだ。

そしてHR6S-AT形に至っては、型番のどこにも時延の情報がない。カタログの特長説明には「0から0.9までの係数と1倍から1000倍までの倍率をダイヤルで組み合わせることで0秒から900秒の範囲で時限設定できます」とある。1機種だけで、旧HR2S-332N-T30の最大30秒を大きく上回る0〜900秒という範囲を、型番を分けることなくダイヤルの物理設定でカバーしている。

同じ「オフディレー」という機能が、型番のレンジ選択(HR2S)→型番の固定値選択(HR5S-C2D)→型番から消えてダイヤル任せ(HR6S-AT)という3段階を辿ってきたことになる。世代が進むほど、時間という情報は型番から遠ざかり、現物の設定を見なければ分からないものになっている。

C2S・C2B・C2Dという一文字が分けるのは、出力の形ではなく安全性能レベルだった

HR5S形にも、末尾一文字だけが違う型番の組がある。HR5S-C2SとHR5S-C2Bだ。カタログのSelection Guide比較表でこの二つを並べると、安全出力はどちらも「2a」、入力機器のパラレル入力もどちらも「1系統」で、出力の形だけを見れば見分けがつかない。

違うのは、表の一番上の行、最大PLだ。HR5S-C2Sの最大PLは「c」、HR5S-C2Bの最大PLは「d」。出力の点数や接点構成が同じままパフォーマンスレベルだけが一段上がっている、という組み合わせは、HR1S-AK形の「3」「5」が出力構成を保ったまま電圧クラスだけを切り替えていたのと似た構図でありながら、切り替わっている中身はまったく別物だ。カタログの比較表にはPL算出の根拠となる診断範囲やMTTFdの数値までは載っておらず、この一文字の裏でどんな設計上の違いがPLを押し上げているのかは、この資料だけでは分からない。分かるのは、C2SとC2Bという一文字の違いが、そのまま安全システムの設計で要求されるパフォーマンスレベルの選定に直結する、という事実までだ。

なぜそうなっているのか

推測にはなるが、型番のバリエーションを増やすほど在庫SKUと選定の手間が増える、という単純な理由が背景にあるのではないか。HR2S-332N-Tのように「レンジ違いの3機種」を型番で管理する方式は、注文する側にとっては型番を見ればレンジが分かるという利点がある一方、メーカー側にとっては在庫を3種類抱える負担にもなる。HR6S-ATが1機種のダイヤル可変に統合されたのは、この負担を減らす設計判断だったようにも見える。ただし、この意図をカタログ自身が明言しているわけではない。あくまで型番とラインナップの変化から読み取れる推測であり、断定はできない。

現場での実務的な注意点

盤の中のHR6Sの銘板を見て、HR2S時代の記憶で「末尾のPは正論理のことだ」と早合点しないこと。系列名がHR6Sなら、Pはねじ端子、Cはプッシュイン端子という別の規則に従う。HR1S・HR2S・HR6Sの型番を混在させて扱う場面では、まず系列名を確認してから該当する表に当たる、という一手間が誤発注を防ぐ。

旧HR2S-332N-T075/T15/T30からHR6S-AT形へ置き換える場合は、型番だけを見比べても遅延時間の情報は引き継がれない。現物のダイヤル設定を確認したうえで、新しいモジュールのダイヤルを同じ秒数に合わせ直す作業が必要になる。可変幅が0〜900秒まで大きく広がっている分、旧モジュールの設定値をそのまま踏襲するのか、それとも設備の停止時間要件を見直す機会にするのか、という判断も生じる。

型番からの読み解きが難しい、あるいは銘板の一部が判読できない場合は、写真や分かる範囲の情報を添えていただければ照合する。

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よくある質問

HR6S-AF1CとHR6S-AF1Pの違いは何ですか?

端子の構造です。IDEC公式カタログ「安全リレーモジュール HR6S形」の種類[形番]表によれば、末尾のCはPush-in端子、Pはねじ端子を指し、電源電圧はいずれもAC/DC24Vで共通です。HR1S世代の末尾Pが「端子台が着脱できるかどうか」を表していたのとは異なり、HR6SのC・Pはどちらも着脱可能な端子台を前提にしたうえで、ねじ止めかPush-inかという端子の技術方式だけを分けています。

HR6SのPという文字はHR2S-301Pと同じ意味ですか?

違います。IDEC公式カタログによれば、HR2S-301PのPは入力方式のPositive(正論理)を表しますが、HR6S-AF1PなどのPはねじ端子を表します。同じ一文字が世代をまたぐたびに別の役割を担っており、HR1S世代(P=端子台着脱型)からHR2S世代(P=正論理)、HR6S世代(P=ねじ端子)へと、少なくとも3回意味が入れ替わっていることになります。銘板の型番だけで判断せず、系列名(HR1S/HR2S/HR6S)を確認したうえで該当するカタログの表に当たる必要があります。

HR6S-AT形の型番には時延(オフディレー)の設定値が入っていないのですか?

入っていません。IDEC公式カタログの特長説明には「0から0.9までの係数と1倍から1000倍までの倍率をダイヤルで組み合わせることで0秒から900秒の範囲で時限設定できます」とあり、時延時間は型番ではなく本体前面の2つのロータリーダイヤルで設定します。旧HR2S-332N-T075/T15/T30が型番の末尾3桁でレンジそのものを分けていたのとは対照的に、HR6S-AT形は1機種で0〜900秒の範囲をダイヤルだけでカバーします。実機の設定値は型番からは読み取れず、現物のダイヤル位置を確認する必要があります。

HR5S-C2D-T025からT400までの数字はどういう意味ですか?

固定されたオフディレー時間そのものです。IDEC公式製品ページによれば、HR5S-C2D-T025・T050・T100・T200・T400はいずれも「オフディレータイプ PL=d」の個別モデルで、T025=0.25秒、T050=0.5秒、T100=1秒、T200=2秒、T400=4秒という5つの固定値に対応する5機種として販売されています。HR6S-AT形のようにダイヤルで連続的に時間を変えられるわけではなく、必要な遅延時間に応じて型番そのものを選び分ける方式です。

IDECのHR6S・HR5Sシリーズは現在も新規で購入できますか?

はい。2026年8月時点でIDEC公式サイトの安全リレーモジュール一覧を確認すると、HR1S・HR2S系列の型番はすべて「販売中止」表示である一方、HR5S形・HR6S形は現行品として掲載され、価格も公開されています。既設盤の更新でHR1S・HR2Sの型番しか分からない場合も、入力方式・出力構成・安全カテゴリを読み解ければ、HR5S・HR6Sの中から相当する仕様を選び直す作業ができます。

参考文献・出典

型番不明でもOK

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「IDECの安全リレー(HR6S・HR5S)の型番はどう読むのか|AB・AF・AK・AT・BAC・DN・EP・SとC/Pが分ける機能グループ・端子形状・時延表現の規則」に関連する製品を、用途・仕様・写真からお探しします。リンク先には相談内容を入れた状態で用意するため、型番が分からなくてもそのまま進められます。 手書きメモや型番リストの写真・PDFでも依頼できます。

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