JL04V-6A24-10SE(G)-Rという型式を渡されたら、まず何を読み取るだろうか。「JL04V」がシリーズ名であることはすぐにわかる。「6A」がプラグの形状と防水構造を示していることも、カタログの表紙を見れば察しがつく。そして「24」の次に来る「10」を見た瞬間、たいていの人は「シェルサイズ24、10極」と読んでしまう。数字が並んでいれば、後ろの数字を極数だと考えるのは自然な反応だ。WAGOやワイドミュラーの端子台でも、型番の末尾の数字がそのまま極数に対応する例は珍しくない。
ところが、JAE(日本航空電子工業)の公式カタログを実際に開いて「コンタクト配列」の表を確認すると、その読み方は崩れる。配列記号「24-10」のコンタクト構成は「#8×7極」と書かれている。10極ではない。7極である。しかも、これは孤立した例外ではなかった。同じ表を最後まで追うと、配列記号の後半の数字と実際の極数が一致する組み合わせのほうが、むしろ少数派だった。
結論から言うと
JAEのJL04V/JL10シリーズの型番は、次の骨格で組み立てられている(プラグの例)。
- シリーズ名:JL04VまたはJL10
- 形状記号:JL04Vは6(ストレートプラグ)/8(ライトアングルプラグ)、JL10も同じく6(ストレートプラグ)/8(アングルプラグ)
- 防水構造記号:A(嵌合時防水構造)
- シェルサイズ:10SL・18・20・22・24・28・32のいずれか
- 配列記号:シェルサイズの後ろに続く数字。ここが今回の核心
- コンタクト区分:P(ピン)またはS(ソケット)
- 保護回路接続記号:E、JL04Vはさらに(G)が付く場合あり、JL10は末尾のEの有無で表現
- エンドベル記号:無記号(単体ブロック)/EB・EBH(標準エンドベル)/EBA(低背・分割型、ライトアングル専用)/EB1・EB1H(特殊配列専用)
- 特殊記号:R・RK(仕上げ・構成のバリエーション)
骨格そのものは、他の丸型コネクタシリーズと大きくは変わらない。問題は「配列記号」の中身だ。シェルサイズのすぐ後ろに続く数字は、その配列が持つ極数ではなく、JAEがシェルサイズごとに割り振ったインサート配置パターンの管理番号である。実際の極数は、同じカタログの「コンタクト配列」表(JL04Vは64・65頁、JL10は3/16頁)を別途参照しないとわからない。JL04V-6A24-10SE(G)-Rは7極、JL10-2A22-14Pに至っては19極だ。型番の桁数だけを見て極数を類推する読み方は、この2シリーズには通用しない。
型番の分解 ── 「品名構成」図が示す骨格と、そこに書かれていないもの
JAE公式カタログのJL04Vシリーズには「品名構成」という見出しのページがあり、プラグとレセプタクルそれぞれの型番を、引き出し線付きの図で分解して見せている。プラグの例として示されているのは「JL04V-6A20-15SE※-EB*-R※」という型式だ。引き出し線をたどると、シリーズ名の次の「6」が形状(6=ストレートプラグ、8=ライトアングルプラグ)、続く「A」が構造(嵌合時嵌合防水型)、「20」がシェルサイズ、「15」が「コンタクト配列:63頁~64頁参照」という注記付きの配列記号、「S」がコンタクト区分(P=ピン、S=ソケット)、「E」が保護回路接続構造、末尾のEB/EBH/EBA等がエンドベル形状、そして最後のRが特殊記号、という順に並んでいる。
ここで目を引くのが「コンタクト配列:63頁~64頁参照」という注記だ。品名構成図そのものには、配列記号「15」が何極を意味するかは一切書かれていない。図が保証しているのは「この位置に配列記号が入る」ということだけで、その中身は別ページに委ねられている。JAEの型番設計は、配列記号を極数の直接表現としてではなく、詳細ページへの参照キーとして扱っている、と読むのが正確だろう。
その参照先である64頁・65頁の「コンタクト配列」表を実際に開くと、配列記号と極数の対応表が並んでいる。抜粋するとこうなる。
| 配列記号 | 極数 | コンタクト構成 |
|---|---|---|
| 10SL-3 | 3極 | #16×3極 |
| 18-10 | 4極 | #12×4極 |
| 20-4 | 4極 | #12×4極 |
| 22-22 | 4極 | #8×4極 |
| 18-12 | 6極 | #16×6極 |
| 20-15 | 7極 | #12×7極 |
| 24-10 | 7極 | #8×7極 |
| 24-10(G) | 7極 | #8×7極 |
| 20-7 | 8極 | #16×8極 |
| 22-23 | 8極 | #12×8極 |
| 20-18 | 9極 | #12×3極+#16×6極 |
| 24-11 | 9極 | #8×3極+#12×6極 |
| 28-11 | 22極 | #12×4極+#16×18極 |
この表を見ると、配列番号がそのまま極数になっている行はむしろ少ない。「20-4」のように偶然一致するものもあれば、「28-11」のように配列番号11に対して実際の極数が22と、ちょうど2倍になっている行もある。一貫した換算式はない。配列記号の数字は、極数を暗算で求めるための材料ではなく、JAEが社内的に割り振った識別番号なのだと考えるほうが実態に近い。
JL10シリーズも骨格は同じだ。公式カタログ(MB-0263-6)7/16頁の「品名構成一覧」では、プラグの型式例「JL10-6A22-22SE*-*」が英語併記で分解されている。シリーズ、コネクタタイプ(6=ストレートプラグ、8=アングルプラグ)、防水構造(A)、シェルサイズ、インサート配列、コンタクトタイプ(P/S)、保護回路接続端子の有無(E)、インサート回転角度記号、そして最後にエンドベルの種別(無記号=単体、EB=標準エンドベル、EB1=拡大型ケーブルエントリー付エンドベル)という順だ。ここでも配列記号の実際の極数は図中に書かれておらず、3/16頁の「配列と一般仕様」表に委ねられている。そちらを見ると、配列記号「22-14」のコンタクト構成は「#16×19芯」だった。配列番号14に対して、実際の極数は19。JL04Vで見た「番号と極数は一致しない」という性質は、JL10にもそのまま引き継がれている。
実機への当てはめ ── 5つの型式を分解する
ここまでの読み方を、実際に取り扱う5つの型式に当てはめてみる。
JL04V-6A24-10SE(G)-R(ストレートプラグ・単体ブロック)は、6(ストレートプラグ)・A(嵌合時防水構造)・24(シェルサイズ)・10(配列番号、実際は7極)・S(ソケット)・E(保護回路接続構造)・(G)・R(特殊記号)という構成だ。末尾に付く「(G)」がもう一つの読みどころで、これは保護回路接続構造の端子番号の違いを示す注記になっている。JAEカタログの注記によれば、配列「24-10」には保護回路接続構造の端子番号が異なる2種類があり、G端子の場合は品名中の保護回路接続構造記号「E」の後に「(G)」が入る。つまりJL04V-6A24-10SE-R(括弧書きなし)とJL04V-6A24-10SE(G)-Rは、どちらも7極・シェルサイズ24という点では同じだが、アース端子の位置が異なる別部品だ。品名一覧表(63頁)にも、この2種類は「24-10」の行と「24-10(G)」の行として、はっきり分けて掲載されている。
JL04V-8A22-22SE-EBH-R(ライトアングルプラグ)は、8(ライトアングルプラグ)・A・22(シェルサイズ)・22(配列番号、実際は4極)・S・E・EBH(エンドベル付・ライトアングル)・Rという構成になる。ここで確認しておきたいのが「EBH」の中身だ。品名構成図の引き出し線をそのまま読むと、EBHは「エンドベル付(ライトアングル)」であって、低背タイプを示す「EBA(分割型・低背エンドベル付、ライトアングルのみ)」とは別の記号である。63頁の品名一覧表でも、配列22-22のプラグは単体ブロック・ストレート・ライトアングル(EBH)・低背ライトアングル(EBA)という4段に分かれており、JL04V-8A22-22SE-EBH-Rは「ライトアングル」の行に、JL04V-8A22-22SE-EBA-RKは「低背ライトアングル」の行に、それぞれ別の型番として並んでいる。
JL10-6A18-10SE(ストレートプラグ・単体ブロック)は、6・A・18(シェルサイズ)・10(配列番号、実際は4極)・S・E(保護回路接続端子あり)という構成だ。JL10の品名一覧(14/16頁)にも、この型式がSJ112323という製品図番付きで掲載されている。
JL10-6A22-22SE-EB(ストレートプラグ・エンドベル付)は、6・A・22(シェルサイズ)・22(配列番号、実際は4極)・S・E・EB(標準エンドベル)という構成。同じ品名一覧に、SJ112317という図番で掲載されている。
JL10-2A22-14P(パネル取付レセプタクル)は、2(パネル取付レセプタクル)・A(嵌合時防水構造)・22(シェルサイズ)・14(配列番号、実際は19極)・P(ピン、保護回路接続端子なし)という構成だ。品名一覧ではSJ115414という図番で掲載されている。5つの型式の中でもっとも配列番号と実際の極数の差が大きいのがこの型式で、「14」という数字から連想する極数と、実際の19極という数字の開きは、5極分にもなる。
現場で間違えやすい点
一つめは、ここまで繰り返し確認してきた配列番号と極数の取り違えだ。シェルサイズの次に来る数字を極数だと思い込んだまま代替品や互換品を探すと、実際より少ない、あるいは多い極数の製品を候補に挙げてしまう。JL04V-6A24-10SE(G)-Rを「10極品」として代替候補を探せば、7極という前提条件そのものが違ってくる。極数を確認する必要がある場面では、型番の桁を数えるのではなく、カタログの「コンタクト配列」表(JL04Vは64・65頁、JL10は3/16頁)を必ず開く。
二つめは、エンドベル記号の見誤りだ。EBHとEBAはどちらも「ライトアングル系のエンドベル付」という括りでは共通しており、型番を流し読みすると同じもののように見える。だが実際には、EBHが標準のライトアングルプラグ、EBAが低背・分割型のライトアングルプラグという、寸法も構造も異なる別部品を指す。品名一覧表で確認すると、配列22-22ではEBH品の特殊記号が「R」、EBA品の特殊記号が「RK」と、末尾の記号まで違っている。「ライトアングル」という言葉だけでEBHとEBAを同一視すると、実装スペースの取り合いで想定外の干渉が起きかねない。
三つめは、同じ配列番号でも保護回路接続の端子位置が異なる別部品が存在する点だ。JL04Vの配列「24-10」には、無印(D端子)と「(G)」付き(G端子)の2種類があり、どちらも7極・シェルサイズ24という条件は同じだが、アース端子の物理的な位置が違う。図面や手配履歴に残る型番から「(G)」の有無を見落とすと、極数もシェルサイズも合っているのに、アース端子の位置だけが噛み合わない部品を手配してしまう。
実務上の注意点
型番から仕様を読み取る際は、まずシリーズ名(JL04V/JL10)とシェルサイズの2桁を確認したうえで、配列番号を「極数」ではなく「詳細ページへの参照キー」として扱いたい。実際の極数・コンタクトサイズ・定格電流を確認する必要がある場面では、必ずカタログの配列別一覧表を開き、配列記号ごとの実測値を拾う。この一手間を省くと、シェルサイズだけ合っていて極数が違う部品を発注してしまうリスクが残る。
エンドベル形状(EB/EBH/EBA/EB1/EB1H)と特殊記号(R/RK)は、既設のプラグ・レセプタクルの現物と突き合わせて確認したい。特に低背タイプ(EBA)は取り付けスペースが限られた盤内で選定される傾向があるため、標準タイプ(EB/EBH)と型番を見誤ると、そもそも取り付けスペースに収まらない可能性がある。
また、JL04Vの「(G)」のような保護回路接続端子のバリエーションは、極数やシェルサイズが完全に一致していても別部品である点に注意したい。図面の型番表記を転記する際は、括弧書きや末尾の1文字も含めて、省略せずにそのまま控えておくことが、あとの手配ミスを防ぐ一番確実な方法になる。
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