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リミットスイッチを交換しようと型番を控えるとき、見落とされやすいのが数字2桁です。オムロンのWLでは、形WL□が一般負荷形、形WL01□が微小負荷形。同じ交流125Vの抵抗負荷で比べると、定格電流は前者が10A、後者が0.1Aと100分の1です。
電流が小さい方が楽なのだから、大きい電流用の一般負荷形をPLCの入力につないでも問題なさそうに見えます。ところがオムロンは、PLCのような負荷には微小負荷形を使うよう注記しています。大は小を兼ねないのはなぜか。答えは接点の材料にあります。
リミットスイッチは、マイクロスイッチを頑丈なケースに封入したものです
オムロンの技術解説は、リミットスイッチを「内蔵マイクロスイッチを外力、水、油、ガス、塵埃などから保護する目的で封入ケースに組み込んだもの」で、機械的強度や耐環境性が要る場所向けのスイッチと定義しています。富士電機機器制御も製品ページで同じ趣旨の定義を掲げています。形は横形・縦形・マルチプル形に大別されます。
中に入っているマイクロスイッチは、オムロンの定義では「微小接点間隔とスナップアクション機構を持ち、規定された動きと規定された力で開閉動作する」小型のスイッチです。定義の最初に来るのは大きさではなく、接点の隙間の小ささと、ばねで一気に切り替わる機構です。対象物がアクチュエータ(作動部)を押すと、その動きがケースの中でマイクロスイッチに伝わり、接点が切り替わります。
カタログに並ぶ記号は、アクチュエータの位置と動きを表しています。オムロンの用語解説では、接点が切り替わる位置がOP(動作位置)、力を抜いて元に戻る位置がRP(もどりの位置)、OPからRPまでの動きがMD(応差の動き)、OPから押し切った位置TTP(動作限度位置)までの動きがOT(動作後の動き)です。OPとRPは「位置」、MDとOTは「移動量」なので、比べるときに混ぜないようにします。
近接センサーとの違いは、触れるかどうかだけではありません
オムロンは近接センサを、リミットスイッチなどの接触式検出方式の「代替として」非接触で検出するセンサの総称と説明しています。近接センサーは、リミットスイッチの置き換えを目的にしたセンサー、という位置づけです。規格も分かれていて、近接スイッチはJIS C 8201-5-2(IEC 60947-5-2準拠)、リミットスイッチの定格はIEC 60947-5-1と同内容のEN 60947-5-1で示されます。
| 比べる点 | リミットスイッチ(接触式) | 近接センサー(非接触式) |
|---|---|---|
| 検出のしかた | 対象物がアクチュエータに触れて押す | 金属の渦電流や静電容量の変化を検出する |
| 出力と寿命 | 有接点。機械的寿命と電気的寿命がある | 半導体出力で接点の寿命がない(磁気式を除く) |
| 負荷の開閉 | 接点で負荷を直接開閉できる(WL一般負荷形はAC125V・抵抗負荷10A) | 出力の仕様(2線式・3線式など)に合わせて負荷をつなぐ |
| 周囲の影響 | 触れる位置で決まる | 周囲の金属や物体、センサー同士の干渉を受ける |
| 応答 | 機械的な動きを伴う | 接触式より高速に応答できる |
対象物を傷つけたくない、高速で数を数えたい、という場面は近接センサーの領分です。逆に、接触を確実に拾いたい、周りに金属が多い、負荷を直接切りたい、という場面ではリミットスイッチが残ります。近接センサーそのものの選び方は近接センサー・光電センサーの選び方で扱っています。
アクチュエータは、対象物の動き方で選びます
オムロンの技術解説「参考資料」は、アクチュエータを12種類に分け、繰り返し精度と振動・衝撃への強さを3段階で評価しています。代表的なものを抜き出すと、次のとおりです。
| アクチュエータ | 動き | 繰り返し精度 | 振動・衝撃 | オムロンの説明(要約) |
|---|---|---|---|---|
| ローラ・レバー形 | 回転(45°〜90°) | 優〜良 | 優 | レバーを360°任意の角度にセットでき、位置決めからワーク検出まで広く使える |
| 可変ロッド・レバー形 | 回転 | 良 | 良 | ワーク幅が広い・形状が不均一なときに便利。回転形で最も軽い力で動く |
| フォーク・レバー・ロック形 | 回転して保持 | 良 | 優 | 55°まで操作すると自ら回転し、90°でその状態を保持する |
| プランジャ形 | 直線 | 優 | 優 | 油圧・エアシリンダなどで操作し、位置検出の精度が高い。偏荷重をかけない |
| ベベル・プランジャ形 | 直線 | 優 | 優 | ローラなどの摩耗要素を除いた120°のナイフエッジ。工作機械の多段制御に使う |
| コイル・スプリング形 | 軸方向以外の全方向 | 可 | 可 | 動作力が最も低い。方向や形状が不均一な対象物の検出に有効 |
レバーの長いタイプには注意点があります。オムロンが「テレグラフィング」と呼ぶ現象で、ドッグ(対象物側の当たり金具)が通過したあとにアクチュエータが跳ね返り、反対側の動作点まで振れて誤動作するものです。可変ローラ・レバー形と可変ロッド・レバー形に、この配慮が必要だと書かれています。
一段深い理解:プランジャ形が「ゆっくり戻る」ことがある理由
プランジャ形を押し込むと、ケースの中の空気が圧縮されます。オムロンの技術解説によると、長時間押し込んだままにすると内部の空気が逃げて内圧が大気圧と同じになり、急に放してもプランジャがゆっくり戻る傾向が出ます。そこで同社は、押し込みによる空気の圧縮量をスイッチ内の全空気量の20%以内に設計しています。
シールの方式にも一長一短があります。Oリングやゴムダイヤフラムで内側をシールするタイプは、ゴムが外に出ていないので切屑に強い一方、砂や切粉を摺動面にかみ込むおそれがあります。外側をゴムキャップで覆うタイプはかみ込みがなくシール性も上ですが、熱い切屑が飛ぶとキャップが破れるおそれがあります。設置場所の「ごみの種類」で選び分ける、というのが同社の説明です。
接点定格は、ACとDC、負荷の種類で桁が変わります
オムロンWLの一般負荷形の定格表を見ると、同じスイッチでも開閉できる電流が大きく変わります。
| 定格電圧 | 抵抗負荷 | ランプ負荷(常時開路) | 電動機負荷(常時開路) |
|---|---|---|---|
| AC125V | 10A | 1.5A | 2.5A |
| AC250V | 10A | 1A | 1.5A |
| DC30V | 6A | 3A | 4A |
| DC125V | 0.8A | 0.2A | 0.2A |
| DC250V | 0.4A | 0.1A | 0.1A |
AC125Vで10Aを切れるスイッチが、DC125Vでは0.8Aまでです。直流の回路では、AC欄の数字を見て選ぶと桁を間違えます。ランプ負荷と電動機負荷の値が小さいのは、同社の注記にあるとおり、ランプは10倍、電動機は6倍の突入電流を見込んでいるからです。
カタログの「AC-15」「DC-12」などは、IEC 60947-5-1の使用カテゴリです。オムロンの用語解説では、AC-15は72VAを超える電磁負荷(電磁接触器のコイルなど)の制御、AC-14は72VA以下の電磁負荷、DC-12は抵抗負荷と半導体負荷の制御です。オムロンのトラブルシューティングの表には、直流回路で誘導分が多いと「投入できない・しゃ断できない・溶着する」故障が起き、対策は消去回路の付加だとあります。
一段深い理解:PLC入力に「微小負荷形」を選ぶのは、接点が銀だから
冒頭の問いに戻ります。オムロンWLの一般負荷形は、最小適用負荷がDC5V 160mAです。これより小さい電流では、接点の接触が安定する保証がありません。微小負荷形は最小適用負荷がDC5V 1mAで、推奨範囲はDC5〜30V・0.5〜100mA。同社は「PC負荷の場合は微小負荷形をご使用ください」と注記しています。
違いを生むのは接点の材料です。オムロンの技術解説によると、銀は導電率が金属の中で最も高く接触抵抗も低いので、一般負荷用スイッチのほとんどに使われます。ただし硫化ガスの雰囲気で硫化被膜をつくりやすく、微小負荷の領域では接触不良を起こしやすい。そこで微小負荷用には、耐食性に優れた金や金合金の接点が使われます。
つまり、大は小を兼ねません。PLCの入力をリミットスイッチで受けるなら、型番に微小負荷形を示す記号があるか、メーカーの適用負荷範囲で確かめます。逆向きの取り違えもあります。WL01の定格はAC125V・0.1A(抵抗負荷)なので、電磁コイルやランプのような負荷を開閉する用途は、一般負荷形の定格で選びます。
寿命は「機械的」と「電気的」で分けて見ます(WLでは20倍の差)
オムロンの用語解説では、機械的耐久性は電流を流さない状態での開閉回数、電気的耐久性は定格負荷(抵抗負荷)を開閉したときの回数です。WLでは機械的1,500万回以上に対して、電気的75万回以上。微小負荷形は電気的100万回以上です。許容操作速度は1mm〜1m/s、許容動作ひん度は機械的120回/分・電気的30回/分です。
計算例として、1分に10回動作する設備が1日8時間、年250日動くと、年間120万回です。機械的寿命の1,500万回なら12年あまりですが、定格いっぱいの負荷を接点で直接切る使い方では、電気的寿命の75万回に1年もたたずに届きます。負荷を開閉する用途では電気的寿命で比べ、回数が多ければ長寿命形を検討します。
アズビルの超長寿命形1LS-J7□□は、現場環境での機械的寿命が従来の3倍以上とされています。オムロンWLの長寿命形は機械的3,000万回以上です。同じ長寿命形でも、電気的寿命はDC24V・10mAの抵抗負荷なら3,000万回以上、AC115V・10Aでは75万回以上です。電気的寿命は、接点で切る負荷の大きさで桁が変わります。
動かし方も寿命に効きます。オムロンのトラブルシューティングの表は、操作速度が遅すぎるとチャタリング(接点が細かくばたつく現象)が起きるとして、加速装置で操作速度を上げることを対策に挙げています。速すぎれば許容操作速度を超え、遅すぎてもいけない、ということです。
保護構造と温度は、シールのゴムで決まります
WLの保護構造はIP67ですが、オムロンは「規格(EN60947-5-1)に基づくテスト法によるものであり、実使用環境、使用条件によるシール性は事前にご確認ください」と注記しています。数字は試験の条件での結果で、現場の切削油や洗浄水まで保証するものではありません。
シールの性能はゴムの材質で決まります。同社の技術解説では、リミットスイッチに多いニトリルゴム(NBR)は耐油性に優れ使用温度範囲−40〜130℃、シリコンゴムは−70〜280℃と温度には強いものの耐油性は劣ります。フッ素ゴムはNBR・シリコンゴムより耐熱性・耐寒性・耐油性に優れるとされますが、油の成分によってはNBRより耐油性が劣ることがある、と注記されています。
WL自体の使用周囲温度は−10〜+80℃で、耐寒形は−40〜+40℃、耐熱形は+5〜+120℃です。トラブルシューティングの表には、切削油による膨潤・溶解、直射日光やオゾンによる亀裂、高熱の切削屑によるやぶれが、ゴム劣化の原因として並んでいます。
設置環境の区分も決まっています。オムロンの用語解説によると、リミットスイッチはEN60947-5-1の汚染度3(導電性の汚染が生じる環境)に当たる機器です。屋外・塩害・腐食性ガスの場所には、アズビルの屋外用耐環境形1LS-J8□□やオールステンレス形1LS□-J401のような専用品があります。爆発性ガスの雰囲気では、防爆構造(アズビル□LX700□などはExde IIC T6)の認証品を選びます。
安全用は、接点が溶着しても開く構造で選びます
機械の扉や可動部の安全確認に使うリミットスイッチは、一般の位置検出用と同じ基準では選びません。オムロンのD4B-□Nは「接点溶着などの異常時に、接点を開離する直接開路動作機構(NC接点側のみ)」を採用し、D4NはTÜVでEN60947-5-1の直接開路動作の認証を受けています。アズビルのLJA□□も接点強制開離機構付きで、同社は一般産業機械のEC指令適合・CEマーキング取得に向けた機種と位置づけています。
スナップアクションかスローアクションかも、安全用では意味を持ちます。オムロンD4Nの特長には、スロー・アクションタイプのみがEN115-1(エスカレーター・動く歩道)・EN81-20・EN81-50(エレベーター)の安全接点の要求に適合する、とあります。
扉の開閉そのものを監視するなら、IDECのソレノイド付・非接触式の安全スイッチや、操作ヘッドが外れたことを検出するHS5D形のような専用品もあります。必要な安全機能と規格は、設備の設計者がリスクアセスメントで決めます。
主要メーカーのリミットスイッチ
| メーカー | 掲載ページで確認できるシリーズ | 特徴(各社の公開情報から) |
|---|---|---|
| オムロン | WL・WL-N(2回路)、D4C・D4A-□N(小形)、SHL・D4E-□N(封入スイッチ)、D4N・D4B-□N(セーフティ) | 一般負荷形・微小負荷形、耐寒形・耐熱形・長寿命形などのバリエーション。技術解説にアクチュエータ選定表と故障対策表がある |
| 富士電機機器制御 | AL・K244シリーズ | センサ・リミットスイッチのページに、近接スイッチ・光電スイッチと並んで掲載 |
| IDEC | 安全スイッチ(ソレノイド付、非接触式、HS5D形など) | 扉・カバーの開閉を監視する安全スイッチの品ぞろえ |
| アズビル | LJA□□、□LS□-J、1LS-J7□□、1LS-J8□□、1LS□-J401、□LX700□ほか | 接点強制開離機構付き、超長寿命形、屋外用、オールステンレス、防爆形まで、設置環境別の系統 |
製品ページの掲載情報はオムロン(リミットスイッチ)・オムロン(センサー)・富士電機・IDEC・アズビルから確認できます。
交換前に確認する情報
既設品のメーカーと型番に加えて、作動部の形状、取付寸法、接点構成、開閉する電圧・電流と負荷の種類、使用環境を確認してください。外観が似ているだけでは置換え可否を判断できません。
型番の中の負荷区分は特に見落とさないでください。オムロンWLの仕様ページでは、一般負荷形と微小負荷形を分けて示しています。PLC入力などの小さな電流を扱う回路は、対象型番の適用負荷範囲を確認します。
安全関連用途は、一般の位置検出用スイッチと同じ基準で選ばず、設備で必要な安全機能と対象製品の仕様を確認してください。
選定チェックリスト
- 対象物の動く方向・速度・当たり方から、アクチュエータ形状を決めた
- 負荷の種類(抵抗・ランプ・電動機・電磁コイル)と、ACかDCか、電圧・電流を確認した
- PLC入力など小さな電流なら、微小負荷形を選んだ
- 1日の動作回数と稼働年数から総動作回数を出し、電気的寿命と比べた
- 水・油・切削油・温度・屋外かどうかから、保護構造とシールの材質、使用温度範囲を確認した
- 安全確認に使う場合は、直接開路動作機構の有無と必要な規格を確認した
型番が分からなくても、分かる範囲の情報で相談できます。
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