サーバを1台増設する。電源コードはIEC C14。ラックの電源タップに、C13の口は空いているか。空いていても、そのタップをつなぐ分岐回路は、15Aか、20Aか、30Aか。ラックの電源まわりは、まず受口の形と、回路のブレーカの置き場所の2つを確かめる。
明工社の2026-2027総合カタログ(2026年4月1日価格改定版)は、この2つを1つの章にまとめている。カタログが使う言葉は「情報ラック」「19インチラック」で、「データセンター」という語はこの章にない。納入先の記載もない。ここに書くのは、製品の仕様と、カタログが示す施工条件だ。
受口の定格と、ブレーカの置き場所で絞る
明工社のラック用コンセントバーの受口の定格は、カタログで次のとおり。
| 電圧 | 受口 | 1口あたりの定格 |
|---|---|---|
| 100V用 | 抜け止め接地コンセント | 15A |
| 200V用 | IEC C13 | 10A |
| 200V用 | IEC C19 | 15A |
法規により、15Aまたは20Aのブレーカでの保護が必要だと、カタログは書いている。バーにブレーカがなければ上流に置き、バーに内蔵するなら上流の条件は緩む。その組み合わせを、カタログは4つの接続パターンで示している。
| パターン | ラック内のバー | 上流の回路 | 負荷の合計 |
|---|---|---|---|
| A | ブレーカなしの15Aまたは20Aバー | バーが15Aなら15A分岐回路または20A配線用遮断器分岐回路、20Aなら20A配線用遮断器分岐回路(30Aブレーカは使用不可) | カタログに記載なし |
| B | ブレーカ付の15Aまたは20Aバーを2本 | アウトレットボックス等を経て30Aブレーカ | 30Aまで |
| C | ブレーカなしの15Aまたは20Aバーを2本 | 分岐ボックス内に20Aブレーカを2個、その上流に30Aブレーカ | 30Aまで |
| D | ブレーカ付の30Aバーを1本(2系統が各15A) | 30Aブレーカ | 30Aまで |
カタログの例を3つ挙げる。30A分岐回路にブレーカ付15Aバーを1台つなぐなら、負荷は合計15Aまで。2台つなぐなら、バー1台あたり15A、2台合計で30Aまで。ブレーカ付30Aバーを1台つなぐなら、バー内の1系統あたり15A、合計30Aまで。
30Aのバーが「15Aの2系統」に分かれている理由
カタログの説明は、こうだ。電気設備の技術基準の解釈と内線規程は、20Aを超える分岐回路に、15A以下のプラグが接続できるコンセントを設置することを禁じている。そこで、明工社の30A品は、内蔵のブレーカ(15Aまたは20A)で、15A回路の2系統に分けてあり、法規上問題なく使える、という。
その根拠として、カタログは「電気設備の技術基準の解釈」の抜粋(149-3表)を載せている。
| 分岐回路 | 施設できるコンセント |
|---|---|
| 15A分岐回路 | 定格電流が15A以下のもの |
| 20A配線用遮断器分岐回路 | 定格電流が20A以下のもの |
| 30A分岐回路 | 定格電流が20A以上30A以下のもの(定格電流が20A未満の差込みプラグが接続できるものを除く) |
| 40A分岐回路 | 定格電流が30A以上40A以下のもの |
| 50A分岐回路 | 定格電流が40A以上50A以下のもの |
カタログは、この表を「一部表現を変更しています」と注記している。解釈と内線規程の年版は書かれておらず、表番号149-3だけが載る。設計や申請で引くときは、現行の原本で確認することになる。
125Vは、連結形とFMコンセントバーのどちらか
125Vの受口は、15A・125Vの抜け止め接地。バーの形が2種類ある。
| 区分 | 定格 | 口数 | 特徴(カタログの説明) |
|---|---|---|---|
| 連結形 | 15A(MR7485)、20A(MR7535) | 10口のバーを連結して20口・30口まで | ユニット(防塵カバー、バー、コネクター)を工具なしで差し込んで連結する。延長アダプターで2本のバーをコードでつなげるので、中央に梁が突き出した場所にも付けられる。コネクターは通常、安全ブレーカ付、電流監視装置付から選ぶ。受口のピッチは32mm |
| FM(一体形) | 15A、20A、30A(2分岐) | 6・12・18・24口(30Aは12・18・24口) | 受口のピッチは40mm、取付ピッチは20mmの倍数でEIA規格寸法に対応。ブレーカ付はレバーの誤作動を防ぐ透明カバー付き。通電表示LED(30Aは回路ごと)、接地端子付き |
FMコンセントバーの品番は、口数の順に連番で並ぶ。
| 定格 | 内容 | 品番(6・12・18・24口の順。30Aは12・18・24口) |
|---|---|---|
| 15A | FM15A | MR7611〜MR7614 |
| 15A | 安全ブレーカ付 | MR7621〜MR7624 |
| 15A | 20A安全ブレーカ付 | MR7671〜MR7674 |
| 15A | 電流監視装置付 | MR7651〜MR7654 |
| 15A | 安全ブレーカ・電流監視装置付 | MR7661〜MR7664 |
| 15A | 20A安全ブレーカ・電流監視装置付 | MR7681〜MR7684 |
| 20A | FM20A | MR7811〜MR7814 |
| 20A | 安全ブレーカ付 | MR7821〜MR7824 |
| 20A | 電流監視装置付 | MR7851〜MR7854 |
| 20A | 安全ブレーカ・電流監視装置付 | MR7861〜MR7864 |
| 30A | 安全ブレーカ付(15A回路2系統) | MR7932・MR7934・MR7936 |
| 30A | 20A安全ブレーカ付 | MR7942・MR7944・MR7946 |
| 30A | 安全ブレーカ・電流監視装置付 | MR7952・MR7954・MR7956 |
| 30A | 20A安全ブレーカ・電流監視装置付 | MR7962・MR7964・MR7966 |
品番の末尾に0が付くものは、コードやケーブルが上から来る場合の品(電流計とブレーカの向きが正しく読めるように作った品)。たとえばMR79320。標準品は、コードが下から来る場合に向きが合う。
端子は、M4.5の丸形圧着端子で、適用電線は15AがVCTF 2mm²とVCT 2mm²・3.5mm²、20AがVCT 3.5mm²・5.5mm²、30AがVCT 5.5mm²(圧着端子R5.5-5)。FMコンセントバーには電源コードが付属せず、別売で、30A用はMH9052T3B(S-VCT 5.5mm²、3m、L5-30P付)、15A用はME9055TJD3、20A用はMH9053T3(L5-20P付)などがある。
200Vは、C13とC19の数で選ぶ
200Vの受口は、IEC C13とC19。同じ定格でも、C19が入るかどうかで品番が分かれる。
| 定格 | 内容 | C13のみ(12口) | C13のみ(24口) | C13+C19(少口数) | C13+C19(多口数) |
|---|---|---|---|---|---|
| 30A 250V(2分岐、20Aブレーカ2個) | 安全ブレーカ付 | ME8709 | ME8711 | ME8809(C13×6+C19×2) | ME8811(C13×18+C19×2) |
| 30A 250V | 安全ブレーカ・電流監視装置付 | ME8719 | ME8721 | ME8819 | ME8821 |
| 20A 250V | ブレーカなし | ME8659 | ME8661 | ME8759(C13×9+C19×1) | ME8761(C13×21+C19×1) |
| 20A 250V | 安全ブレーカ付 | ME8669 | ME8671 | ME8769 | ME8771 |
| 20A 250V | 電流監視装置付 | ME8679 | ME8681 | ME8779 | ME8781 |
| 20A 250V | 安全ブレーカ・電流監視装置付 | ME8689 | ME8691 | ME8789 | ME8791 |
電源コードは別売で、30A用はMH9080T3B(S-VCT 5.5mm²、3m、L6-30P付)、20A用はMH9079T3B(S-VCT 3.5mm²、3m、L6-20P付)。プラグ固定バンドMX0400-31-6(6本入り)はオプション。
鋼板製のラック用コンセントボックス(MR7546T4A3)もある。30A 250V、C13×5とC19×1に15A安全ブレーカ付の2分岐で、12口、取付金具付き、NEMA L6-30P準拠プラグ付き、ケーブル長3m。アウトレットごとに連番が書かれている。
1Uで付けるなら、19インチラック用のコンセント
横幅19インチ、縦1Uに合わせた小型の品が2系統ある。
125V・15Aのブレーカ搭載形(6口、抜け止め接地)。 ブレーカは、安全ブレーカ(コード短絡保護用瞬時遮断機能付)の15Aか20A、漏電ブレーカの15Aか20Aの4通り。縦と横の両方に付けられる金具付き(F形、FR形)と、横付け専用の段付き金具付きがある。
| 種類 | 縦・横兼用金具 | 横付け(段付き金具) |
|---|---|---|
| 15A安全ブレーカ付 | MR7832 | MR7732 |
| 15A漏電ブレーカ付 | MR7834 | MR7734 |
| 20A安全ブレーカ付 | MR7833 | MR7733 |
| 20A漏電ブレーカ付 | MR7835 | MR7735 |
品番に枝番が付く。TJ1・TJ3・TJ5が耐トラッキング接地プラグ付きのVCTF 1m・3m・5m、NT3・NT5がハーネスプラグ付きのVCT 3m・5m。コードなしでの注文は受けられない、とカタログに書かれている。
200Vの19インチラック用コンセント。 出力はIEC 60320のC13(Sheet F)とC19(Sheet J)。プラグはL6-20P。ブレーカなしの20A 250V品と、ブレーカ付きの16A 250V品がある。
| 品番 | 内容 | 定格 |
|---|---|---|
| ME8655TA3 | C13×10、ブレーカなし | 20A 250V |
| ME8665TA3 | 同上、横付け用段付き金具 | 20A 250V |
| ME8635TA3 | 安全ブレーカ付、C13×7 | 16A 250V |
| ME8636TA3 | 安全ブレーカ付、C13×4+C19×2 | 16A 250V |
| ME8637TA3 | 漏電ブレーカ付、C13×7 | 16A 250V |
| ME8638TA3 | 漏電ブレーカ付、C13×4+C19×2 | 16A 250V |
横付け用の段付き金具付きのブレーカ付き品はME8710・ME8713・ME8715・ME8717。枝番TA1・TA3・TA5が、VCTケーブルの1m・3m・5m。ブレーカ付きの品の定格が16Aと表示される一方で、本文は20Aのブレーカと書いており、16Aの根拠はカタログに書かれていない。
新製品は、0Uの小型PDUと、GPUサーバー向けの1U
2026-2027版の新製品に、コンセントバー2機種がある。
| 品番 | 区分 | 入力 | 出力 | 特長(カタログの記載) |
|---|---|---|---|---|
| ME8764TA3 | 0U | NEMA L6-20P(20A 250V) | IEC C13 × 4(各10A) | 汎用性が高く、ラックの側面や背面といった限られた場所に付けられる。ケーブルS-VCT 3.5mm²、3m |
| ME8752T4A3 | 1U | NEMA L6-30P(30A 250V) | IEC C19 × 2(各最大16A、合計30Aまで) | GPUサーバーの運用に適した高負荷機器用。系統ごとに分かれ、20Aの安全ブレーカを搭載、ハンドルに誤操作防止カバー。ケーブルS-VCT 5.5mm²、3m |
どちらもPSE取得、RoHS適合で、標準価格は「オープン」と表示されている。
マルチタップで電源を分ける(NEMA L5-20・L6-20)
NEMA L5-20・L6-20のコンセントを搭載したマルチタップがある。2口と3口で、タップ全体で20Aまたは30A。
| 定格 | コンセント | プラグ | 2口 | 3口 |
|---|---|---|---|---|
| 20A 125V | L5-20R | L5-20P | MR7679W2TL3 | MR7680W2TL3 |
| 30A 125V | L5-20R | L5-30P | MR7691W3TL3 | MR7692W3TL3 |
| 20A 250V | L6-20R | L6-20P | MR7693W8TL3 | MR7699W8TL3 |
| 30A 250V | L6-20R | L6-30P | MR7700T4L3 | MR7701T4L3 |
30A品は、コンセント1口あたり20Aまで、タップ全体で30Aまで。明工社は、コンセントバーを複数設置する高密度ラックの電源分岐に最適だと書いている。ケーブルはVCT 3m。
固定の仕方と、抜け止めの使い方
- ラックには取付穴を全部使って固定する。 FMと200Vのバーは、M5またはM6のねじ(ねじ頭の直径10〜12.5mm)に対応する。19インチラック用の品は、タップではないので、必ずラックに固定して使う。
- OAタップは、木ねじでは固定できない。 フックに引っ掛けるか、マグネットで仮固定するだけ。固定して使うなら、機器用コンセント(タップ形)の固定型タップシリーズを使う。
- 抜け止めは、必ずロックして使う。 プラグを差し込んで右に回し、ロックする。外すときは左に回してから抜く。左に回さずに引き抜くと、コンセントが傷んで発熱し、火災になるおそれがある、とカタログは書いている。極性付きのプラグは使えない。プラグの抜き差しが多い場所には向かない(JIS C 8303の開閉回数は、抜け止め形が100回、通常の2極接地極付きが5,000回)。
- 電流監視装置の仕様。 フルスケール50A、50・60Hz、3桁のLEDデジタル表示、精度±0.15%FS±6カウント、動作温度0〜40℃。負荷がオフの状態で「-00.1」などが繰り返し表示されることがあるが、機能上の問題はない、との注記がある。
- ブレーカの仕様。 安全ブレーカ(コード短絡保護用瞬時遮断機能付)は15Aまたは20A、遮断容量2,500A。漏電ブレーカは定格感度電流15mA、遮断時間0.1秒以内。
電流監視装置付きは、一度受注が止まった
公式サイトのお知らせによると、電流計(電流監視装置)を使う製品は、2025年6月18日に受注が一時中止された。部品の製造元から、所定の納入期日が大幅に遅れるとの通知を受けたため、という。対象は、電流監視装置付きのコネクターや、FMコンセントバー(15A・20A・30Aの電流監視装置付き)、200Vコンセントバー(電流監視装置付き)など。2025年11月13日に、受注が再開された。
また、2026年4月ご注文分から価格が改定され、コンセントバー関連の予定改定率は15〜20%と案内された(カタログ掲載品の予定値上げ幅。一部の商品は範囲を超える場合があり、受注品・特注品の新単価は別途案内)。在庫や納期は、メーカーまたは販売先の営業担当者に問い合わせる。
明工社のラック用コンセントバーの歴史
公式サイトの沿革によると、19インチラック用コンセントバーの発売は2001年6月(意匠登録出願済)。2003年に20Aタイプ、2005年にロングピッチ、2006年にLED付きのロングピッチ、2008年にブレーカ搭載形200V接地コンセント、2010年に30A 250V(15A、2分岐)を発売した。19インチラック用ブレーカ搭載形の200V接地コンセントは、2010年に須賀川市工業製品に認定された。電流監視装置は2002年に発売され、2007年に30Aタイプが加わった。FMコンセントバーの生産開始は2012年。
見積・発注の前に、手元で確認すること
次が分かると、品番が絞れる。
- ラックに入れる機器の電源コードの形(IEC C14・C20、NEMA L5-20・L6-20など)と、台数。
- 100V系か200V系か。ラック1本あたりの必要な電流。
- 上流の分岐回路の定格(15A・20A・30A)と、ブレーカの有無。上の接続パターンA〜Dのどれにするか。
- 取付方法(バーを縦に付けるか、1U横付けか)と、必要な口数。
- 電源コードの要否(FM・200Vバーは別売)と、コードが上から来るか下から来るか。電流監視の要否。
見積フォームには、分かっている型番と、上の情報を分かる範囲で添えて送る。
資料はどこで入手できるか
- 電子カタログ(総合カタログ2026-2027)と、PDF版が、明工社の公式サイトで公開されている。
- 商品の図面データ(PDF・DXF)と取扱説明書は、公式サイトからダウンロードできる。
- ブレーカ・電流監視装置の仕様は、公式サイトの技術情報にも載っている。
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