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VCT・VCTFキャブタイヤケーブル完全ガイド|違い・使い分け・選び方(JIS C 3312/3306)

読了目安: 8分 編集: 電材サーチ編集部(編集・出典ポリシー

冒頭の場面・会話は、内容の理解を助けるための例示です。特定の現場・企業・案件を指すものではありません。

「コストを抑えたいから、この移動機器の電源も余っていたVVFケーブルで配線しよう」——ある工場で、仮設のポンプに電源をつなぐ際、担当者がそう判断した。固定配線用のVVFは芯線が1本の太い銅線(単線)でできており、一見頑丈そうに見える。しかし、ポンプを日常的に移動させるたびにケーブルが同じ箇所で曲げ伸ばしされ続け、数ヶ月後には芯線の被覆の中で銅線そのものが金属疲労でポキンと折れてしまった。固定用の電線と、動かして使うための電線は、同じ銅の電線でも中身の構造が根本的に違う——このことを知らずに代用すると、思わぬ形で断線トラブルを招く。

VCT・VCTFとは——「動かして使う」ための電線

固定して壁に埋めるVVFとは正反対に、動かして使うことを前提に作られたのがキャブタイヤ系のケーブル・コードです。柔軟なビニルシースで覆われ、引き回し・巻き取り・持ち運びに耐えます。

  • VCT(JIS C 3312): 600Vビニル絶縁ビニルキャブタイヤケーブル。移動用電気機器の電源回路が本来の用途
  • VCTF(JIS C 3306): ビニルキャブタイヤ丸形コード。交流300V以下の小形電気器具

JIS C 3306には、VCTFの兄弟としてVSF(単心)・VFF(平形)・VCTFK(長円形)などのコード類も規定されており、記号にHが付くと二種絶縁体(例: HVCTF)を表します。

【選定マップ】VCTかVCTFかを最短で決める

条件選ぶケーブル
三相200V・大きめの負荷(工場の移動機器)VCT(600V・JIS C 3312)
100V/200Vの小形機器(屋内・300V以下)VCTF(300V・JIS C 3306)
常時繰り返し屈曲する(ケーブルベア・ロボット)可動専用ケーブル(耐屈曲設計品)を検討
固定配線VVF・CV等の固定用を検討

固定配線はVVFCV、油や薬品にさらされる機械まわりの固定配線は太陽ケーブルテックSUNLIGHTシリーズも参照してください。

VCTとVCTFの比較一覧

項目VCTVCTF
規格JIS C 3312JIS C 3306
定格600V交流300V以下
位置づけキャブタイヤケーブルキャブタイヤコード
主用途移動用電気機器の電源(工場・現場)屋内の小形電気器具の電源
汎用サイズ2sq〜大サイズまで0.75/1.25/2sq中心

どこでどう使われているか——現場別の使いどころ

現場・用途使う品種ポイント
工場の移動機械・仮設機器への給電VCT三相200Vの動力はこちら
溶接機・ポンプ等の電源引き回しVCTサイズは負荷電流から選定
小型機器・治具・検査装置の電源VCTF屋内300V以下
機器内の電源引込・自作延長VCTF器具内配線・コード加工に
ケーブルベア・ロボット可動部可動専用ケーブル耐屈曲設計品を選ぶ(相談推奨)

一段深い理解:なぜ「動かす電線」は細い素線を束ねた構造でなければならないのか

冒頭のトラブルの原因を、もう一段掘り下げてみる。VVFのような固定配線用の電線は、太い1本の銅線(単線)を使うのが一般的だ。単線は同じ断面積のより線に比べて構造がシンプルで導体抵抗も安定しており、一度配線したら動かさない固定配線には向いている。

しかし、単線を繰り返し曲げ伸ばしすると、金属疲労という現象が起こる。金属は曲げられるたびに、外側は引き伸ばされ(引張ひずみ)、内側は押し縮められる(圧縮ひずみ)。このひずみの繰り返しが金属内部に微小な傷(き裂)を生じさせ、そのき裂が繰り返しの屈曲のたびに少しずつ進展し、最終的に断線に至る。金属疲労の一般則として、1回あたりのひずみが大きいほど、断線に至るまでの繰り返し回数(寿命)は短くなることが知られている。

VCT・VCTFのようなキャブタイヤ系の電線が、太い1本の銅線ではなく、髪の毛ほどの細い銅線(素線)を何十本も撚り合わせた「より線」構造を採用しているのは、この物理法則を踏まえた設計だ。同じ断面積であっても、素線1本あたりの直径が細いほど、同じ曲げ半径で生じるひずみの量は小さくなる。ひずみが小さければ、断線までに耐えられる屈曲の繰り返し回数は大幅に伸びる。つまり、より線の柔らかさは単なる「取り回しやすさ」のための工夫ではなく、日常的な曲げ伸ばしに対する疲労寿命を確保するための、材料力学に基づいた必然的な構造だということになる。冒頭の事例のように、固定配線用の単線構造の電線を可動部に流用すると、この疲労破壊のメカニズムがそのまま作用し、想定より早く断線してしまうリスクがある。

どう注文するか——失敗しない発注のしかた

注文は「品種+サイズ(sq)−芯数+長さ」で伝われば間違いがありません。

例: 「VCT 2sq-4C を 50m」
    「VCTF 0.75sq-3C を 100m巻で 1巻」
  • 荷姿: 標準は100m巻。切断販売にも対応しており、必要なm数で注文できます
  • 芯数: 2C〜4Cが汎用。接地込みの回路構成に合わせて選びます
  • 価格: 銅建値(銅の月次相場)に連動するため、見積りは発注直前に取り直すのが鉄則です
  • 可動部用途: ケーブルベア等に使う場合はその旨を添えてください。耐屈曲の専用品をご提案します

VCT・VCTFの購入・見積りについて

電設資材専門商社・松本電業株式会社(東京都台東区台東2-4-11)でお見積り・ご購入いただけます。品種・sq・芯数・数量をお伝えいただければ、法人・施工業者様向けに迅速に回答します。

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よくある質問

VCTとVCTFの違いは何ですか?

定格電圧と規格が違います。VCTはJIS C 3312の600Vビニルキャブタイヤケーブルで、工場の移動用機器の電源など比較的大きな負荷に使います。VCTFはJIS C 3306の300V以下用ビニルキャブタイヤ丸形コードで、屋内の小形機器の電源配線が対象です。200V三相の動力にはVCT、100V/200Vの小型機器にはVCTFが基本の使い分けです。

キャブタイヤケーブルはケーブルベア(可動部)に使えますか?

常時繰り返し屈曲するケーブルベアや産業用ロボットの可動部には、キャブタイヤより耐屈曲設計の可動用ケーブル(ロボットケーブル等)が適しています。VCT・VCTFは「移動用機器への給電」が本来の用途で、数百万回級の屈曲耐久が必要な箇所は専用品をご相談ください。

VCTFの芯数と色構成はどうなっていますか?

2〜4心が汎用で、多心品も流通しています。0.75sq・1.25sq・2sqあたりが定番サイズです。接地を含む機器配線では緑を接地に使うのが原則です。

VCT・VCTFはどこで購入できますか?

松本電業株式会社(東京都台東区台東2-4-11)の見積フォームからお見積り・ご購入いただけます。サイズ(sq)・芯数・数量(巻または切断m数)をお伝えいただければ、法人・施工業者様向けに迅速に見積り回答しています。

参考文献・出典

型番不明でもOK

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