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漁船・小型船舶の電装とケーブル交換|船舶安全法・JCI検査・船用電線の規格・見積に必要な情報

漁船の配線は、船内の給電路の「配線工事」にはケーブル、小形以外の移動式電気器具にはキャブタイヤケーブルを使うのが法令上の原則で(小型船舶安全規則第94条、小型漁船は小型漁船安全規則で準用)、 JCI(日本小型船舶検査機構)の細則は「ケーブル」をJIS C 3410(船用電線)またはJIS C 3401(CVV)に適合またはこれと同等以上、「キャブタイヤケーブル」をJIS C 3312(VCT)に適合またはこれと同等以上と定義しています。 総トン数20トン未満の漁船の検査はJCIが行い、定期検査は6年ごと、中間検査はその中間です。ただし専ら海岸から12海里以内で漁業のみに使う20トン未満の漁船は船舶安全法の施設・検査の対象外で、この層が登録漁船の大半を占めます。 日本船舶電装協会などの共同マニュアルは、検査の有無にかかわらず船舶用電線を使い、電線の耐用年数は概ね20年、熱変色・硬化した電線は危険、傷んだ電線は同一規格で新替えするよう求めています。 10トン未満の漁船の約85%が船齢20年以上で、電装認定事業者は全国166社です。 太陽ケーブルテックの耐油キャブタイヤ「SUNLIGHT」は、カタログに船舶・塩害・船用規格の記載がなく、JCI細則の「同等以上」に当たるかは検査機関の判断領域のため、本ページでは耐油が要る固定配線の候補として、メーカー・検査機関への確認を前提に載せています。

更新日: 編集: 電材サーチ編集部(編集・出典ポリシー) 出典照合: (AIによる照合補助) 個別設備の適合判定・技術者による承認を示すものではありません。 船舶安全法・小型船舶安全規則・小型漁船安全規則・船舶設備規程・漁船法(e-Gov)、日本小型船舶検査機構(JCI)の検査事務規程細則と統計、日本船舶電装協会の事業報告書・しおり・漁船火災防止マニュアル、運輸安全委員会の事故調査報告書、水産白書、JIS C 3410/3411のプレビュー、太陽ケーブルテックのカタログと照合。JIS C 3410本文の要求事項とケーブルの調達経路は一次資料を入手できず、本文で「書けない」と明記しています。

数字で見る漁船・小型船舶の電装

船舶電装の認定事業者
166 社 船舶電気艤装工事事業場証明書の交付事業者(2026年3月31日現在)。北海道・東北・九州で約49% [15]
10トン未満の漁船で船齢20年以上
約85% 30年以上は約65%(令和6年度の漁船保険加入船、令和7年度水産白書) [26]
電線の耐用年数(協会マニュアル)
概ね20年 小型漁船の船内電線は耐用年数を超過しているケースが多いと記載 [17]
検査を受けている漁船・小型兼用船
65,688 隻 JCI在籍船(令和7年度末)。12海里以内専業の小型漁船は検査対象外のため含まれない [13]
定期検査の周期(小型船舶)
6年ごと 中間検査はその中間の時期。受検の許容幅は中間6か月・定期3か月 [7]

用語の定義

船舶電装(電気艤装)
船舶の電気設備の設計・工事・試験・点検を行う業務。日本船舶電装協会は会員企業の技術向上と電装工事技術者の育成のため、船舶電装士などの資格検定と講習を行っている。 [15]
電装認定事業者
運輸局・運輸支局・海事事務所(管海官庁)から船舶電気艤装工事事業場証明書の交付を受けた事業者。定期検査等で電気艤装工事を適正に行い自主検査の結果をチェックシートで提出することで、一定範囲の電気設備について検査官・JCI検査員の立会いが省略される。 [18]
定期検査・中間検査(JCI)
総トン数20トン未満の小型船舶の検査はJCIが国の代行機関として実施する。旅客船以外の一般の小型船舶は6年ごとに定期検査、その中間の時期に中間検査を受ける。漁船登録船の手続も一般船舶と同様。 [7]
12海里以内専業の小型漁船(適用除外)
船舶安全法第32条と政令により、専ら本邦の海岸から12海里以内の海面または内水面で従業する総トン数20トン未満の漁船には、施設義務と検査が「当分ノ内」適用されない。12海里以遠に出ることがある船や漁業以外にも使う船は検査が必要。 [1]
小型兼用船
漁船登録を受けているが漁業以外の用途(遊漁・交通船・作業船など、漁業者以外の同乗を含む)にも使う小型船舶。JCIの検査対象で、令和7年度末の在籍船は62,975隻。 [9]
船用電線(JIS C 3410)
船内の電気設備に用いるケーブル・コード・絶縁電線を規定するJIS。昭和36年制定、令和7年11月改正(JIS C 3410:2025)。IEC 60092規格群を基に日本の実情に合わせて作成され、JIS C 3411(船及びオフショア用ケーブルの一般構造・試験方法)を引用する。 [20]
キャブタイヤケーブル(JCI細則の定義)
JCI検査事務規程細則は、小型船舶安全規則第94条の「キャブタイヤケーブル」をJIS C 3312「ビニル絶縁ビニルキャブタイヤケーブル(VCT)」に適合するもの又はこれと同等以上の効力を有するものと定義する。「ケーブル」はJIS C 3410「舶用電線」及びJIS C 3401「制御用ビニル絶縁ビニルシースケーブル(CVV)」に適合するもの又はこれと同等以上。 [10]
絶縁抵抗の標準値(JCI細則)
回転機は定格電圧×3÷(定格出力kW/kVA+1000)MΩ、電路は0.1MΩ、配電盤は1MΩ。小型船舶安全規則第89条は「検査機関の認める値以上」と定め、細則が標準値を示す。 [10]
漁船登録
漁船法に基づく都道府県の制度。漁船(総トン数1トン未満の無動力漁船を除く)は主たる根拠地を管轄する都道府県知事の漁船原簿に登録を受けないと漁船として使えない。JCIの小型船舶登録とは別系統で、同時登録はできない。 [6]

制度の全体像:検査を受ける漁船と、受けない漁船

船舶安全法は、船舶が省令に従って施設すべき事項に「電気設備」を挙げ、船舶所有者に定期検査・中間検査・臨時検査などの受検義務を課しています。 総トン数20トン以上の船舶は国(運輸局・運輸支局・海事事務所)が、20トン未満の小型船舶はJCIが国の代行機関として検査し、合格すると船舶検査証書・船舶検査手帳・船舶検査済票が交付されます。

20トン未満の漁船の電気設備は、小型漁船安全規則が小型船舶安全規則第10章(電気設備)を準用する形で規定され、JCIの検査事務規程は電気設備の検査をこれらの規則への適合確認によって行います。 定期検査は6年ごと、中間検査はその中間の時期で、受検の許容幅は中間検査で6か月、定期検査で3か月です。改造・修理・設備の新替えのときは臨時検査を随時受けますが、電線交換が臨時検査の例に挙がっているわけではありません。

一方、船舶安全法第32条と政令により、専ら海岸から12海里以内で漁業のみに従事する20トン未満の漁船には、施設義務と検査が当分の間適用されません。 令和5年の登録漁船194,540隻のうち20トン未満の動力漁船は190,102隻(動力漁船の99.4%)ですが、JCIの在籍船で検査を受けている漁船は2,713隻、小型兼用船は62,975隻(令和7年度末)にとどまります。 つまり漁船の電装の相談相手は、検査の有無で二つに分かれます。検査対象船では検査前の工事と立会省略の制度が調達の節目になり、検査対象外の船では協会マニュアルの自主点検と事故防止が起点になります。

JCIは、漁船登録を受けた小型船はすべて検査不要と誤解されている例が多いとして注意喚起し、12海里以遠に出ることがある船や、遊漁・交通船・作業船など漁業以外にも使う船(漁業者以外の同乗を含む)は「小型兼用船」として検査が必要と整理しています。 漁船火災防止マニュアルは、検査不要の小型漁船でも安全のため定期的に日本船舶電装協会会員会社による点検を受けるよう勧めています。

漁船登録は漁船法に基づく都道府県の制度で、登録票は5年ごとに検認を受け、動力漁船(長さ10m未満を除く)の建造・改造・転用には農林水産大臣または都道府県知事の許可が要ります。 JCIの小型船舶登録とは別系統で、同時登録はできません。

出典: [1] [14] [4] [7] [2] [27] [13] [9] [17] [6] [12]

担い手と商流:電装認定事業者、造船所、船主、漁協

船舶電装の担い手は、日本船舶電装協会の会員(正会員300社・賛助会員33社、2026年3月末)を中心とする電装業者です。協会は「船舶電装業を営む当協会会員事業者の大半の事業規模は大きくはない」とし、 退会の主な理由に撤退・廃業・後継者不在を挙げています。全国9地区に船舶電装協議会という任意団体があり、強電(船舶電装管理者・主任船舶電装士・船舶電装士)と弱電(航海用レーダー整備士・航海用無線設備整備士)の5資格の検定を行っています。

電装認定事業者は、管海官庁から船舶電気艤装工事事業場証明書を受けた事業者で、全国166社(小型30・ランク1が68・ランク2が46・ランク3が13・ランク4が9)。 ランクは対象船舶の大きさで決まり、小型は総トン数20トン未満、ランク1は漁船等200トン未満、ランク2は500トン未満、ランク3は5,000トン未満、ランク4はすべての船舶です。 認定事業者が船舶検査前30日以内に行った電気艤装工事は、試験・検査成績書で技術基準への適合が確かめられる範囲で検査員の立会いが省略されます。証明書の有効期間は5年です。

認定事業者が作る点検用チェックシートの項目には配線があり、「被覆の破損の有無、電線の取付状態の良否、使用電線の適否、絶縁の良否、接続方法の良否」を確認します。 「使用電線の適否」が項目になっていることは、電線の規格適合が検査上の論点であることを示しています。

造船所も担い手です。認定事業者名簿には函館どつく、墨田川造船、安田造船所、向島ドック、三和ドック、新来島どっくなどの造船所名が含まれ、造船所系はランク3・4に多く見られます。 小型ランクには機器メーカーのサービス拠点(古野電気の南九州サービスセンター、ヤマハマリンなど)も含まれます。

受検義務は船舶所有者(船主)にあり、登録・改造の手続は所属漁協や都道府県に相談するようJCIが案内しています。協会は2025年度に小型漁船の電気系統の点検・整備講習会を5か所で開き、日本漁船保険組合の5支所を訪問して会員事業場の活用を依頼しました。 漁船火災防止マニュアルは「修理や工事は、これらの技術基準を熟知した日本船舶電装協会会員会社に依頼しましょう」「船舶の技術基準を知らないで工事をすることは大変危険な行為です」と明記しています。

ケーブルの調達経路(電線メーカー→商社→電装業者→船主など)を書いた一次資料はありません。協会のハンドブック(2024年3月改訂)の目次には、工事用材料として船用電線、ノンハロゲン耐延焼性船用電線(船用軽量電線)、自動車用低圧電線(AV)、 ビニル絶縁ビニルキャブタイヤケーブル(VCT)、制御用ケーブル(CVV)の節があり、電装工事で扱う電線の種類の範囲が分かります。

出典: [15] [16] [18] [11] [8] [17] [19]

設備の電気系統:発電機・蓄電池・配電盤から集魚灯・漁労機器・航海計器へ

漁船の電気系統は、発電機と負荷(配電盤→各負荷群)を備えた総合システムで、陸上の受電方式とは異なります。船舶の三相交流は中性点を接地しない方式で、一相が船体に地絡しても停電させず航行能力を保ちます。 小型のイカ釣り漁船では主機(航行用エンジン)で発電機を回す方式が一般的で、中型船は補機と発電機を使います。

小型船舶安全規則は、供給電圧を250V以下とし(第86条)、電気機器の配置(操作点検が容易、他動的損傷や熱の障害のおそれがない、燃えやすいものに近接しない、通風良好)、水滴・油・ビルジ等の落下・はねかえり・浸水のおそれのある場所の電気機器の保護、 蓄電池(換気・防食・逆流防止)、配電盤(非吸湿性かつ難燃性、過電流自動遮断装置)、甲板・隔壁貫通部の保護、電路の接続箱・端子箱での接続と帯金等での固定、100V以上の移動灯・移動工具のキャブタイヤケーブル内導体による接地、航海灯ごとの独立電路などを定めています。

最も大きな負荷は集魚灯です。集魚灯用安定器の総電力量はイカ一本釣り漁船1隻で一般家庭数十軒分の契約電力量に相当し、現在のイカ釣りは大光量のメタルハライド漁灯が主流で、中型イカ釣り漁船では最大250kWに制限されています。 LED漁灯の実証船はメタルハライド250kW相当の明るさで総消費電力76.8kWでした。サンマ棒受網ではLED漁灯の利点に「灯具・配線の重量軽減」が挙がり、協会のハンドブックもLED集魚灯やインバータなど半導体製品の増加を改訂理由に挙げています。

漁労機器では、イカ釣りの漁灯・自動釣機・冷凍機が電力を使い、小型船でも魚群探知機・GPSプロッター・巻揚機の増設が行われます。協会マニュアルは「漁労機器の増設や無計画な容量変更は、電線を過熱し発火させます」と警告しており、 機器の増設や容量変更には電線の許容電流・遮断器・ヒューズの見直しが伴います。ウインチ・ラインホーラーの電気系統を述べた一次資料は今回確認できませんでした。

航海計器・通信機器では、無線設備、レーダー、測位装置、航跡プロッタ、魚群探知機、ソナー、潮流計などがハンドブックの設備区分に並びます。運輸安全委員会の報告では、レーダー等の航海計器の電気配線が約25年使われていた7.3トン漁船で、出漁前点検で被覆の硬化などの異状がなかったにもかかわらず無人係留中に操舵室から出火した例があります。

出典: [17] [28] [3] [25] [19] [24] [22]

環境要因:海水雰囲気・塩分・油・ビルジ・振動・熱・束ね

小型漁船の発電機は「風通しが悪く、海水雰囲気の高温多湿の状態の中で働いて」おり、海水雰囲気の繰り返しの湿潤は極間の絶縁を低下させ、漏れ電流で絶縁物が熱的に劣化します。 塩分を多く含んだ空気に常時触れる漁船では、長く使って劣化したり傷ついた被覆に海水がかかると塩水が浸透して漏電し、短絡火花による火災の原因になります。

水・油・ビルジは法令上も意識されています。小型船舶安全規則第88条第3項は、水滴・油・ビルジ等の落下・はねかえり・浸水のおそれのある場所の電気機器を保護するよう求め、JCI細則が自動車用低圧電線(AV)を例外的に認める条件も「水、油、ビルジ等のはねかえり又は浸水のおそれのない場所」に限られています。 協会マニュアルには水の侵入で短絡溶断した電線の写真が載っています。

振動と熱も劣化要因です。緩んだ端子が主機関などで加振されると断続電流が流れて発熱・溶断に至り、船体振動で金属バンドと電線外皮が擦れて漏電・発火した事例があります。 機関室は高温で、集魚灯用の電線を数十本まとめて束ねたことで内部が過熱し絶縁劣化・発火した例、集魚灯や安定器の取替時に配線を替えず劣化して発火した例が事故例として載っています。

老朽した結束バンドから電線が外れて海水管に当たり被覆が破れて短絡した火災(2人死亡)や、電線がネズミにかじられてGPSプロッターが映らなくなった例もあり、固定・保護の状態が配線の寿命を左右します。 協会ハンドブックの設計要領には、振動対策、海水飛まつ・降雨対策、油霧・水滴・ビルジ等の対策、金属の腐食対策の節があります(本文は未入手)。

出典: [17] [25] [3] [10] [24] [19]

点検と交換の周期:出港前・帰港時・月1回・漁種切替時、そして検査前30日

協会・大日本水産会・全漁連の共同マニュアルは、出港前点検(発電機の発電状況、開閉器、配電盤の検漏器=アースランプによる絶縁状態の確認、発熱機器の放熱、モーターの異音)、上陸前の点検(蓄電池の元スイッチを切る、プラグの抜き忘れ・たこ足配線の確認)、 月1回の整理・清掃と熱変色した端子・部品の新替え、漁種の切替え時の総点検(大電流機器の電線・端子、漁労機器電路の絶縁抵抗測定)を勧めています。休漁期に使わない機器の電線は電源から切り離し、漁労機器を変更するときは必ず電線の点検も行います。

絶縁抵抗の測定は直流500Vのメガーで行い、電気技術が要るため協会会員会社に依頼するよう勧めています。自主点検で不具合を見つけたら自分で判断せず、協会会員会社の船舶電装士(協会は「船舶電気ドクター」と呼ぶ)に依頼します。 JCI細則の絶縁抵抗の標準値は電路0.1MΩ、配電盤1MΩ、回転機は定格電圧×3÷(定格出力+1000)MΩです。

交換の判断は劣化の兆候によります。協会マニュアルは「熱変色や硬化した電線の使用は危険です」「傷ついた電線は同一規格の電線に新替しましょう」とし、電線の耐用年数は概ね20年、小型漁船の船内電線は耐用年数を超過しているケースが多いと述べています。 運輸安全委員会の報告が引く日本電線工業会の技術資料は、一般の電線・ケーブルの設計上の耐用年数を熱的・電気的ストレスの面から20〜30年を基準とし、使用状態での耐用年数は布設環境や使用状況で大きく変わるとしています。

検査は配線の安全を保証しません。船齢37年の7.3トン漁船は令和6年1月の定期検査で絶縁抵抗試験の不具合を聞いていなかったにもかかわらず、同年8月に航行中に機関室から出火して沈没し、新造時から機関室配線が交換されていない可能性が指摘されました。 1.5トンの漁船では機器を増設しながらバッテリーも既設機器の電線も交換せず、16年以上電気的な点検整備が行われないまま、ビルジポンプのモーター電線の過熱で火災になった可能性が報告されています。 平成17年の函館地方海難審判庁の分析では、電路短絡が原因の19隻のうち17隻が「いつも同じ状態で動いており、異常があったときに交換するので点検しなかった」というものでした。

制度上の節目は検査前30日です。認定事業者が定期的検査の前30日以内に行った工事は立会いが省略されるため、検査前に配線の更新・点検をまとめる動機があります(動機の存在は推定)。 機器や安定器の取替え、漁労機器の増設も配線を見直す機会で、増設時に既設電線を交換しなかったことが事故の背景になった例が報告されています。修繕の繁忙期を示す一次資料はありません。

出典: [17] [10] [22] [23] [24] [25] [11]

ケーブルの規格上の位置づけ:船用電線・キャブタイヤ・SUNLIGHTをどう扱うか

法令と検査基準が直接求めているのは次の点です。船内の給電路には、配線工事にはケーブル、小形の電気器具以外の移動式電気器具にはキャブタイヤケーブルを使う(小型船舶安全規則第94条、検査機関が差し支えないと認める場合を除く)。 JCI細則は「ケーブル」をJIS C 3410(舶用電線)及びJIS C 3401(CVV)に適合するもの又はこれと同等以上、「キャブタイヤケーブル」をJIS C 3312(VCT)に適合するもの又はこれと同等以上と定義し、 自動車用低圧電線(AV)は定格電圧35V以下で水・油・ビルジのはねかえりや浸水のおそれがない場所などに限って認めます。「同等以上」かどうかは検査機関が判断し、特定メーカー品の同等性を示す一覧はありません。

総トン数20トン以上の船に適用される船舶設備規程は、ケーブルを難燃性とし、がい装鉛被ケーブルは外径の8倍、その他のケーブルは外径の6倍以下の半径で曲げてはならないと定め、帯金は耐蝕性で幅13mm以上と規定しています。 小型船舶安全規則の電線条文には難燃性・耐油性を直接求める文言はなく、難燃・耐延焼はJIS C 3410への適合を通じて担保される構造です。

船用電線は、布設時の機械的損傷やガス・溶接による焼損を受けやすいため、特殊用途の電線を除き鋼線または銅合金線によるあじろがい装が施され、難燃性は「耐炎性」「耐延焼性」の2区分に規格化されています(協会の講習テキストによるJIS C 3410:1999時代の説明)。 JIS C 3411の適用範囲は固定電気システムで、船の移動・布設による振動や動きには適用できますが頻繁な屈曲は意図しておらず、頻繁・継続的な屈曲向けのケーブルは別の規格群(JIS C 3662・3663)にあり、その用途は海洋環境に直接さらされない用途に制限されています。

啓発資料はより強い言い方をします。漁船火災防止マニュアルは「船舶用電線として認定された電線を使用しましょう」「屋内配線や自動車用の電線は使用してはいけません」と明記し、傷ついた電線は同一規格の電線に新替えするよう求めています。 一方で、汎用キャブタイヤ(VCTなど)を漁船の固定配線に使ってよいかどうかを直接書いた記述や、船用電線と汎用品の性能の優劣を述べた官公庁・協会の記述は見つかっていません。

太陽ケーブルテックのSUNLIGHTシリーズについて、カタログ8点に船舶・漁船・海水・塩害・船用規格(JIS C 3410・NK)の記載はなく、6DX・6SX・3DX・3SXで挙げられている規格は導体のJIS C 3102、燃焼試験のJIS C 3005、電気用品安全法(PSE)、RoHSで、UL/CSAの認証表はありません。 6DX LF・6SX LFは電気用品安全法の形式記号がVCT、3DX LF・3SX LFはVCTFですが、JIS C 3312への適合やJCI細則の「同等以上」に当たるかはカタログに記載がなく、検査機関の判断領域です。 6DX・6SXは耐候性をうたう同じ項に「ケーブルの屋外使用を保証するものではありません」と注記しており、甲板上や曝露部には向きません。

そのため本ページでは、船内の固定配線(配線工事)は船用電線(JIS C 3410)またはCVVを原則とし、SUNLIGHTは耐油性が要る機関室内などの固定配線や移動式電気器具の候補として、ケーブルメーカーへの適合確認と、検査対象船では検査機関への「同等以上」の確認を前提に載せています。 検査対象外の小型漁船でも、協会マニュアルの「船舶用電線として認定された電線を使用」の原則を優先してください。

出典: [3] [10] [5] [31] [21] [17] [29] [30]

調達の流れ:規格の指定、既設電線の読み取り、見積が早くなる情報

電装業者・造船所が電材を手配するときの出発点は、その船が検査対象か(JCI検査船・小型兼用船・20トン以上の国検査船か、12海里以内専業の検査対象外船か)と、検査前の工事かどうかです。 検査対象船では、JCI細則の定義に沿って「ケーブル」はJIS C 3410またはCVV、「キャブタイヤケーブル」はJIS C 3312(VCT)の規格品で指定するのが確実で、同等以上の判断が必要な品種は検査機関への確認を先に済ませます。

既設電線の品種・サイズは表面印字と配線図から読み取り、読めない場合は外径・芯数・敷設区間(機関室・操舵室・甲板・マスト・貫通部)の長さと経路、負荷(集魚灯・安定器・漁労機器・航海計器)の容量と電圧、発電機・蓄電池の仕様、絶縁抵抗の測定値を整理すると候補を選定できます。 傷んだ電線は同一規格で新替えするのが原則なので、既設の規格を確認することが見積の近道です。

サイズは負荷の電流と許容電流から決め、機器の増設や容量変更があるときは遮断器・ヒューズの見直しも含めて拾います。集魚灯のLED化のように負荷が下がる更新では、配線の重量軽減も計画に含められます。 長さは実測に貫通部・端末処理分と余長を加え、固定用の帯金(耐蝕性、幅13mm以上)や接続箱・端子箱、防水コネクタ、端末処理材もまとめて拾うと往復が減ります。

ページ下部の「見積に必要な情報」にチェックリストをまとめました。品番が不明でも、現場写真と上記の情報があれば候補を選定できます。船舶への適合可否(塩害・油・振動・屋外)はケーブルメーカーに現場条件を伝えて確認し、検査上の可否は検査機関に確認します。電材商社が適合を保証するものではありません。

出典: [10] [17] [5] [28]

規格・法令の根拠

選び方(判断基準)

検査対象船かどうか(JCI・国の検査船か、12海里以内専業の検査対象外船か)

なぜ: 検査対象船では「ケーブル」「キャブタイヤケーブル」の定義(JIS規格品または同等以上)に沿った指定と検査機関の判断が要り、検査対象外船では協会マニュアルの原則(船舶用電線を使用、屋内配線用・自動車用は使わない)が基準になるため。

どう見る: 船舶検査証書の有無、従業区域(12海里以内か)、漁業以外の用途の有無(小型兼用船か)を船主・電装業者に確認する。[9]

配線工事(固定配線)か、移動式電気器具か

なぜ: 法令上、配線工事にはケーブル、小形以外の移動式電気器具にはキャブタイヤケーブルを使う。JIS C 3411も固定系と頻繁屈曲用を区別している。

どう見る: 固定配線は船用電線(JIS C 3410)またはCVVを原則に、投光器・移動灯・移動工具などの移動式機器にはVCT(JIS C 3312)系のキャブタイヤを候補にする。[3]

設置場所の環境(機関室の油・熱、曝露部の海水飛まつ、ビルジ、貫通部)

なぜ: 水・油・ビルジのはねかえりや浸水のおそれのある場所は機器の保護が求められ、海水雰囲気の湿潤と塩分が絶縁を低下させるため。

どう見る: 機関室・操舵室・甲板・マスト・貫通部ごとに区間を分け、曝露部には屋外・海水環境を明示した品種を、油のかかる機関室内には耐油性のある品種を候補にする。SUNLIGHTは屋外使用を保証しない注記があるため曝露部には用いない。[17]

負荷と許容電流(集魚灯・安定器・漁労機器の増設)

なぜ: 漁労機器の増設や無計画な容量変更は電線を過熱させ発火の原因になるとされ、集魚灯の電線を束ねて過熱した事故例がある。

どう見る: 負荷の電流と周囲温度から許容電流に余裕を持たせ、遮断器・ヒューズも同時に見直す。電線の束ねを避ける経路設計にする。[17]

曲げ半径と固定方法

なぜ: 船舶設備規程はケーブルを外径の6倍以下の半径で曲げてはならないとし、帯金は耐蝕性で幅13mm以上と定める。老朽した結束バンドから電線が外れて海水管に当たり短絡した火災がある。

どう見る: 経路の曲がりで外径×6以上の半径が取れるかを確認し、帯金・接続箱・端子箱での固定と貫通部の保護材を同時に拾う。[5]

絶縁抵抗の測定値と劣化の兆候

なぜ: 電路0.1MΩ・配電盤1MΩの標準値を下回る電路や、熱変色・硬化・傷のある電線は危険で、同一規格で新替えするのが原則。

どう見る: 直流500Vメガーで区間ごとに測定し、兆候のある区間は既設の規格を読み取って同一規格で見積を依頼する。[10]

「同等以上」の確認が要る品種か

なぜ: JCI細則の「同等以上の効力を有するもの」は検査機関が判断し、カタログに船用規格の記載がない品種は自動的には認められない。

どう見る: 船用規格品以外を使う場合は、検査対象船では検査機関に、どの船でもケーブルメーカーに現場条件を伝えて確認してから発注する。[10]

漁船の配線に関係する電線の規格上の位置づけ(一次資料とカタログ記載の範囲)

項目船用電線(JIS C 3410)キャブタイヤ VCT(JIS C 3312)SUNLIGHT 6DX LF / 6SX LFSUNLIGHT 3DX LF / 3SX LF
法令・細則上の位置づけ配線工事に使う「ケーブル」(CVVと並記)小形以外の移動式電気器具に使う「キャブタイヤケーブル」電気用品安全法の形式記号はVCT。JIS C 3312適合・同等以上の記載なし電気用品安全法の形式記号はVCTF。同左
規格・認証JIS C 3410:2025(IEC 60092規格群を基に作成)JIS C 3312電気用品安全法(PSE)・RoHS。UL/CSAの認証表なし電気用品安全法(PSE)・RoHS。UL/CSAの認証表なし
定格電圧規格による(本文未入手)600V600V・60℃300V・60℃
難燃性耐炎性・耐延焼性の2区分(1999年版の説明)記載なし(本ページの出典範囲)難燃★4、JIS C 3005の燃焼試験難燃★4、JIS C 3005の燃焼試験
構造の特徴あじろがい装(特殊用途を除く、1999年版の説明)ビニル絶縁ビニルシース耐油耐熱難燃柔軟性PVCシース、6SXはシールド付き同左、3SXはシールド付き
耐油規格による(本文未入手)記載なし(本ページの出典範囲)耐油★5、耐油性表(絶縁油・潤滑油A)耐油★5、耐油性表
屋外・海水の記載船内の電気設備が対象記載なし(本ページの出典範囲)屋外使用を保証しない旨の注記。海水・塩害の記載なし記載なし
屈曲JIS C 3411は固定系。頻繁な屈曲は意図しない移動式機器用許容屈曲半径は外径の6倍以上。繰り返し曲げは適用外同左

船用電線とVCTの列は法令・JCI細則・協会テキストの記載の範囲、SUNLIGHTの列はメーカーカタログの記載。性能の優劣を示すものではない。 [10] [20] [31] [29] [30] [32]

必要な電材一覧

部位・用途 品種 代表的な型番 メーカー 詳細 見積
集魚灯・LED漁灯の電源線(水回り機器) 水密電源ケーブル 水密電源ケーブル 理研電線 品種詳細 →
移動式電気器具(投光器・移動灯・移動工具)のキャブタイヤ ビニルキャブタイヤケーブル VCT(JIS C 3312) VCT 住友電気工業(住友電装) 品種詳細 →
移動式電気器具のキャブタイヤ(一般品種) VCTケーブル VCT 富士電線工業 品種詳細 →
機関室内など耐油が要る固定配線・移動式機器の候補(同等以上の判断は検査機関・適合はメーカー確認) 耐油柔軟性ビニルキャブタイヤケーブル 600V(候補) SUNLIGHT 6DX LF 2.0mm²×3C 太陽ケーブルテック 品種詳細 →
同上でノイズ対策が要る箇所(候補) 耐油柔軟性ビニルキャブタイヤケーブル 600V シールド付き(候補) SUNLIGHT 6SX LF 2.0mm²×3C 太陽ケーブルテック 品種詳細 →
制御・信号の固定配線で耐油が要る箇所(候補) 耐油柔軟性ビニルキャブタイヤコード 300V(候補) SUNLIGHT 3DX LF 0.75mm²×4C 太陽ケーブルテック 品種詳細 →
航海灯(LED船灯) LED船灯 LED船灯 コイト電工 品種詳細 →
塩害・浸水環境の電気接続(防水コネクタ) 防水コネクタ NWPCシリーズ 七星科学研究所 品種詳細 →
配電盤内の配線 KIV KIV 古河電工メタルケーブル(FEMC) 品種詳細 →
端末処理(圧着端子) 絶縁被覆付き圧着端子 TMEXシリーズ ニチフ 品種詳細 →
端末処理(熱収縮チューブ) スミチューブA(標準熱収縮チューブ) スミチューブA 12×0.3 スミチューブ(住友電工) 品種詳細 →
点検用の絶縁抵抗計(直流500Vメガー) 絶縁抵抗計 IR4057 日置電機 品種詳細 →

選定・手配の手順

  1. 船の区分と検査の有無を確認する

    総トン数、従業区域(12海里以内か)、漁業以外の用途の有無、船舶検査証書の有無、次回の定期・中間検査の時期を確認する。検査対象船なら検査前30日以内の工事で立会省略の対象になる。

  2. 既設電線の規格・サイズを読む

    表面印字と配線図から品種(船用電線・CVV・VCT・AV)とサイズ・芯数を区間ごとに拾う。傷んだ電線は同一規格で新替えするのが原則。読めない場合は外径・芯数・区間長と写真を用意する。

  3. 環境と負荷を整理する

    機関室・操舵室・甲板・マスト・貫通部の区間、油・ビルジ・海水飛まつの有無、負荷(集魚灯・安定器・漁労機器・航海計器)の容量と電圧、発電機・蓄電池の仕様、絶縁抵抗の測定値を書き出す。

  4. 規格上の可否を確認する

    船用規格品以外を使う場合は、検査対象船では検査機関に「同等以上」の可否を、どの船でもケーブルメーカーに現場条件での適合を確認してから品種を確定する。

  5. 一式で見積依頼する

    電線に加えて帯金・接続箱・端子箱・防水コネクタ・端末処理材・絶縁抵抗計をまとめ、型番・サイズ・長さ・数量・納期・納品先(造船所・電装業者の作業場・漁港)をそろえて見積フォームから依頼する。

注意点(現場で間違いやすい点)

船内の固定配線に、カタログに船用規格の記載がないケーブルを当然のように使わない

JCI細則は配線工事の「ケーブル」をJIS C 3410またはCVVに適合またはこれと同等以上と定義し、同等以上かどうかは検査機関が判断する。SUNLIGHTを含め船用規格の記載がない品種は、検査対象船では検査機関に、どの船でもメーカーに確認してから使う。[10]

「自動車用の電線は使わない」と、AV線の例外は別の話

協会マニュアルは屋内配線用・自動車用の電線を使わないよう明記する一方、JCI細則は35V以下で水・油・ビルジのはねかえりや浸水のおそれがない場所などに限ってAV線を認めている。啓発資料の一般則と検査基準の例外を混同しない。[17]

甲板上・曝露部にPVCキャブタイヤをそのまま使わない

SUNLIGHT 6DX・6SXは耐候性をうたう同じ項に「ケーブルの屋外使用を保証するものではありません」と注記しており、海水・塩害の記載もない。曝露部やマストの電路は、海水飛まつ・降雨対策を前提にした品種をメーカーに確認する。[29]

検査に合格していても配線の劣化は別問題

令和6年1月の定期検査で絶縁抵抗試験の不具合を聞いていなかった船齢37年の漁船が、同年8月に機関室から出火して沈没した例がある。検査の合否だけで配線の状態を判断せず、熱変色・硬化・傷の有無と絶縁抵抗を区間ごとに見る。[23]

機器を増設・更新したら配線も見直す

魚群探知機・GPSプロッター・巻揚機を増設しながらバッテリーも既設電線も交換しなかった船で火災になった可能性が報告され、集魚灯や安定器の取替時に配線を替えず劣化して発火した例もある。負荷が変わるときは許容電流・遮断器・ヒューズを同時に見直す。[24]

電線を束ねない、固定を老朽させない

集魚灯用の電線を数十本まとめて束ねたことで内部が過熱し発火した例、老朽した結束バンドから外れた電線が海水管に当たり短絡した火災がある。帯金(耐蝕性、幅13mm以上)と接続箱・端子箱での固定を見積に含める。[17]

配電盤の絶縁抵抗の数値は検査基準の値を使う

JCI細則は配電盤1MΩ・電路0.1MΩを標準値とし、協会マニュアルは配電盤2MΩ以上と記す。判定に使うなら検査基準(細則)の値を採り、マニュアルの値は自主点検の目安として扱う。[10]

無人にするときは元スイッチを切る

停泊中の電気火災の大きな原因は蓄電池の元スイッチの切り忘れで、運輸安全委員会も配電盤の主電源の元スイッチを投入したまま船を無人としないことが望ましいとしている。配線更新と合わせて運用も確認する。[22]

実務ポイント

見積に必要な情報

次の項目が揃っていると、見積の往復が減ります。分かる範囲で構いません。

  • 船の区分(総トン数、漁船登録の有無、従業区域が12海里以内か、漁業以外の用途の有無)と検査の有無・次回検査時期
  • 工事を行う会社(電装業者・造船所)と納品先(作業場・漁港・造船所)
  • 既設電線の表面印字(品種名・規格・サイズ・芯数)または外径・芯数の実測値と写真
  • 区間ごとの長さと経路(機関室・操舵室・甲板・マスト・貫通部)、曝露部の有無
  • 負荷(集魚灯・安定器・漁労機器・航海計器・冷凍機)の容量と電圧、増設・更新の予定
  • 発電機・蓄電池・配電盤の仕様(電圧、遮断器・ヒューズの定格)
  • 絶縁抵抗の測定値と、熱変色・硬化・傷など劣化の兆候がある区間
  • 固定材(帯金・接続箱・端子箱)、防水コネクタ、端末処理材、絶縁抵抗計もまとめて見積するか
  • 船用規格品以外を使う場合の、検査機関・メーカーへの確認状況
  • 希望納期(出漁・検査・上架の日程)と数量

漁船・小型船舶の電装の電材をまとめて見積依頼

型番と数量を入力するか、手書きメモや型番リストの写真・PDFを送れます。 日程を決めて相談したい場合は、打ち合わせの枠をその場で押さえられます。

FAX 03-3833-6434 平日 9:00〜17:00

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運輸局別の船舶電装認定事業者数(日本船舶電装協会 2025年度事業報告書、2026年3月31日現在)

運輸局等認定事業者うち小型・1・2正会員数
北海道313141
東北262438
関東211946
北陸信越101014
中部131326
近畿3211
神戸6615
中国171035
四国13921
九州241849
沖縄224
合計166144300

出典: [15]

あわせて読みたい解説

関連する用語

掲載情報はメーカーカタログの公開情報に基づいています。正確な仕様・価格はメーカーカタログをご確認ください。

よくある質問

漁船の配線に使う電線は、何の規格に適合している必要がありますか?

小型船舶安全規則第94条(小型漁船は準用)は、配線工事にはケーブル、小形以外の移動式電気器具にはキャブタイヤケーブルを使うと定め、JCI細則は「ケーブル」をJIS C 3410(船用電線)またはJIS C 3401(CVV)に適合またはこれと同等以上、 「キャブタイヤケーブル」をJIS C 3312(VCT)に適合またはこれと同等以上と定義しています。同等以上かどうかは検査機関が判断します。

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12海里以内でしか操業しない小さな漁船は検査がないと聞きました。電線は何でもよいのですか?

専ら12海里以内で漁業のみに使う20トン未満の漁船は船舶安全法の施設・検査の対象外ですが、日本船舶電装協会などの共同マニュアルは「船舶用電線として認定された電線を使用しましょう」「屋内配線や自動車用の電線は使用してはいけません」と明記しています。 検査がなくても船舶用電線を原則にし、定期的に協会会員会社の点検を受けることが勧められています。

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SUNLIGHTは漁船に使えますか?

カタログに船舶・漁船・海水・塩害・船用規格の記載はなく、JIS C 3312への適合やJCI細則の「同等以上」に当たるかも記載がありません。6DX・6SXは屋外使用を保証しない注記があるため甲板上には向きません。 本ページでは機関室内など耐油が要る固定配線や移動式機器の候補として、メーカーと検査機関への確認を前提に載せています。

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電線はどのくらいで交換すべきですか?

協会マニュアルは電線の耐用年数を概ね20年とし、小型漁船の船内電線は耐用年数を超過しているケースが多いと述べています。日本電線工業会の技術資料は設計上の耐用年数を20〜30年を基準としつつ、使用状態で大きく変わるとしています。 熱変色・硬化・傷があれば年数にかかわらず同一規格で新替えし、絶縁抵抗を区間ごとに測って判断します。

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定期検査に合格していれば配線は安全ですか?

違います。令和6年1月の定期検査で絶縁抵抗試験の不具合を聞いていなかった船齢37年の漁船が、同年8月に機関室から出火して沈没した例があり、新造時から機関室配線が交換されていない可能性が指摘されました。 検査の合否とは別に、熱変色・硬化・傷の有無と絶縁抵抗の測定で配線の状態を見る必要があります。

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電装認定事業者に頼むと検査が楽になるのは本当ですか?

認定事業者が定期的検査の前30日以内に行った電気艤装工事は、試験・検査成績書で技術基準への適合が確かめられる範囲で検査員の立会いが省略されます。 全国の認定事業者は166社で、ランク小型(20トン未満対象)が30社、ランク1(漁船等200トン未満)が68社、ランク2(500トン未満)が46社です。

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集魚灯をLEDに替えるとき、配線も替えた方がよいですか?

集魚灯や安定器の取替時に配線を替えず劣化して発火した例が協会マニュアルの事故例にあります。LED化で負荷が下がる場合でも、既設電線の劣化の兆候と絶縁抵抗を確認し、傷んだ区間は同一規格で新替えします。 サンマ棒受網ではLED漁灯の利点に灯具・配線の重量軽減が挙がっています。

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機関室の油やビルジがかかる場所の電線はどう選びますか?

小型船舶安全規則は水滴・油・ビルジ等のはねかえりや浸水のおそれのある場所の電気機器の保護を求め、JCI細則はそのような場所ではAV線を認めていません。 固定配線は船用電線を原則にし、耐油性が要る箇所で船用規格品以外を候補にする場合は、検査機関とメーカーに確認してから使います。

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既設の電線の規格が分かりません。見積はできますか?

できます。外径・芯数・区間ごとの長さと経路、負荷の容量と電圧、発電機・蓄電池の仕様、絶縁抵抗の測定値、現場写真があれば候補を選定します。 傷んだ電線は同一規格で新替えするのが原則なので、表面印字が読める区間があれば写真をお送りください。船舶への適合可否はメーカーと検査機関に確認します。

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全国の漁船はどのくらいあり、どの地域に電装業者が多いですか?

令和5年の登録漁船は194,540隻で、うち20トン未満の動力漁船が190,102隻です。検査を受けている漁船・小型兼用船は65,688隻(令和7年度末)。 電装認定事業者166社は北海道31・東北26・九州24で約49%を占め、検査を受けている漁船・兼用船は長崎・沖縄・鹿児島・広島・山口・北海道に多くあります。

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漁船の電気火災はどのくらい起きていますか?

国土交通省海事局調べ(協会マニュアル掲載、集計期間の記載なし)では、過去10年間の漁船火災82件のうち電気系統が50.0%でした。平成6〜15年の函館地方海難審判庁の分析では、発火源の6割以上が電気設備で、電路短絡が19隻、集魚灯用安定器が7隻でした。 近年の運輸安全委員会の報告でも、配線の劣化と点検不足が背景に挙げられています。

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工事は造船所や電装業者に任せています。電材だけ別に相談できますか?

電装業者・造船所から、品種(船用電線・CVV・VCTなど)・サイズ・芯数・長さ・数量・納期・納品先を指定してご相談ください。船用規格品以外を使う場合は、検査機関とメーカーへの確認状況もあわせてお知らせいただくと見積が早く出ます。

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参考文献・出典

  1. 船舶安全法(昭和8年法律第11号)第2条・第5条・第10条・第32条 (e-Gov法令検索、確認 2026-10-21)
  2. 船舶安全法第三十二条の漁船の範囲を定める政令(昭和49年政令第258号) (e-Gov法令検索、確認 2026-10-21)
  3. 小型船舶安全規則(昭和49年運輸省令第36号)第10章 電気設備 (e-Gov法令検索、確認 2026-10-21)
  4. 小型漁船安全規則(昭和49年農林省・運輸省令第1号)第43条 (e-Gov法令検索、確認 2026-10-21)
  5. 船舶設備規程(昭和9年逓信省令第6号)第6編 電気設備 (e-Gov法令検索、確認 2026-10-21)
  6. 漁船法(昭和25年法律第178号) (e-Gov法令検索、確認 2026-10-21)
  7. 検査の種類(定期検査・中間検査・臨時検査) (日本小型船舶検査機構(JCI)、確認 2026-10-21)
  8. 漁船の手続(漁船登録と検査) (日本小型船舶検査機構(JCI)、確認 2026-10-21)
  9. 検査の対象となる船舶(漁船登録船・小型兼用船) (日本小型船舶検査機構(JCI)、確認 2026-10-21)
  10. 検査事務規程細則 第1編(第10章 電気設備 89.0・94.0) (日本小型船舶検査機構(JCI)、発行 2026-08-06、確認 2026-10-21)
  11. 検査事務規程細則 第2編(認定事業場の工事に係る立会省略) (日本小型船舶検査機構(JCI)、確認 2026-10-21)
  12. 検査事務規程細則 第4編(小型漁船 第10章 43.0) (日本小型船舶検査機構(JCI)、確認 2026-10-21)
  13. 年度別統計 在籍船(令和7年度末) (日本小型船舶検査機構(JCI)、確認 2026-10-21)
  14. 船舶検査(検査の区分と周期の案内) (近畿運輸局 和歌山運輸支局、確認 2026-10-21)
  15. 2025(令和7)年度事業報告書(資料1-2 船舶電気艤装工事事業場証明書交付事業者一覧を含む) (一般社団法人日本船舶電装協会、発行 2026-06、確認 2026-10-21)
  16. 日本船舶電装協会のしおり(2022年3月版、事業場認定制度・ランク表) (一般社団法人日本船舶電装協会、確認 2026-10-21)
  17. 漁船の電気火災防止マニュアル(2022年9月改訂) (日本船舶電装協会・大日本水産会・全国漁業協同組合連合会、発行 2022-09、確認 2026-10-21)
  18. 事業場認定制度の概要 (一般社団法人日本船舶電装協会、確認 2026-10-21)
  19. 小型船舶等の電気装備工事ハンドブック(2024年3月改訂、序文・目次) (一般社団法人日本船舶電装協会、発行 2024-03、確認 2026-10-21)
  20. JIS C 3410:2025 船用電線(プレビュー・適用範囲・序文) (日本規格協会、確認 2026-10-21)
  21. JIS C 3411:2025 船及びオフショア用ケーブルの一般構造及び試験方法(プレビュー・適用範囲) (日本規格協会、確認 2026-10-21)
  22. 船舶事故調査報告書 漁船永宝丸 火災(令和6年) (運輸安全委員会、確認 2026-10-21)
  23. 船舶事故調査報告書 漁船久丸 火災(令和6年) (運輸安全委員会、確認 2026-10-21)
  24. 船舶事故調査報告書 漁船輝海丸 火災(令和3年) (運輸安全委員会、確認 2026-10-21)
  25. 漁船火災の分析(平成6〜15年の裁決33件、平成17年) (函館地方海難審判庁、確認 2026-10-21)
  26. 令和7年度水産白書 漁船の動向(船齢構成) (水産庁、発行 2026-06、確認 2026-10-21)
  27. 登録漁船数(水産庁「漁船統計表」令和5年の全国値を掲載) (岩手県(資料は水産庁漁船統計表)、確認 2026-10-21)
  28. LED漁灯導入ガイド(第2版) (水産研究・教育機構、確認 2026-10-21)
  29. SUNLIGHT 6DX LF/6SX LF カタログ(電気機器電源用耐油柔軟性ビニルキャブタイヤケーブル) (太陽ケーブルテック株式会社、確認 2026-10-21)
  30. SUNLIGHT 3DX LF/3SX LF カタログ(電子機器配線用耐油柔軟性ビニルキャブタイヤコード) (太陽ケーブルテック株式会社、確認 2026-10-21)
  31. 船舶電装 通信講習用テキスト(船用電線の構造と規格、JIS C 3410:1999時代の説明) (日本船舶電装協会(日本財団図書館)、確認 2026-10-21)
  32. JIS C 3312:2000 600Vビニル絶縁ビニルキャブタイヤケーブル(規格概要・履歴) (日本規格協会、発行 2000-12、確認 2026-10-22)

参考資料(本文で直接引用していない資料)

メーカー公式資料

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