許容電流とは
許容電流(きょようでんりゅう)とは、電線やケーブルに安全に通電させることができる電流の最大限界値のことです。この値を超えて電気を流し続けると、電線が自己発熱によって過熱し、絶縁被覆がドロドロに溶けて短絡や漏電火災事故を招きます。
許容電流を決定する主要因
電線の許容電流は、単に銅線の太さだけで決まるわけではありません。主に以下の条件によって変動します。
① 絶縁体の耐熱温度(被覆の材質)
電流が流れると、電線は自身の電気抵抗によって発熱します。許容電流は「絶縁被覆が熱で劣化・融解しない最大温度」を基準に逆算されます。
- ビニル絶縁(VVFやIV): 最高許容温度 60℃ ➔ 許容電流は比較的低め。
- 架橋ポリエチレン絶縁(CVやCVT): 最高許容温度 90℃ ➔ 熱に強いため、同じ太さでもVVFより大きな許容電流を流せます。
② 周囲の温度
電線が設置される周囲の温度(環境温度)が高くなると、熱が逃げにくくなるため、許容電流は低下します。一般に日本の電気設計では周囲温度30℃を基準とし、それを超える環境(夏の屋根裏など)では、許容電流値にさらに「補正係数」を掛け算して低減させます。
実務で不可欠な「電流減少係数」の計算
電線を電線管(PF管やVE管)やダクトに複数本まとめて収容する場合、電線同士の熱がこもり合って放熱性能が著しく低下します。 そのため、内線規程(JEAC 8001)に基づき、以下の「電流減少係数(低減係数)」を掛け合わせて許容電流を再計算(ダウンサイジング)しなければなりません。
| 同一管内の電線数 | 電流減少係数 |
|---|---|
| 3本以下 | 0.70 |
| 4本 | 0.63 |
| 5本〜6本 | 0.56 |
| 7本〜15本 | 0.49 |
計算例:
許容電流27AのIV 1.6mm電線を、3本まとめて同一のVE電線管に通す場合: この場合、管内配線したIV 1.6mmに流せる最大電流は、27Aではなく18.9A(7捨8入で19A)まで低下します。電技解釈149-1表は20A以下の配線用遮断器で保護する分岐回路に直径1.6mm以上を認めているので組合せ自体は適法ですが、余裕がほとんど残らないため、実務ではもう1サイズ太い電線(許容電流35AのIV 2.0mmや3.5sq等)へ変更する設計補正が必要になります。
この「表を引く → 係数を掛ける → 端数を処理する」という一連の手順は、第二種電気工事士の学科試験でもそのまま問われます。出題では小数点以下の扱いや、係数を掛ける対象を取り違えさせる選択肢が仕込まれることが多く、手順の順番が身についていないと落とします。試験で問われる形での整理は電線・コードの許容電流と電流減少係数にまとめてあります。
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