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電気基礎専門用語設計基準

許容電流とは?IV1.6mmの27Aが管に3本で18.9Aになる理由と電流減少係数の使い方

・ 読了目安: 9分 ・ 編集: 電材サーチ編集部(編集・出典ポリシー)

この記事の結論

許容電流は、電線に流し続けられる電流の上限で、絶縁被覆の最高許容温度(ビニル60℃、架橋ポリエチレン90℃)から逆算される。電気設備の技術基準の解釈146-1表の値(IV 1.6mmで27A)は周囲温度30℃の基準値で、絶縁体と周囲温度に応じた補正係数(146-3表)を掛け、電線管に収める場合はさらに146-4表の電流減少係数(3本以下0.70〜61本以上0.34)を掛ける。IV 1.6mmを3本管内に通すと27×0.70=18.9Aになる。

分岐回路の図面に「IV 1.6mm、PF管に3本、配線用遮断器20A」とあるとします。表を引くと、直径1.6mmの許容電流は27A。ところが電線管に3本収めると係数0.70を掛けて18.9Aになり、ブレーカーの20Aを下回ります。この配線は違反なのでしょうか。

答えは「電技解釈の上では認められている」です。ただ、そこに至る理由は2段あります。18.9Aという数字がどこから来るのか。そして、それでも20Aと組んでよいとされているのはなぜか。

許容電流とは:被覆が耐えられる温度から逆算した上限

許容電流(きょようでんりゅう)は、電線やケーブルに流し続けられる電流の上限です。電流を流すと、導体の抵抗で熱が出ます。熱が逃げる量と釣り合った温度が、絶縁被覆の最高許容温度(ビニルなら60℃、架橋ポリエチレンなら90℃)に達するところが上限になります。

つまり許容電流は、銅線が溶ける限界ではなく、被覆を傷めない限界です。この値を超えて流し続けると、被覆の劣化が進み、短絡や漏電の原因になります。

許容電流を決める3つの条件

条件内容補正の根拠
絶縁体の耐熱温度ビニル60℃、耐熱ビニル75℃、架橋ポリエチレン90℃など電技解釈146-3表の補正係数の式
周囲温度基準は30℃。高いほど熱が逃げにくい同じく146-3表の式(θに周囲温度を入れる)
敷設のしかた電線管に何本入れるか、ラックにどう並べるか電線管は146-4表の電流減少係数、気中多条布設は低減率表

電気設備の技術基準の解釈(電技解釈)第146条第2項は、600Vビニル絶縁電線などの許容電流を、146-1表(単線)・146-2表(より線)の値に、これらの係数を掛けて求めると定めています。対象は「絶縁電線」で、VVFやCVのようなケーブルの許容電流は、内線規程やメーカーの資料で確認します。

許容電流表の読み方:表の値は「30℃・1本・空気中」の基準値

電技解釈146-1表では、直径1.6mmの軟銅線が27A、2.0mmが35Aです。絶縁体ごとの表はなく、絶縁体の違いは146-3表の補正係数で表します。耐熱性を持たないビニルなら係数は√((60−θ)/30)、架橋ポリエチレンなら√((90−θ)/30)で、θは周囲温度です。

メーカーの資料は、別の形で同じことを示しています。クラモトの技術資料は、許容電流値をJCS 0168(日本電線工業会規格「33kV以下電力ケーブルの許容電流計算」)による「周囲温度30℃、空中一条布設時の計算値」と明記し、周囲温度による係数を耐熱区分ごとに6つの表(60℃〜105℃)に分けています。同じ40℃でも、60℃区分の係数は0.82、105℃区分は0.93で、区分をまたいで数字を流用することはできません。

表を都度めくって計算するのが面倒な場合は、許容電流計算ツールで電線サイズ・条数・敷設条件を入力すると判定できます。

電線管に入れる本数で掛ける「電流減少係数」

電線を電線管にまとめて収めると、互いの熱で温度が上がり、1本あたりに流せる電流が下がります。電技解釈146-4表は、合成樹脂管・金属管・金属可とう電線管・金属線ぴに絶縁電線を収める場合の係数を、本数ごとに次のように定めています。

同一管内の電線数電流減少係数
3本以下0.70
4本0.63
5本〜6本0.56
7本〜15本0.49
16本〜40本0.43
41本〜60本0.39
61本以上0.34

1本でも管に入れれば0.70から始まる点に注意してください。冒頭の例では、27A × 0.70 = 18.9A です。周囲温度が30℃を超える場所なら、146-3表の補正係数も掛けます。

本数が増えたときの下がり方が意外に緩やかなのにも、理由があります。電技解釈の解説によると、146-4表は、管の中の電線が増えればすべてが同時に最大で流れることは少なくなると考え、電線数11本以上では需要率(50〜75%)を見込んだ値にしています。

この「表を引く → 係数を掛ける → 端数を処理する」という手順は、第二種電気工事士の学科試験でもそのまま問われます。試験で問われる形での整理は電線・コードの許容電流と電流減少係数にまとめてあります。

18.9Aでも20Aのブレーカーと組めるのはなぜか

答えは、電技解釈の条文の中にあります。分岐回路の電線の太さは第149条第2項第一号ロが149-1表で定めていて、定格電流15Aを超え20A以下の配線用遮断器で保護する分岐回路なら、電線は直径1.6mmです。そして第146条第2項第二号ロには、電流減少係数を掛ける規定について「第149条第2項第一号ロ…に規定する場合においては、この限りでない」というただし書があります。

経済産業省の「電気設備の技術基準の解釈の解説」は、その理由をこう説明しています。149-1表の「同等以上の許容電流のあるもの」という言い方は、軟銅線とアルミ線などの導電率の違いを表しているにすぎないので、電流減少係数を乗じる必要はない。149-1表は「何Aまで流せるか」ではなく「どの太さの銅線を使うか」を決めている表、というわけです。

同じ表では、15Aを超え20A以下でも配線用遮断器以外(ヒューズなど)で保護する場合は直径2mmとされていて、遮断器の種類でも必要な太さが変わります。

ただ、計算上の余裕が小さいことは変わりません。エアコンのように長時間流れ続ける負荷や、管の中の本数が多い回路では、2.0mmにするかを設計者が負荷の実態から判断します。

一段深い理解:補正係数はなぜ「√」なのか

146-3表の式がルートの形をしているのには、物理的な理由があります。導体で出る熱は電流の2乗に比例します(発熱 ∝ 電流² × 抵抗)。一方、電線の温度上昇は、出る熱の量にほぼ比例します。すると「流せる電流」は「許される温度上昇」の平方根に比例することになり、式は√(許される温度上昇 ÷ 基準の温度上昇)の形になります。

基準の温度上昇は、ビニルの最高許容温度60℃から基準の周囲温度30℃を引いた30℃です。146-3表の分母が30なのはこのためです。ここでいう最高許容温度は、電線の表面ではなく、導体と絶縁体が接する部分の温度です(電技解釈の解説)。

では、なぜ周囲温度の基準が30℃なのか。解説は、日本では気温が30℃を超える期間が1年を通じて限られ、最大電流が流れる時刻と気温が最も高い時刻が重なるのも短時間なので、実用上問題にならないと考えたから、と説明しています。

絶縁体(最高許容温度)周囲温度30℃での補正係数直径1.6mm(表では27A)に当てはめた値
ビニル(60℃)√(30÷30)=1.0027A
耐熱ビニルなど(75℃)√(45÷30)≒1.22約33A
架橋ポリエチレン(90℃)√(60÷30)≒1.41約38A

右端の列は式から計算した値で、表に載っている値ではありません。それでも、耐熱温度が30℃上がるだけで、同じ太さで流せる電流が√2倍、約1.41倍になることが分かります。ふっ素樹脂の式にだけ0.9が掛かっているのは、絶縁体が薄く表面積が小さいぶん熱が逃げにくいからだと、解説は書いています。

周囲温度の係数も同じ式で説明できます。クラモトの技術資料の6つの表は、どれも√((最高許容温度−周囲温度)÷(最高許容温度−30))の計算値と一致します。60℃区分を40℃で計算すると√(20÷30)≒0.82、90℃区分なら√(50÷60)≒0.91です。もう一つ、電技解釈の式には「θが30℃以下の場合は30とする」という備考があります。寒い場所でも、表の値より多くは流せません。

周囲温度30℃35℃40℃45℃50℃55℃
60℃区分の係数(クラモト表1)1.000.910.820.710.580.41

夏場の屋根裏・小屋裏や、発熱する機器の多い盤の中のように、周囲温度が30℃を超える場所では、電線管の本数による係数とは別に、この温度の補正も合わせて掛けます。

ケーブルラックに並べる場合は、別の表を使う

管に通さず、ケーブルラックなどに複数条を並べる「気中多条布設」では、146-4表ではなく、配列と中心間隔で決まる低減率を使います。クラモトの技術資料(JCS 0168-1による)では、2条を中心間隔S=d(dは外径)で並べると0.85、S=2dで0.95、S=3dまで離すと1.00で、低減がなくなります。条数が増えるほど、間隔が狭いほど、低減率は厳しくなります。

電線管の配線とケーブルラックの配線では、開く表そのものが違います。先に敷設のしかたを決めてから、対応する表を開きます。海外では考え方の枠組みも違い、同じ資料は、欧州はIEC 60364-5-52、米国はNFPA 70(米国電気基準)を参照するよう案内しています。

現場で間違いやすい点

  • 既設の電線を数え忘れる: 新設の配線だけを見て「3本だから0.70」と判断し、同じ管に通っている既設の電線を数え忘れるケースです。既設分を含めた合計本数で係数を選び直します
  • 数えない線の扱いを自己判断する: 接地線や単相3線式の中性線を本数に含めるかどうかは、内線規程の表の注記で扱いが決まっています。「電流が流れない線だから除外していい」と自己判断せず、注記で確認してから本数を確定させます
  • ケーブルに146-4表を当てはめる: 電技解釈第146条第2項の対象は絶縁電線です。VVFやCVなどのケーブルは、内線規程やメーカーの許容電流表で確認します
  • 短時間の電流と混同する: 第146条第2項は「短時間の許容電流についてはこの限りでない」としています。始動電流や短絡時の電流は、別の考え方で確認します

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よくある質問

IV 1.6mmを管に3本入れると18.9Aになるのに、20Aのブレーカーで保護して大丈夫ですか?

電技解釈の上では認められている組合せです。第149条第2項第一号ロの149-1表は、定格電流15Aを超え20A以下の配線用遮断器で保護する分岐回路の電線を直径1.6mmとしており、第146条第2項第二号ロのただし書が、この場合には電流減少係数を乗じる規定によらないとしています。経済産業省の解説は、149-1表の許容電流は銅とアルミなどの導電率の違いを表すだけなので、減少係数を乗じる必要はないと説明しています。ただし計算上の余裕は小さいので、負荷の大きさや連続使用の有無を見て、太い電線にするかを設計者が判断します。

周囲温度が40℃になる場所では、許容電流はどれくらい下がりますか?

絶縁体の耐熱温度で変わります。クラモトの技術資料では、60℃のビニル絶縁は40℃で0.82、90℃の架橋ポリエチレン絶縁は0.91、105℃の区分は0.93です。どれも√((最高許容温度−周囲温度)/(最高許容温度−30))で計算でき、耐熱温度が高い電線ほど下がり方が小さくなります。

ケーブルラックに並べる場合も、電流減少係数の表を使いますか?

使いません。電技解釈146-4表は絶縁電線を電線管などに収める場合の係数です。ケーブルラックなどに管を使わず並べる気中多条布設では、本数だけでなく配列と中心間隔で決まる低減率を使います。クラモトの技術資料(JCS 0168-1による)では、2条を間隔S=d(dは外径)で並べると0.85、S=2dで0.95、S=3dで1.00です。

寒い場所なら、表より多く流せますか?

電技解釈の補正係数の式では、周囲温度が30℃以下の場合は30℃として計算するよう定めているので、表の値より大きくはなりません。周囲温度が30℃を超える場合にだけ、係数が1を下回ります。

メーカーのカタログの許容電流は、どういう条件の値ですか?

クラモトの技術資料は、自社の許容電流値をJCS 0168(日本電線工業会規格「33kV以下電力ケーブルの許容電流計算」)による周囲温度30℃・空中一条布設の計算値とし、保証値ではないと明記しています。JCS 0168は計算式と定数を定める第1部から、低圧ゴム・プラスチックケーブル、高圧架橋ポリエチレンケーブルなどの部に分かれ、2026年に改正されています。実際の周囲温度や布設条件に合わせて、係数や低減率を掛けて使います。

参考文献・出典

  • 電気設備の技術基準の解釈(経済産業省)第146条・第149条 (第146条第2項:600Vビニル絶縁電線・ポリエチレン絶縁電線・ふっ素樹脂絶縁電線・ゴム絶縁電線の許容電流(短時間の許容電流は除く)。146-1表(直径1.6mm以上2.0mm未満27A、2.0mm以上2.6mm未満35A)、146-3表(許容電流補正係数の式。耐熱性を有しないビニルは√((60−θ)/30)、耐熱ビニル等は√((75−θ)/30)、架橋ポリエチレンは√((90−θ)/30)、θは周囲温度で30℃以下は30とする)、第二号ロ(合成樹脂管・金属管・金属可とう電線管・金属線ぴに収める場合は146-4表の電流減少係数を乗じる。ただし第148条第1項第五号ただし書・第149条第2項第一号ロ・第二号イの場合はこの限りでない)、146-4表(3以下0.70/4本0.63/5〜6本0.56/7〜15本0.49/16〜40本0.43/41〜60本0.39/61本以上0.34)。第149条第2項第一号ロ・149-1表(定格電流15Aを超え20A以下の配線用遮断器で保護する分岐回路は直径1.6mm、配線用遮断器以外の15A超20A以下は直径2mm)) 確認日: 2026-10-13
  • 電気設備の技術基準の解釈の解説(経済産業省 産業保安・安全グループ 電力安全課、令和7年11月20日改正)第146条 (第146条の解説:許容電流は連続使用で絶縁被覆に著しい劣化をきたさない限界電流であること、周囲温度30℃と導体許容温度(ビニル60℃、耐熱ビニル等75℃、EPゴム80℃、架橋ポリエチレン90℃、けい素ゴム180℃、ふっ素樹脂200℃)、導体許容温度は導体と絶縁体の接する部分の温度であること、ふっ素樹脂に0.9を乗じる理由(絶縁体が薄く熱放散が劣る)、30℃を基準とした理由(気温が30℃を超える期間は限られ、最大電流の時刻と気温の最高時が重なるのは短時間)、146-4表は電線数11本以上で需要率(50〜75%)を考慮していること、第149条第2項第一号ロの許容電流は導電率の相違を表すにすぎないので電流減少係数を乗じる必要はないこと、電動機の始動電流は通常2〜6秒程度であること、ケーブル等の許容電流は内線規程等を参照すること) 確認日: 2026-10-13
  • 日本電線工業会「日本電線工業会規格:JCS」規格一覧 (JCS 0168「33kV以下電力ケーブルの許容電流計算」は第1部(計算式及び定数)〜第4部(22kV・33kV架橋ポリエチレンケーブル)の4部構成で、いずれも2026年制改正版。第2部が低圧ゴム・プラスチックケーブルの許容電流) 確認日: 2026-10-13
  • 許容電流、電流減少係数について(クラモト株式会社 技術資料13) (許容電流値はJCS 0168(日本電線工業会規格「33kV以下電力ケーブルの許容電流計算」)による周囲温度30℃・空中一条布設の計算値で保証値ではないこと、絶縁体の耐熱区分(60/70/75/80/90/105℃)ごとの周囲温度別の電流減少係数(表1〜表6。60℃は40℃で0.82、90℃は40℃で0.91、105℃は40℃で0.93)、気中多条布設の低減率(表7-1・表7-2、JCS 0168-1による)、欧州はIEC 60364-5-52、米国はNFPA 70・NFPA 79を参照する旨) 確認日: 2026-10-13
  • 内線規程(JEAC 8001)(電線の許容電流表・電流減少係数表)

確認・変更の記録

出典照合日: (AIによる照合補助)

URL付き出典4件すべて到達(内線規程はURL無しのため未確認)。経産省『電気設備の技術基準の解釈』PDFの本文をpdf.jsで抽出し、第146条第2項の対象電線(絶縁電線であり、ケーブルは含まない)、146-1表の27A・35A、146-3表の補正係数の式と備考(30℃以下は30とする)、146-4表の7区分、第二号ロのただし書(第149条第2項第一号ロ等の場合は電流減少係数を乗じない)、第149条第2項第一号ロの149-1表を確認。クラモト技術資料13で表1〜表6の係数とJCS 0168の位置付けを確認し、各表の値が√((最高許容温度−周囲温度)/(最高許容温度−30))の計算値と一致することを本サイトで検算した。HIV・架橋ポリエチレン絶縁電線の1.6mmでの値(約33A・約38A)は146-1表と146-3表の式から本サイトで計算したもので、表に記載された値ではない。経産省『電気設備の技術基準の解釈の解説』(令和7年11月20日改正)の第146条の解説をpdf.jsで抽出し、30℃基準の理由、導体許容温度の定義、ふっ素樹脂の0.9、146-4表の需要率、第149条第2項第一号ロで減少係数を乗じない理由を確認。日本電線工業会の規格一覧でJCS 0168の4部構成と2026年版を確認。内線規程の表の構成・端数処理は原本を確認していないため、本文では断定していない

個別設備の適合判定・技術者による承認を示すものではありません。

この内容は、第二種電気工事士ではこう問われる

許容電流は、試験では「電線の太さ・遮断器の容量・コンセントの定格」の3点セットで問われます。ケーブルの種類の見分け方と、分岐回路の保護のルールがその受け皿になります。

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