サーバを1台増設する。電源コードの先はIEC C14だ。ラックの電源タップに、C13の口は空いているか。空いていても、タップ全体の電流は足りるか。ラックの電源まわりは、まずこの2つを確かめるところから始まる。
アメリカン電機のコンセントバーを、サーバ側の電源コードの形、必要な電流、ラックへの取り付け方の3つから選べるように並べ直した。書くのは、2027年版カタログが何を想定して何を載せているかで、実際にどの設備で使われたかではない。
サーバの電源コードの形から、口を選ぶ
| サーバ側の電源コード | 受けるコンセントバーの口 | 品番の例 |
|---|---|---|
| IEC C14 | IEC C13 | 1U:HKC2910PT(8口)、HKC2911PT(8口・ロック機能付)、HA9060LC(6口・ロック機能付)。0U:HA9080LSなど。4口:HKC0903 |
| IEC C20 | IEC C19 | 1U:HKC2920PT(4口)。0U:HA9126LVSなど(C13とC19の混在)。4口:HKC0905 |
| NEMA L6-20 | NEMA L6-20 | HKC2800PT(4口)、HKC2800UL(4口・UL/CSA認証品) |
| NEMA L6-15 | NEMA L6-15 | HKC2650PT(8口) |
| 接地形2P 15A 125Vの平刃形 | 抜止形 | HKC2730PT(8口)、HKC0530(10口)、HA7060C(6口)。0U:HA7120Sなど |
カタログは、C13の口の説明にC14プラグを、C19の口に使うコードクランプの説明にC20プラグを挙げている。NEMA 5-20・6-15・6ALT-20のプラグを持つサーバ向けには、マルチユースOAタップ(KU系)も例として示されている。
IEC C13・C19の口の定格は、カタログの頁によって表記が揺れている。C13は15A 250Vの表記(HKC2910PT、HKC2911PT、HKC0903)と10A 250Vの表記(HA9060LC、0UのHA9系、赤・青品のHAC9060LS)があり、C19も20A(HKC2920PT、HKC0905)と、0Uの品の16A・15Aの表記がある。理由は書かれていない。採用する品番の定格を使い、サーバ側の電源仕様と合わせて確認する。
必要な電流と、電源の取り方から、入力を選ぶ
入力は、ラックの手前に来ている電源のプラグ形状(または端子台)で決まる。
| 入力 | 品番 | 使い方 |
|---|---|---|
| 30A 250V(NEMA L6-30) | HKC2650PT、HKC2800PT、HKC2910PT、HKC2920PT、HKC2911PT、HKC2800UL | 1Uの30A入力品。合計30Aまで(HKC2800ULはUL/CSA規格での使用時24A) |
| 30A 125V(NEMA L5-30) | HKC2730PT、HKC0540PT(2口)、HAC7126S-RD/BL(0U、赤・青) | 125Vで30A |
| 20A 250V(NEMA L6-20) | HAC9060LS-RD/BL(0U、赤・青) | 20A入力でC13 6口 |
| 15A 125V(NEMA 5-15) | HKC0530 | 15A入力の1U、10口 |
| 入力プラグなし(コードは別) | 20A入力のHA7060C(125V)・HA9060LC(250V)、0Uの各品(赤色品・青色品を除く。20A入力・30A入力)、HKC0903、HKC0905、HKU0540MCB | 端子台に電線をつなぐか、別売のコードセットで入力側を組む |
30Aの入力プラグで、15Aまたは20Aの機器の電源を取れる。口の上限は品番で違う。HKC2730PTとHKC2650PTは口2つで1グループ、グループごとに15Aまで、合計で30Aまで。HKC2800PTは口1つにつき20Aまで、合計で30Aまで。
ラックまで電源を引く側の器具も、カタログに載っている。
- 床下(アクセスフロア)から上げる構成。 30Aのシングルタップ(8mm²・14mm²の電線)とダブルタップ(5.5mm²・8mm²の電線)から、30A入力のコンセントバーへ供給する図がある。UPSやPDUの導入に伴う急な電源の設置に使える、と用途が書かれている。
- バスダクトから降ろす構成。 NEMA規格のパネル用コンセント、コードコネクタボディ、埋込コンセントと、NEMA規格のプラグの組み合わせで、ラックの中へ電源を供給する図がある。
- 入力側のコードセット。 NEMA L5-20・L6-20・L5-30・L6-30のプラグ付きコードが3mと5m(L6-15は5m)。0Uコンセントバー、IEC C13・C19の4口品などに使え、各コンセントバーの入力定格に合わせて選ぶ。
1Uの30A入力品は、7品番をどう使い分けるか
| 品番 | 入力 | 口 | 保護 |
|---|---|---|---|
| HKC2730PT | NEMA L5-30(125V) | 抜止形 15A × 8 | 15Aサーキットプロテクター(口2つで1グループ) |
| HKC2650PT | NEMA L6-30(250V) | NEMA L6-15 × 8 | 同上 |
| HKC2800PT | NEMA L6-30 | NEMA L6-20 × 4 | 20Aサーキットプロテクター |
| HKC2910PT | NEMA L6-30 | IEC C13 × 8 | 15Aサーキットプロテクター |
| HKC2920PT | NEMA L6-30 | IEC C19 × 4 | 20Aサーキットプロテクター |
| HKC2911PT | NEMA L6-30 | IEC C13 × 8(C14プラグのロック機能付) | 15Aサーキットプロテクター |
| HKC2800UL | NEMA L6-30(UL 24A/PSE 30A) | NEMA L6-20 × 4 | 20A安全ブレーカ |
コードは3m(VCT5.5mm²、HKC2800ULはSTO10AWG)。HKC2910PTとHKC2920PTにはホールプラグが付属する。口を選ぶ手順は、サーバの電源コードの形に合わせて口を決め、そのあと入力と口数で絞る。
0Uは、口数と入力で選ぶ
0Uはラックの垂直方向に取り付ける形。
| 区分 | 口 | 入力 | 品番の例 |
|---|---|---|---|
| 抜止形(15A 125V) | 12・18・24 | 20A(HA7120S〜)、30A(HA7126S〜) | HA7120S、HA7186S、HA7246MS★ |
| IEC C13 | 8〜28 | 20A(HA9080LS〜)、30A(HA9126LS〜) | HA9080LS、HA9246LS |
| IEC C13+C19 | C13とC19の混在 | 20A(HA9120LVS★〜)、30A(HA9126LVS〜) | HA9126LVS、HA9246LVS★ |
| 赤色品・青色品 | 抜止形12、C13 6 | 30A(L5-30)、20A(L6-20) | HAC7126S-RD/BL、HAC9060LS-RD/BL |
★が付く品番は受注生産品。型番の文字で見分けられる機能がある。
- 型番にMが入る品(HA7186MS・HA7246MS)は電流計測用アーチ付き。 給電を止めずに、クランプ式の電流センサーやクランプメーターで使用電流を測れる。片側をクランプするとグループごと、両側で合計を測る。
- 型番にDが入る品(HA9126LDS・HA9246LDS・HA9126LVDS・HA9246LVDS)は電流表示機能付き。 グループごと・2グループ合計の使用電流値とピーク電流値を、デジタルで表示する。
- 赤色品・青色品は系統の識別用。 付属のプラグも同色で、電源系統を見分けやすくしたと説明されている。
端子台の適用電線は、20A入力でVCT 3.5mm²・5.5mm²、30A入力でVCT 5.5mm²(圧着端子R3.5-5・R5.5-5)。赤色品・青色品を除く0U品には入力プラグ・コードの欄がなく、別売のコードセットで入力側を組む。赤色品・青色品は、コード3m・NEMA規格プラグ付き。
保護は、サーキットプロテクターか安全ブレーカか
サーキットプロテクターが付くのは、1Uの30A入力品(HKC2800ULを除く)、0Uの30A入力品、HKC0540PT。過電流を感じるとピンが突出して電流を遮断する。原因を除いたあと、15A出力品は10秒、20A出力品は30秒経ってからピンを押し戻す。0U品の20Aサーキットプロテクターは、透明カバーを開けてスイッチをONに戻す。
安全ブレーカが付くのは、UL/CSA認証品のHKC2800ULと、分岐用のHKU0540MCB。20A入力の0U品、コンパクト品(HA7060C・HA9060LC)、15A入力のHKC0530、4口品(HKC0903・HKC0905)には、保護装置の記載がない。
ラックに付ける部品は、何を別に手配するか
| 部品 | 品番 | 用途(カタログの説明) |
|---|---|---|
| 40mmブラケット | HKC-SPT40(白)、HKC-SPT40B(黒) | フレームラックの40mm内側に1Uコンセントバーを付け、プラグを挿した状態でも正面カバーを閉じられる |
| L型ブラケット | HA-SPTL | 0Uコンセントバーをラックのパネルマウントフレームに垂直取付 |
| 1U取付用ブラケット | HKC-SPT1U | HKU0540MCB・HKC0540PTを1Uに取り付ける |
| ラック取付用ねじセット | Z0214 | M6ケージナットとM6×16セムスねじ各4個 |
| コードクランプ | Z0210、Z0220 | IEC C14・C20プラグの不意な脱落を防ぐ(北川工業製) |
1Uの30A入力品には、本体の両側に5パターンで付けられるブラケットが付属する(UL/CSA認証品は10パターン)。
C14プラグの脱落は、どう防ぐのか
品番で違う。簡易ロック機能があるのは、HKC2911PT(口の近くの赤いロックボタンを押しながら抜き差しする)、HA9060LC、0UのIEC C13、赤・青品のHAC9060LS。別売のコードクランプは、HKC2910PT・HKC2911PT・HKC2920PTと、0UコンセントバーのIEC C19の口に使えると書かれている。HKC0903・HKC0905は、口の両端のタイマウントと市販の結束バンドでプラグを固定できる。
0U品のロック機能について、カタログは、以前のようにコードクランプで固定する手間やコストを減らせる、と説明している。
冗長用・系統の識別には、何が用意されているか
分岐用のHKU0540MCBは、入力が接地形2P 30A 125V(プラグ・コードなし)で、15Aの安全ブレーカ付きの抜止形2口。冗長用に2系統を設ける際のON/OFFスイッチとしても使える、と書かれている。HKC0540PTは、NEMA L5-30の入力プラグを持ち、15Aのサーキットプロテクター付き2口で、1系統15Aまで使う用途に向く。どちらも別売の1U取付用ブラケット(HKC-SPT1U)で、19インチラックの1Uに取り付けられる。2つの電源系統を色で見分けたいときは、赤色品・青色品がある。
一段深い理解
UL/CSA認証品の電流は、2通りの数字を持つ。 HKC2800ULの定格は、ULでは24A、電気用品安全法(PSE)では30A。UL/CSA規格で使うときは24Aとカタログが書いている。UL/CSA規格に加えてPSEにも適合しているので、国内外で製品仕様を統一できる、という位置づけ。
ラックの正面カバーを閉じられるかは、ブラケットでも変わる。 別売の40mmブラケットは、1Uコンセントバーをフレームラックの40mm内側に付け、プラグを挿した状態でも正面カバーを閉じられるようにする部品だと、カタログが説明している。
使う前に、カタログの注記で確認すること
- 機器用の製品である。 1Uの各品、0Uの製品一覧、4口品、分岐用、2系統用などの頁に、機器に組み込んで使用する製品で、機器以外の用途には使用しない旨の注記がある。UL/CSA品は、国内で使用する場合に同じ注記が付く。
- 負荷機器の定格電流は、配線器具の定格電流のおよそ80%以下が望ましい。 配線器具全般の注意。
- 結線は圧着端子式を推奨。 端子ねじ(M3.5〜M6)の締付トルクの参考値は、一般の配線器具の注意として載っている。
- 配線器具は消耗品。 できれば1年に1回の点検と端子ねじの増し締め、10年を経過した配線器具の交換が推奨され、VCTFなどのコードを使った製品は3〜5年が目安とされている。コンセントバーのコード(VCT、STO)がこの区分に当たるかは、カタログに書かれていない。
公式サイトの「富岳」の記載をどう扱うか
公式サイトのコンセントバーのページには、1UコンセントバーHKC2800PTが理化学研究所と富士通が共同で開発・運用するスーパーコンピュータ「富岳」で、ラックマウントPDUとして採用されているという記載がある。引掛形のロック構造、難燃性UL94 V-0のナイロン製であること、過電流を防ぐサーキットプロテクターを理由として挙げている。
カタログのHKC2800PTは、20Aサーキットプロテクター付きのNEMA L6-20×4口で、公式サイトの特長の記述と一致する。富岳での採用そのものは、アメリカン電機自身の記載で、理化学研究所や富士通の資料では2026年10月21日時点で裏付けを確認できていない。参考にするなら、メーカーの記載として扱うのが正確になる。
見積・発注の前に、手元で確認すること
次が分かると、品番が絞れる。
- サーバの電源コードの形(IEC C14・C20、NEMA L6-20など)と、台数。
- 100Vか200Vか、ラック1本あたりの必要電流(30A・20Aなど)。
- ラックの取り付け方(1Uか0Uか)と、必要な口数。
- ラックの手前にある電源の形(プラグ形状か端子台か)。コードセットが要るか。
- 保護装置の要否、UL/CSA認証の要否、系統を色で分けるか。
見積フォームには、分かっている型番と、上の情報を分かる範囲で添えて送る。
資料はどこで入手できるか
公式サイトのコンセントバーのページは、各製品ページから製品図面(PDF/CAD)と仕様書(PDF)をダウンロードできる、と説明している。ラック電源の上流にあたるUPSの方式や容量は、UPSの選び方を参照。
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