「ミラフレキを20m手配して」——発注メモにそう書かれて、新人の資材担当者がシステムの型番検索に「ミラフレキ」と打ち込んでも、何も出てこない。それもそのはずで、ミラフレキは未来工業が自社のPF管(可とう電線管)につけた商品名であり、JIS規格上の一般名称ではない。現場の職人はブランド名で呼び、発注書やカタログの区分は規格名で書かれている。この対応関係を知らないまま検索窓に商品名だけを打ち込むと、在庫は確かにあるのに「該当なし」と表示される——地味だが、電材の発注現場では意外と頻発するつまずきだ。
未来工業とは——電設資材を国内生産にこだわる専業メーカー
未来工業株式会社は1965年8月、岐阜県大垣市で山田昭男氏らが設立した電設資材の専業メーカーだ。PF管・CD管・VE管といった電線管から、スイッチボックス、電設ボックス、配管付属品、ケーブルラック、プールボックスまで、電気工事の配管・配線に必要な部材を一通り揃えている。特筆すべきは、これだけの品目を持ちながら、山形・茨城・大垣・垂井・熊本の国内5工場だけで生産している点だろうか。安価な部材ほど海外生産に切り替えても不思議ではないが、公式サイトの会社概要に海外生産拠点の記載は見当たらない。安定供給や品質管理を重視する現場では、この国内生産という体制自体が選定材料になりうる。
もう一つの特徴が「他社と同じモノはつくらない」という開発方針だ。特許約800件、意匠登録約1900件を保有するというから、単なるスローガンではなく実際の製品開発に反映されている数字と見てよい。スイッチボックスや配管付属品に、他社にはない独自形状が目立つのはこのためだ。
製品体系——7カテゴリの見取り図
| カテゴリ | 代表製品 | ざっくり言うと |
|---|---|---|
| 電線管(PF管・CD管) | ミラフレキ等 | 屈曲自在の樹脂製可とう電線管 |
| 硬質電線管(VE管) | VE-14〜VE-36等 | 硬質PVC製の直管 |
| スイッチボックス | CSW系・OF-CSW系 | スイッチ・コンセントの取付ボックス |
| 電設ボックス | アウトレットボックス等 | 電線管の接続・分岐点 |
| 配管付属品 | コネクタ・カップリング等 | 管同士・管とボックスの接続部材 |
| ケーブルラック | ミラメッシュ等 | 天井・床上のケーブル敷設・支持材 |
| プールボックス | PVKボックス | 電線管の接続・分岐点(屋外含む) |
選び方
PF管とCD管の使い分け——色ではなく難燃性で判断する
オレンジ色ならCD管、それ以外ならPF管——見た目の色で判断すればいい、と思われがちだが、規格上の本質はそこではない。PF管とCD管はどちらもJIS C 8411(合成樹脂製可とう電線管)という同じ規格が規定する製品で、分かれ目は難燃性(自己消火性)の有無だ。PF管は非延焼性区分に属し、露出配管・隠ぺい配管の両方に使える。CD管は延焼性区分のため、コンクリートへ直接埋め込む用途に限定される。未来工業のPF管は「ミラフレキ」の商品名で流通しており、発注時に規格名(PF管)と商品名のどちらで指示が来ているかを確認するだけで、行き違いはかなり減らせる。
スイッチボックスの選定基準——まず埋込か露出かの一点
スイッチボックス選びで最初に決まるのは、埋込か露出かというただ一点だ。
コンクリートや壁内に埋め込む場合はプラスチック製の埋込スイッチボックス(CSW系)が標準。硬質PVC製で耐衝撃・耐酸アルカリ性を持ち、JIS規格の配線器具(スイッチ・コンセント・パイロットランプ)の取付フレームに対応する。一方、露出配線の途中に設置する、あるいはより高い強度が求められる箇所では鋼板製(OF-CSW系)を選ぶ。既設設備の更新であれば、まず現状のボックスが埋込型か露出型かを確認してから型番を当たるのが遠回りしない手順だ。
プールボックス・ケーブルラックの選定基準
プールボックス(PVKボックス)は、電線管の接続・分岐点に置く中継ボックスだ。配管の接続本数や分岐点数が多く電線の余長を収める必要がある箇所では深型、単純な接続点程度なら浅型で足りる。屋外設置なら耐候性・耐衝撃性(HI仕様)かどうかも確認したい。
ケーブルラックの主力「ミラメッシュ」は、はしご形ではなく鋼線を編んだメッシュ形状が特徴だ。ラック側面からケーブルを出し入れできるため、施工後に配線が増える可能性がある現場と相性がいい。太物・重量物の幹線敷設には、同社がラインアップするはしご形「ミラックラダー」が選ばれることもある。
比較——材質・可とう性・施工環境で整理する
| 項目 | PF管 | CD管 | VE管 | スイッチボックス |
|---|---|---|---|---|
| 材質 | 樹脂(自己消火性あり) | 樹脂(自己消火性なし) | 硬質PVC | PVC製/鋼板製 |
| 可とう性 | あり(手曲げ可) | あり(手曲げ可) | ほぼなし(直管) | — |
| 主な用途 | 露出・隠ぺい配管全般 | コンクリート埋設専用 | 屋外露出・地中埋設 | 配線器具の埋込・露出取付 |
| 施工環境の目安 | 屋内配線ルート全般 | コンクリート打込み時のみ | 屋外・直線ルート | 壁内(埋込)/露出配線(鋼板) |
注意点
未来工業は「他社と同じモノはつくらない」を掲げるだけあって、スイッチボックスや配管付属品に独自形状の製品が少なくない。標準的な形状だと思って発注すると、他社製の枠やカバーと寸法・取付方式が合わないことがある。既設設備を更新する場合は、周辺部材まで含めて未来工業製で揃えるか、あるいは互換性を個別に確認するかを事前に判断しておいた方が手戻りは少ない。
もう一点、冒頭でも触れた「ブランド名と規格名のズレ」も実務上のつまずきどころだ。PF管はミラフレキ、プールボックスはPVKボックス、ケーブルラックはミラメッシュ——現場ではブランド名が飛び交うが、発注書やシステムには規格名(PF管、プールボックス等)で記録されていることが多い。どちらの呼び方でも通じるよう、型番か商品名かの両方を控えておくと確実だ。
まとめ
未来工業の製品体系は、電線管(PF管・CD管・VE管)、ボックス類(スイッチボックス・プールボックス)、ケーブルラック、配管付属品という電設工事の配管・配線一式をカバーしている。選定の分かれ目は、電線管なら難燃性と可とう性、ボックス類なら埋込か露出かという単純な軸に集約できる。あとは規格名と商品名の対応さえ押さえておけば、発注時の行き違いはほぼ防げる。
よくある質問
未来工業とはどんな会社ですか?
未来工業株式会社は1965年8月、岐阜県大垣市で山田昭男氏らが設立した電設資材専業メーカーです(公式サイト「沿革」より)。PF管・VE管・スイッチボックス・ケーブルラック・プールボックスなど電設管材を幅広く手がけ、山形・茨城・大垣・垂井・熊本の国内5工場で生産しています(公式サイト「会社概要」より)。「他社と同じモノはつくらない」を開発方針に掲げ、特許約800件・意匠登録約1900件を保有する点も特徴です(公式サイト「採用情報」より)。
未来工業のPF管(ミラフレキ)とCD管はどちらを選べばいいですか?
現場の露出配管・隠ぺい配管にはPF管を選びます。PF管とCD管はどちらもJIS C 8411(合成樹脂製可とう電線管)が規定する製品ですが、PF管は自己消火性を持つ非延焼性区分、CD管は延焼性区分で、コンクリートへの直接埋設専用です。未来工業のPF管は「ミラフレキ」という商品名で流通しており、規格名と商品名のどちらで書かれた発注か確認すると行き違いを防げます。
スイッチボックスは埋込用と露出用のどちらを選べばいいですか?
施工方法で決まります。壁内に埋め込む場合はプラスチック製の埋込スイッチボックス(CSW系)、露出配管の途中に設置する場合や高い強度・耐火性が必要な場合は鋼板製(OF-CSW系)を選びます。既設の更新であれば、まず現状が埋込か露出かを確認してから型番を選定してください。
プールボックスの浅型・深型はどう選べばいいですか?
収容する配管の本数・分岐点数で選びます。配管の接続本数や分岐箇所が多い場合は電線の余長を収める深型、露出配線の単純な接続点程度であれば浅型で足ります。屋外設置の場合は耐候性・耐衝撃性(HI仕様)の型番かどうかもあわせて確認してください。
未来工業製品の見積・購入はどこに依頼すればいいですか?
電設資材専門商社の松本電業株式会社(東京都台東区台東2-4-11)の見積フォームからご依頼いただけます。PF管・VE管のサイズ違い、スイッチボックスの埋込/露出、プールボックスの浅型/深型など、型番選定に迷う場合のご相談も承ります。
- Web: 見積フォーム(24時間受付)
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