分電盤の脇や制御盤のドアの内側に、小さなユニットが並んでいることがある。ラベルには「EMU4-BM1-MB」「EMU4-A2」。三菱電機のエネルギー計測ユニット、通称EcoMonitorシリーズだ。電力量計と違って一目で用途がわかる形をしていないぶん、型番だけが手がかりになる。
この型番、法則を追っていくと2つの独立した軸が1つの文字列に折り畳まれていることに気づく。さらに、現行品の型番をよく見ると、数年前のカタログには載っていない1文字が増えている。三菱電機の公式カタログ・新製品ニュース・技術通知を突き合わせて、その中身を分解する。
型番の骨格——「役割の1〜2文字」+「桁数の数字」+「通信方式の”MB”」
三菱電機FAサイトのラインアップページによれば、EMU4シリーズの基本ユニットは4形名ある。EMU4-BM1-MB(電力計測経済品)、EMU4-HM1-MB(電力計測高機能品)、EMU4-LG1-MB(絶縁監視品)、そしてEMU4-CNT-MB(制御ユニット)だ。増設ユニットも4形名で、EMU4-A2(同電圧系統増設品)、EMU4-VA2(異電圧系統増設品)、EMU4-AX4(アナログ入力ユニット)、EMU4-PX4(パルス入力ユニット)となっている。
並べてみると、型番の構造が見えてくる。「EMU4」はシリーズ共通の頭文字(Energy Measuring Unit、第4世代)。続く1〜2文字が製品の役割を表し、末尾の数字が世代や回路数を、そして「-MB」がMODBUS RTU通信を標準搭載していることを示す。基本ユニット4形名はすべて末尾に「-MB」が付くが、増設ユニット4形名にはいずれも付かない。増設ユニットは単体で通信するのではなく、左に接続した基本ユニットの通信機能を間借りする構成だからだ。
B/HとD/M——2つの軸が2文字に折り畳まれている
ここまでは、型番から機能名への一対一対応に見える。ところが、EcoMonitorLightの型番を並べると、少し違う景色になる。EcoMonitorLightの基本ユニットは、三菱電機FAサイトによればEMU4-BD1-MB(経済品)とEMU4-HD1-MB(高機能品)だ注1。EcoMonitorPlusの経済品・高機能品はEMU4-BM1-MB、EMU4-HM1-MBである。
4つを並べる。BD1-MB、HD1-MB、BM1-MB、HM1-MB。1文字目はB(経済品)かH(高機能品)、2文字目はD(Light)かM(Plus)。2×2の組み合わせがそのまま4形名になっている。つまりこの1〜2文字は、単一の「製品名」を指すコードではなく、「価格帯(経済品/高機能品)」と「シリーズ(Light/Plus)」という2つの独立した軸を、2文字の組み合わせとして同時に運んでいる。EMU4-LG1-MB(絶縁監視品)だけはLight側に対応品がなく、Plus系列にしか存在しない。この製品だけ2軸のマス目からはみ出している。
増設ユニットの側にも似た構造がある。EMU4-A2とEMU4-VA2は、末尾の「2」(2回路計測)は共通で、頭のVの有無だけが「左のユニットと同じ電圧系統か、異なる電圧系統か」を分けている。EMU4-AX4とEMU4-PX4も同様に、末尾の「X4」(4chの入力ユニット)は共通で、頭のA(アナログ)かP(パルス)かだけが入力の種類を分ける。この2組では、末尾が「共通の性質」を、頭が「分岐する性質」を運ぶという役割分担が、A2/VA2とAX4/PX4のどちらでも一貫している。
唯一この規則から外れているのがEMU4-CNT-MBだ。他の形名がすべて1〜2文字+数字という短い組み合わせなのに対し、CNTだけは「Control」の略とおぼしき3文字がそのまま入っている。制御ユニットという、電力計測ではなく設備の自動制御を担う異質な製品だからこそ、記号ではなく単語で名付けられたのだろう。
驚きのある発見——今買えるEcoMonitorLightの型番には、旧カタログにない「A」が挟まっている
ここまでの規則を頭に入れて、三菱電機FAサイトの現行仕様ページを開くと、見慣れない形名に出会う。EMU4-BD1A-MB。EMU4-HD1A-MB。BD1-MB、HD1-MBのはずが、「1」と「-MB」の間に「A」が1文字増えている。
見間違いではないかと、2018年発行のEcoMonitorLight総合カタログ(資料番号Y0736J1806)を確認すると、そこにはたしかにEMU4-BD1-MB、EMU4-HD1-MBと、Aのない形名が載っている。同じ製品カテゴリの型番が、資料によって1文字違う。
答えは三菱電機が令和5年1月(2023年1月)に発行した新製品ニュース(No.A137)にあった。「EMU4-BD1A-MB(経済品)」「EMU4-HD1A-MB(高機能品)」の見出しの下に、こう書かれている。「バックライト機能の追加による視認性の向上や設定のさらなる簡素化、設備の監視機能などを追加し、リニューアルしました」。そして続けてこう注記されている。「製品の外形寸法、取付寸法には変更ありません」。
つまり2023年、EcoMonitorLightの基本ユニットは中身と操作性を刷新しながら、外形は変えずにモデルチェンジした。世代を示す頭の「4」は変えず、価格帯とシリーズを示す「B」「D」の2文字も変えず、その間に「A」を1文字だけ挿入する形で、この改良が型番に刻まれている。EMU4という大枠の世代交代(たとえばEMU5への切り替え)ではなく、型番の内側でひっそり行われた改訂だったわけだ。
なぜ「A」なのか
なぜ新しい文字として「A」が選ばれたのか、それが改訂何回目を示す通し記号なのか、それとも別の意味を持つ記号なのか——今回参照した資料には明記されておらず、正直なところわからない。ただ確実に言えるのは、三菱電機の型番における1文字の増減は、装置の世代交代を告げる合図として機能しているらしいということだ。BD1-MBとBD1A-MBは、見た目にはほぼ同じ製品として並んでいても、発行年の違うカタログの間でしか気づけない差分を抱えている。
現場での実務的な注意点
型番の運用面では、2つ注意したい点がある。
一つ目は、基本ユニットと増設ユニットの組合せ条件だ。EcoMonitorPlusの仕様一覧の脚注には、こうある。「EMU4-A2で電力計測するためには、計測箇所の電圧値を左に接続するユニットから取得する必要があるため、EMU4-A2を使用する場合、EMU4-CNT-MBとEMU4-A2の間に、EMU4-VA2を取り付ける構成としてください」。制御ユニット(EMU4-CNT-MB)は電圧を計測しない製品のため、その右にEMU4-A2を直結すると電圧値の取得先がなくなる。同電圧増設のつもりでA2を選んでも、左の機種次第ではVA2を挟む必要が生じる。増設計画を組む段階で、左隣のユニットが何を計測しているかを必ず確認したい。
二つ目は、型番だけでは生産時期の違いを見分けられないという点だ。三菱電機が2026年5月に発行した技術通知(整理番号 山-1675)によれば、UL規格改定への対応のため、EMU4-BD1A-MB・EMU4-HM1-MB・EMU4-A2をはじめとする対象機種は2026年8月生産分から仕様が変更され、2026年8月以前生産分と以降生産分の組合せはUL規格の適合外になる。型番自体は変わらないため、見分けるには製品に貼付された製造番号を読むしかない。同資料は製造番号の例として「8 26 X XXXX」を挙げ、これが2026年8月製を表すとしている。UL認証が必要な設備でEMU4シリーズを増設・更新する場合、型番の一致だけで安心せず、既設機と新規手配分の製造年月を突き合わせる作業が欠かせない。
EMU4シリーズ電力監視機器の型番確認・見積もりについて
電設資材専門商社・松本電業株式会社(東京都台東区台東2-4-11)では、盤に残ったEMU4シリーズの型番から現行品との対応関係を確認したうえでの手配に対応している。旧型品(Aなし)と現行品(Aあり)のどちらが必要かを含め、型番が判読しにくい場合は現物の写真を添えてもらえると照合が早い。
あわせて読みたい
- 大崎電気の計器用変成器(変流器・変圧器)の型番はどう読むのか|VCTとMOFの違い、K種とE種の精度階級が語るもの
- デマンド監視と電力ピークカットの基本|契約電力を超える前に何をすべきか
- スマートメーターは計量法上どこまで信用できるのか|検定有効期間と電力量計としての法的位置づけ
- 変流器(CT)の精度階級はどう選ぶのか|0.5級と1級を分ける実務上の境界線
注1: EMU4-BD1-MB/EMU4-HD1-MBは2018年発行のEcoMonitorLight総合カタログ(資料番号Y0736J1806)に記載された形名であり、現行の正式な販売形名はEMU4-BD1A-MB/EMU4-HD1A-MB(2023年リニューアル品)である。詳細は本文「驚きのある発見」の節を参照。
関連する三菱電機・EMU4・EcoMonitor・型番・見方・EMU4-BM1-MB・EMU4-A2の品種・型番をお探しですか?
電材サーチでは、メーカー横断で目的の型番を素早く見つけ、そのまま見積もりを依頼できます。