制御盤のCPUユニットに「CJ2M-CPU35」というラベルが貼ってある。同じCJ2Mでも「EtherNet/IP機能付き」という区分があるらしいと聞いたことがあるので、型番のどこかに「EIP」の文字が付いているはずだと当たりをつけて型番を眺め直す。ところが、CPU35のどこを探しても「EIP」という文字は出てこない。あるのは「35」という数字だけだ。
オムロンの制御機器サイトで形式一覧表を開くと、種明かしはすぐに見つかった。EtherNet/IPの有無を分けているのは末尾の記号ではなく、型番の中央にある一桁——CPUの後に続く2桁の数字のうち、十の位が3か1かだった。
型番の骨格——十の位が機能を、一の位が容量を運ぶ
オムロンの形式一覧表には、CJ2M CPUユニットが2つの表に分かれて掲載されている。「CJ2M(EtherNet/IP機能付き)CPUユニット」の表にはCPU31・CPU32・CPU33・CPU34・CPU35の5機種、「CJ2M CPUユニット」の表にはCPU11・CPU12・CPU13・CPU14・CPU15の5機種が並ぶ。
この2つの表を横に並べると、規則が見えてくる。十の位が「3」のグループは内蔵EtherNet/IPポートを1ポート持ち、オプションボードスロットも1スロット備える。十の位が「1」のグループは、この2つの欄がどちらも「―」だ。一方、一の位の1〜5はプログラム容量のランクを表していて、1が最小の5Kステップ、2が10K、3が20K、4が30K、5が最大の60Kステップという対応になっている。つまりCPU31とCPU11は、同じ「1」というランク(5Kステップ)を共有しながら、十の位だけが違う。CPU35とCPU15も同じ関係で、どちらも60Kステップだが、EtherNet/IPの有無だけが型番を分けている。
CP1Eシリーズのように「E」「N」「NA」というアルファベットで型式を区分する設計とは違い、CJ2Mは数字の桁の位置そのものに意味を持たせている。型番を声に出して読むときは自然に「さんじゅうご」とひとまとまりで読んでしまうが、実際には「3」と「5」という独立した2つの情報が、たまたま隣り合って並んでいるにすぎない。
実機への当てはめ——価格差は2倍、データメモリは非対称に増える
10機種の仕様と、2026年8月31日時点で各製品ページから確認した標準価格(税別)を一覧にする。
| 型式 | プログラム容量 | データメモリ | 入出力点数 | 内蔵EtherNet/IP | 内蔵シリアルポート | 消費電流(5V系) | 標準価格(税別) | 販売状況 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| CJ2M-CPU11 | 5Kステップ | 64Kワード | 2560点/40台 | なし | RS-232C | 0.5A | ¥51,000 | 販売中 |
| CJ2M-CPU12 | 10Kステップ | 64Kワード | 2560点/40台 | なし | RS-232C | 0.5A | ¥89,000 | 販売中 |
| CJ2M-CPU13 | 20Kステップ | 64Kワード | 2560点/40台 | なし | RS-232C | 0.5A | ¥108,000 | 販売中 |
| CJ2M-CPU14 | 30Kステップ | 160Kワード | 2560点/40台 | なし | RS-232C | 0.5A | ¥166,000 | 販売中 |
| CJ2M-CPU15 | 60Kステップ | 160Kワード | 2560点/40台 | なし | RS-232C | 0.5A | ¥230,000 | 販売中 |
| CJ2M-CPU31 | 5Kステップ | 64Kワード | 2560点/40台 | 1ポート | なし(要ボード) | 0.7A | ¥128,000 | 受注終了予定(2028年3月) |
| CJ2M-CPU32 | 10Kステップ | 64Kワード | 2560点/40台 | 1ポート | なし(要ボード) | 0.7A | ¥166,000 | 受注終了予定(2028年3月) |
| CJ2M-CPU33 | 20Kステップ | 64Kワード | 2560点/40台 | 1ポート | なし(要ボード) | 0.7A | ¥185,000 | 受注終了予定(2028年3月) |
| CJ2M-CPU34 | 30Kステップ | 160Kワード | 2560点/40台 | 1ポート | なし(要ボード) | 0.7A | ¥240,000 | 受注終了予定(2028年3月) |
| CJ2M-CPU35 | 60Kステップ | 160Kワード | 2560点/40台 | 1ポート | なし(要ボード) | 0.7A | ¥305,000 | 受注終了予定(2028年3月) |
※データメモリは「DM32Kワード+EM32Kワード×1バンク」(64Kワード)または「DM32Kワード+EM32Kワード×4バンク」(160Kワード)の合計値。入出力点数・LD命令処理速度(基本命令0.04μs〜)は全機種共通。
数字を並べてみて意外だったのは、データメモリ容量の増え方だ。プログラム容量は5K→10K→20K→30K→60Kと、ほぼ一定の倍率で増えていく。ところがデータメモリは20Kステップ機(CPU13/33)までが64Kワード、30Kステップ機(CPU14/34)から突然160Kワードに跳ね上がる。プログラム容量が1.5倍になった境目で、データメモリは2.5倍になる。容量ランクとデータメモリ容量は、比例ではなく段差で対応している。
もう一つ、価格表を眺めていて気づいたのは、EtherNet/IP機能の有無だけで価格が大きく変わることだ。同じ60Kステップでも、CPU15は¥230,000、CPU35は¥305,000。同じ5Kステップでも、CPU11は¥51,000、CPU31は¥128,000と、2倍以上の開きがある。EtherNet/IPというたった1ポートの機能が、価格の大部分を左右している。
現場で間違えやすい点
一つ目は、冒頭で触れた「-EIP」という記号を探してしまうことだ。型番の末尾に専用の記号が付くわけではなく、十の位という「位置」そのものが機能を運んでいる。品番リストで「EIP」を検索しても、CJ2Mシリーズの型番はヒットしない。
二つ目は、高機能・高価格な機種ほど標準搭載品が多いと思い込んでしまうことだ。CPU3□はEtherNet/IPを内蔵している分、価格も消費電流も上のグループにあたる。ところが、定格・性能ページのシリアルポート欄を見ると、CPU1□は「インターフェース:EIA RS-232C準拠」を内蔵しているのに対し、CPU3□は「デフォルトはシリアルポートなし」と明記されている。CPU3□でシリアル通信を使うには、RS-232Cオプションボード(形CP1W-CIF01)などを別途装着する必要がある。値段が高い機種のほうが、標準搭載のポートが少ない、というねじれが起きている。
三つ目は、CPシリーズのオプションボードを流用しようとすることだ。形式一覧表には「CJ2M CPUユニットでは、CPシリーズのEthernetオプションボード(形CP1W-CIF41)、LCDオプションボード(形CP1W-DAM01)は使用できません」という注記がある。CPシリーズとCJ2Mシリーズで型番の命名規則が似ているぶん、オプションボードも共通だろうという早合点は禁物だ。
四つ目、そしてもっとも実務に響くのが、CPU3□シリーズ全機種に付いた「受注終了予定」の表示だ。CPU31からCPU35まで、5機種すべての製品ページに「2028年03月受注終了予定」と出ている。CPU1□(EtherNet/IPなし)側にはこの表示がない。EtherNet/IPという「上位機能」を持つグループのほうが、先に生産の区切りを迎えるという構図になっている。
実務上の注意点——後継機は1対1では決まらない
各CPU31〜35の製品ページには「推奨代替機種情報」という項目があり、プロダクトニュースNo.2024002c_3(2026年8月4日情報更新)にもとづいて、次の3機種が代替候補として挙げられている。
- CJ1W-EIP21S(EtherNet/IPユニットを外付けで追加)
- 対応するプログラム容量のCJ2M-CPU1□(例:CPU31ならCPU11、CPU35ならCPU15)
- NX102-9000
つまりCJ2Mという製品ラインの中には、CPU3□をそのまま置き換えられる1対1の後継機がない。選択肢は、①EtherNet/IPなしのCPU1□を選び、EtherNet/IP通信が必要ならCJ1W-EIP21Sユニットを別途増設して2台構成にするか、②プラットフォームごとオムロンの新しいNXシリーズ(NX102)に切り替えるか、の二択になる。②を選ぶ場合は、プログラミングツールがCX-ProgrammerからSysmac Studioに変わるなど、型番の読み替えだけでは済まない設計変更が伴う。見積りの前提として、どちらの方向で更新するのかを先に決めておく必要がある。
もう一つ注意したいのが、パルスI/Oブロック(形CJ2M-MD211/MD212)の装着条件だ。定格・性能ページには「CJ2M CPUユニット ユニットVer.2.0以降のみ装着可能」と明記されている。型式がCPU31〜35・CPU11〜15のどれであっても、現物のCPUユニットのバージョンがVer.2.0に満たなければ、パルスI/O機能は使えない。制御盤に残っている古い個体を流用する場合は、型式だけでなくユニットのバージョン表示も確認したほうがいい。
オムロンCJ2M PLCの型番確認・見積りについて
電設資材専門商社の松本電業株式会社(東京都台東区台東2-4-11)では、制御盤に残ったCJ2M CPUユニットの型番から、EtherNet/IP機能の有無、受注終了予定の有無、代替機種の選定までの確認に対応している。ユニット側面のバージョン表示が読み取れない場合は、現物の写真を添えてもらえると照合が早い。
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