制御盤や看板照明の配線図に、TYE4-1DとTYE5-1DとTYE7-1Dという3つの型番が並んで出てくることがある。どれも「1回路・24時間式」という同じ肩書きを持っている。だとすれば数字の4・5・7は、電流容量か何かの序列を表しているに違いない——そう見当をつけたくなる。
結論から言うと、その見当は半分だけ当たっている。大崎電気工業のタイムスイッチは、TYE4・TYE5・TYE6・TYE7という4つの数字違いの型番を持つが、数字は電流容量の大小をそのまま表してはいない。製品仕様書を確認すると、TYE4は5A、TYE5とTYE7はどちらも同じ15Aだった。数字が上がっても電流は据え置かれる箇所がある一方で、TYE6とTYE7だけが2023年に発行された新しい仕様書番号(AKK594〜)を持ち、TYE4とTYE5は2018年7月作成の古い仕様書番号(BST7027〜、BST7028〜)のままだった。つまり数字は電流ではなく、世代と回路数の組み合わせを運んでいる。この記事では、実際に取得した各機種の製品仕様書とカタログ、そして大崎電気工業自身が公開している新旧形名比較表を突き合わせて、その組み合わせ方と、突き合わせた結果見つかった食い違いを整理する。
結論——数字は電流ではなく、世代と回路数を運んでいる
まず数字の対応関係を仕様書ベースで並べる。TYE4-1D・TYE4-1DK(仕様書番号BST70273c)とTYE4-2D(BST70277c)は、どちらもAC250V・5A以内(抵抗負荷)。TYE5-1D・TYE5-1DK(BST70280b)はAC250V・15A以内(抵抗負荷)。ここまでは「TYE4は5A、TYE5は15A」という単純な序列に見える。
ところがTYE7-1D(仕様書番号AKK594003)も、TYE5-1Dとまったく同じAC250V・15A以内(抵抗負荷)だった。TYE6-2D(AKK594007)はAC250V・5A以内(抵抗負荷)で、こちらはTYE4-2Dと同じ電流容量になる。整理すると、TYE4とTYE6が5A系列、TYE5とTYE7が15A系列という2本の系列が別々に存在しており、しかも4・5という並びと6・7という並びのそれぞれで、電流容量が5A→15Aへと切り替わっている。数字が1つ増えるごとに電流が増えていくような単調な規則にはなっていない。
もう一つの軸が、回路数と発行時期である。TYE5とTYE7は1回路のラインアップしか確認できず、TYE4とTYE6には2回路タイプ(TYE4-2D、TYE6-2D)がある。そしてTYE6・TYE7の仕様書・カタログはいずれも2023年9月〜11月に作成されたもの、TYE4・TYE5は2018年7月(カタログ本体は2013年12月作成・2018年9月改訂)のものだった。数字の4・5と6・7のあいだには、単なる連番ではなく、世代の境目がある。
型番を分解する——桁ごとに何を表しているか
型番の構造を、確認できた範囲で分解するとこうなる。「TYE」のあとの数字(4・5・6・7)は電流容量と回路数の組み合わせでおおまかに系列が決まり、そのあとのハイフンに続く数字(1または2)が出力回路数、続くアルファベットが制御方式を表す。Dは24時間式(制御種類:24時間制御)、SAはソーラー式(制御種類:ソーラー制御、日の出・日没時刻に連動)、頭にWが付くWD・WSAはそれぞれの週間版で、制御周期が週間になり曜日ごとの設定が可能になる。末尾にKが付くかどうかは、電流容量ではなく出力接点の方式の違いで、K無しは無電圧c接点、K付きは有電圧c接点と仕様書に明記されている。
このK付きバリエーションには、もう一つ気づいた点がある。製品一覧と新旧形名比較表を見る限り、K付きの型番が存在するのは1回路タイプ(TYE4-1DK、TYE4-1SAK、TYE4-1WDK、TYE4-1WSAK、TYE5-1DK、TYE5-1SAK)だけで、2回路タイプのTYE4-2D、TYE6-2D、TYE6-2WDにKバージョンは見当たらなかった。2回路タイプは常に無電圧c接点のみ、と言い切れるところまでは確認できていないが、少なくとも公式の製品一覧に載っている型番の範囲では、K付きは1回路品に限られている。
実機に当てはめる——TYE7-1SA、TYE4-2WD、TYE5-1Dはこう読む
具体的な型番で読み方を確かめておく。TYE7-1SAは、TYE7(15A系列・2023年発行の新しい仕様書)、1(1回路)、SA(ソーラー式)の組み合わせで、看板照明を日の出・日没に連動させたい場合の現行品にあたる。TYE4-2WDは、TYE4(5A系列)、2(2回路)、WD(週間式)で、2つの負荷を曜日ごとに別々のパターンで制御したいときの型番になる。TYE5-1Dは、TYE5(15A系列・2018年発行の仕様書)、1(1回路)、D(24時間式)で、TYE7-1Dと接点容量・回路数・制御方式のすべてが一致する。
このTYE5-1DとTYE7-1Dが「すべて一致する」という事実は、あとで効いてくる。仕様の上では見分けがつかない2つの型番が、なぜ両方とも現行の製品一覧に載っているのか。この疑問は、次の節でもう一段掘り下げることになる。
現場で間違えやすい点——新旧形名比較表がTYE4-1Dを15Aの行に置いている
大崎電気工業は、タイムスイッチの新旧形名比較表という資料を公式サイトで公開している。旧い型式から現行品への読み替えを一覧できる、実務上ありがたい資料だ。この表を開くと、TYE7-1Dが「現行品」として2箇所に登場する。1箇所はTYE4-1D→TYE2-1D→TYE-1Dという系統の後継として、もう1箇所はTYE5-1D→TYE3-1D→TYQ-11Pという、まったく別の系統の後継としてである。TYE7-1Dという1つの型番が、由来の異なる2つの旧型式を吸収する形で現行品に据えられている。ここまでは筋が通る。
ただ、この表には見過ごせない一点がある。この2つの行はどちらも「接点容量(抵抗負荷)」の列が「15A」になっているのだ。TYE5-1D側の15Aは、TYE5-1D自身の仕様書(BST70280b)と一致するので問題ない。ところがTYE4-1D側も同じ「15A」の行に置かれている。TYE4-1D自身の現行の仕様書(BST70273c)を見ると、出力容量はAC250V・5A以内(抵抗負荷)とはっきり書かれている。表の接点容量欄と、型式そのものの仕様書とで、数字が一致しない。
大崎電気工業のような一次資料の発行元であっても、複数の資料をまたいで矛盾がまったく生じないとは限らない、ということかもしれない。あるいは、この比較表の「15A」という表記そのものに、何らかの作成上の事情があるのかもしれない。どちらの可能性についても、確認できた資料の範囲内では断定できなかった。少なくとも言えるのは、TYE4-1Dの実際の定格を知りたいときに、この比較表の接点容量欄だけを見て15Aだと思い込むのは危険だということだ。発注前には、型式ごとの製品仕様書に立ち返って定格を確認したほうがいい。
実務上の注意点——見積書にどの情報を残すか
ここまでを踏まえると、タイムスイッチを発注する際は、型番だけでなく接点容量(5Aか15Aか)と回路数(1回路か2回路か)を見積書にあわせて残しておきたい。特にTYE5-1DとTYE7-1Dのように、接点容量・回路数・制御方式が完全に一致する型番が新旧で並存している場合、型番だけを頼りに互換性を判断すると、どちらの世代の製品が届くか分からないまま発注することになりかねない。
また、更新工事で古い制御盤からタイムスイッチを載せ替える場合は、盤に貼られた銘板の型番をそのまま新旧形名比較表と照合するだけでなく、現在の定格電流(何A・何回路の負荷を接続しているか)も別途確認しておくと安全だ。今回確認した範囲でも、比較表の記載だけでは接点容量を確定できないケースがあった。現物の負荷条件と、発注しようとしている型番の現行仕様書を、両方見比べてから発注する工程を挟んだほうがいい。
タイムスイッチの選定や、TYE4・TYE5・TYE6・TYE7いずれの型番が現在の設備に適合するかについて確認したい場合は、電設資材専門商社の松本電業株式会社(東京都台東区台東2-4-11)までお問い合わせいただきたい。見積もり依頼をする →
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