制御盤の扉を開けると、TB261101Kという型番が貼られたタイムスイッチが出てくる。見積書の指定品番はTB262101K。数字の並びはよく似ているのに、桁の途中が違う。同じ「タイムスイッチ」という呼び名の下で、この2つはどこまで同じ製品なのだろうか。
結論から言うと、これは色違いでも上位互換でもない。パナソニックの盤組込型タイムスイッチは、TB26(週間式・24時間式ともに1回路型と2回路型がそろう標準シリーズ)とTB29(1回路型しか持たない高容量シリーズ)という2つの接頭辞の下、型番5桁目が周期(1=24時間式、2=週間式)、6桁目が回路数(1回路か2回路か)を表す形で組み立てられている。この記事では、公式の取扱説明書と製品ページ・FAQに載っている実在の型番だけを並べて、その積み上げ方を追っていく。
TB26シリーズ――4桁の数字が周期と回路数を同時に運ぶ
パナソニックの取扱説明書「TB26/29シリーズ」には、こう書かれている。「TB26シリーズには、週間式と24時間式があり、それぞれ1回路型、2回路型の合計4機種あります」。実際に挙げられている型番は次の4つだ。
- TB261101K(24時間式1回路型)
- TB261201K(24時間式2回路型)
- TB262101K(週間式1回路型)
- TB262201K(週間式2回路型)
「TB26」の4文字までは共通で、その直後の5桁目が「1」なら24時間式、「2」なら週間式に切り替わる。続く6桁目は回路数で、「1」が1回路型、「2」が2回路型だ。7〜8桁目は4機種とも「01」で固定され、末尾に「K」が付く。つまり型番のうち意味を持って動いているのは、実質2桁――「周期」と「回路数」を示す5桁目・6桁目だけである。この2桁の組み合わせが4通りしかないからこそ、4機種で型番がきれいに揃う。
24時間式と週間式の違いは、単に「曜日を設定できるかどうか」にとどまらない。取扱説明書のモード説明には「24時間式には『休日』モードがありません」という注記があり、24時間式には曜日ボタン自体が存在しない。週間式だけが、向こう1週間分の休日(運転停止日)をあらかじめ設定できる。型番の1桁が、ボタンの有無という物理的な違いにまで直結しているわけだ。
TB29シリーズ――回路数を書く桁が、そもそも存在しない
ここでTB29シリーズを並べると、少し様子が変わる。取扱説明書は「高容量タイプのTB29シリーズは1回路型のみで、週間式と24時間式の2機種あります」としており、実際の型番はTB291K(高容量24時間式1回路型)とTB292K(高容量週間式1回路型)の2つしかない。
意外に思えたのは、TB29の型番がTB26より短いという点だ。TB261101Kのような「101」「201」に相当する回路数の桁が、TB29にはまるごと存在しない。TB291101Kのような型番は取扱説明書のどこにも出てこず、TB291Kで完結している。回路数のバリエーションを最初から1つしか持たないシリーズでは、それを区別するための桁自体が型番から消える。桁数は各シリーズで固定されているのではなく、そのシリーズが実際に持つバリエーションの数に応じて伸び縮みしている、と言えそうだ。
定格一覧を見ると、TB29がなぜ「高容量」と呼ばれるのかも数字で裏付けられる。負荷の接点容量は、白熱灯負荷でTB26がAC100V 3Aなのに対しTB29はAC100V 12A、誘導負荷でTB26のAC250V 10Aに対しTB29はAC250V 15A、モーター負荷ではTB26のAC100V 400W・AC200V 750Wに対しTB29はAC100V 750W・AC200V 1500Wと、軒並み上回っている。接点構成もTB26の単極双投に対しTB29は単極単投で、内部の作りそのものが違う。回路数を減らした引き換えに、1回路あたりの負荷容量を積み増したシリーズ、と読むのが妥当だろう。
型番からは読み取れない共通仕様も、定格一覧には並んでいる。駆動方式はTB26・TB29とも電子式(水晶発振式)で、時間精度は25℃にて±15秒/月。停電が起きても、20℃環境でリチウム電池が10年間は時刻を保持する。プログラム数は1回路あたり30プログラム(入・切が15セットずつ)まで設定でき、最小設定単位は1分だ。型番の桁が周期・回路数・容量という「機種を選ぶ段階の情報」を運んでいるのに対し、この精度や停電補償の年数は型番のどこにも現れず、定格一覧という別の表でしか確認できない。型番だけを見て発注し、実際の仕様は現物のラベルか定格一覧で裏を取る、という二段構えが必要になる理由がここにある。
末尾の「K」は色ではないらしい――ただし断定はできない
配線器具の型番では、末尾のアルファベットが色を表すことが多い。パナソニックの防水コンセントでもK(クリームグレー系)・A(ブラウン系)といった色記号が使われる。それに引きずられて、TB261101Kの「K」も色だろうと当たりを付けたのだが、これはどうも違う。
タイムスイッチは盤の中に組み込む機器で、そもそも色を選ぶという発想がない。現行のパナソニックFAQ「パルス出力(動作)のタイムスイッチの品番を、教えてください。」を見ると、週間式でタイマー出力・パルス出力の両方に対応する品番として挙げられているのは、TB262101N・TB262201N・TB292Lであって、取扱説明書にあったTB262101K・TB262201Kという「K」付きの型番はここに出てこない。取扱説明書自体が2010年代に発行されたものであることを踏まえると、末尾の記号は色ではなく、K→N→Lという型番全体の世代交代を示している可能性が高い。
ただし、ここは正直に書いておきたい。「Kは旧世代、Nは現行、Lは高容量の新世代」という対応関係を、パナソニックが一枚の早見表として公開しているのを見つけることはできなかった。取扱説明書に載っているK付きの型番と、現行FAQに載っているN・L付きの型番を突き合わせて浮かび上がった推測であり、末尾の記号の正式な意味そのものは、今回確認できた資料の範囲では分からない。
実務上の注意点
現場で古いタイムスイッチを交換するとき、型番の桁を読み違えると2つの事故が起きる。1つは周期の取り違えで、24時間式のTB261201Kを週間式のつもりで発注すると、曜日ごとの休日設定という機能そのものが存在しない機種が届く。もう1つは回路数の取り違えで、1回路型のTB262101Kを2回路型と間違えると、出力端子の数が足りず結線できない。
もう1点、盤の更新でうっかり見落としやすいのがリチウム電池だ。取扱説明書の安全上の注意には「タイムスイッチを加圧・加熱(100℃以上)・火中投入しないでください。リチウム電池を内蔵しており、発火・破裂の恐れがあります」とある。停電補償のための電池が内蔵されているという事実は、廃棄時の扱いにも関わってくる。撤去した旧タイムスイッチをそのまま一般の金属くずと一緒に処分せず、電池内蔵機器としての扱いを確認しておきたい。
補修部品の型番も、本体の型番とは別に管理されている。取扱説明書の補修部品一覧には、前面カバー(TB26003127、透明)、露出単体取付用の端子カバー(TB26003777)、2回路型専用の端子カバー(TB26003807、透明)が挙げられている。本体を丸ごと交換するほどではない破損――カバーの割れや紛失――であれば、これらの補修部品だけを手配すれば済むケースもある。本体型番と補修部品型番は接頭辞こそ同じ「TB26」でも中身の意味がまったく違う数字の並びなので、混同しないよう見積書の段階で区別しておきたい。
なお、現行の商品ページによれば、パナソニックの標準タイプ(TB25/26/73シリーズ)は「耐突入電流タイプ」という新シリーズに置き換わりつつあり、旧来の高容量タイプ(TB28/29/79シリーズ)は生産終了が予定されている。LED照明の普及で負荷側の突入電流特性が変わったことが背景にあるようで、更新の際は現時点でどの世代の型番が現行品として案内されているか、発注前にメーカーの品番検索で確認するのが確実だ。
パナソニックのタイムスイッチの型番確認・見積りについて
電設資材専門商社・松本電業株式会社(東京都台東区台東2-4-11)では、パナソニックのタイムスイッチ・ブレーカー・分電盤について、現物の品番からの照合、廃番品の後継品番の確認まで対応している。型番の一部しか読み取れない場合は、現物の写真を添えてもらえると照合が早い。
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