制御盤の改修案件で、パンドウイットのG2X3WH6を指定していたところ、在庫の都合で近いサイズのF2X3WH6に振り替えないかと持ちかけられたとしよう。GとFで型番の先頭が違うのだから、電線を詰め込める量も変わるはずだ――そう身構えて公式の仕様資料を開いた人は、少し拍子抜けするかもしれない。同じ幅×高さで比べる限り、収容できる電線の本数はGでもFでもまったく同じ数値になっている。
では、GとFの型番の違いは一体何を表しているのか。パンドウイットの配線ダクト製品ページには「F1.5X1.5WH6」「G2X3WH6」「G4X4WH6」という3つの型番が並んでいる。先頭のアルファベットが幅と高さの数字を挟んで色記号・長さ記号へと続くこの並びを、パンドウイット公式の型番構成図と電線収容量表に照らして分解していく。
型番の骨格――6つの要素が並ぶ構成
パンドウイット公式の「Wiring Duct Product Selection Guide」(文書番号FRSG4-SA-ENG、2024年4月版)には、配線ダクトの型番構成を示した図がそのまま掲載されている。表示例は「G 2 X 2 LG 6 -A」で、これを6つの要素に分解している。
- Type(タイプ):G=Wide Slot(広スロット)、F=Narrow Slot(狭スロット)、FL=Flexible Duct(フレキシブルダクト)、FS=Solid Wall(無孔・スリットなし)、H=Hinged Cover Wide Slot(ヒンジ蓋・広スロット)、HN=Hinged Cover Narrow Slot(ヒンジ蓋・狭スロット)、HS=Hinged Cover Solid Wall(ヒンジ蓋・無孔)、D=Round Hole(丸穴タイプ)、NE=Halogen-Free(ハロゲンフリー)、NNC=Halogen-Free Metric、MC=Narrow Slot Metric、TNC=Low Smoke Halogen-Free
- Nominal Width(公称幅):インチまたはmm表記
- X:幅と高さを区切る記号(掛け算の「×」であり、それ自体に固有の意味を持つ文字ではない)
- Nominal Height(公称高さ):インチまたはmm表記
- Color(色):LG=Light Gray、WH=White、BL=Black、IB=Intrinsic Blue、IG=International Gray
- Length(長さ):6ft.または2m。末尾に「-A」(粘着テープ付き)や「NM」(取付穴なし)が付くこともある
型番の並び順は一貫していて、途中に区切り記号(ハイフン等)を挟まない。だからこそ「F1.5X1.5WH6」のように文字と数字が連続していても、この6要素の型に当てはめれば機械的に分解できる。
実機に当てはめる――3型番を分解する
yamlに載っている3つの型番を、この構成図どおりに割っていく。
F1.5X1.5WH6:F(狭スロット)+1.5(幅1.5インチ)+X+1.5(高さ1.5インチ)+WH(白)+6(6フィート)。公称断面積は2.250in²(約1,452mm²)で、公式の電線収容量表ではAWG8のTHHN電線なら27本、AWG12のTHHN電線なら76本、Cat5eケーブルなら35本が上限本数として示されている(いずれも後述するNFPA79-2012基準の50%充填率換算値)。
G2X3WH6:G(広スロット)+2(幅2インチ)+X+3(高さ3インチ)+WH(白)+6(6フィート)。公称断面積6.000in²で、AWG8 THHN 73本、AWG12 THHN 202本、Cat5e 94本が上限本数として掲載されている。
G4X4WH6:G(広スロット)+4(幅4インチ)+X+4(高さ4インチ)+WH(白)+6(6フィート)。公称断面積16.000in²で、AWG8 THHN 195本、AWG12 THHN 540本、Cat5e 253本が上限本数となる。
3型番とも、パンドウイット公式の色・サイズ対応表で「WH(White)」列に該当タイプの記号が実際に掲載されていることを確認済みだ。加えて、yamlに記載されている各型番のリンク先URL(docsUrl)に実際にアクセスすると、F1.5X1.5WH6はType Fの製品ページへ、G2X3WH6とG4X4WH6はType Gの製品ページへ、いずれもリダイレクトされる。型番の先頭文字とリダイレクト先のページタイトルが一致しており、この3型番が現在も有効な実在の型番であることも合わせて確認できた。
GとFの違いは何を分けているのか
ここで最初の疑問に戻る。GとFの違いは何なのか。
公式製品ページの説明文を読むと、Type Gは「rigid design(頑丈な構造)でさまざまな太さの電線束をしっかり収容する」、Type Fは「high-density wiring(高密度配線)を精密に取り回す」という書き方をしている。広いスロットのGは太い電線束を余裕をもって支える方向、狭いスロットのFは細かい配線を整然と収める方向――大まかにはそういう役割分担だと読み取れる。
ただし、スロットの間隔や指状の仕切り(フィンガー)の幅を具体的な数値(mmやインチ)で明記した資料までは、今回確認できた公式資料の範囲では見つからなかった。「広い/狭い」という定性的な区別は公式に明言されているが、その定量値については確認できていない。裏取りできていない数値を書くよりは、ここは正直に「未確認」としておく。
一方で、はっきり確認できたことがある。電線収容量表のタイトルは「Panduct® Type D, G, F and FS Wiring Duct – Wire Fill Capacity」となっており、D・G・F・FSの4タイプ分をまとめて1つの表で扱っている。つまり同じ公称幅×高さであれば、GとFとで収容量の数値に差は設けられていない。GとFの違いは「電線をどれだけ収容できるか」ではなく、「電線をどう引き出すか(スロットの広さ)」に現れる違いだということになる。太いケーブルを余裕をもって支えたいのか、細かい配線をきれいに揃えたいのかという施工上の好みで選ぶ性質のもので、収容本数を根拠にGとFを選び分ける必要はない。
現場で間違えやすい点
「F」を見てフレキシブルダクトだと思い込む。 型番構成図にはF(狭スロット)とは別に、FL(Flexible Duct)という記号が用意されている。頭文字が同じFで始まるため、パネル扉の可動部などに使う柔軟なダクトを探していて「F」から始まる型番を見つけると、そのまま狭スロットの標準品を発注してしまいかねない。FとFLは別カテゴリの製品だ。
色記号の「WH」を、ヒンジ蓋タイプの「H」と結びつけてしまう。 型番構成図ではHはHinged Cover(ヒンジ蓋)を表すタイプ記号だが、色記号のWH(White)にもHの文字が含まれている。G2X2WH6のような型番を見て、色のWHとタイプのHを混同すると、ヒンジ蓋付きの製品だと誤読するおそれがある。ヒンジ蓋タイプは型番の先頭がH・HN・HSになるという、タイプ記号としての位置づけを思い出せば区別できる。
末尾の数字を入り数(本数)だと思ってしまう。 型番構成図上、末尾の「6」はLength(長さ)の区分で、インチサイズの製品では6フィート(約1.83m)を意味する。メートルサイズの製品では同じ位置が「2」(2m)になる。発注書に「6」と書かれた数字を見て、1梱包あたりの本数や版数だと読み違えると、実際に届く製品の長さの見立てを誤る。
実務上の注意点
見積り・発注の際は、ダクト本体の型番とは別に、対応するカバー(蓋)の型番を確認したほうがよい。公式資料には「G、F、D、FS、HN、H、HS、NE、CWD、Shieldedの各タイプは本体とカバーを別売りとする」という明記があり、G・Fシリーズの配線ダクトは蓋が別部品になっている。ダクト本体だけを手配して、蓋の分の見積りが漏れるという行き違いは起こりやすい。
また、電線収容量表に載っている本数は上限値であり、そのまま設計値として使ってよい数字ではない。パンドウイットの資料自身が、NFPA79-2012 セクション13.5.2に基づき「50%充填率を配線ダクトの最大収容量とする」という前提で表の数値を算出していると明記している。実際の施工では非uniform(不揃い)なケーブル形状や電線の絡まりによる余分な隙間を考慮し、この上限値よりさらに余裕を持たせて選定するのが一般的だ。ちなみに、日本国内の電気設備の技術基準・内線規程(JEAC 8001)を根拠に配線ダクトの充填率を検討する場合は、40%を目安とする考え方もある。同じ「充填率」という言葉でも、根拠にする基準によって数値が変わる点は、あわせて意識しておきたい。
最後に一点。今回確認した「Wiring Duct Product Selection Guide」は、2024年4月版と2023年12月版の両方をパンドウイット公式サイト上のPDFで確認できたが、文書番号(FRSG4-SA-ENG)は共通で、型番構成図・電線収容量表の内容にも変更は見当たらなかった。少なくとも2023年12月から2024年4月の時点まで、この付番体系が維持されていることになる。
パンドウイットPANDUCT配線ダクトの型番確認・見積りについて
電設資材専門商社の松本電業株式会社(東京都台東区台東2-4-11)では、パンドウイットの配線ダクトをはじめとする盤内配線資材について、型番からの仕様確認・お見積りに対応している。GタイプとFタイプのどちらを選ぶべきか迷う場合や、カバー・付属部材まで含めた手配漏れを防ぎたい場合は、盤内レイアウトや電線の太さ・本数を伝えてもらえると選定が早い。
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