盤の脇に置かれたエアコンビネーションユニットから外した銘板に、「AC30-03E-B」という刻印が残っている。SMC株式会社の公式サイトには、品番を打ち込むだけで仕様を引ける品番確認ページがある。そこに入力してみると、返ってくるのは仕様表ではなく一行の断り書きだった。「2025年3月に生産中止しました。リフレッシュシリーズ:AC20-AC40-D」。
代替品はある。ただし、型番の読み方そのものが、もう別のものに置き換わっている。
骨格は「シリーズ→ねじ種類→口径」、末尾は固定の世代文字
SMCのAC(エアコンビネーション。フィルタ+レギュレータ+ルブリケータの一体品)とAW(フィルタレギュレータ。フィルタ+レギュレータのみの一体品)は、どちらも「モジュラタイプ」というF.R.L.ユニット群に属し、型式表示方法という同じ枠組みで型番が組み立てられている。頭からシリーズ記号とボディサイズ、ねじ種類、管接続口径と続き、ハイフンを挟んでオプションと準標準の記号が並び、最後にもう一つの固定文字で締めくくられる。現行品であれば、この最後の文字は「D」だ。
ここまでは共通している。だが、ハイフンの内側、オプションと準標準の並びに入った途端、ACとAWは別物になる。
AC30-F03DE1-16NR-DとAW30K-F03BE-1NR-Dを並べてみる
SMCの公式カタログには、型式表示方法の構成例として、AW20(K)-D〜AW60(K)-D Seriesでは「AW30K-F03BE-1NR-D」、AC20-D〜AC60-D Seriesでは「AC30-F03DE1-16NR-D」という型式が示されている。
AW30K-F03BE-1NR-Dは、AW30(シリーズ・ボディサイズ30)・K(逆流機能付)という頭部分に、F(ねじ種類=G)・03(管接続口径=3/8)・B(取付=ブラケット付)・E(圧力計=角形埋込式圧力計)が続き、1(設定圧力=0.02〜0.2MPa設定)・N(排気機構=ノンリリーフタイプ)・R(流れ方向=右→左)を経て、末尾のD(世代)で終わる。
AC30-F03DE1-16NR-Dは、AC30という頭部分の直後に、逆流機能付を示す記号が来ない。F(ねじ種類=G)・03(管接続口径=3/8)に続くのはD(フロート式オートドレン=N.O.、無加圧時ドレン排出あり)・E1(デジタル圧力スイッチ=NPN出力、配線下取出し)で、1(設定圧力=0.02〜0.2MPa設定)・6(ケース=ナイロンケース)・N(排気機構=ノンリリーフタイプ)・R(流れ方向=右→左)と続き、同じくDで終わる。
見た目にはよく似た二つの型式だ。だが、AW側の頭にあったKの位置に、AC側では何も入っていない。
管接続口径の記号は、ボディサイズによって選べる数字が変わる
型式の中ほどにある01・02・03といった数字は、A・Bポートの管接続口径を示す記号だ。AWでもACでも記号の意味自体は共通していて、01が1/8、02が1/4、03が3/8、04が1/2、06が3/4、10が1という対応になっている。ただし、どのボディサイズでどの数字が選べるかは固定されている。AW20・AC20は01と02のみ、AW30・AC30は02と03のみというように、ボディサイズが一つ違うだけで選択できる口径の範囲がまるごと入れ替わる。AW30に04や06を指定することはできないし、AC40では01自体が選択肢から消える。冒頭のAC30-F03DE1-16NR-Dが03(3/8)を選んでいるのも、AC30というボディサイズで選べる口径のうち、たまたま03を選んだ結果に過ぎない。数字そのものが示す口径は共通でも、その数字を選べるかどうかはボディサイズごとに違う対応表を見ないと判断できない。
ACの型式表示方法に、Kという記号が存在しない
AWの型式表示方法には、シリーズ記号のすぐ後ろに「逆流機能付」という独立した項目があり、無記号なら逆流機能なし、Kを選べば逆流機能付になる。出口側の空気圧を入口側へ排出させる機構を内蔵する、とカタログは説明している。停止時に下流側へ残った圧縮空気を、レギュレータの中を通して上流側へ逃がす機能だ。
ACの型式表示方法には、この項目そのものがない。フロート式オートドレン・圧力計/デジタル圧力スイッチ・残圧抜き3ポート弁・設定圧力・ケース・エアフィルタドレン排出口・ルブリケータ油排出口・排気機構・流れ方向・単位表記という10個の項目が並ぶが、逆流機能に相当する記号はどこにも出てこない。フィルタとレギュレータだけのAWにはある選択肢が、フィルタ・レギュレータ・ルブリケータの三点セットであるACには、そもそも用意されていない。
なぜ用意されていないのか——ルブリケータという弱点
カタログの注意事項のページに、理由らしき記述がある。レギュレータやフィルタレギュレータの入口側に残圧抜き3ポート弁を取り付ける場合は逆流機能付を使うようにという指示に続けて、こう書かれている。「ルブリケータの入口側に残圧抜き3ポート弁を取付け空気を逆流させますと、オイルの逆流および内部部品の破損の原因となりますので、このようなご使用は避けてください」。
逆流機能付は、空気を出口側から入口側へ逆流させる機構だ。AR(レギュレータ単体)やAW(フィルタレギュレータ)のように、経路の末端がレギュレータで止まっていれば、逆流した空気はフィルタを通って外へ抜けるだけで済む。だがACの経路は、レギュレータの先にルブリケータが続いている。同じ発想で逆流機能を組み込めば、出口側から逆流した空気がルブリケータの中の油を巻き込み、内部部品を壊す方向に働いてしまう。ACの残圧抜きが、レギュレータ本体の機能としてではなく、ルブリケータの後ろに独立した3ポート弁(V)を追加するという別の設計になっているのは、この弱点を避けるための帰結だと考えられる。カタログがこの因果関係を「だからKを外した」と明言しているわけではないので、あくまで注意事項の記述から辿れる推測にとどまる。
末尾の文字は、オプションではなく世代である
冒頭のAC30-03E-Bと、もう一つの型番AC20-02-Aを、同じ品番確認ページで調べてみる。どちらも「2025年3月に生産中止しました。リフレッシュシリーズ:AC20-AC40-D」と表示される。末尾の文字がAとBで違う、別の型番に見える二つが、同じ「AC20-AC40-D」への切替対象として案内されている。末尾の一文字は、注文のたびに選ぶオプションではなく、製品世代を示す固定の記号だということだ。
ただし、この世代交代はボディサイズ20以上に限られている。同じ品番確認ページでAC10-M5G-Aを調べると、生産中止の表示は出てこない。現行のAC20-D〜AC60-D Seriesはボディサイズ20から始まっており、10という最小サイズに対応する「D」世代は存在しない。AC10-A、AW10-Aは、末尾がAのままで現行品として残っている。「末尾がAだから旧世代」と一律に判断すると、現行品を誤って生産中止扱いにしてしまう。
現場で気をつけるべきこと
取付金具の扱いも、ACとAWで違う。AWの型式表示方法には「取付」という項目があり、無記号なら金具なし、Bを選べばブラケット付、Hを選べばセットナット付というように、金具の有無が型番の中に組み込まれている。ACの型式表示方法には、この「取付」の項目が存在しない。ACを金具付きで使いたい場合、ブラケット付スペーサ(Y200T-D、Y300T-Dなど)という別品番のアタッチメントを、型番とは別に手配する必要がある。AWの刻印だけを見て「金具の記号がない=金具なし」と判断するのは正しいが、同じ理屈をACの刻印に当てはめると、そもそも型番の中に金具の記号という枠自体がないという事実を見落とすことになる。
旧世代(AC10-A〜AC40-A)には、現行のAC20-D〜AC60-Dにはないチェック弁(K)・圧力スイッチ(S)・T形スペーサ(T)という3種のアタッチメント記号があった。現行世代で残っているのは残圧抜き3ポート弁(V)だけだ。廃番になった現物の刻印にKやSやTが含まれていた場合、その記号が指していたアタッチメントは現行の型式表示方法には対応する枠自体がなく、記号を額面通り探しても見つからない。型式全体を古いカタログと突き合わせるか、現物の構成から代替品を組み直す必要がある。
フィルタレギュレータ・エアコンビネーションの型番確認・見積りについて
電設資材専門商社・松本電業株式会社(東京都台東区台東2-4-11)では、現物の刻印からの現行品・代替品の照合、末尾の世代文字を含めた発注仕様の確定までのご相談を見積フォームで受け付けている。刻印が判読しづらい場合や、廃番になった旧世代の型番しかわからない場合は、現物写真を添えてもらえると照合が早い。
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