改修工事で外したエアシリンダの銘板に、「CDA2B40-100Z-M9BW」と刻まれている。担当者はCから始まるからSMC製だろうとまでは見当がつく。だが続くDが何を、B40が何を、100が何を保証しているのかは、見当の外にある。品番をそのままカタログサイトの検索窓に打ち込めば代替品は出てくる。ただしそれは記号を読めているからではなく、検索エンジンに丸投げしているだけだ。
SMC株式会社の空気圧シリンダの型番は、思いつきで並んだ文字列ではない。シリーズ・取付形式・チューブ内径・ストロークという骨格が、この順番で必ず積み重なっている。以下、同社の公式カタログに記載された「型式表示方法」に基づいて、この骨格を一段ずつ剥がしていく。
型番の並び順そのものに規則がある
SMCの標準形シリンダを代表するCA2/CDA2-Zシリーズのカタログを開くと、型式表示方法のページに「CA2B50-100」「CDA2B50-100Z-M9BW」という構成例が示されている。頭からシリーズ名、取付支持形式(B)、チューブ内径(50)、ハイフンを挟んでストローク(100)、そしてオプション記号という順番だ。
これが1シリーズだけの偶然でないことは、系統の異なるCM2/CDM2シリーズのカタログを見比べるとわかる。こちらの構成例は「CM2L40-150A」。シリーズ名、取付支持形式(L)、チューブ内径(40)、ストローク(150)、オプション記号(A)という、まったく同じ骨格が繰り返されている。取付形式の記号セットも、オプションの意味も、二つのシリーズでは細部が違う。それでも「シリーズ→取付形式→内径→ストローク→オプション」という並び順だけは揺らいでいない。この並び順を覚えてしまえば、初めて見る型番でも、どの数字が内径でどの数字がストロークかを取り違えることはなくなる。
先頭のCとD——磁石内蔵を示す一文字
型番の先頭に付くCとDの違いは、シリーズ名の一部というより、ピストンの構造そのものの違いを表している。CA2/CDA2-Zシリーズのカタログの型式表示方法には、無印の「CA2B50-100」とオートスイッチ付の「CDA2B50-100Z-M9BW」が並べて示されており、CとA2の間にDが挟まるかどうかで、ピストンにオートスイッチ検出用の磁石が内蔵されているかどうかが分かれる。CM2/CDM2シリーズでも、この「Cの次にDが入る」という構造は同じだ。
ここで一つ、見落としやすい注記がある。同カタログには「磁石内蔵でオートスイッチなしの場合、オートスイッチの種類の表示記号は無記号になります」とあり、実例として「CDA2KL40-100」が挙げられている。Dが付いているのに、末尾にオートスイッチの品番が見当たらない型番だ。Dの有無だけを見て「オートスイッチが今ついているかどうか」を判断すると外れる。Dは磁石という部品の有無を、末尾の品番は今実際に取り付けられているセンサの有無を、それぞれ別に示している。
取付支持形式の記号は、盤や架台とどう固定されるかを表す
取付支持形式は、シリンダ本体を機械にどう固定するかを示す記号で、シリーズ名のすぐ後ろに置かれる。CA2/CDA2-ZシリーズのカタログにはB(基本形)・L(軸方向フート形)・F(ロッド側フランジ形)・G(ヘッド側フランジ形)・C(1山クレビス形)・D(2山クレビス形)・T(センタトラニオン形)の7種類が挙げられている。CM2シリーズではこれにU(ロッド側トラニオン形)・E(クレビス一体形)・BZ/FZ/UZ(ボスカット系)が加わり、選択肢はシリーズごとに広がったり絞られたりする。
現場での実務的な意味は、既設シリンダを更新するときに直結する。取付支持形式が一致していれば、架台側の穴あけ加工をやり直さずに載せ替えられる可能性が高い。逆に、内径とストロークだけを合わせて別の取付形式の品番を選んでしまうと、寸法上は同じでも固定できない。銘板の型番からまず読み取るべきは、内径よりも先にこの一文字であることも多い。
チューブ内径とストロークは、この順で並ぶから読み間違えない
型番の数字部分は、内径が先、ストロークが後という決まった順で並ぶ。CA2/CDA2-Zシリーズでは40・50・63・80・100(mm)という5段階の内径がハイフンの手前に、ストローク(mm)がハイフンの後ろに来る。「CA2B50-100」であれば50が内径、100がストロークだ。数字だけを見ていると、どちらも同じような桁の値になりうるため、位置で判断するしかない。
もう一つ、チューブ内径の並びのすぐ後ろに、チューブ材質の記号が隠れている。無記号はアルミチューブ、Fは鉄チューブを指すが、カタログには「オートスイッチ付の場合は製作不可」という注記が添えられている。鉄チューブはアルミよりも磁束を通しにくく、オートスイッチの検出精度を保証できないという構造上の制約が、この一文の背景にあると読める。型番にFが入っていれば、その一本はオートスイッチを後から追加できない仕様だとわかる。
クッションの記号は、シリーズをまたぐと逆転する
ここまでの記号は、CA2/CDA2-ZとCM2/CDM2の間でおおむね同じ考え方を共有していた。ところがクッションの記号だけは事情が違う。CA2/CDA2-Zシリーズのカタログでは、追記号(クッション)の無記号がエアクッション、Nがラバークッションと定められている。一方、CM2シリーズ(現行はCM2-Zへモデルチェンジ済み)のカタログでは、無記号がラバークッション、Aがエアクッションと、無記号の指す仕様が入れ替わっている。
無記号が「そのシリーズの標準仕様」を意味するという点は、二つのシリーズで共通している。だが、どちらの方式を標準に据えるかはシリーズごとの判断であり、統一されていない。片方のシリーズの型番を読み慣れた感覚のまま、別のシリーズの型番の無記号を「たぶんこっちだろう」と読み替えると、選定を誤る。型番を読む力は、記号一つひとつの意味を覚えることよりも、「このシリーズの型式表示方法は今どうなっているか」をその都度確認する習慣とセットで初めて機能する。
オートスイッチの個数は、末尾の一文字で決まる
型番の一番後ろ、オートスイッチ品番(M9BWなど)にさらに続く記号は、取り付けられているオートスイッチの個数を示す。CA2/CDA2-Zシリーズのカタログでは、無記号が2ヶ付、Sが1ヶ付、3が3ヶ付、nがnヶ付と定義されている。ストロークの前進端と後退端の両方を検出する用途では2個付きが標準的な選び方になるため、無記号のままで十分なケースが多い。逆に、片側だけの検出で足りる用途ではSが付いた1個付き品を選ぶことになる。銘板の型番の末尾一文字を見るだけで、現物に何個のセンサが付いているはずかが、分解しなくても見当付けられる。
型番の先頭に付く「10-」「25A-」という接頭コード
ここまでの記号はすべてシリーズ名から始まっていたが、型番の一番先頭に2桁の数字が付く製品も存在する。SMC Corporationの公式FAQは、この接頭コードについて「10-」はクリーン/低発塵対応、「25A-」は二次電池生産設備向けであり、いずれも標準ラインアップの派生である準標準品だと説明している。同FAQは、この接頭コードが付く機種は限定されており、すべてのシリーズに一律に存在するものではないとも注記している。銘板の型番が見慣れたシリーズ名から始まっていない場合、まずこの接頭コードの可能性を疑うと手がかりになる。
型番が読めるようになると、現場でできること
ここまでの記号を押さえれば、銘板の型番一つから、取付形式・内径・ストローク・ポートねじの種類・クッション方式・オートスイッチの有無と個数まで、カタログを開かなくても見当が付くようになる。改修現場で現物しか手元にない場合でも、型番を書き写すだけで代替品の候補をかなり絞り込める。
ただし、この記事で確認した記号の意味は、あくまでCA2/CDA2-ZシリーズとCM2/CDM2シリーズという、SMCの標準形シリンダ二系統のカタログに基づくものだ。コンパクトシリンダや薄形シリンダなど、系統の異なるシリーズでは、取付形式やオプションの記号セットがまた別に定義されている。型番の骨格(シリーズ→取付形式→内径→ストローク→オプション)という並び順の考え方は流用できても、記号一つひとつの意味は、発注前に必ずそのシリーズ自体の型式表示方法で確認する必要がある。
エアシリンダの型番確認・見積りについて
電設資材専門商社・松本電業株式会社(東京都台東区台東2-4-11)では、現物銘板に残った型番からの現行品・代替品の照合、取付形式やオートスイッチ仕様を含めた発注仕様の確定まで対応している。旧い型番や判読しづらい銘板の場合は、現物写真を添えてもらえると照合が早い。
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