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電気基礎専門用語設計基準

三相交流とは?単相との違い、3線式・4線式の電圧と、同じ200Vで対地電圧が分かれる理由

・ 読了目安: 8分 ・ 編集: 電材サーチ編集部(編集・出典ポリシー)

この記事の結論

三相交流は、大きさが等しく位相が互いに120度ずつずれた3つの交流電圧の組で、単相は1組の交流です。単相3線式100/200Vは変圧器の中性点を接地するので対地電圧は100V、三相200Vは中性点のないΔ結線で1端子を接地すると残る2線が対地200V、中性点を接地したY結線なら約115Vになります。対地電圧によってブレーカーの適用や絶縁抵抗の基準(0.1MΩ・0.2MΩ)が変わるため、機器の手配では相数・電圧・周波数と電源方式を銘板と系統図で確認します。

見積の相談で「200Vのエアコンを付けるのでブレーカーを」と言われたら、最初に確かめるのは「単相ですか、動力ですか」です。住宅のエアコンは単相3線式の200V、店舗の業務用エアコンやポンプには三相200Vを使うものがあり、どちらも銘板の数字は「200V」です。図面では前者が「1φ3W 100/200V」、後者が「3φ3W 200V」と書き分けられます。

数字は同じでも、電線と大地の間の電圧(対地電圧)は違います。単相3線式の200Vは対地100V。三相200Vは、結線によって対地200Vにも約115Vにもなります。対地電圧が違えば、使えるブレーカーも、絶縁抵抗の合格ラインも変わります。同じ200Vで、なぜここまで分かれるのか。答えは、変圧器のどこを大地につなぐかを決めた条文にあります。

単相2線式は2本の間の電圧を使い、単相3線式100/200Vは中性線を含む3本、三相3線式200Vは中性線を持たない3本。
低圧の代表例を比べた概念図です。保護接地線と保護装置は省略しています。図中の線色は実際の電線色・端子の接続順を示しません。

三相交流は、120度ずつずれた3つの交流の組です

大きさが等しく、位相が互いに120度ずつずれた3つの交流電圧の組を、平衡三相交流といいます。単相は1組の交流です。三相誘導電動機は、固定子の3組の巻線に三相電流を流すだけで回転磁界ができ、回転子が回ります。

モーターメーカーのニデックは用語集で、高い効率のためには相数は3が適切だと説明しています。同じ項目には、安価な構造のために単相の交流モーターも多数使われている、とも書かれています。単相のモーターが使えないわけではありません。三相は、効率が求められる用途で選ばれる方式です。

国内の三相200V・400V級は、電気設備に関する技術基準を定める省令 第2条の区分では、どちらも低圧(交流600V以下)です。低圧という区分は、触れても安全という意味ではありません。

「動力」は電気の種類ではなく、契約と供給方式の呼び名です

「動力ありますか」という聞き方は、電力会社の料金メニューの言葉と重なります。東京電力エナジーパートナーの「低圧電力」は、商店や工場などでモーター等の動力を使う需要家向けの契約で、契約電力は原則50kW未満、供給は標準電圧200V(三相3線式)です。従量電灯の案内ページでは「動力をお使いのご家庭で、併せて契約いただく料金プラン」と紹介されており、電灯の契約とは別に結ぶものです。

現場で「動力の200V」と言えば三相3線式200Vを指すことが多いものの、工場には400V級の動力設備もあります。電圧は呼び名ではなく、銘板と系統図で確かめます。

図面の「1φ3W」「3φ3W」「3φ4W」は何が違うのか

φは相、Wは線(Wire)の数です。同じ200Vでも、方式によって対地電圧と、電気設備技術基準の省令第58条が求める絶縁抵抗の下限が変わります。

方式(図面の略記)電圧の組み合わせ正常時の対地電圧絶縁抵抗の下限(省令第58条)主な用途
単相3線式(1φ3W)100/200VL1–N・L2–Nが100V、L1–L2が200V100V(中性線を接地)0.1MΩ住宅・店舗・ビルの電灯・コンセント、家庭用エアコン
三相3線式(3φ3W)200V、Δ結線の1端子接地3本の線間が各200V接地した線はほぼ0V、残る2線は200V0.2MΩモーター・ポンプ・業務用空調
三相3線式200V、中性点を接地したY結線3本の線間が各200V各線とも約115V(200÷√3)0.1MΩ結線による違いの例
三相4線式(3φ4W)240/415V線間415V、各相とNの間が240V240V(中性点を接地)0.4MΩ(線間415Vの電路)大規模ビル・工場の電灯・動力幹線

非接地式電路では、省令第58条は対地電圧を「電線間の電圧」と定義しています。非接地の三相200Vは、判定上は対地200Vとして扱います。実測で各線と大地の間が常に200Vになる、という意味ではありません。合否の判定は絶縁抵抗の合否判定ツールでも確認でき、測定時の機器の切り離しはメーカーの手順に従います。

三相3線式200Vには、単相3線式のような100V用の中性線がありません。「3線」に保護接地線(アース)は含めず、接地線を中性線の代わりに使うこともできません。

三相4線式は、名前だけでは電圧が決まらない

三菱電機のFA eラーニングの配電方式表には、三相4線式が3種類並んでいます。400V級の240/415V(大規模ビル・工場の電灯・動力幹線)、中小規模のビルやホテルの電灯幹線に使う100/173V、そして単相3線式100/200Vと三相200VのV結線を組み合わせた100/200Vです。最後の方式は「異容量V結線三相4線式として」国内で多く採用されている、と書かれています。

製品側も同じで、日東工業の三相4線式電灯分電盤ENA形は「230/400Vまたは100/173Vの電路にご使用ください」と適用電路を指定し、大崎電気工業のA8JA系電力量計は100/173と240/415の定格を別に持ちます。パナソニックの配線方式の解説は460Vと265Vの組み合わせも挙げています。「三相4線用」と書かれた機器でも、適合する電圧は製品ごとに仕様で確かめます。

さらに大きな負荷は低圧を離れます。同じ配電方式表は、3.3kV・6.6kVの三相3線式の用途を「37kWを超えるモータ」としています。

一段深い理解:同じ200Vで対地電圧が分かれるのは、接地の位置が2通り認められているから

高圧を低圧に下げる変圧器は、高圧と低圧が混触したときに備えて、低圧側をB種接地工事で大地につなぎます。電気設備の技術基準の解釈 第24条は、その場所をまず「低圧側の中性点」とし、続けて「低圧電路の使用電圧が300V以下の場合において、接地工事を低圧側の中性点に施し難いときは、低圧側の1端子」でもよいと定めています。

単相3線式は変圧器の中点、つまり中性点を接地します。だから両側の電圧線は対地100Vです。一方、Δ結線には中性点がありません。三菱電機の結線表でも、低圧側がΔのYd1は「中性点を必要としないもの」、低圧側がYのDyn11は「低圧側中性点を必要とするもの(低圧側400V級など)」に充てられています。使用電圧300V以下の三相200Vなら1端子を接地でき、接地した線は大地とほぼ同電位になり、残る2線では線間の200Vがそのまま対地電圧になります。冒頭の「同じ200Vなのに」の半分は、この条文で説明がつきます。

残りの半分は住宅側の条文です。解釈 第143条は、住宅の屋内電路の対地電圧を原則150V以下としています。単相3線式なら、200Vのエアコンをつないでも対地は100Vで、この枠に収まります。対地200Vの回路を住宅の屋内に入れるには、定格消費電力2kW以上の機器に専用の屋内配線で供給し、対地電圧300V以下、専用の開閉器・過電流遮断器、原則として漏電遮断装置を設けるなど、同条第1項第一号の条件を満たす必要があります。

この違いは部材選びにも現れます。三菱電機のFAQは、BL安全ブレーカを「交流の単相100V、単三200V専用品」「対地電圧100Vの遮断性能品」とし、単相200V回路には使用できないと回答しています。単相3線式の200V(対地100V)は使えて、対地200Vになり得る単相200V回路には使えない。銘板の「200V」が同じでも、分かれ目は対地電圧にあると読めます。

一段深い理解:√3は、銘板の数字にも隠れている

平衡したY結線では、線間電圧は位相が120度違う2つの相電圧のベクトル差です。その大きさが相電圧の√3倍(約1.732倍)になります。Δ結線では各巻線が線と線の間にあるため、巻線の電圧と線間電圧は等しくなります。

この関係を知っていると、カタログや銘板の数字がそのまま読めます。

表示・数値√3との関係出てくる資料
240/415V415÷√3≒240大崎電気工業 A8JA系電力量計の定格電圧、三菱電機の配電方式表
230/400V400÷√3≒231日東工業 ENA形分電盤の適用電路
100/173V100×√3≒173日東工業 ENA形、三菱電機の配電方式表(中小ビル・ホテルの電灯幹線)
110/√3/110√3をそのまま表記大崎電気工業 A8JA系の/5A形の定格電圧
変圧器の利用率86.6%√3÷2≒0.866三菱電機の配電方式表(V結線の三相3線式200V)

V結線は、単相変圧器2台で三相をつくる結線です。2台の容量をすべて三相負荷に使えず、利用率が86.6%にとどまる。ここにも√3が顔を出します。

電力の式も同じです。正弦波・平衡負荷の三相有効電力は、線間電圧をV、線電流をI、力率をcosθとして P=√3・V・I・cosθ。200V・20A・力率0.8なら約5.54kWです。モーター銘板のkWが軸出力なら、効率を考えずに電気入力と比べても数字は合いません。入力条件は電力・電流計算ツールでも確認できます。不平衡負荷や高調波を含む回路には、この式を無条件には当てはめられません。

現場で間違いやすい点

相順と回転方向。 直入れの三相誘導電動機では、電源の相順が回転方向に関係します。試運転前の相順確認と逆転時の対応は、設備の手順とメーカー資料に従って担当技術者が判断します。インバーターを介する設備では、入力側の相順だけからモーターの回転方向は決まりません。事例は相順(相回転)チェック忘れが招くモーター逆転と機械破損リスクにまとめています。

「200V用」というブレーカー表示。 前節のBL安全ブレーカのように、単相3線式の200Vにしか使えない製品があります。交換品を選ぶときは、電圧の数字に加えて、単相か三相か、対地電圧がいくつの電路かを確かめます。

中性線とアース。 三相3線式200Vから100Vを取るために接地線を流用するのは誤りです。100Vが必要なら、単相3線式の電灯回路から取るか、変圧器を設けて回路を分けます。

交換部材の相談前にそろえる情報

  1. 機器の銘板:メーカー・型番、単相/三相、定格電圧・周波数・電流。
  2. 電源側の資料:系統図、線数、中性線の有無、接地方式、既設遮断器の型番。
  3. 使用条件:モーターなど負荷の種類、始動方法、配線長、設置環境。

銘板の確認や撮影のために通電中の盤を開けないでください。確認できない項目は、設備管理者か電気主任技術者に依頼します。

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よくある質問

三相交流とは何ですか?

大きさが等しく、位相が互いに120度ずつずれた3つの交流電圧を組にしたものが、平衡三相交流です。三相誘導電動機の固定子巻線に三相電流を流すと回転磁界が生じるため、工場や店舗のモーター、ポンプ、業務用空調に使われます。国内の三相200V・400V級は、どちらも交流600V以下の低圧に含まれます。

「動力」と言われたら三相200Vのことですか?

電力会社の料金メニューでは、モーター等の動力向けの契約を「低圧電力」と呼びます。東京電力エナジーパートナーの低圧電力は、契約電力が原則50kW未満の需要家向けで、標準電圧200V(三相3線式)で供給されます。現場の「動力」もこの三相200Vを指すことが多いものの、400V級の動力設備もあるため、銘板と図面で電圧を確かめます。

三相3線式と単相3線式は何が違いますか?

三相3線式200Vは3本の間がそれぞれ200Vで、中性線を持ちません。単相3線式100/200Vは電圧線2本と中性線Nからなり、電圧線とNの間が100V、電圧線どうしが200Vです。同じ3本・同じ200Vでも各線の役割と対地電圧が違うため、機器の相数・電圧・周波数と、図面上の電源方式を確認します。

三相200Vの対地電圧は何Vですか?

結線と接地の位置で決まり、三相200Vという表示だけでは決まりません。中性点のないΔ結線で1端子を接地していれば、接地した線はほぼ0V、残る2線は対地200Vです。中性点を接地したY結線で線間200Vなら、各線の対地電圧は約115Vです。非接地式電路では、省令第58条の絶縁抵抗の判定に使う対地電圧は線間電圧と定義されています。

三相200Vの動力から100Vのコンセントを取れますか?

三相3線式200Vには中性線がないため、100Vを直接取り出すことはできません。保護接地線(アース)を中性線の代わりに使うこともできません。100Vが必要な場合は、単相3線式の電灯回路から取るか、変圧器を設けるなど回路を分けて設計します。

三相の電力の式に√3が付くのはなぜですか?

平衡したY結線では、線間電圧が120度ずれた2つの相電圧のベクトル差になり、大きさが相電圧の√3倍になるためです。正弦波・平衡負荷では、線間電圧V、線電流I、力率cosθを使ってP=√3・V・I・cosθと計算でき、200V・20A・力率0.8なら約5.54kWです。これは電気入力の有効電力で、モーター銘板の軸出力とは区別します。

参考文献・出典

確認・変更の記録

出典照合日: (AIによる照合補助)

省令第2条・第58条をe-Gov法令APIの本文で、電技解釈第24条・第143条を経済産業省PDF(令和7年11月20日改正版、同日取得の写し)で照合。東京電力EPの低圧電力の供給条件、ニデック・パナソニック・三菱電機・日東工業・大崎電気の公開ページの記載を2026-10-13に確認。三菱電機eラーニング2.4.2の結線表(Yd1・Dyn11の適用欄)は独立検証の後に再取得して文言を照合。灯動共用の異容量V結線で各線の対地電圧が何Vになるかは一次資料で確認できなかったため書いていない。図は原理説明であり、個別設備の接続・適合判定は対象外。

個別設備の適合判定・技術者による承認を示すものではありません。

この内容は、第二種電気工事士ではこう問われる

√3がどこから来るのか——Y結線とΔ結線の電圧・電流の関係は、試験では計算問題として繰り返し出ます。公式の丸暗記ではなく、図の上で追えるように書いてあります。

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