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電気機器、配線器具並びに電気工事用の材料及び工具 ・ 4 / 8

配線用遮断器と漏電遮断器の違い

読み終えると、こうなる

分電盤に並ぶ2種類のブレーカーが、実は「電流の大きさ」と「行きと帰りの差」というまったく別のものを見張っていると見分けられるようになる

  • 「遮断器が付いているから安全」という記述を見たら、それが電流の大きさを見ているのか行き帰りの差を見ているのかを言い直して判定できる
  • 配線用遮断器に流れた電流が定格の何倍かを先に割り算し、1.25倍(60分)か2倍(2分)かを性質で紐づけて選べる
  • 分電盤のテスト釦の脇の表記(「テスト」か「PUSH TO TRIP」か)と定格感度電流のmA表示を確認して、漏電遮断器かどうかを見分けられる
考えてみよう

古くなった分電盤の交換で、主幹には漏電遮断器を取り付けるはずだった。ところが在庫の都合で、見た目のよく似た配線用遮断器を代わりに取り付けてしまった。「過電流を遮断できるなら、まあ同じようなものだろう」と、そのまま作業を終えた。

数か月後、洗濯機からごくわずかな漏電が続いていた。触れると軽くピリッとする、という声も上がっていた。それなのに、ブレーカーは一度も落ちなかった。

過電流を防ぐブレーカーはちゃんとついているのに、なぜこの異常を一度も検知できなかったのか。

分電盤に組み込まれるブレーカーには、目的が異なる2種類がある。

  • 配線用遮断器: 定格電流を超える過電流(ショートや過負荷)を検知して電路を遮断する。
  • 漏電遮断器: 漏電による感電・火災を防ぐため、定格感度電流(一般に15〜30mA程度)を超える漏れ電流を検知して電路を遮断する。
配線用遮断器と漏電遮断器は、検知する異常の種類がまったく違う。「配線用遮断器があるから漏電遮断器は不要」という考え方は誤りで、片方があるからといってもう片方の役割を代われるわけではない。

実務では住宅の分電盤の主幹に漏電遮断器、各分岐回路に配線用遮断器を組み合わせて設置するのが一般的な構成だ。見た目が似ていて紛らわしい2つを現場で見分けるには、漏電を模擬して動作確認をするためのテスト釦の有無を見るとよい。漏電遮断器には必ずこの釦が付いている。

ただし「釦があれば漏電遮断器」で止めると外れる。赤い「PUSH TO TRIP」は機械的に引き外すトリップ釦で、三菱電機はこれを「遮断器を外部から機械的にトリップさせるボタン」と定義しており、配線用遮断器にも付く。だから釦を見つけたら、脇の語句が「テスト」「T」なのか「PUSH TO TRIP」なのかを読み、定格感度電流(30mAなどのmA表示)があるかまで確かめる。写真から読み分ける手順は写真鑑別 — 図記号と実物をつなぐで詳しく扱っている。

太陽光がある家では、遮断器に「向き」の問題が生まれる

ふつうの分電盤では、電気は必ず一方向に流れる。電力会社から主幹へ、主幹から分岐へ、分岐から負荷へ。だから遮断器にも電源側と負荷側という決まった向きがあり、そのつもりで作られている。

ところが屋根に太陽光を載せると、この前提が崩れる。よく発電している昼間は、パワーコンディショナから電気が分電盤に向かって逆流する(余った分は系統へ売られていく)。夜や雨の日は、逆に系統から負荷へ電気が流れる。同じ1つの遮断器を、電気が日によって逆向きに通るわけだ。

考えてみよう

パワーコンディショナと分電盤をつなぐ専用回路に、そのへんにある普通の漏電遮断器を付けたとする。切っておけば安全なはずだ——ところがこの遮断器は、OFFにしていても壊れる可能性がある。なぜだろう。

答えは、遮断器を切ったときにどちら側が生きたまま残るかにある。ふつうの使い方なら、OFFにすれば電源側だけが充電され、負荷側は死ぬ。ところが太陽光側から電気が来る回路では、OFFにしても負荷側の端子に電圧が加わり続ける。一般の漏電遮断器は、負荷側から電圧が加わることを想定した内部構造になっていない。

そこで使うのが逆接続可能型の漏電遮断器だ。これは「OFF状態で負荷側に電圧が加わっても支障がないように作られた」もので、系統連系用に限って逆向きの接続が認められている。内線規程(JEAC 8001)にも、系統連系型の小出力太陽光発電設備の配線例として、この形が示されている。

出題は「系統連系型の発電設備を分電盤に接続するとき、その専用回路に使用する漏電遮断器の種類はどれか」という形で来る。答えは**逆接続可能型**。高感度形・過負荷保護付といった別の軸の言葉が選択肢に混ぜられるが、それらは感度や保護機能の話で、**向き**の話をしているのはこれだけだ。

注意したいのは、逆接続可能型は「どこでも逆向きに使ってよい万能品」ではないことだ。メーカーは系統連系用に限るとはっきり書いており、一般の商用電力回路を逆接続する用途には使えない。「逆に付けられる便利なブレーカ」と覚えると、実務でも試験でも足をすくわれる。

住宅に太陽光・蓄電池・V2Hが載るのは、もう珍しいことではない。屋根に載った瞬間に、分電盤は「電気が一方通行の箱」ではなくなる。その変化に、器具の側が形で応えているのがこの遮断器だ。

分電盤の扉を開けると、家一軒の守り方が読める

この2つの違いが分かると、「ブレーカーが落ちた」という同じ一言が、まったく別の2つの知らせに聞こえるようになる。分岐の配線用遮断器が落ちたなら、その回路で使いすぎたかショートしたか。主幹の漏電遮断器が落ちたなら、どこかで電気が本来の道筋から外れて漏れている。前者はとりあえず上げ直してよいが、後者を何も調べずに上げ直すのは、警報を止めているのに近い。今日できることは単純で、自宅の分電盤の扉を開け、主幹に小さなテスト釦が付いているかを見てみることだ。付いていれば、その家は漏電から守られている。

この論点が繰り返し出題されるのは、2つの遮断器が見た目で紛らわしいまま、守る対象がまったく違うからだ。過電流は電線の発熱と火災を、漏れ電流は人の感電を防いでいる。片方があるからもう片方は要らない、という代替関係にはならない。

住宅にEV充電器や太陽光、蓄電池を後から足す工事では、この保護の考え方がそのまま設計の入口になる。回路を1つ増やすことは、主幹の容量と保護の組み合わせを見直すことでもあるからだ。選定の考え方はブレーカーの選び方にまとめてある。

冒頭の分電盤で、なぜ配線用遮断器がその漏電にまったく反応しなかったのか、答え合わせは理解度チェックの最後の問題でしてみよう。

出題者のワナ — ここで受験者を転ばせにくる

この論点は、知っているだけでは足をすくわれる。試験でよく仕掛けられる崩し方を、先に知っておこう。

  1. 「過電流を遮断できるのだから漏電にも効く」と読ませ、2つの遮断器の役割をすり替える

    なぜ引っかかるどちらも分電盤に並ぶ同じ形の箱で、どちらも「異常があれば落ちる機器」だと括られてしまう。しかし配線用遮断器が見ているのは電流の大きさだけで、行きと帰りの電流の差、つまり漏れ電流を測る仕組みそのものを持たない。数十mAの漏電は、定格から見れば異常ですらない小さな電流なので、いつまでも落ちない。

    見破り方選択肢に「遮断器が付いているから安全」という筋の記述があったら、その遮断器が何を測っているかを言い直してみる。電流の大きさか、行きと帰りの差か。この2択に還元すれば、代役が務まらないことがすぐ分かる。

  2. 流れた電流が定格の何倍かを計算させてから、動作時間の値を隣の欄とすり替える

    なぜ引っかかる定格電流30A以下の配線用遮断器は、定格の1.25倍で60分以内、2倍で2分以内に動作すると定められている。設問は定格電流と実際に流れた電流を並べ、倍率を自分で割り算させる形で出てくる。1.25倍と2倍を取り違えると、60分と2分という桁違いの答えを選ばされる。しかも選択肢は分単位の数字が4つ並ぶだけなので、どれを選んでも一応それらしく見えてしまう。

    見破り方まず割り算だけを済ませ、余白に「1.25倍」か「2倍」かを書いてから表を思い出す。1.25倍は過負荷、2倍は明らかな異常、と性質で紐づけておくと、長いほう(60分)と短いほう(2分)を取り違えなくなる。

  3. 漏電遮断器の性能値(定格感度電流・動作時間)と、接地工事を緩めるための条件の数字を入れ替える

    なぜ引っかかる漏電遮断器がらみでは、15mA・30mA・0.1秒・0.5秒という4つの数字が別々の役目で登場する。15mAや30mAは機器の定格感度電流、0.1秒は機器の動作時間、そして0.5秒はD種・C種接地工事の接地抵抗値を500Ωまで緩める条件の時間だ。問題文の但し書きにこれらが混ぜて置かれ、どの数字がどの結論に効くのかを見失わせる。

    見破り方但し書きの数字を、機器の性能を述べているものと、条文上の緩和条件を述べているものに仕分けてから本文を読む。接地抵抗の話が出てきたら見るのは0.5秒だけ、機器が動くかどうかの話ならmAと0.1秒だけ、と用途を固定する。

参考文献・出典

理解度チェック(6問)

このトピックの内容がどれくらい身についたか、6問で確認しよう。 内訳は基本4問・応用1問・ひっかけ1問。基本が解けたら、条件を足した応用と、本番で足をすくいにくるひっかけまで踏み込む。

/ 6 問正解

覚えておきたいポイント

  1. 配線用遮断器は過電流(短絡・過負荷)を検知して遮断する
  2. 漏電遮断器は漏れ電流(定格感度電流はおおむね15〜30mA程度)を検知して遮断する。過電流は検知対象ではない
  3. 実務では分電盤の主幹に漏電遮断器、各分岐回路に配線用遮断器を組み合わせるのが一般的。漏電遮断器には漏電を模擬するテスト釦が必ず付いている
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