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法規 ・ 8 / 13

建築基準法① — 建築物の言葉と数字、確認が要る建物、用途地域

読み終えると、こうなる

図面の「塔屋」「地階」「居室」「外壁」を見て、法律上の階数・地階・居室・防火構造にあたるかを、条文の数字と語で判定できるようになる

  • 屋上部分(昇降機塔など)と地階部分の水平投影面積の合計を、それぞれ建築面積の八分の一以下という閾値と比べて、階数に算入するかを判定できる
  • 耐火構造・準耐火構造・防火構造を、守る範囲と対象の部分で見分け、不燃・準不燃・難燃材料の時間(20・10・5分間)と並べて言える
  • 建物の階数・延べ面積・用途・区域から、確認が要る区分(法6条1項の1〜3号)を、令和7年4月1日の改正後の条文で判定できる
  • 用途地域が13種類あり、48条と別表第二が建てられるものの基本を決めること(ほかの法令・条例の制限は別)を、2通りの書き方の違いまで説明できる
考えてみよう

仮に、地上5階建てのビルの現場に入ったとする。屋上には昇降機(エレベーター)の機械を収めた塔屋が載り、外から数えれば6階建てに見える。だが、法律上は5階建てかもしれない。地下の機械室は、床が地面より少し下がっているだけだが、「地階」なのか。先輩は「居室だから天井は2.1m以上ないと」とも言う。

塔屋はいつ階数に数えるのか。居室とは、どんな室か。この建物の確認申請は、何階建て・何m²から要るのか。建築基準法の言葉は日常語より一語だけずれていて、そのずれは条文の語と数字で決まる。読み終えるころには、図面の「塔屋」「地階」「居室」を、条文の語と数字で判定できるようになる。

まず一言で

建築基準法の建築物まわりの言葉は、法2条と施行令1条・2条が、数字つきで一語ずつ決めている。覚えるのは3つの束だ。

  • 部品と性能の言葉: 建築設備は建築物に含まれる。耐火・準耐火・防火の3つの構造は、守る範囲と対象の部分が違う
  • 数える言葉: 階数、地階、天井の高さ、延べ面積。数字より先に「以上」「以下」「超える」を読む
  • 規制の入り口: 確認が要る建築物は、法6条1項が3つの号で挙げる(令和7年4月1日の改正後は、木造とそれ以外の区別がない)。建てられる用途は、用途地域13種類ごとに、法48条と別表第二が基本を決める(ほかの法令・条例の制限は別)

本稿は、e-Govの現行条文(2026年11月4日に確認。建築基準法は令和8年5月27日施行の版、施行令は同年11月1日施行の版)で書いた。6条1項は、令和7年4月1日の改正前の文とも比べる。これから施行される改正(建築基準法の2026年11月26日分から2028年7月30日分までの4つの版と、都市計画法の2026年11月26日分)は、本稿が引く部分(52条は1項の柱書だけ)を変えないことを、施行前の版で確かめた。

仕組み — 言葉が決まると、規制の物差しが決まる

建築物・建築設備・居室

法2条1号は、建築物を、土地に定着する工作物のうち屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む)などと定め、最後に「建築設備を含むものとする」と書く。建築設備(3号)は、建築物に設ける電気、ガス、給水、排水、換気、暖房、冷房、消火、排煙若しくは汚物処理の設備又は煙突、昇降機若しくは避雷針だ。建築物に設ける空調・給排水などの設備は、建築設備として、建築物に含まれる。設備の技術基準(換気・排煙・給排水の構造など)は、別のトピックで扱う。

居室(4号)は、居住、執務、作業、集会、娯楽その他これらに類する目的のために継続的に使用する室をいう。条文は部屋名の一覧を挙げない。居室にあたるかは、目的と継続的な使用の両方で読む。居室には、次の3つの数字がかかる。

項目数字条文
天井の高さ床面から測り2.1m以上。異なる部分は平均令21条
採光住宅の居住のための居室は、採光に有効な部分が床面積の7分の1以上法28条1項、令19条3項
換気換気に有効な部分が床面積の20分の1以上法28条2項
採光は、住宅・学校・病院など政令で定める建築物の居室が対象。地階の居室などは除く。照明設備の設置などで割合が緩む(令19条3項ただし書)。換気は、換気設備を設ければ窓は不要。

換気設備の仕組みは換気のトピックで読める。

主要構造部と「防火上主要な間仕切壁」

主要構造部(5号)は、壁、柱、床、はり、屋根、階段をいう。ただし、構造上重要でない間仕切壁、間柱、付け柱、揚げ床、最下階の床、回り舞台の床、小ばり、ひさし、局部的な小階段、屋外階段などは除く。耐火建築物と準耐火建築物は、この主要構造部(耐火建築物では、防火上及び避難上支障がない部分を除いた特定主要構造部)の構造と、外壁の開口部で延焼のおそれのある部分の防火設備などで定まる。主要構造部(耐火建築物では特定主要構造部)の構造は、耐火建築物では耐火構造、準耐火建築物では準耐火構造とするほか、政令の技術的基準に適合する性能で認められる道もある(9号の2・9号の3)。

別の言葉に、令114条2項の「防火上主要な間仕切壁」がある。学校、病院、診療所(患者の収容施設を有しないものを除く)、児童福祉施設等、ホテル、旅館、下宿、寄宿舎、マーケットの当該用途の部分では、これを準耐火構造とし、小屋裏又は天井裏に達せしめる(令112条4項各号のいずれかに該当する部分は、達せしめる対象から除く)。自動スプリンクラー設備等設置部分など、防火上支障がないものとして大臣が定める部分の間仕切壁は、そもそも対象外だ。「構造上重要か」と「防火上主要か」は別の問いだ。同じ間仕切壁でも、どちらの規定が問うのかを分けて読む。

3つの構造 — 守る範囲と、対象の部分が違う

構造性能の中身対象の部分
耐火構造(7号)通常の火災が終了するまでの間、倒壊及び延焼を防止壁、柱、床その他の建築物の部分
準耐火構造(7号の2)通常の火災による延焼を抑制壁、柱、床その他の建築物の部分
防火構造(8号)建築物の周囲で発生する通常の火災による延焼を抑制外壁又は軒裏
法2条のかっこ書き(耐火性能・準耐火性能・防火性能)から。技術的基準は政令で定め、構造方法は大臣が定めるか、大臣の認定による。

条文は理由を書いていないが、定義の言葉からは1つ読める。防火性能は「建築物の周囲において発生する」火災を相手にするので、対象が建築物の外側に面する外壁と軒裏になっている、と読める(当サイトの読み)。

政令の技術的基準には、加熱の時間が書かれている。構造耐力上支障のある変形、溶融、破壊などを生じない時間は、耐火構造では、壁(耐力壁)、柱、床、はりが最上階から数えた階数に応じて1時間から3時間、屋根と階段が30分間(令107条1号)。準耐火構造では、壁、柱、床、はりが45分間、屋根(軒裏を除く)と階段が30分間(令107条の2第1号)。防火構造は、外壁と軒裏について、加熱開始後30分間、屋内に面する面の温度が、接する可燃物が燃焼するおそれのある温度(大臣が定める可燃物燃焼温度)以上に上昇しない(令108条2号)。建築材料では、燃焼しない、防火上有害な変形などを生じない、避難上有害な煙又はガスを発生しない、の3要件(令108条の2各号。外部の仕上げに用いるものは最初の2つ)を、不燃材料は加熱開始後20分間、準不燃材料は10分間(令1条5号)、難燃材料は5分間(6号)満たす。

火に耐える時間の目安(分) 難燃材料準不燃材料不燃材料防火構造準耐火構造耐火構造 5分10分20分30分45分 壁・柱・床・はり 1〜3時間 0204060薄い棒は材料、濃い棒は構造 火に耐える時間の目安(自作の概念図。令108条の2、令1条5号・6号、令108条、令107条の2、令107条にもとづく。測る中身は材料と構造で別なので、長さの比較は目安。準耐火構造と耐火構造は壁・柱・床・はりの値で、屋根と階段は30分間。耐火構造は階数により1時間から3時間)
3つの定義は、語順が似ていて入れ替えやすい。見分ける点は3つ。①守る範囲(火災が終了するまでの倒壊と延焼の防止か、延焼の抑制か)、②対象の部分(外壁又は軒裏か、壁、柱、床その他の部分か)、③火災の範囲(通常の火災か、建築物の周囲で発生する火災か)。防火構造の定義に、屋根や柱は出てこない。

延焼のおそれのある部分(6号)は、隣地境界線、道路中心線、同一敷地内の2以上の建築物相互の外壁間の中心線から、1階は3m以下、2階以上は5m以下の距離にある建築物の部分をいう。同一敷地内の建築物は、延べ面積の合計が500m²以内なら、一の建築物とみなす。防火上有効な公園、広場、川その他の空地又は水面、耐火構造の壁などに面する部分は除く。外壁面と隣地境界線等との角度に応じて大臣が定める部分も除く。

これで、定義の選択肢を「守る範囲・対象の部分・火災の範囲」の3点で照合できる。

数と条文で追う

面積と階数 — 数える言葉

  • 建築面積(令2条1項2号): 建築物(地階で地盤面上1m以下にある部分を除く)の外壁又はこれに代わる柱の中心線で囲まれた部分の水平投影面積。水平投影面積は、平たく言えば真上から見た面積(筆者の言い換え)。軒やひさしの突き出しには細則がある
  • 床面積(3号): 壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積。延べ面積(4号)は各階の床面積の合計
  • 階数(8号): 昇降機塔、装飾塔、物見塔その他これらに類する建築物の屋上部分、又は地階の倉庫、機械室その他これらに類する部分で、水平投影面積の合計がそれぞれ建築面積の八分の一以下のものは算入しない。「それぞれ」とあるので、屋上部分の合計と地階部分の合計を別々に八分の一と比べる(足し合わせない)と読める。たとえば建築面積240m²で、屋上の塔が30m²、地階の倉庫が30m²なら、合算の60m²は30m²を超えるが、それぞれ30m²以下なので、この読みなら、どちらも算入しない。ここで使う水平投影面積の算定方法は、建築面積と同じ(令2条4項)。吹抜きや斜面などで部分ごとに階数が違うときは、最大のもの
  • 地階(令1条2号): 床が地盤面下にあり、床面から地盤面までの高さがその階の天井の高さの三分の一以上のもの
やってみよう ①:塔屋と地階を判定する

(1) 屋上部分を除いて地上5階(地階なし)、建築面積240m²。屋上の昇降機塔(1層)の水平投影面積が(a) 30m²、(b) 36m²のとき、階数は?

240m²の八分の一は30m²。(a) 30m²は「以下」なので算入せず、5階。(b) 36m²は超えるので算入し、6階。

(2) 天井の高さ3.0mの階で、床面から地盤面までが(a) 1.2m、(b) 0.9mのとき、地階か?

3.0mの三分の一は1.0m。(a) 1.2mは以上なので地階。(b) 0.9mは満たず、地階ではない。ちょうど1.0mなら「以上」なので地階だ。

これで、図面の塔屋と地階を、数字で判定できる。

階数を数える意味は、規定が使うところにある。法6条1項2号は「二以上の階数」を境にする。令107条の耐火時間の表は、最上階から数えた階数が大きい階ほど、同じかより長い時間を求める並びだ(理由は条文に書かれていない)。ここで要点がある。表の備考は、令2条1項8号で階数に算入されない屋上部分も最上階に含め、地階は全て算入すると書く。同じ「階数」でも、令2条の算定をそのまま使わない規定がある。備考まで読む。

階数(令2条1項8号)地階(令1条2号) 塔屋地盤面 地盤面 Hh 塔の水平投影面積が建築面積の1/8以下なら階数に算入しない 床から地盤面までの高さ h が天井の高さ Hの1/3以上なら地階 階数と地階の数え方(自作の概念図。令2条1項8号、令1条2号にもとづく。右の図は H を60、h を20に描いた例で、h は H の三分の一)
「以下」「以上」「超える」は、境界の値で結論が変わる。塔屋は八分の一以下(等しくても算入しない)、地階は三分の一以上(等しくても地階)。設問の数字が閾値とぴったり等しいかを、先に確かめる。

延べ面積から外す設備室 — 容積率の話

令2条1項4号のただし書は、法52条1項の延べ面積(容積率の上限の規制に使う延べ面積。最低限度の規制に使うものを除く)には、次の部分の床面積を算入しないと定める。自動車車庫等、専ら防災のための備蓄倉庫、蓄電池(床に据え付けるもの)、自家発電設備、貯水槽、宅配ボックスを設ける部分だ。算入しない面積には限度がある(令2条3項)。敷地内の建築物の各階の床面積の合計に、割合を掛けた面積までだ。自動車車庫等は5分の1、備蓄倉庫と蓄電池は50分の1、自家発電設備・貯水槽・宅配ボックスは100分の1。

例題。各階の床面積の合計が2,400m²で、自家発電設備を設ける部分が30m²のとき。限度は 2,400×1/100=24m²。30m²のうち24m²を除き、6m²は算入する。容積率の上限の規制に使う延べ面積は 2,400−24=2,376m²だ(ほかに除く部分はないとする)。ただし書が「法52条1項の延べ面積」についてのものである点に注意する。6条1項の「延べ面積が200m²を超える」の判定に、この除外を使うとは、条文に書かれていない。

確認申請 — どんな建物に、いつ要るか

建築主(2条16号。工事の請負契約の注文者、又は請負契約によらず自らその工事をする者)が、工事に着手する前に、その計画が建築基準関係規定(建築基準法令の規定と、敷地、構造又は建築設備に関する他の法令の規定で政令が定めるもの)に適合することについて、確認の申請書を提出して建築主事等(建築主事又は建築副主事)の確認を受け、確認済証の交付を受ける(6条1項)。確認済証の交付を受けた後でなければ、工事はできない(8項)。申請の窓口、審査の期限、完了検査の申請の期限(工事が完了した日から4日以内)は、工事の申請書・届出のトピックで扱った。

「建築」(2条13号)は、建築物を新築し、増築し、改築し、又は移転することをいう。6条1項は、確認が要る建築物を3つの号で挙げる。1号・2号の建築物は、建築のほか、大規模の修繕・大規模の模様替でも確認が要り、3号の建築物は、建築だけが対象だ。令和7年4月1日の改正の前後は、次のとおりだ。

区分令和7年3月31日まで令和7年4月1日から
特殊建築物用途部分が200m²超(1号)同じ(1号)
木造3階以上、又は延べ500m²・高さ13m・軒高9mを超える(2号)2階以上、又は延べ200m²超(2号)
木造以外2階以上、又は延べ200m²超(3号)同上(2号)
上記以外都市計画区域等内の建築物(4号)同じ(3号)
1号は別表第一(い)欄の用途で、その部分の床面積の合計。現行の3号は、1号を除く平屋で延べ200m²以下のもの。区域は、知事の指定で除外・追加があり、準景観地区の除外は市町村長の指定による。

6条1項1号の特殊建築物は、別表第一(い)欄に掲げる用途のものに限られ、2条2号の特殊建築物とは範囲が違う。2条2号は工場や倉庫、自動車車庫などを挙げるが、別表第一(い)欄は、(一)劇場等、(二)病院・診療所(患者の収容施設があるもの)・ホテル・旅館・下宿・共同住宅・寄宿舎等、(三)学校・体育館等、(四)百貨店・展示場・遊技場等、(五)倉庫等、(六)自動車車庫・自動車修理工場等の6項だ。2条2号が挙げる一般の「工場」は、この6項にない。(い)欄の条文に「工場」の語が出るのは、(六)の自動車修理工場だけだ。

木造以外(鉄骨造・鉄筋コンクリート造など)では、「2階以上又は延べ200m²超」の数字の線は改正前の3号と同じで、変わっていない。変わったのは木造だ。条文は趣旨を書かないが、比べると見えることがある。改正前の6条の4は、建築士の設計に係る4号の建築物の審査で、建築基準関係規定から政令で定める規定を除いていた。現行の6条の4第1項3号は、同じ扱いを3号の建築物に置く。木造2階建てなどは2号に入り、この扱いの外に出た。いわゆる「4号特例」(法令上の名称ではない通称)の縮小だ。

増築は、増築後に1号・2号の規模になるかで判断する(6条1項かっこ書き)。ただし、防火地域及び準防火地域の外で、増築・改築・移転の部分の床面積の合計が10m²以内なら、1項は適用されない(6条2項)。新築や、大規模の修繕・模様替(主要構造部の一種以上について行う過半の修繕・模様替。2条14号・15号)は、この除外の対象に書かれていない。

やってみよう ②:確認の区分を当てる

都市計画区域内で、特殊建築物ではない建築物を新築する。現行の6条1項では、何号か?

(a) 木造の平屋建て、延べ面積180m²。(b) 木造の2階建て、延べ面積90m²。(c) 鉄骨造の平屋建て、延べ面積210m²。

(a) 平屋で200m²以下。1号・2号にあたらず、都市計画区域内なので3号。(b) 階数が2。木造でも2号(改正前は4号だった)。(c) 延べ面積が200m²を超えるので2号。

これで、建物の階数と延べ面積から、確認の区分を言える。

用途地域 — 13の地域と、48条・別表第二

用途地域は13種類ある。法48条は、第1項から第13項まで1項ずつ、地域ごとに別表第二のどの項を使うかを書く。第14項は、用途地域の指定のない区域(市街化調整区域を除く)を扱う。都市計画法9条は、各地域を何のために定めるかを書く(第一種低層住居専用地域は「低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため」、工業専用地域は「工業の利便を増進するため」)。

48条の書き方は、2通りだ。

  • 第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、田園住居地域(1〜3項・8項): 別表第二の項に掲げる建築物以外は建築してはならない(建てられるものの一覧)
  • 残りの9地域(4〜7項・9〜13項): 別表第二の項に掲げる建築物は建築してはならない(建てられないものの一覧)

列挙の向きが違うと、結論が逆になる。1〜3項・8項の地域では、別表第二の項に書いていない用途は、許可がなければ建てられない。他の9地域では、項に書いていない用途は、この48条の上では建てられる(ほかの法令や条例の制限は別)。

どの項にもただし書があり、特定行政庁(建築主事等を置く市町村では市町村長、その他では都道府県知事。例外あり。2条35号)が許可した場合は例外になる。許可の物差しも、地域ごとに書き分けられている。第一種低層住居専用地域は「良好な住居の環境を害するおそれがない」と認めるとき、工業専用地域は「工業の利便を害するおそれがない」と認めるとき、いずれも公益上やむを得ないと認めるときも含む(1項・13項)。地域の目的に合わせて書き分けたと読める(当サイトの読み)。

具体例。診療所は(い)項八号にあり、第一種低層住居専用地域に建てられる。病院は(い)項になく、第一種中高層住居専用地域の(は)項三号に挙がる。工業地域の(を)項六号は、病院を建築してはならないものに挙げる。工業専用地域の(わ)項は、(を)項に掲げるものに加えて、住宅なども建築してはならないものとする。

これで、ある用途がある地域に建てられるかを、48条の項と別表第二の項から調べられる。

現場とつなぐ

  • 貫通部。 令114条2項の防火上主要な間仕切壁を、給水管、配電管その他の管が貫通するとき、令112条20項が準用され、管と壁のすき間をモルタルその他の不燃材料で埋める(114条5項)。換気・暖房・冷房の風道が貫通するときは、同条21項が準用される。その準用では、21項の「特定防火設備」が、令109条に規定する防火設備で、通常の火災による火熱が加えられた場合に加熱開始後45分間加熱面以外の面に火炎を出さないものとして、大臣が定めた構造方法を用いるもの又は大臣の認定を受けたものに読み替えられる(114条5項後段)。風道が防火区画を貫通するときの規定(令112条21項)は、ダクトと附属品で読める
  • 設備室。 自家発電設備、蓄電池(床に据え付けるもの)、貯水槽を設ける部分は、令2条の限度の範囲で、容積率の延べ面積から外せる。限度は各階の床面積の合計に対する割合なので、設備室を大きくしても、外せる面積は限度で止まる
  • 設計変更。 確認を受けた計画の変更は、国土交通省令で定める軽微な変更を除き、再び確認が要る(6条1項後段)。施行規則3条の2第1項16号は、建築設備の材料、位置又は能力の変更を挙げるが、性能が低下する材料の変更と、能力が減少する変更は除く。さらに、変更後も建築基準関係規定に適合することが明らかなものに限る。空調の能力を下げる変更は、この号では軽微な変更にならない。ほかの号にあたるかは別の話で、設計者と確認の窓口に確かめる

試験での出方とワナ

出題の型

令和8年度の第一次検定は、問題Bの No.13で、建築物の定義と数字に関する4つの記述から、建築基準法上「誤っているもの」を1つ選ばせた。公式は問題に科目名を付けないが、出題の内容から法規と考えられる選択問題の1問だ。

解く手順

  1. 定義の文は、「守る範囲・対象の部分・火災の範囲」を、上の表と照合する
  2. 数字の文は、閾値と「以上」「以下」「超える」を条文と照合する。閾値と等しい場合を先に試す
  3. 区分の文は、基準時点(令和7年4月1日の前後)と、号の数を確かめる

ワナになりやすい点

  • 防火性能・準耐火性能・耐火性能の、対象の部分と守る範囲の入れ替え。防火構造の対象は外壁又は軒裏で、屋根や柱ではない
  • 八分の一以下・三分の一以上・200m²を超える、の境界。ちょうど等しい値の扱いが、条文ごとに違う
  • 改正前の木造の数字(3階以上・500m²)で、現行の区分を答える。設問の基準時点を確かめる
  • 延べ面積から設備室を外す除外は、容積率の延べ面積の話。確認の区分の判定には、条文が使うと書いていない

冒頭の問いの答え合わせ

  • 塔屋。 水平投影面積の合計が建築面積の八分の一以下なら階数に算入しない。外から6階に見えても、法律上は5階。八分の一を超えれば、6階になる
  • 地階。 床が地盤面下にあり、床面から地盤面までの高さが天井の高さの三分の一以上なら地階。等しくても地階
  • 居室。 居住、執務、作業、集会、娯楽などの目的で継続的に使う室。天井は床面から測って2.1m以上、異なる部分は平均
  • 確認申請。 現行は、二以上の階数を有するか延べ面積が200m²を超えれば、木造かどうかを問わず2号。平屋で200m²以下は、都市計画区域内なら3号。着工の前に確認済証が要る

答え合わせは、理解度チェックの問5(階数)・問6(地階)・問9(確認の区分)でしてみよう。

次の問い

建築物の中に設ける設備にも、建築基準法の技術基準がある。給水・排水、換気、排煙などの設備は、どんな建物に、どんな基準が課されるのか。建築設備の技術基準は、別のトピックで扱う。

出題者のワナ — ここで受験者を転ばせにくる

この論点は、知っているだけでは足をすくわれる。試験でよく仕掛けられる崩し方を、先に知っておこう。

  1. 耐火・準耐火・防火の定義を、対象の部分や守る範囲を入れ替えて覚える

    なぜ引っかかる3つの定義は「通常の火災」「延焼」「必要とされる性能」と、似た言葉で組み立てられている。防火構造は外壁又は軒裏、耐火構造は火災が終了するまでの倒壊と延焼の防止、と部品を入れ替えても、文として自然に読めてしまう

    見破り方定義を、①守る範囲(倒壊まで/延焼の抑制)②対象の部分(外壁又は軒裏/壁、柱、床その他の部分)③火災の範囲(火災が終了するまで/建築物の周囲で発生する火災)の3点で表と照合する。対象の部分がすり替わっていないかを先に見る

  2. 八分の一・三分の一・200m²の閾値で、「以下」「以上」「超える」を読み違える

    なぜ引っかかる塔屋は八分の一「以下」なら算入せず、地階は三分の一「以上」、確認は200m²を「超える」と、等しいときの扱いが条文ごとに違う。数字を覚えても、境界の値で迷う

    見破り方設問の数字が閾値とちょうど等しいかを先に確かめる。八分の一以下は等しくても算入しない、三分の一以上は等しくても地階、200m²を超えるは200m²ちょうどなら含まれない。6条2項の10m²以内は、10m²ちょうども含む

  3. 確認が要る区分を、令和7年3月31日までの文(木造は3階以上・500m²など)で答える

    なぜ引っかかる改正前の6条1項は、木造と木造以外で2号・3号に分かれ、都市計画区域内の小規模な建築物は4号だった。改正後は2号・3号に整理されたので、古い解説書の号の数と合わない

    見破り方設問に基準時点(令和7年4月1日の改正後か)が書かれているか、号が3つか4つかを見る。現行は、二以上の階数を有するか延べ面積が200m²を超えるものが、木造かどうかを問わず2号

  4. 延べ面積を一つの数字と思い込み、容積率で除く設備室の床面積を、ほかの規定の判定にも使う

    なぜ引っかかる令2条1項4号は延べ面積を各階の床面積の合計とし、ただし書で、法52条1項の延べ面積には自家発電設備や貯水槽などを設ける部分の床面積を算入しないと定める。除外は容積率の規定として書かれている

    見破り方「延べ面積」が出たら、どの規定の延べ面積かを確かめる。除外できるのは、設備室の床面積のうち、各階の床面積の合計に割合(自家発電設備・貯水槽は100分の1、蓄電池は50分の1)を掛けた面積までだ

参考文献・出典

理解度チェック(12問)

このトピックの内容がどれくらい身についたか、12問で確認しよう。 内訳は基本4問・応用5問・ひっかけ3問。基本が解けたら、条件を足した応用と、本番で足をすくいにくるひっかけまで踏み込む。

/ 12 問正解

覚えておきたいポイント

  1. 建築物は、土地に定着する工作物のうち屋根及び柱若しくは壁を有するものなどをいい、建築設備を含む(法2条1号)。居室は、居住、執務、作業、集会、娯楽その他これらに類する目的のために継続的に使用する室(4号)。居室の天井の高さは2.1m以上で、一室で高さの異なる部分があるときは平均の高さによる(令21条)
  2. 耐火構造と準耐火構造は壁、柱、床その他の建築物の部分の構造、防火構造は建築物の外壁又は軒裏の構造(法2条7号・7号の2・8号)。耐火性能は通常の火災が終了するまでの倒壊及び延焼の防止、準耐火性能は通常の火災による延焼の抑制、防火性能は建築物の周囲で発生する通常の火災による延焼の抑制。不燃材料は加熱開始後20分間、準不燃材料は10分間、難燃材料は5分間(令108条の2、令1条5号・6号)
  3. 階数には、昇降機塔等の屋上部分や地階の倉庫・機械室等で、水平投影面積の合計がそれぞれ建築面積の八分の一以下のもの(「それぞれ」とあり、屋上部分と地階部分は別々に比べる読み)を算入しない(令2条1項8号)。地階は、床が地盤面下にあり、床面から地盤面までの高さがその階の天井の高さの三分の一以上の階(令1条2号)
  4. 確認(令和7年4月1日施行の改正後の法6条1項)は、1号 別表第一(い)欄の特殊建築物で用途部分の床面積の合計が200m²を超えるもの、2号 前号を除き二以上の階数を有し又は延べ面積が200m²を超えるもの、3号 前二号を除き都市計画区域等内の建築物。工事に着手する前に確認済証の交付を受ける。防火地域及び準防火地域外の増築・改築・移転で、その部分の床面積の合計が10m²以内なら適用しない(6条2項)
  5. 用途地域は13種類で、法48条1〜13項が地域ごとに別表第二の項を指す。第一種・第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、田園住居地域は、掲げる建築物以外は建築してはならない。他の9地域は、掲げる建築物は建築してはならない。いずれもただし書で、特定行政庁の許可による例外がある
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