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法規 ・ 9 / 13

建築基準法②(建築設備)— 風道・配管・冷却塔・非常用の設備を、条文の型で読む

読み終えると、こうなる

設備図の一行を見たとき、それが令のどの条のどの号に当たり、何を満たせば足りるのかを、条文の言葉に戻して言えるようになる

  • 建物の階数・地階の居室・延べ面積から、換気・暖房・冷房の設備の風道(空気を送るダクト)を不燃材料で造る対象かどうかを、令129条の2の4第1項第六号の三つの条件(どれか一つで足りる)で判定できる
  • 飲料水の配管設備について、他の配管設備との直接連結の禁止、逆流防止の措置、給水タンクの構造、防凍の定めを、令129条の2の4第2項の号ごとに言い分けられる
  • 冷却塔設備(地階を除く階数11以上の屋上)、非常用の照明装置、非常用の進入口、避雷設備、非常用の昇降機について、条文が線を引く数字と「以上・以下・超える」を取り違えずに答えられる
  • 令に予備電源の設置が書かれている主な設備(非常用の照明装置の第一号の構造・電源を必要とする排煙設備・非常用エレベーター)を挙げ、令の本文に数値がなく国土交通大臣の定めに委ねられている事項と区別できる
考えてみよう

たとえば、地上12階、地階なし、延べ面積2,800m²の事務所ビルの設備を考える(避難階などの細かい除外は考えない)。設備図を前に、3つの問いが立つ。

(1) 空調の風道(空気を送るダクト)は、不燃材料で造らなければならないか。延べ面積は3,000m²に届いていない。 (2) 屋上に、冷房用の冷却塔を載せる。冷却塔に、建築基準法の規定はかかるか。 (3) 廊下と事務室に、非常用の照明装置は要るか。

答えを決めるのは、条文が線を引く数字と、条件のつなぎ方(「いずれか」か「かつ」か)だ。読み終えるころには、設備図の一行を、令のどの条のどの号に当たるかに戻して答えられる。

まず一言で

建築設備の基準は、三層でできている。

  • 法(建築基準法)が、設けることや従うべき筋道を述べる。たとえば法33条は、高さ20mを超える建築物に避雷設備を設けるよう求める
  • 令(建築基準法施行令)が、対象と構造を、数字と言葉で書く。法36条は、配管設備・避雷設備・昇降機などの技術的基準を政令で定めるとしている
  • 国土交通大臣の定め(構造方法の定めや認定)が、さらに細かい基準を持つ。令には「国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたもの」という言い回しが何度も出てくる

令の条文にある数字(階数3以上、延べ面積3,000m²超、階数11以上、高さ20m・31m)と、条件のつなぎ方が、1か所ずれると誤りの記述になる。

このトピックは、配管設備と風道(令129条の2の4)、換気設備の構造の骨格(129条の2の5)、冷却塔設備(129条の2の6)、非常用の照明装置と進入口、避雷設備、非常用の昇降機を扱う。建築物の定義と確認申請の対象は、別のトピックで扱う。排煙設備の仕組みと数値、国土交通大臣の定めの細目は、ここでは扱わない。

建築設備とは、どこまでか

建築基準法2条三号は、建築設備を「建築物に設ける電気、ガス、給水、排水、換気、暖房、冷房、消火、排煙若しくは汚物処理の設備又は煙突、昇降機若しくは避雷針」と定義している。

設備の基準は、法の本文にも点在する。このトピックで使う条は次のとおりだ。

  • 法31条(便所) 下水道法の処理区域内の便所は、水洗便所(汚水管が公共下水道に連結されたもの)以外としてはならない。終末処理場を有する公共下水道以外に放流するときは、屎尿浄化槽を設ける
  • 法32条(電気設備) 建築物の電気設備は、法律又はこれに基づく命令の規定で、電気工作物に係る建築物の安全及び防火に関するものの定める工法によって設ける。この条には、工法の細目は書かれていない
  • 法33条(避雷設備) 高さ20mを超える建築物には、有効に避雷設備を設ける。ただし、周囲の状況によって安全上支障がない場合は、この限りでない
  • 法34条(昇降機) 昇降機は安全な構造で、昇降路の周壁及び開口部は防火上支障がない構造とする。第2項で、高さ31mを超える建築物(政令で定めるものを除く)には、非常用の昇降機を設ける

配管設備と風道 — 令129条の2の4を項と号で読む

令129条の2の4の見出しは「給水、排水その他の配管設備の設置及び構造」だ。第1項が配管設備一般、第2項が飲料水の配管設備、第3項が排水のための配管設備の基準になっている。ところが第1項の第六号には、換気・暖房・冷房の風道が入っている。見出しだけで探すと、風道の規定を見落とす。

風道を不燃材料で造る対象(第1項第六号)

第六号は、次の三つの建築物に設ける、換気、暖房又は冷房の設備の風道と、ダストシュート、メールシュート、リネンシュートその他これらに類するものを、不燃材料で造るよう求める。屋外に面する部分その他防火上支障がないものとして国土交通大臣が定める部分は除く。

  • 地階を除く階数が3以上である建築物
  • 地階に居室を有する建築物
  • 延べ面積が3,000m²を超える建築物

この三つは「又は」でつながっている。どれか一つに当たれば足りる。階数には地階を数えない。延べ面積は、ちょうど3,000m²なら「超える」に当たらない。

風道の不燃化:条件のどれか一つ 地階を除く 階数が3以上 地階に居室を有する 延べ面積が 3,000m²を超える 風道など 不燃材料で造る 一つに当たれば足りる(全部は要らない) 屋外に面する部分など、大臣が定める部分は除く 風道の不燃化の対象(自作の概念図。令129条の2の4第1項第六号にもとづく)

なぜ風道を不燃材料にするのか。条文は理由を書いていない。当サイトの読みでは、風道やシュートは建物の中を縦横に通る空洞なので、可燃材料だと火や煙の通り道になりうる。三つの条件は、そうなったときの被害が大きくなりやすい建築物の目印と読める。条文の趣旨ではなく、筆者の読みだ。

風道には、別の条からも材料の定めがかかる。機械換気設備の風道は、空気を汚染するおそれのない材料で造る(129条の2の5第2項第五号。換気設備を設けるべき調理室等は除く)。第六号の不燃材料の定め(屋外に面する部分などは除く)は、三条件のどれかに当たる建築物の風道に、空気を汚染しない材料の定めは、機械換気設備の風道に、別々の条でかかる。排煙設備の風道にも、不燃材料の定めが別にある(126条の3第1項第二号。排煙機を設ける排煙設備の定めで、同条第2項に適用除外がある)。

やってみよう ①:風道は不燃材料か

屋外に面する部分など、大臣が定める部分は考えない。次の5棟のうち、風道を不燃材料で造る対象はどれか。

(a) 地上2階、地階なし、延べ面積2,900m² → 対象外。どの条件にも当たらない。 (b) 地上2階、地階に居室あり、延べ面積600m² → 対象。地階に居室を有する。 (c) 地上3階、地階なし、延べ面積800m² → 対象。地階を除く階数が3以上。 (d) 平屋、地階なし、延べ面積3,000m² → 対象外。ちょうど3,000m²は「超える」に当たらない。 (e) 平屋、地階なし、延べ面積3,001m² → 対象。

小さな建物でも、地階に居室があれば対象になる。

配管が防火区画を貫通するとき(第1項第七号)

給水管、配電管その他の管が、令に定める防火区画等(準耐火構造の防火区画、防火壁、防火床、界壁、間仕切壁、隔壁)を貫通する場合、管の構造は次のイからハのいずれかに適合させる。

  • イ 貫通する部分と、そこから両側それぞれ1m以内の部分を、不燃材料で造る
  • ロ 管の外径が、用途・材質などに応じて国土交通大臣が定める数値未満である
  • ハ 通常の火災による火熱が加えられても、加熱側の反対側に火炎を出す原因となる亀裂などを生じないものとして、国土交通大臣の認定を受けたもの(加熱開始後20分間。区画の種類により1時間又は45分間)

ただし書で、1時間準耐火基準に適合する床・壁や特定防火設備で区画されたパイプシャフト、パイプダクトなどの中にある部分は、この限りでない。貫通部のすき間は、令112条20項が、モルタルその他の不燃材料で埋めるよう定める(20項が直接かかるのは準耐火構造の防火区画。防火壁・防火床は113条2項、界壁・間仕切壁・隔壁は114条5項が準用する)。風道が防火区画を貫通する場合は、21項が別に定める(準用される相手は20項と同じ。大臣が防火上支障がないと認めて指定する場合は除かれる)。風道のほうはダクトのトピックで扱った。

飲料水の配管設備(第2項)

第2項は、飲料水の配管設備(水道法3条9項の給水装置に当たるものを除く)に、第1項に加えて次を課す。

  • 一 飲料水の配管設備(これと給水系統を同じくする配管設備を含む)とその他の配管設備とは、直接連結させない
  • 二 水槽、流しその他水を入れ又は受ける設備に給水する水栓の開口部は、あふれ面と水栓の開口部との垂直距離を適当に保つなど、有効な水の逆流防止のための措置を講ずる
  • 三 構造は、漏水しないこと、溶出する物質で汚染されないことの基準に適合するものとして、大臣が定めた構造方法を用いるもの又は大臣の認定を受けたものとする
  • 四 給水管の凍結による破壊のおそれのある部分には、有効な防凍のための措置を講ずる
  • 五 給水タンク及び貯水タンクは、ほこりその他衛生上有害なものが入らない構造とし、金属製のものは、有効なさび止めのための措置を講ずる
  • 六 ほかに、安全上及び衛生上支障のないものとして大臣が定めた構造方法を用いる

なぜ直接連結させないのか。条文は第一号の理由を書いていない。第二号は措置の目的を「有効な水の逆流防止」と書いている。飲料水の系統に、ほかの系統の水が入る経路を作らない、というのが当サイトの読みだ。

第二号の「適当に保つ」に、数値はない。第六号が、ほかの安全上・衛生上の基準を大臣が定めた構造方法に委ねているので、細目はそちらにあるかもしれないが、大臣の定めの原文は、このトピックでは確認していない。令の文言だけを根拠に答えるときは、設問の数値が令に出ているかを先に確かめる。

排水のための配管設備(第3項)

第3項は、排水のための配管設備に、次を課す。

  • 排出する雨水又は汚水の量と水質に応じ、有効な容量、傾斜及び材質を有する(第一号)
  • 排水トラップ、通気管等を設置する等、衛生上必要な措置を講ずる(第二号)
  • 末端は、公共下水道、都市下水路その他の排水施設に排水上有効に連結する(第三号)
  • 汚水に接する部分は、不浸透質の耐水材料で造る(第四号)
  • ほかに、安全上及び衛生上支障のないものとして大臣が定めた構造方法を用いる(第五号)
やってみよう ②:○か×か

(a) 飲料水の配管設備は、逆止弁を介せば、その他の配管設備と連結してよい。 → ×。第2項第一号は、直接連結させないと定める。逆止弁を介した連結を認める定めは、この号にない。

(b) 給水タンクのさび止めは、金属製のタンクについて求められる。 → ○。第五号のとおり。

(c) 水栓の開口部とあふれ面の垂直距離は、令の本文に数値で書かれている。 → ×。「適当に保つ」とあるだけで、数値は本文にない。

これで、令129条の2の4の風道・貫通・飲料水・排水の4つを読み分けられる。第1項の第一〜五号・第八号(腐食防止、昇降路内の禁止、圧力タンク等の安全装置、ガス配管など)は、ここでは扱わない。

換気設備 — 骨格だけ(令129条の2の5)

換気設備の中身は、換気のトピックで扱った。ここでは、令129条の2の5が三つの設備を項で分けていることだけを押さえる。この条の「建築物」からは、換気設備を設けるべき調理室等が除かれている(第1項のかっこ書き。調理室等は令20条の3が定める)。

  • 第1項 自然換気設備(給気口は居室の天井の高さの2分の1以下の高さ、排気口は給気口より高い位置、など)
  • 第2項 機械換気設備(風道は空気を汚染するおそれのない材料で造る、など)
  • 第3項 中央管理方式の空気調和設備(居室の空気を表の基準におおむね適合させる性能)
事項基準
浮遊粉じんの量空気1m³につき0.15mg以下
一酸化炭素の含有率100万分の6以下
炭酸ガスの含有率100万分の1,000以下
温度18度以上28度以下(外気より低くするときは、差を著しくしない)
相対湿度40%以上70%以下
気流1秒間につき0.5m以下
居室における値。令129条の2の5第3項の表。

令20条の2第二号は、法34条2項に規定する建築物又は各構えの床面積の合計が1,000m²を超える地下街に設ける機械換気設備(一の居室のみに係るものを除く)又は中央管理方式の空気調和設備について、制御と作動状態の監視を中央管理室で行えるものとするよう求める。

冷却塔設備 — 令129条の2の6

地階を除く階数が11以上の建築物の屋上に設ける、冷房のための冷却塔設備の設置及び構造は、次のいずれかとする(令129条の2の6第1項)。

  • 一 主要な部分を不燃材料で造るか、防火上支障がないものとして大臣が定めた構造方法を用いる
  • 二 冷却塔の構造に応じ、建築物の他の部分までの距離を、大臣が定める距離以上とする
  • 三 内部が燃焼した場合でも、建築物の他の部分を大臣が定める温度以上に上昇させないものとして、大臣の認定を受ける

ここでも「いずれか」だ。階数は地階を除くので、地上10階・地下2階は対象にならない。冷却塔の仕組みは空調機・冷却塔のトピックで扱った。条文は、この規定の理由を書いていない。

避難と消防活動を支える設備、避雷設備

非常用の照明装置(令126条の4・5)

設置の対象は、法別表第一(い)欄(一)項から(四)項までの特殊建築物の居室、階数が3以上で延べ面積が500m²を超える建築物の居室、採光に有効な窓などの面積の合計が床面積の20分の1に満たない居室(令116条の2第1項第一号)、延べ面積が1,000m²を超える建築物の居室と、これらの居室から地上に通ずる廊下・階段などの通路(採光上有効に直接外気に開放された通路を除く)、これらに類する建築物の部分で照明装置の設置を通常要する部分だ。一戸建の住宅、長屋・共同住宅の住戸、病院の病室、学校等(幼保連携型認定こども園を除く学校、体育館、ボーリング場など。令126条の2第1項ただし書第二号)などは除かれる。

構造は、令126条の5第1項第一号が定める。直接照明とし、床面において1ルクス以上の照度を確保すること(イ)。火災時に温度が上昇しても著しく光度が低下しない器具を、大臣が定めた構造方法で用いること(ロ)。予備電源を設けること(ハ)。第二号は、火災時において「停電した場合に自動的に点灯し」床面で1ルクス以上の照度を確保できるものとして、大臣の認定を受けたものも認めている。

非常用の進入口(令126条の6・7)

建築物の高さ31m以下の部分にある3階以上の階には、非常用の進入口を設ける(不燃性の物品の保管に供する階などは、かっこ書きで除かれる)。ただし、令129条の13の3に適合するエレベーターを設置している場合や、道などに面する外壁面に、一定の窓などを壁面の長さ10m以内ごとに設けている場合などは、この限りでない。構造は、間隔が40m以下、幅75cm以上、高さ1.2m以上、下端の床面からの高さが80cm以下、奥行き1m以上・長さ4m以上のバルコニーを設ける、などと定められている。

避雷設備と非常用の昇降機

避雷設備は、建築物の高さ20mを超える部分を雷撃から保護するように設ける(令129条の14)。構造は、雷撃による電流を建築物に被害を及ぼすことなく安全に地中に流すことができるものとして、大臣が定めた構造方法を用いるもの又は認定を受けたものとし、雨水等により腐食のおそれのある部分は、腐食しにくい材料を用いるか腐食防止の措置を講じる(令129条の15)。

非常用の昇降機は、法34条2項により高さ31mを超える建築物に設ける。令129条の13の3は、非常用エレベーターに予備電源を設けることを求め(第10項)、乗降ロビーにも予備電源を有する照明設備を設けることを求める(第3項第六号)。

0m 20m 31m 非常用の昇降機: 建築物が31mを超える 避雷設備: 20mを超える部分を保護 非常用の進入口: 31m以下の部分にある 3階以上の階 高さで引かれる線(自作の概念図。法33条・34条2項、令126条の6・129条の14にもとづく。ただし書や政令の除外は省く。縮尺は概略で、右の括弧は、横線でつないだ設備の範囲。進入口の括弧は3階の床のおよその位置まで)
設備条文線を引く数字
風道(換気・暖房・冷房)令129条の2の4第1項六号地階を除く階数3以上/地階に居室/延べ3,000m²超
冷却塔設備(屋上)令129条の2の6地階を除く階数11以上
非常用の照明装置令126条の4階数3以上かつ延べ500m²超、延べ1,000m²超ほか
非常用の進入口令126条の6・731m以下の部分の3階以上、間隔40m以下
避雷設備法33条高さ20m超
非常用の昇降機法34条2項高さ31m超
数字は各条文の抜粋。例外やかっこ書きは本文で。

これで、階数や高さの数字を見て、どの設備の規定がかかるかを言い当てられる。

やってみよう ③:高さ25m・地上7階の事務所ビル

高さ25m、地上7階、延べ面積2,000m²の事務所ビル。ただし書や政令の除外は、原則どおりに考える。

(1) 避雷設備は? 高さ20mを超えるので、法33条により設ける。ただし、周囲の状況によって安全上支障がない場合は、この限りでない。 (2) 非常用の昇降機は? 31mを超えないので、法34条2項の対象外。 (3) 非常用の進入口は? 31m以下の部分にある3階以上の階なので、原則として設ける。外壁面に窓などを10m以内ごとに設けている場合などは、除かれる。 (4) 非常用の照明装置は? 階数が3以上で延べ面積が500m²を超えるので、居室とそこから地上に通ずる廊下・階段などに設ける。

なぜ20mと31mなのか。条文は理由を書いていない。数字そのものの理由は確認できていないので、「何を超えると」「どの部分に」を言葉で一緒に覚える。

現場とつなぐ — 電材とつながる4つの場所

建築設備の条文には、電設資材につながる場所がある。条文が書いていることと、当サイトの整理を分けて並べる。

  • 配電管と防火区画 令129条の2の4第1項第七号は、防火区画等を貫通する管の例として、給水管と並べて配電管を挙げている
  • 予備電源 令の本則で「予備電源」が出てくる条は、避難階段・特別避難階段の構造(123条)、排煙設備(126条の3第1項第十号。電源を必要とするもの)、非常用の照明装置(126条の5。書かれているのは第一号の構造で、第二号の認定の構造には書かれていない)、非常用の昇降機(129条の13の3)の4つだった(当サイトで全条を走査した結果)。令の本文は予備電源を設けると書くだけで、種類や容量は書いていない。非常用の照明装置と誘導灯が別の法律に基づくことは、別ガイドの非常照明・誘導灯の選び方が整理している
  • 電気設備 法32条は、電気設備を、法律又はこれに基づく命令の規定で電気工作物に係る建築物の安全及び防火に関するものの定める工法で設けるよう求める。工法の細目は、この条には書かれていない
  • 避雷設備 令129条の15は、雷撃による電流を安全に地中に流せる構造を求める。電流を地中へ流す設備なので、接地が関わる、というのが当サイトの読みだ

試験での出方とワナ

令和8年度の問題B No.14は、建築設備に関する4つの記述から、建築基準法上誤っているものを選ぶ形だった。記述は、換気設備の構造や風道に関する主題から作られ、風道の不燃材料(このトピックの延べ面積の条件)もその一つだった。

解くときは、次の順で確かめる。

  1. 設備の名前から、条を特定する(見出しが配管設備でも、風道が入っていることがある)
  2. 数字の直後の語を読む(「以上」「以下」「超える」「未満」)。数える対象も確かめる(地階を除く階数、31m以下の部分)
  3. 「いずれか」と「すべて」、「のみ」「限り」などの限定語を探す
  4. 令の条文を根拠にした数値は、令に出ているかを確かめる。令にない規定は、法や国土交通大臣の定めにある場合がある。令にないだけで誤りと決めない(このトピックでは大臣の定めの原文を確認していない)

このトピックで扱った設備を、条と数字で言えるようにしておくと、問われる設備が変わっても使える。

冒頭の問いの答え合わせ

地上12階、地階なし、延べ面積2,800m²の事務所ビル。

  • (1) 風道 延べ面積は3,000m²に届いていないが、地階を除く階数が3以上に当たる。三つの条件は「又は」なので、一つで足りる。風道は不燃材料で造る(屋外に面する部分など、大臣が定める部分を除く)
  • (2) 冷却塔 地階を除く階数が11以上に当たる。冷房のための冷却塔設備は、令129条の2の6の第一号から第三号のいずれかとする
  • (3) 非常用の照明装置 階数が3以上で延べ面積が500m²を超えるので、居室とそこから地上に通ずる廊下・階段などに設ける。ただし、令126条の4第1項のただし書や、通路のかっこ書きの除外に当たるものは別

答え合わせは、理解度チェックの問2・3・8・9・12でしてみよう。

次の問い

天井に並ぶ非常用の照明装置と、緑色の誘導灯。見た目は似ているが、設置を求める法律は同じだろうか。スプリンクラー設備のように、建築基準法ではなく消防法が求める設備は、何を基準に設置の対象が決まるのか。その答えは、消防法を扱う別のトピックで読む。

出題者のワナ — ここで受験者を転ばせにくる

この論点は、知っているだけでは足をすくわれる。試験でよく仕掛けられる崩し方を、先に知っておこう。

  1. 風道を不燃材料で造る三つの条件を、「全部そろったときだけ」と読む

    なぜ引っかかる「階数が3以上」「地階に居室」「延べ面積が3,000m²を超える」と数字が並ぶと、すべてを満たす条件に見える。条文は、三つを「又は」でつないでいる

    見破り方令129条の2の4第1項第六号の並びは「…である建築物、…を有する建築物又は…を超える建築物」。一つでも当たれば足りる。設問が「延べ面積が3,000m²を超えるが階数は2」のような一つだけの建物を出したら、他の条件を探さず、当たる条件が一つあるかを見る

  2. 「以上」「以下」「超える」「未満」と、数える対象(地階を除く階数、31m以下の部分)を取り違える

    なぜ引っかかる階数11以上、延べ面積3,000m²を超える、高さ20mを超える、31m以下の部分、床面から80cm以下と、似た形の数字が並ぶ。地階を数えるかどうかでも答えが変わる

    見破り方数字の直後の語を読む。冷却塔設備は地階を除く階数が11以上、避雷設備は高さが20mを超える(ちょうど20mは含まない)、非常用の昇降機は31mを超える、非常用の進入口は31m以下の部分の3階以上の階。地上10階・地下2階は、冷却塔設備の対象にならない

  3. 令に数値が書かれていない事項に、数値があるつもりで答える

    なぜ引っかかる水栓のあふれ面との垂直距離は「適当に保つ」、予備電源の種類は「予備電源を設ける」とあるだけ。令に書かれていない数値を、令が定めているかのように述べる記述は、令の本文とは合わない。細目があるとしても本文の外(大臣の定めなど)にある。令に書かれていないことだけを理由に、記述を誤りと決めることもできない

    見破り方設問が令の条文を根拠に数値を述べていたら、その数値が本文に出ているかを先に確かめる。令129条の2の4第2項第二号は「適当に保つ」と書くだけで数値を置かない。同項第六号と126条の5第1項第一号のニは、大臣が定めた構造方法に委ねる書き方になっている

  4. 見出しだけで条を探し、別の条にある規定を落とす

    なぜ引っかかる令129条の2の4の見出しは配管設備だが、第1項の第六号には風道が入っている。排煙機を設ける排煙設備の風道には、126条の3第1項第二号にも不燃材料の定めがある(同条第2項に適用除外がある)。換気設備の風道には、第六号の三条件のどれかに当たる建築物なら不燃材料の定め(129条の2の4。屋外に面する部分などは除く)が、機械換気設備なら空気を汚染するおそれのない材料の定め(129条の2の5第2項第五号。換気設備を設けるべき調理室等は除く)が、別々にかかる

    見破り方設備の名前(風道、冷却塔、給水タンク)から探し、見出しが違っても同じ設備の規定が別の条にないかを確かめる。一つの設備に複数の条が掛かる場合は、設問がどの条の話をしているかを先に決める

参考文献・出典

  • 建築基準法(e-Gov法令検索) (2条三号(建築設備の定義)、31条(便所)、32条(電気設備)、33条(避雷設備)、34条(昇降機)、36条(政令への委任)、別表第一(い)欄(引用のみ。中身は未確認)。令和8年5月27日施行の版。2026年11月4日取得)
  • 建築基準法施行令(e-Gov法令検索) (20条の2(換気設備の技術的基準)、112条20・21項と113条2項・114条5項(管・風道の防火区画貫通)、116条の2第1項第一号(窓などを有しない居室)、123条(予備電源の記述のみ)、126条の2第1項ただし書第二号(学校等)、126条の3(第1項第二号の風道と第十号の予備電源、第2項の適用除外)、126条の4〜126条の7(非常用の照明装置・進入口)、129条の2の4(配管設備)、129条の2の5(換気設備)、129条の2の6(冷却塔設備)、129条の13の3(非常用の昇降機)、129条の14・129条の15(避雷設備)。令和8年11月1日施行の版。2026年11月4日取得)
  • 令和8年度 1級管工事施工管理技術検定「第一次検定」試験問題B(全国建設研修センター) (No.14(建築設備に関する出題)。出題の範囲と形式の確認に使った。本トピックの問題・解説は原文の転載ではなく、条文から作成したオリジナル)

理解度チェック(12問)

このトピックの内容がどれくらい身についたか、12問で確認しよう。 内訳は基本3問・応用5問・ひっかけ4問。基本が解けたら、条件を足した応用と、本番で足をすくいにくるひっかけまで踏み込む。

/ 12 問正解

覚えておきたいポイント

  1. 建築設備とは、建築物に設ける電気、ガス、給水、排水、換気、暖房、冷房、消火、排煙若しくは汚物処理の設備又は煙突、昇降機若しくは避雷針をいう(建築基準法2条三号)。技術的基準は、法が設置や筋道を述べ、令が対象と構造を書き、細部は国土交通大臣が定めた構造方法や認定に委ねる三層で読む
  2. 換気、暖房又は冷房の設備の風道とダストシュート等は、地階を除く階数が3以上、地階に居室を有する、延べ面積が3,000m²を超える、のいずれかの建築物で不燃材料で造る。屋外に面する部分など大臣が定める部分は除く(令129条の2の4第1項第六号)。三つ全部を満たす必要はない
  3. 給水管、配電管その他の管が防火区画等を貫通する場合、管の構造はイ(貫通部と両側1m以内を不燃材料)、ロ(外径が大臣の定める数値未満)、ハ(大臣の認定)のいずれか。パイプシャフト等の中にある部分にはただし書がある(同項第七号)
  4. 飲料水の配管設備(水道法3条9項の給水装置に当たるものを除く)は、その他の配管設備と直接連結させない。水栓の開口部とあふれ面の垂直距離は「適当に保つ」とあるだけで数値は令にない。給水タンク及び貯水タンクは、ほこりその他衛生上有害なものが入らない構造とし、金属製は有効なさび止めを講ずる(同条第2項)。排水は、汚水に接する部分を不浸透質の耐水材料で造る(第3項)
  5. 地階を除く階数が11以上の建築物の屋上に設ける冷房のための冷却塔設備は、主要な部分を不燃材料で造る等、距離の確保、認定のいずれかとする(令129条の2の6)
  6. 高さ20mを超える建築物に避雷設備(法33条)、高さ31mを超える建築物に非常用の昇降機(法34条2項)。非常用の進入口は31m以下の部分にある3階以上の階が対象(令126条の6)。非常用の照明装置は、直接照明、床面1ルクス以上、予備電源(令126条の5第1項第一号)
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