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法規 ・ 10 / 13

消防法 — スプリンクラー設備は、どの部品が、どの数字で決まるのか

読み終えると、こうなる

消火設備の系統図や仕様書を見たとき、「この部品の数字は条文のどこにあるか」「この工事は誰の資格と届出が要るか」を、令・規則の条文から確かめられるようになる

  • 閉鎖型の標準型ヘッドを用いるスプリンクラー設備の水源量を、階数、ヘッドの設置個数、流水検知装置の方式(湿式・乾式・予作動式)から、規則13条の6の個数と1.6立方メートルで計算できる
  • 屋内消火栓設備の設置義務が生じる延べ面積を、別表第一の用途と、耐火構造・内装の条件による倍読み(2倍、3倍。令12条1項1号の防火対象物を除く)から求められる
  • 「スプリンクラー設備に関する記述のうち消防法上誤っているもの」の肢を、ヘッド・弁・加圧送水装置・送水口・補助散水栓・非常電源に分け、条文の数字と照らして判定できる
  • 消防設備士でなければ行えない工事の範囲(電源・水源・配管を除く部分)と、着工届・設置届の届出人と期限を、条文を挙げて説明できる
考えてみよう

たとえば、あなたは管工事の施工管理者だ。消火設備の系統図には、天井のスプリンクラーヘッド、配管の末端の弁、地上の送水口、「消火用散水栓」と書いた箱が並ぶ。どれも水に関わる部品だが、法令は部品ごとに別の数字を置いている。

この図を前に、3つの問いが立つ。①配管の末端の弁は、どのスプリンクラー設備に付くのか。②非常電源から先の配線は、令36条の2が消防設備士の工事から除く電源の部分に入るのか。③工事の前と後に、誰が、いつまでに、どこへ届け出るのか。読み終えるころには、①と③は条文の番号つきで答えられ、②は条文が言える範囲を見分けられる。

まず一言で

スプリンクラー設備の問題は、「どの部品の話か」を先に決めると読める。

  • 法令は3段で読む。消防法(法)は、防火対象物の関係者に消防用設備等の設置と維持を求める(17条1項)。施行令(令)が設備の種類、設置義務の面積・階数、技術基準の骨格を定め、施行規則(規則)が細目を定める
  • 部品の要点は3つ。閉鎖型ヘッドの設備には末端試験弁がある。乾式・予作動式には1分以内の放水の定めがある。加圧送水装置は、ヘッドの放水圧力が1MPaを超えない措置をとる(規則14条1項。放水型ヘッド等を用いる設備は同条2項で別)
  • 工事は、屋内消火栓設備やスプリンクラー設備では電源・水源・配管の部分を除いて、消防設備士でなければ行えない(令36条の2)。着工届は甲種消防設備士が着手の10日前まで、設置届は令35条の防火対象物の関係者が完了から4日以内に出す

条文は2026年11月4日にe-Govから取得した現行版(消防法は2025年6月1日、施行令は2025年10月1日、施行規則は2026年6月26日の施行)を使った。消防庁長官が定める告示は読んでいない。

消防用設備等の地図

法17条1項は、学校、病院、工場、百貨店、旅館などの防火対象物(令6条により、別表第一に掲げるもの)の関係者に、「消防用設備等」を設置し維持するよう求める。関係者とは、防火対象物又は消防対象物の所有者、管理者又は占有者をいう(法2条4項)。令7条は、その中身を次の5つに分ける(このほか7項が、令29条の4の「必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等」も含める)。

  • 消火設備:消火器・簡易消火用具、屋内消火栓設備、スプリンクラー設備、水噴霧消火設備、泡消火設備、不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備、粉末消火設備、屋外消火栓設備、動力消防ポンプ設備
  • 警報設備:自動火災報知設備、ガス漏れ火災警報設備(液化石油ガス販売事業の液化石油ガスの漏れを検知するためのものを除く)、漏電火災警報器、消防機関へ通報する火災報知設備、非常警報器具・非常警報設備
  • 避難設備:避難器具、誘導灯・誘導標識
  • 消防用水:防火水槽、又はこれに代わる貯水池その他の用水
  • 消火活動上必要な施設:排煙設備、連結散水設備、連結送水管、非常コンセント設備、無線通信補助設備

前の3つをまとめて「消防の用に供する設備」と呼ぶ(令7条1項)。これに消防用水と消火活動上必要な施設を加えた5つ全部が、法17条1項の「消防用設備等」だ。

境界を1つ。排煙設備は、消防法では「消火活動上必要な施設」の一つだ(令7条6項)。建築基準法の排煙設備や防火区画の規定とは別のもので、このトピックでは扱わない。ダクトが防火区画を貫く部分の防火ダンパーも建築基準法施行令の側の話で、ダクトと附属品のトピックで読める。

誘導灯は消防法(令7条4項)、非常用の照明装置は建築基準法が求める設備で、法律が違う。電源も、令26条2項4号は誘導灯に「非常電源」を附置するよう求め、非常用の照明装置の側は「予備電源」と書く(建築基準法②で読める)。

これで、設備の名前から「どの区分か」を言える。

どこに置く義務があるか — 用途 × 面積・階数

令別表第一は、防火対象物を(一)項から(二十)項の用途に分ける。設置義務は、「この用途なら延べ面積が○m²以上」「この階なら床面積が○m²以上」と、用途ごとの数字で決まる。屋内消火栓設備の読む順は3つ。①別表第一の項番号を確かめる。②延べ面積の数字を、構造と内装の条件で何倍かに読み替える。③地階・無窓階・4階以上など、特別な階を見る。スプリンクラー設備(令12条)に倍読みはなく、②は要らない。

屋内消火栓設備(令11条)

別表第一の用途延べ面積
(一)項(劇場・公会堂など)500m²以上
(二)〜(十)項、(十二)項、(十四)項700m²以上
(十一)項(神社・寺院など)、(十五)項1,000m²以上
(十六の二)項(地下街)150m²以上

地階・無窓階・4階以上の階の床面積(同項6号)と、指定可燃物の貯蔵・取扱い(5号)には、別の基準がある。無窓階は、総務省令で定める避難上又は消火活動上有効な開口部を有しない地上階をいう(令10条1項5号)。

延べ面積と床面積の数字は(1項5号を除き)、令11条2項で読み替える。特定主要構造部(建築基準法2条9号の2イ)は、主要構造部のうち防火上及び避難上支障がないものとして政令で定める部分以外の部分をいう(建築基準法①参照)。同法2条9号の3イは主要構造部を準耐火構造としたもの、ロはそれと同等の準耐火性能を有するものだ。

建物の条件数字
特定主要構造部が耐火構造で、壁・天井の仕上げが難燃材料3倍
特定主要構造部が耐火構造で、上の行以外(仕上げが難燃材料でないなど)2倍
建築基準法2条9号の3イ・ロに該当し、仕上げが難燃材料2倍

燃えにくい建物ほど、義務が生じる面積の下限が上がる。ただし、令12条1項1号の防火対象物((六)項イ・ロの一部)に(二)〜(十)項の700m²を当てはめるときは、3倍・2倍の数値と、1,000m²に総務省令で定める部分(令12条2項3号の2)の床面積の合計を加えた数値の、小さいほうをとる(令11条2項のかっこ書き)。本稿では扱わない。

やってみよう ①:倍読みで、義務が生じる面積を出す

別表第一(十二)項イの工場。地階・無窓階・4階以上の階はなく、指定可燃物もない。延べ面積は1,800m²。特定主要構造部は耐火構造だ。

(1) 壁・天井の仕上げが難燃材料のとき、屋内消火栓設備の設置義務はあるか。

(十二)項の基準は700m²以上(令11条1項2号)。仕上げが難燃材料なので3倍で、700×3=2,100m²以上。1,800m²は2,100に届かない。義務なし。

(2) 壁・天井の仕上げが、どちらも難燃材料でないとき、義務はあるか。

2倍で、700×2=1,400m²以上。1,800m²はこれを超える。義務あり。

スプリンクラー設備(令12条1項)

数字は、おもに3つの型で現れる。

  • 11階以上:(一)〜(四)項、(五)項イ、(六)項、(九)項イ、(十六)項イの防火対象物は、地階を除く階数が11以上なら対象(3号)。それ以外の用途でも、11階以上の階が対象(12号)
  • 平屋建以外で、床面積の合計が大きいもの:(四)項と(六)項イ(1)〜(3)は3,000m²以上、(一)〜(三)項、(五)項イ、(九)項イなどは6,000m²以上(4号)
  • 地階・無窓階・4階以上10階以下の階:床面積が、地階・無窓階で1,000m²以上、4階以上10階以下で1,500m²以上(11号イ。(二)項・(四)項は階の床面積1,000m²以上、同号ロ)

このほかに、舞台部の床面積(2号)、ラック式倉庫(棚又はこれに類するものを設け、昇降機により収納物の搬送を行う装置を備えた倉庫。5号)、指定可燃物の量(8号)などの定めがある。3号・4号・10〜12号にある「総務省令で定める部分」は、規則13条が決める。

同じ「11」でも、3号は特定の用途の建物全体の「地階を除く階数が11以上」、12号は「11階以上の階」と、対象の単位が違う。「階数」と「階」を読み分ける。

これで、用途と規模から「屋内消火栓設備やスプリンクラー設備が要るか」を、ここで扱った号については、条文を挙げて判定できる。

スプリンクラー設備の中身 — 部品ごとに数字が違う

閉鎖型スプリンクラー設備のつながり 水源(貯水施設) 加圧送水装置 流水検知装置 配管 と 閉鎖型ヘッド (各階に分かれる) 末端試験弁 非常電源 送水口(双口形) 専用の配管で接続

乾式・予作動式は 1分以内に放水 閉鎖型スプリンクラー設備の概念図(自作。弁・圧力計などは省略)。送水口は、加圧送水装置から流水検知装置までの配管に専用の配管で接続する(規則14条1項6号ニ)。末端試験弁は閉鎖型ヘッドの設備に設ける(同5号の2)。

特定施設水道連結型スプリンクラー設備は、水源が水道の管で、貯水施設を持たない型だ(令12条2項3号の2)。非常電源と送水口の附置も外れる(同7号ただし書)。以下は、特に断らない限り、それ以外の設備の話だ。

閉鎖型と開放型、3つの流水検知装置

規則は、ヘッドを閉鎖型(標準型・小区画型・側壁型)、開放型、放水型ヘッド等(消防庁長官が定める性能の放水型スプリンクラーヘッドなど。規則13条の4第2項)に分けて扱う(13条の6第1項各号)。放水型ヘッド等の設備は規則14条2項に別の定めがあり、本稿は扱わない。以下の14条1項の数字と部品は、それ以外の設備の話だ。開放型は、舞台部(規則13条の2第1項)のほか、令12条1項1号・9号の防火対象物の部分の種別を定める表(規則13条の5第1項)にも挙がる。開放型の設備には、放水区域ごとに一斉開放弁か手動式開放弁を設ける(規則14条1項1号)。

流水検知装置は、二次側(弁体から先)の状態で3つに分かれる(流水検知装置の技術上の規格を定める省令2条)。

方式二次側弁体が開くきっかけ
湿式加圧水ヘッド等の開放で二次側の圧力が下がる
乾式加圧空気ヘッド等の開放で二次側の圧力が下がる
予作動式空気感知器などの「感知部」の作動

乾式と予作動式には、湿式にない定めが付く。

  • ヘッドが開放した場合に1分以内に放水できること(規則14条1項8号の2)
  • 水源の個数が1.5倍になる(規則13条の6第1項1号)
  • 標準型ヘッドは、デフレクター(水を散らす部分)が取付け部より上になる向きのものを使う。凍結のおそれのない場所を除く(規則13条の2第4項1号ト)
  • 二次側配管に、防食処理(金属製のもの)と排水の措置(同14条1項10号イ・ロ。防食は一斉開放弁の二次側にも付く)

配管の末端の弁と、弁の高さ

末端試験弁は、流水検知装置又は圧力検知装置の作動を試験するための弁だ。閉鎖型ヘッドの設備の配管の末端に、流水検知装置又は圧力検知装置の設けられる配管の系統ごとに一個ずつ、放水圧力が最も低くなると予想される部分に設ける。一次側に圧力計、二次側にヘッドと同等の放水性能を持つオリフィス等の試験用放水口を付け、近くに標識を設ける(規則14条1項5号の2)。開放型には、末端試験弁の定めがない。

弁と口の高さは、部品ごとに違う。

  • 制御弁:床面から0.8m以上1.5m以下(14条1項3号イ)。みだりに閉止できない措置をとる
  • 開放型の一斉開放弁の起動操作部、手動式開放弁:床面から0.8m以上1.5m以下(同1号ハ)
  • 送水口の結合金具:地盤面から0.5m以上1m以下(同6号ハ)
  • 補助散水栓の開閉弁:床面から1.5m以下、又は天井に自動式で設ける(規則13条の6第4項5号)

水と圧力 — 先端、ポンプ、水源

閉鎖型の標準型ヘッドの性能は、規則13条の6第2項1号が決める。第1項の個数のヘッドを同時に使ったとき、それぞれの先端で、放水圧力0.1MPa以上、放水量80L/min以上(ラック式倉庫は114L/min以上)。

加圧送水装置には、ヘッドの放水圧力が1MPaを超えない措置を講じる(規則14条1項11号ニ)。ポンプの吐出量は、同時に使うヘッドの個数に90L/min(小区画型を用いる場合は60、ラック式倉庫に設けるものは130)を乗じた量以上とする(同号ハ(イ))。先端の80と、ポンプで見る90は、別の数字だ。1MPaの理由は条文に書かれていない。

水源は、規則13条の6第1項1号の表の個数に1.6m³を乗じる。表の個数は、令12条1項1〜4号・9〜12号の防火対象物の標準型ヘッドでは、百貨店以外で、地階を除く階数が10以下なら10、11以上なら15(高感度型ヘッドは別の個数)。乾式・予作動式は、表の個数に1.5を乗じる。ヘッドの設置個数がその個数に満たないときは、設置個数に1.6m³を乗じる。

やってみよう ②:水源量を出す

令12条1項4号の防火対象物で、百貨店ではなく、地階を除く階数は6。標準型ヘッド(高感度型ではない)で、ヘッドの設置個数は30個。

(1) 湿式のとき。階数10以下で、表の個数は10。設置個数30は10以上なので、10×1.6=16.0m³。

(2) 乾式のとき。10×1.5=15個。設置個数30は15以上なので、15×1.6=24.0m³。

(3) 設置個数が6個のときは。湿式も乾式も、個数に満たないので設置個数を使う。6×1.6=9.6m³。

送水口と非常電源

スプリンクラー設備には、非常電源を附置し、かつ、消防ポンプ自動車が容易に接近することができる位置に双口形の送水口を附置する(令12条2項7号)。送水口は、規則14条1項6号で、次のとおり。

  • 専用とする
  • 結合金具は、差込式又はねじ式。呼称65の差込式受け口、又はしめ輪のめねじに適合するもの
  • 結合金具は、地盤面から0.5m以上1m以下で、送水に支障のない位置に置く
  • 加圧送水装置から流水検知装置等までの配管に、専用の配管で接続する
  • 近くに、スプリンクラー用送水口である旨と送水圧力範囲を表示した標識を設ける
  • このほか、消防庁長官が定める基準に適合すること(6号ヘ。告示は読んでいない)

補助散水栓と、屋内消火栓との数字の仕分け

スプリンクラー設備には、補助散水栓を設けることができる(令12条2項8号)。義務ではない。規則13条の6第4項は、次を定める。

  • 階ごとに、その階の各部分から一のホース接続口までの水平距離を15m以下とする。ただし、ヘッドが設けられている部分に補助散水栓を設ける場合は、この限りでない
  • 階の補助散水栓を同時に使うときの先端の性能は、放水圧力0.25MPa以上、放水量60L/min以上(設置個数が2を超えるときは2個。ただし隣接するホース接続口の相互間が30mを超えるときは1個)
  • ホースは、規則11条の2の基準による。保形ホース(消防用ホースの技術上の規格を定める省令2条3号の語で、定義は読んでいない)で、延長・格納が容易な収納とする
  • 表面に「消火用散水栓」と表示し、上部に赤色の灯火を設ける

数字を仕分けておく。

設備水平距離先端の圧力・放水量
屋内消火栓(令11条3項1号)25m以下0.17MPa以上・130L/min以上
屋内消火栓(同項2号イ)15m以下0.25MPa以上・60L/min以上
屋内消火栓(同項2号ロ)25m以下0.17MPa以上・80L/min以上
補助散水栓(規則13条の6第4項)15m以下0.25MPa以上・60L/min以上
標準型ヘッド(規則13条の6第2項1号)別の定め0.1MPa以上・80L/min以上
屋内消火栓の2号イ・ロは、一人で操作できる保形ホースの型(同項2号)。(十二)項イ・(十四)項などは1号の型。
やってみよう ③:数字から設備を当てる

次の組は、どの設備の数字か。

(a) 水平距離15m以下、0.25MPa以上、60L/min以上

(b) 先端で0.1MPa以上、80L/min以上

(c) 水平距離25m以下、0.17MPa以上、130L/min以上

答え:(a) 補助散水栓(又は令11条3項2号イの屋内消火栓)。(b) 閉鎖型の標準型ヘッド(側壁型・開放型も、先端は同じ数字。規則13条の6第2項3号・4号)。(c) 1号の型の屋内消火栓。(a) は2つの設備で同じ数字になるが、その理由は条文に書かれていない。

これで、肢の数字を見たとき、どの設備・どの条文の数字かを言える。

電設資材との接点 — 非常電源と配線

スプリンクラー設備の非常電源は、「第十二条第一項第四号の規定の例により設ける」とされる(規則14条1項6号の2)。第4号は、屋内消火栓設備の非常電源の定めだ。

  • 種類:非常電源専用受電設備、自家発電設備、蓄電池設備、燃料電池設備。特定防火対象物(百貨店、旅館、病院、地下街など。法17条の2の5第2項4号)で延べ面積1,000m²以上のもの(小規模特定用途複合防火対象物を除く)は、非常電源専用受電設備を使えず、残りの3つによる
  • 自家発電設備の容量:屋内消火栓設備を有効に30分間以上作動できるもの
  • 配線:電気工作物に係る法令の規定によるほか、他の回路による障害を受けない措置をとる。600V二種ビニル絶縁電線又は同等以上の耐熱性を持つ電線を使い、耐火構造とした主要構造部への埋設その他同等以上の耐熱効果のある方法で保護する。ただし、MIケーブル又は消防庁長官が定める基準に適合する電線を使う場合は、この限りでない。開閉器、過電流保護器その他の配線機器も、耐熱効果のある方法で保護する(4号ホ)
  • 操作回路の配線:同じ電線を使い、金属管工事、可とう電線管工事、金属ダクト工事、又は不燃性のダクトに布設するケーブル工事で設ける。ただし、消防庁長官が定める基準に適合する電線を使う場合は、この限りでない(5号。スプリンクラー設備は規則14条1項9号で準じる)

「消防庁長官が定める基準に適合する電線」の中身は告示で、本稿では読んでいない。金属管工事などの工事の種類は低圧屋内配線のトピックで読める。

次の節の令36条の2は、スプリンクラー設備などについて「電源、水源及び配管の部分を除き」と書く。この電源の部分の範囲を定める条文を、本稿は見つけていない(「電源の部分」の語は、法・令・規則では令36条の2にしか出てこない)。非常電源から先の配線がどこまで入るかは、告示や通知を読んでいない本稿では言えない。配線の仕様は、非常電源の配線が規則12条1項4号ホ、操作回路の配線が同5号で、別々に決まる。ほかの法律の資格が要るかは、ここでは扱わない。

工事の前と後 — 消防設備士、届出、点検

工事。 消防設備士免状の交付を受けていない者は、政令で定める設置工事と整備を行ってはならない(法17条の5)。甲種は工事と整備、乙種は整備だけを行える(法17条の6第2項、規則33条の3)。

独占の範囲は令36条の2が決める。屋内消火栓設備、スプリンクラー設備、水噴霧消火設備、屋外消火栓設備(この4つが免状の指定区分の第一類。規則33条の3)は「電源、水源及び配管の部分を除き」、泡消火設備、不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備、粉末消火設備、自動火災報知設備などは「電源の部分を除き」だ。整備にも独占があるが、屋内消火栓設備の表示灯の交換などの軽微な整備は除かれる(令36条の2第2項、規則33条の2の2)。

届出と検査。 設置工事の前後に、2つの届出がある。くわしい一覧は工事の申請書・届出と提出先にあるので、ここは要点だけ。

  • 着工届:甲種消防設備士が、着手しようとする日の10日前までに、消防長又は消防署長へ(法17条の14)。平面図、配管及び配線の系統図、計算書の写しを添える(規則33条の18)
  • 設置届:令35条の防火対象物の関係者が、工事が完了した日から4日以内に、消防長又は消防署長へ届け出て、検査を受ける(法17条の3の2、規則31条の3)。適合と認められれば検査済証が交付される

点検と報告。 別表第一(二十)項を除く防火対象物の関係者は、定期に消防用設備等を点検し、結果を消防長又は消防署長に報告する(法17条の3の3、令36条1項)。報告は、(一)〜(四)項、(五)項イ、(六)項、(九)項イなどが1年に一回、(五)項ロ、(七)項、(八)項、(十)〜(十五)項などが3年に一回(規則31条の6第3項)。新型インフルエンザ等その他、消防庁長官が定める事由で点検や報告が困難なときは、長官が定める期間ごとになる(同条4項)。点検の期間は、規則が「一年以内で消防庁長官が定める期間」とし、具体は告示に委ねる(同条1項)。規則31条の6第7項は、管工事施工管理技士なども、登録講習機関の講習を修了し免状の交付を受ければ「消防設備点検資格者」になれると書く(点検できる設備の種類は長官が定める。同条6項)。

これで、③の問いに、人・起点・期限の組で答えられる。

試験での出方とワナ

令和8年度の問題Bでは、No.17・18の2問が、スプリンクラー設備(特定施設水道連結型を除く)の「消防法上誤っているもの」を選ぶ形だった。肢は、流水検知装置と弁、加圧送水装置、送水口、補助散水栓、非常電源の技術基準から取られ、正しい肢は条文の言葉に近い。誤りの肢に使われうる手口は、次の3つ。No.17・18に見られたのは、1のうち開放型への末端試験弁と、2のうち結合金具の型の入れ替えで、ほかは当サイトの想定だ。

  1. 部品の取り違え。 閉鎖型にだけ付く部品を開放型に付ける。1分以内の放水を、すべての設備の定めにする
  2. 数字や語の差し替え。 圧力、放水量、水平距離、高さ、結合金具の型を、別の設備の値や、条文にない型に入れ替える
  3. 主語の入れ替え。 着工届と設置届、甲種と乙種、電源・水源・配管を含めるかどうか

どの手口にも効く方法は、肢の主語を「どの設備の、どの部品か」で言い直し、その部品の号に当たることだ。

冒頭の問いの答え合わせ

  • ①配管の末端の弁は、閉鎖型ヘッドを用いるスプリンクラー設備に付く末端試験弁だ。流水検知装置又は圧力検知装置の作動を試験する(規則14条1項5号の2)。開放型には、末端試験弁の定めがない
  • ②非常電源から先の配線は、令36条の2が「電源、水源及び配管の部分を除き」と書くところまでが、条文で言える。電源の部分の範囲は、本稿では言えない。配線の仕様は、非常電源の配線が規則12条1項4号ホ、操作回路の配線が同5号
  • ③届出は、着工届が甲種消防設備士、着手の10日前まで。設置届は令35条の防火対象物の関係者、完了から4日以内。点検結果は、(二十)項を除き、規則31条の6第3項の用途ごとに1年に1回か3年に1回、報告する

理解度チェックの問2・3・10・11でも確かめられる。

次の問い

消火設備を据え付けた建物も、いつかは改修され、取り壊される。そのとき外した配管、保温材、コンクリート塊は、どの規模の工事から、誰が、どんな手続きを求められるのか。設置の話から、撤去で出る資材の話へ進もう。

出題者のワナ — ここで受験者を転ばせにくる

この論点は、知っているだけでは足をすくわれる。試験でよく仕掛けられる崩し方を、先に知っておこう。

  1. 閉鎖型の設備にだけ付く部品(末端試験弁)や、乾式・予作動式にだけ付く規定(1分以内の放水)を、すべてのスプリンクラー設備の規定として読む

    なぜ引っかかる条文はヘッドの型と流水検知装置の方式を号ごとに書き分けているのに、「スプリンクラー設備には〜」と一括りに覚えると、開放型や湿式にも当てはまると思い込む

    見破り方肢の主語を、閉鎖型か開放型か(放水型ヘッド等の設備は14条2項で別)、湿式・乾式・予作動式のどれかで言い直す。末端試験弁は規則14条1項5号の2(閉鎖型)、1分以内は同8号の2(乾式又は予作動式)、一斉開放弁・手動式開放弁は同1号(開放型)

  2. 屋内消火栓設備・補助散水栓・スプリンクラーヘッドの、水平距離、放水圧力、放水量の組を取り違える

    なぜ引っかかる0.17MPaと130L/min、0.25MPaと60L/min、0.1MPaと80L/minと、似た桁の数字が並び、15mと25mも2通りある

    見破り方設備名を先に言ってから数字を引く。補助散水栓は規則13条の6第4項(15m、0.25MPa、60L/min)、1号型の屋内消火栓は令11条3項1号(25m、0.17MPa、130L/min)、標準型ヘッドは規則13条の6第2項1号(0.1MPa、80L/min)。上限の1MPaは14条1項11号ニで、下限とは別の条文

  3. 消防設備士の独占範囲と、届出人・期限を取り違える(電源・水源・配管、甲種と乙種、着工届と設置届)

    なぜ引っかかる「工事は消防設備士」と覚えると、電源・水源・配管まで含むと思い込む。着工届と設置届も、届出人(甲種消防設備士と関係者)と起点(着手の前と完了の後)を入れ替えやすい

    見破り方令36条の2第1項のかっこ書き(電源、水源及び配管の部分を除き)を読む。届出は人と起点を組にする。着工届は甲種消防設備士が着手の10日前まで(法17条の14)、設置届は令35条の防火対象物の関係者が完了から4日以内(規則31条の3)

参考文献・出典

理解度チェック(12問)

このトピックの内容がどれくらい身についたか、12問で確認しよう。 内訳は基本3問・応用5問・ひっかけ4問。基本が解けたら、条件を足した応用と、本番で足をすくいにくるひっかけまで踏み込む。

/ 12 問正解

覚えておきたいポイント

  1. 消防法17条1項は、防火対象物の関係者に、消防用設備等を政令の技術上の基準に従って設置し維持するよう求める。令7条は、消防用設備等を、消火設備・警報設備・避難設備(この3つが消防の用に供する設備)、消防用水、消火活動上必要な施設に分ける
  2. 屋内消火栓設備の設置義務は、別表第一の用途ごとの延べ面積で決まる。令11条2項は、特定主要構造部が耐火構造で内装が難燃材料なら3倍、耐火構造のみなら2倍、建築基準法2条9号の3イ・ロに該当し内装が難燃材料なら2倍に読み替える(令12条1項1号の防火対象物に令11条1項2号の700m²を当てはめるときは、別の上限が付く)。スプリンクラー設備は、11階以上、平屋建以外の床面積3,000・6,000m²、地階・無窓階・4〜10階の床面積などで決まる(令12条1項)
  3. 流水検知装置は、二次側が加圧水なら湿式、加圧空気なら乾式、空気なら予作動式(流水検知装置の技術上の規格を定める省令2条)。末端試験弁は閉鎖型ヘッドの設備の配管の末端に設ける。1分以内の放水は乾式又は予作動式に付く定めで、水源の個数も1.5倍になる(規則14条1項8号の2、13条の6第1項1号)。規則14条1項は、放水型ヘッド等を用いる設備(同条2項)を除く
  4. 閉鎖型の標準型ヘッドは、先端で放水圧力0.1MPa以上、放水量80L/min以上。加圧送水装置は、ヘッドの放水圧力が1MPaを超えない措置を講じる。水源は、規則の表の個数と設置個数の小さいほうに1.6m³を乗じる(規則13条の6第1項・2項、14条1項11号ニ)
  5. 送水口は、消防ポンプ自動車が容易に接近できる位置に双口形で附置し、専用とし、結合金具は差込式又はねじ式で地盤面から0.5m以上1m以下に置く。補助散水栓は設けることができ、ノズル先端で0.25MPa以上・60L/min以上(令12条2項7号・8号、規則14条1項6号、13条の6第4項)
  6. 消防設備士でなければ行えない設置工事は、屋内消火栓設備・スプリンクラー設備・水噴霧消火設備・屋外消火栓設備では電源・水源・配管の部分を除く(令36条の2)。乙種は整備のみ。着工届は甲種消防設備士が着手の10日前まで(法17条の14)、設置届は令35条の防火対象物の関係者が完了から4日以内(規則31条の3)
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