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施工管理法 ・ 1 / 12

工事の申請書・届出と提出先 — どの工事で、誰が、どこへ、いつまでに出すのか

読み終えると、こうなる

書類の名前を見たとき、どの法律の書類かから条文の窓口を引き、取り違えやすい組合せを条文の言葉で見分けられるようになる

  • 仮定の工事(ボイラーの設置、道路下への給水管の埋設、掘削機械の使用など)から、本稿で扱う法令の範囲で必要な申請書・届出を挙げ、出す人と出し先を条文の根拠つきで示せる
  • 道路占用許可(道路管理者)と道路使用許可(所轄警察署長)の出し先を取り違えず、互いを経由して出せる規定の意味を説明できる
  • 着手の30日前・14日前・10日前・7日前と、完了後4日以内の5つの日数を、どの届出のものか言い分けられる
  • 「申請書等と提出先の組合せ」の4択から、適当でないものを条文の言葉で絞り込める
考えてみよう

仮に、あなたは管工事の現場担当者だとする。着工は来月1日で、上司から「役所に出す書類は、全部出したか」と聞かれた。

工事は3つある。敷地内にボイラーを据える。市道を掘って給水管を引き込む。配管を埋めるため、重機で掘削する。出し先は同じだろうか。道路を使うのに、窓口は1つで足りるのか。出す期限は、着工の何日前なのか。

このトピックを読み終えるころには、本稿で扱う書類について、書類の名前を見て、誰が・どこへ・いつまでに出すのかを、条文の言葉で言えるようになる(日数は、条文にあるものに限る)。

まず一言で

出し先は、その法律で権限をもつ役所で決まる。取り違えやすいのは、次の組合せだ。

  • 建築基準法の確認は建築主事等、消防法の設置届と着工届は消防長又は消防署長
  • 労働安全衛生法の計画の届出は労働基準監督署長(特に大規模な仕事は厚生労働大臣)
  • 騒音規制法・振動規制法の特定建設作業の届出は市町村長
  • 道路の占用許可は道路管理者、道路の使用許可は所轄警察署長
  • 建設リサイクル法の届出は都道府県知事(政令で市町村長が受理する区域がある)

日数は、着手の前に出すものが30日前・14日前・10日前・7日前、完了のあとに出すものが4日以内だ。出す人も法律ごとに違う。

本稿は、各法令の中身ではなく、申請・届出の窓口の地図だ。条文は2026年11月4日に e-Gov 法令検索で確認した版を使った。また、本稿に載せた法令だけの地図で、すべての届出を網羅していない。浄化槽法、高圧ガス保安法、大気汚染防止法、道路占用の許可基準、自治体ごとの条例・要綱や様式は扱っておらず、別に確かめる。

仕組み — なぜ窓口はばらばらなのか

各法の第1条(目的)を並べると、窓口との対応が見える。

法令第1条が守るもの(要約)出し先
建築基準法国民の生命、健康及び財産建築主事等
消防法火災から国民の生命、身体及び財産消防長又は消防署長
労働安全衛生法職場における労働者の安全と健康労働基準監督署長
騒音規制法・振動規制法生活環境の保全市町村長
道路法道路網の整備、道路の管理道路管理者
道路交通法道路の交通の安全と円滑所轄警察署長
建設リサイクル法資源の有効な利用、廃棄物の適正な処理都道府県知事
各法の第1条を縮めた要約。「守るものが違うから窓口が違う」と条文が書いているわけではなく、並べて覚えるための当サイトの整理である。

なぜ道路は窓口が2つなのか。 道路を掘る工事は、道路そのものの管理(道路法)と、道路の上の交通(道路交通法)の両方に触れる。法律が2つあれば、権限をもつ役所も2つになる(当サイトの整理)。

なぜ、前に出すものと後に出すものがあるのか。 着手の前に出す届出には、役所が内容を見て、直させたり止めたりできる形のものがある。労働安全衛生法88条6項は、労働基準監督署長が届出の内容を違反と認めるとき、工事の開始を差し止め、計画の変更を命じられると定める。建設リサイクル法10条3項は、届出を受理した日から7日以内に限り、計画の変更などを命じられると定める。完了のあとに出すものは、できあがったものを検査してもらうための申請だ。消防法17条の3の2は「届け出て、検査を受けなければならない」と定め、建築基準法7条は、完了したら検査を申請し、検査済証の交付を受ける。

なぜ、出す人が違うのか。 出す人は、法律が義務を課した相手で決まり、工事を請け負う人とは限らない。建設リサイクル法の届出は、発注者又は自主施工者(請負契約によらず自ら施工する者)が出す(10条1項)。受注者の役目は別にあり、発注者から直接請け負おうとする建設業者は、届出事項のうち少なくとも10条1項1号〜5号の事項を書面で説明し(12条1項)、下請に出すときは届け出られた事項を告げる(同条3項)。消防法は、同じ設備の工事でも、設置届は防火対象物の関係者、着工届は甲種消防設備士が出す。

窓口を覚えるときは、**書類の名前ではなく、法律の名前**から引く。

数と条文で追う

地図その1 — 建物・設備・働く人にかかわる届出

申請書等出す人出し先
建築基準法の確認申請書(6条1項)建築主建築主事等、又は指定確認検査機関(6条の2)
建築工事届(15条1項)建築主(除却は施工者)建築主事等を経由して都道府県知事
消防用設備等設置届出書(消防法17条の3の2)一定の防火対象物の関係者消防長又は消防署長
工事整備対象設備等着工届出書(17条の14)甲種消防設備士消防長又は消防署長
機械等の計画の届出(労安法88条1項)事業者所轄労働基準監督署長
建設業の仕事の計画の届出(88条3項)事業者(数次の請負は元請負人など)労働基準監督署長
専用水道の布設工事の確認申請書(水道法32条)布設工事をしようとする者都道府県知事(市・特別区は市長・区長)
労安法88条2項の特に大規模な仕事(高さ300m以上の塔など)の届出先は厚生労働大臣。建築工事届は、床面積10平方メートル以内なら不要、大規模建築物は建築主事のみを経由(15条1項。耐震改修・建替えは2項で別)。
  • 建築。建築物に設ける給水・排水・換気・暖房・冷房などの設備は建築設備にあたり(2条3号)、建築物の計画の確認では、建築基準法令の規定と、敷地・構造・建築設備に関する他の法令の規定のうち政令で定めるもの(建築基準関係規定)への適合が見られる(6条1項)。
  • 消防。着工届の対象は、17条の5の政令(施行令36条の2)で定める工事だ。屋内消火栓設備・スプリンクラー設備・水噴霧消火設備・屋外消火栓設備は「電源、水源及び配管の部分を除き」と書かれている。
  • 労働安全衛生法88条1項。ボイラー(ボイラー則10条)と第一種圧力容器(同則56条)の設置は、設置届を労働基準監督署長に出す。設置届から外れるものもある。移動式ボイラーと移動式第一種圧力容器は設置の前に(同則11条・56条の2)、小型ボイラーは設置したあと遅滞なく(同則91条)、設置報告書を出す(同則第2章の「ボイラー」に小型ボイラーは含まれない。同則3条1項)。規則別表第七には、中央管理方式の空調設備・機械換気設備(22号)や、足場(12号。つり足場・張出し足場以外は高さ10m以上)なども挙がる。別表第七の機械等でも、次のものは届出が要らない(規則85条1項ただし書)。①機械集材装置・運材索道・架設通路・足場(以下「足場等」)以外の機械等(特定機械等と型枠支保工を除く)で、6か月未満で廃止するもの。②足場等で、組立てから解体までが60日未満のもの。危険性・有害性の調査等を行う事業者として認定された事業者も除かれる(法88条1項ただし書)。設置報告書も、この認定を受けた事業者は除かれる(ボイラー則11条・56条の2・91条)。中央管理方式の空気調和設備の定義(空気を浄化し、その温度、湿度及び流量を調節して供給することができる設備)は、労働安全衛生法施行令21条5号と建築基準法施行令20条の2(後者は「排出を含む」)にあり、規則別表第七にはない。22号の語に当てはめるのは、当サイトの整理である。仕組みは換気のトピックで読める。
  • 88条3項。規則90条の仕事が対象で、高さ31mを超える建築物又は工作物(橋梁を除く)の建設・改造・解体・破壊(1号)、掘削の高さ又は深さが10m以上の地山の掘削(ずい道等の掘削と岩石の採取のための掘削を除く)の作業(掘削機械を用いる作業で、掘削面の下方に労働者が立ち入らないものを除く。4号)などがある。石綿等が使用された保温材などの除去・封じ込め・囲い込みで、粉じんを著しく発散するおそれのあるもの(5号の3)も含まれる。配管の保温材の撤去が当たるかは、個々の工事で判断が要る。

地図その2 — 工事の周囲にかかわる許可・届出

申請書等出す人出し先
特定建設作業の実施の届出(騒音・振動規制法14条)その建設工事を施工しようとする者市町村長
道路占用許可申請書(道路法32条)占用の許可を受けようとする者道路管理者
道路使用許可申請書(道路交通法77条・78条)道路で工事・作業をしようとする者又はその請負人所轄警察署長
対象建設工事の届出書(建設リサイクル法10条)発注者又は自主施工者都道府県知事
管理票の報告書(廃棄物処理法12条の3第7項)管理票交付者都道府県知事(事業場が指定都市・中核市なら市長)
廃棄物処理法の報告は年1回で、毎年6月30日までに出す(施行規則8条の27)。指定都市・中核市は、施行令27条1項が、知事の権限の事務のうち列挙したもの以外を市長が行うと定め、列挙に12条の3がない(自治体の案内で確かめる)。事業者は、建設工事が数次の請負で行われるとき原則として元請業者だが(21条の3第1項)、下請負人が運搬・処分を他人に委託する場合、12条の3の適用では下請負人が事業者とみなされる(同条4項。かっこ書きの除外あり)。

騒音・振動 — 条件がそろったときだけ要る

届出が要るのは、①指定地域内で(騒音規制法3条1項)、②政令の別表第二に挙がる作業を、③その日のうちに終わらない期間で行い(施行令2条ただし書)、④機械の出力などの条件に合うときだ。

配管の埋設で掘削機械を使う場合を考える。騒音規制法施行令の別表第二には、バックホウ(原動機の定格出力80kW以上。環境大臣が指定する低騒音型を除く)、さく岩機などが挙がる。振動規制法施行令の別表第二は、くい打機等、鋼球、舗装版破砕機、ブレーカー(手持式を除く)の4種で、バックホウは載っていない。同じ掘削が、騒音には当たり、振動には当たらないことがある。届出の期限は、どちらも作業の開始の日の7日前までだ(各法14条1項。災害などで緊急に行う必要があるときは除かれ、その場合は速やかに届け出る。同条2項)。

道路 — 窓口は2つ、経由で持ち込み先は選べる

道路での工事は、許可の窓口が2つ 道路法32条道路占用許可許可する役所道路管理者 道交法77条道路使用許可許可する役所所轄警察署長 経由可 申請する者 占用の申請書使用の申請書 占用の申請書は警察署長を経由して、使用の申請書は道路管理者を経由して出せる 道路の許可は2種類。経由しても、許可をする役所は変わらない(自作の概念図)

道路の下に給水管を通す工事では、許可が2つ要りうる。道路法32条1項は、水管、下水道管、ガス管などを道路に設けて継続して使うには道路管理者の許可を受けると定め、道路交通法77条1項1号は、道路で工事や作業をしようとする者又はその請負人は所轄警察署長の許可を受けると定める。

道路管理者は、道路ごとに決まる。市町村道の管理は、その路線の存する市町村が行う(道路法16条1項)。都道府県道は、その路線の存する都道府県が行う(15条)。国道は、指定区間内なら国土交通大臣、指定区間外なら都道府県だ(18条1項)。ただし、指定市(地方自治法の指定都市)の区域内では、都道府県が管理するはずの国道と都道府県道の管理は指定市が行う(17条1項。ほかにも特例がある)。

経由とは、別の役所を通して提出することだ。占用の申請書は所轄警察署長を経由して(道路法32条4項)、使用の申請書は道路管理者を経由して(道路交通法78条2項)出せる。どちらも、もう一方の許可の適用も受けるときだ。経由で変わるのは持ち込み先だけで、許可をする役所は変わらない。

建設リサイクル法 — 出すのは発注者、窓口は二段

対象建設工事とは、特定建設資材を用いた建築物等の解体工事、またはその施工に特定建設資材を使う新築工事等で、規模が基準以上のものだ(法9条1項)。基準は、建築物の解体が床面積80平方メートル、新築・増築が500平方メートル、それ以外の建築物の工事(修繕・模様替など)が請負代金1億円、建築物以外の解体・新築工事等が500万円(施行令2条1項)。届出は、工事に着手する日の7日前まで(法10条1項)。変更も7日前までだ(同条2項)。国の機関又は地方公共団体は、届出を要する行為をしようとするとき、あらかじめ都道府県知事に通知する(11条)。

窓口は、法の条文では都道府県知事だ。ただし施行令9条1項は、建築主事を置く市町村又は特別区の区域内の対象建設工事について、届出の受理(1号)などを、その市町村・特別区の長が行うと定める(2項・3項に例外がある)。条文の窓口と、政令による窓口の二段で覚える。

水道・下水道 — 書いていないことは、書いていないと言う

水道法32条は、専用水道の布設工事に着手する前に、設計が施設基準に適合することについて都道府県知事の確認を受けると定める。市又は特別区の区域では、知事が市長・区長に読み替えられる(48条の2第1項)。専用水道は、寄宿舎、社宅、療養所等の自家用の水道その他水道事業の用に供する水道以外の水道で、100人を超える者に居住に必要な水を供給するものなどだ(3条6項1号。2号の一日最大給水量の基準もある)。ただし、他の水道から供給を受ける水のみを水源とし、かつ地中・地表に施設された部分の規模が基準以下の水道は除かれる(同項ただし書)。

給水装置工事は、水道事業者が、適正に施行できると認める者を指定でき(16条の2第1項)、給水装置が指定を受けた者の施行した工事であることを供給条件にできる(同条2項)。給水装置工事の申込みの書類と窓口は、水道法の条文に見当たらず、本稿では確認していない。水道事業者に確かめる。下水道法は、公共下水道の供用が始まった排水区域で、排水設備を設置する者を、建築物の敷地なら建築物の所有者、建築物の敷地でない土地ならその土地の所有者、道路などの敷地ならその施設を管理すべき者と区分し(10条1項。ただし書あり)、公共下水道の管理は原則として市町村が行う(3条1項)。排水設備の工事の申請書の名称と窓口は、法律に書かれておらず、確認していない。市町村に確かめる。

やってみよう ①:書類と出し先を結ぶ

次の5つの書類は、どこに出すか。

(a) 振動規制法の特定建設作業の実施の届出書 (b) 道路使用許可申請書 (c) ボイラー設置届 (d) 消防用設備等設置届出書 (e) 専用水道の布設工事の確認申請書

出し先:ア 所轄警察署長 イ 市町村長 ウ 労働基準監督署長 エ 消防長又は消防署長 オ 都道府県知事

答え:(a) イ、(b) ア、(c) ウ(ボイラー則10条)、(d) エ、(e) オ(市・特別区の区域では市長・区長)。ほかの根拠は上の表のとおり。

日数の地図 — 着手の前は30・14・10・7、完了のあとは4

届出の日数 — 着手の前と、完了のあと 着手の前に出す(丸が着手の日、棒の長さが日数) 労働安全衛生法 88条1項・2項 30日前 労働安全衛生法 88条3項 14日前 消防法 着工届 17条の14 10日前 騒音規制法・振動規制法 14条 7日前 建設リサイクル法 10条1項 7日前 完了のあとに出す(丸が工事の完了した日) 消防法 設置届 施行規則31条の3 4日以内 建築基準法 完了検査の申請 7条2項 4日以内 届出の日数(自作の概念図。棒は1日=5pxで描いた。建築基準法の4日以内は、建築主事等へ申請する場合)

完了のあとは工事が完了した日から4日以内だ。上の図の7日前のうち、騒音規制法・振動規制法の届出は、緊急の場合を除く(各法14条1項)。建築基準法の申請は、4日以内に建築主事等に到達するように出す(7条2項。申請しなかったことに省令で定めるやむを得ない理由があるときは、その理由がやんだ日から4日以内。同項ただし書・3項)。指定を受けた者が工事の完了の日から4日が経過する日までに検査を引き受けた場合で、その工事が完了したときは、7条1項〜3項の規定は適用されない(7条の2第1項)。

電気事業法の工事計画の届出(48条。主務省令で定める工事)は、着手の前の日数の数え方が違う。届出が受理された日から30日を経過した後でなければ、工事を開始できない(同条2項)。主務大臣は、一定の場合に、この期間を短縮でき(3項)、延長もできる(5項)。

道路の占用・使用の許可には、条文に提出の日数も審査の期限も見当たらない。建築の確認は、6条1項が「着手する前に」と書き、建築主事等の審査には期限がある(6条4項。受理の日から、1項1号・2号の建築物は35日以内、3号の建築物は7日以内。延長の定めもある。同条6項)。6条1項の建築物は、確認済証の交付を受けた後でなければ、工事はできない(同条8項)。7日前・30日前などの条文は、日付への直し方(着手の日を含めるか、中何日あけるか)を書いておらず、本稿では確認できていない。窓口で確かめる。

やってみよう ②:日数の順と、4日の数え方

(1) 着手予定日が同じ4つの手続きがある。ボイラー設置届、スプリンクラー設備の着工届、特定建設作業の実施の届出、建設リサイクル法の届出。期限が早い順(着手の日から数えて日数が大きい順)に並べよ。

(2) 消防用設備等の設置に係る工事が、5月10日に完了した。設置届の期限の最終日は何日か。民法の期間の計算の原則(初日不算入)どおりに数え、休日は考えない。

答え:(1) ボイラー設置届(30日前)、着工届(10日前)、特定建設作業の届出と建設リサイクル法の届出(どちらも7日前)。(2) 初日(5月10日)は数えず、5月11日が1日目、4日目の5月14日(民法140条・141条)。

現場とつなぐ

洗い出しの順。工事が決まったら、次の問いを順に当てる(当サイトの整理)。①建築物の新築・増築などか(確認、完了検査)。②ボイラー・第一種圧力容器(小型ボイラー・移動式を除く)・中央管理方式の空調などを設置するか(労安法88条1項)。③高さ31m超の建築物などか、石綿の保温材を除去するか(88条3項)。④消防用設備等を設置するか(設置届、着工届)。⑤道路で作業・埋設するか(占用、使用)。⑥指定地域で特定建設作業に当たる機械を使うか。⑦対象建設工事の規模か(リサイクル)。⑧廃棄物(管理票)。ここに挙げた8つのほかに、現場の条件で別の手続が要る場合がある。

元請に集まる届出。労安法の仕事の計画の届出(88条2項・3項)は元請負人など(5項の語。労安法に定義がなく、建設業法の元請負人と範囲が同じとは限らない)が出す。作業の開始後に特定元方事業者(元方事業者のうち建設業〔造船業も〕を行う者)が出す報告は、労働安全衛生法①のトピック(規則664条)で扱った。

電材との接点。電気設備にも別の窓口がある。電気事業法は、事業用電気工作物(小規模事業用電気工作物を除く)を設置する者に、保安規程を使用開始前に主務大臣へ届け出ること(42条1項)と、主任技術者を選任して届け出ること(43条1項・3項)を求める。どちらも主語は「設置する者」で、管工事の施工者の届出ではない。関連するサイトのガイドは「電気設備の法定点検とは」だ(本稿の事実の根拠にはしていない)。

やってみよう ③:仮の現場で、書類を洗い出す

仮に、指定地域内の既存ビルで、次の3つの工事をする。

(ア) 構内に、ボイラー則第2章のボイラー(蒸気ボイラー。小型ボイラーではなく、移動式でもない)を新設する。事業者は、法88条1項ただし書の認定を受けていない。 (イ) 市道を横断して給水管を引き込む。道路上で工事をする。 (ウ) 配管の埋設のため、バックホウ(バケットによる掘削のみ。原動機の定格出力90kW。環境大臣が指定する低騒音型ではない)で、同じ場所を3日続けて掘削する。

それぞれ、何を、誰が、どこへ、いつまでに出すか。

答え (ア) ボイラー設置届を、設置する事業者が、事業場を管轄する労働基準監督署長へ。工事の開始の日の30日前まで(ボイラー則10条、法88条1項)。 (イ) 道路占用許可申請書を、占用の許可を受けようとする者が、道路管理者(市道なので市町村)へ(道路法32条1項2号・2項、16条1項)。道路使用許可申請書を、道路で工事をしようとする者又はその請負人が、所轄警察署長へ(道路交通法77条1項1号・78条1項)。日数は条文に見当たらない。互いの役所を経由して出せる。 (ウ) 騒音規制法の特定建設作業の実施の届出を、施工しようとする者が、市町村長へ。作業の開始の日の7日前まで(緊急の場合を除く)。バックホウは騒音規制法施行令の別表第二(80kW以上)に当たり、3日続くので、作業を開始した日に終わるもの(令2条ただし書)ではない。振動規制法施行令の別表第二にバックホウはなく、振動の届出は要らない。

試験での出方とワナ

出題の型

令和8年度の問題Bの No.1(必須問題)は、工事の「申請書等」と「提出先」の4つの組合せから、適当でないものを選ぶ形式だった。正答の発表(9月7日)のあとに訂正があり、2つの選択肢がいずれも正解として採点された。公式の訂正の案内には理由が書かれておらず、本稿では確認できていない。

解く手順

確実に正しいと分かる組合せを消去し、残りを次の「ワナになりやすい点」に当てて疑う。

ワナになりやすい点

令和8年度の No.1 で確認できたのは、提出先を問う形式(占用許可の出し先など)だけだ。次の4点は、当サイトが並べた取り違えやすい点である。

  • 道路占用許可の出し先を警察署長にする。経由できることと、提出先は別だ。
  • 市町村長と都道府県知事を入れ替える。条文と政令の二段(建設リサイクル法など)も取り違えやすい。
  • 日数と、起点(着手の前か、完了のあとか)を入れ替える。
  • 出す人を入れ替える。リサイクル法の届出は発注者、消防の着工届は甲種消防設備士。

冒頭の問いの答え合わせ

ボイラー、市道の給水管、重機による掘削の3つで、出し先はこうなる。本稿で扱った法令の範囲での答えだ。

  • ボイラー(小型でも移動式でもないもの):労働基準監督署長へ、設置届。開始の30日前まで。
  • 市道の給水管:道路管理者へ占用許可、所轄警察署長へ使用許可。窓口は2つ。
  • 重機の掘削:指定地域内で、騒音規制法施行令の別表第二の作業(例:80kW以上のバックホウ。環境大臣が指定する低騒音型を除く)を行い、その日に終わらないなら、市町村長へ、開始の7日前まで(緊急の場合を除く)。

これで、本稿の書類は、出す人・出し先を、日数が条文にあれば期限も、条文の言葉で言える。理解度チェックで確かめよう。

次の問い

締め切りが着手の30日前、14日前、10日前、7日前と並ぶとき、どの手続きを、いつ始めれば間に合うのか。次のトピックでは、作業の前後の関係を1枚の図に描くネットワーク工程表から、いちばん長い道を見つける方法を読む。

出題者のワナ — ここで受験者を転ばせにくる

この論点は、知っているだけでは足をすくわれる。試験でよく仕掛けられる崩し方を、先に知っておこう。

  1. 道路占用許可の出し先を警察署長と答える(占用と使用の取り違え)

    なぜ引っかかる道路の工事には許可が2つ重なり、占用の申請書は警察署長を経由して出せる規定まであるため、警察署長が窓口に見えやすい

    見破り方占用は道路法32条で道路管理者、使用は道路交通法77条で所轄警察署長。経由は持ち込み先が変わるだけで、許可をする役所は変わらない

  2. 市町村長と都道府県知事を取り違える

    なぜ引っかかる特定建設作業の届出は市町村長、建設リサイクル法の届出は都道府県知事、水道法の専用水道の確認は都道府県知事(市・特別区は市長・区長)と、似た工事で窓口が分かれる

    見破り方法律名から窓口を引く。さらに政令・読替えで窓口が移る例(建設リサイクル法施行令9条、水道法48条の2)があると知っておく

  3. 30日・14日・10日・7日・4日を取り違える。前と後も混ぜる

    なぜ引っかかる日数が似た数字で並び、着手の前に出すものと完了のあとに出すものが同じ表に載るため、起点の日を取り違えやすい

    見破り方まず起点を確かめる。着手の日から逆算するのは30・14・10・7日前、完了した日から数えるのが消防の設置届と建築の完了検査の申請の4日以内

  4. 出す人を、工事を請け負う人だと決めつける

    なぜ引っかかる工事の書類は請負人が出すものと思いやすいが、発注者、事業者、甲種消防設備士、関係者など、法律が義務を課す相手は条文ごとに違う

    見破り方条文の主語に線を引く。建設リサイクル法10条は発注者又は自主施工者、消防法17条の14は甲種消防設備士、労安法88条3項は数次の請負なら元請負人など

参考文献・出典

理解度チェック(12問)

このトピックの内容がどれくらい身についたか、12問で確認しよう。 内訳は基本4問・応用5問・ひっかけ3問。基本が解けたら、条件を足した応用と、本番で足をすくいにくるひっかけまで踏み込む。

/ 12 問正解

覚えておきたいポイント

  1. 窓口は法律ごとに、権限をもつ役所で決まる。建築基準法の確認は建築主事等(6条1項。6条の2の指定を受けた者の確認も同じ扱い)、消防法の設置届・着工届は消防長又は消防署長(17条の3の2・17条の14)、労働安全衛生法の計画の届出は労働基準監督署長(88条1項・3項)、騒音・振動規制法の特定建設作業の届出は市町村長(各14条)
  2. 道路は窓口が2つ。水管・下水道管・ガス管などを設けて継続して使うには道路管理者の許可(道路法32条1項)、道路で工事・作業をするには所轄警察署長の許可(道路交通法77条1項1号)。申請書は他方の役所を経由して出せる(道路法32条4項、道路交通法78条2項)が、許可をする役所は変わらない
  3. 日数は、着手の前が30日前(労安法88条1項・2項)、14日前(同条3項)、10日前(消防法17条の14)、7日前(騒音規制法・振動規制法14条1項、建設リサイクル法10条1項)。完了後は、消防法の設置届も、建築基準法の完了検査の申請(建築主事等へ出す場合)も、工事が完了した日から4日以内
  4. 出す人は法律ごとに違う。建設リサイクル法の届出は発注者又は自主施工者(10条1項)、消防法の着工届は甲種消防設備士(17条の14)、設置届は防火対象物の関係者(17条の3の2)。労安法88条2項・3項は、数次の請負なら元請負人など(5項)
  5. 建設リサイクル法の届出先は、条文では都道府県知事(10条1項)だが、施行令9条1項により、建築主事を置く市町村・特別区の区域内の対象建設工事では、受理はその市町村・特別区の長が行う(2項・3項に例外)
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