C016 20H003 110 12。この型式を見せられたら、たいていの人は数字の並びから規則を推測しようとする。「20」ときたら、たぶんシェルサイズだろう。丸型コネクタのシェルサイズは10・20・30・40というふうに区切りのよい数字で管理されている例が多いから、その連想は自然だ。続く「H」は、たぶん極数か配列の区分。「003」が具体的な極数で、3極なのだろう――型番を上から順に読み進めながら、そういう仮の地図を頭の中に描いてしまう。
ところが、Amphenol-Tuchel ElectronicsとAmphenol Sine Systemsの公式カタログを実際に開いて品番一覧表を突き合わせると、その地図は最初の分岐からして違っていた。「20」はシェルサイズではない。「H」も極数ではない。しかも、6つの型式のうち1つは、極数を示すはずの桁が、確認できた2冊のカタログのどこにも出てこなかった。
結論から言うと
アンフェノールのC016(eco|mate C16)シリーズ丸型コネクタの型番は、次の骨格で組み立てられている。
- シリーズ名:C016
- 接続方式(先頭2桁):10=圧着(クリンプ)、20=ねじ接続(スクリュー)、30=はんだ接続(ソルダー)
- スタイル記号(1文字):性別(オス/メス)と取付形状の組み合わせ。H=オス・ケーブル取付(クランプ式)、K=オス・ケーブル取付(アングル)、C=オス・パネル取付(レセプタクル)、D=メス・ケーブル取付(クランプ式)、F=メス・ケーブル取付(アングル)、G=メス・パネル取付(レセプタクル)
- 極数コード(3桁):003=3極+接地(PE)、006=6極+PE、019=19極+PEなど、実際の極数(+PE)をそのまま表す
- オプションコード(3桁):接点メッキの系統(銀メッキ系/金メッキ系)とケーブルクランプ方式(標準/内部クランプ)の組み合わせ。圧着タイプは接点を別注文するため、この位置は接続方式ごとに固定の値になる
- ハウジング色コード(2桁):10=青、12=黒(青は銀メッキ系、黒は金メッキ系の型番と対になって掲載されている)
一見すると「シェルサイズ―極数区分―配列番号―仕上げ」という、他の丸型コネクタでもよく見る骨格に見える。だが実際にカタログの品番一覧表が並べているグループ分けは「Screw(ねじ)」「Solder(はんだ)」「Crimp(圧着)」という接続方式であり、シェルサイズという単位でグループ分けされている場所はどこにもない。先頭の2桁が担っているのは、接続方式の情報だ。
型番の分解 ── 品番一覧表が並べているのは「シェルサイズ」ではなかった
公式カタログ「eco|mate Circular Connectors」の12頁には「eco|mate Standard | Male Cable Connectors | Male Receptacles」という見出しの品番一覧表がある。ここに載っている型式を上から拾うと、次のように並ぶ。
| 見出し | 極数 | ハウジング色 | 品番(銀メッキ系) |
|---|---|---|---|
| Screw | 3 + PE | 黒 | C016 20H003 100 12 |
| Solder | 6 + PE | 黒 | C016 30H006 100 12 |
| Crimp | 6 + PE | 黒 | C016 10H006 000 12 |
表の見出しは「Screw」「Solder」「Crimp」であって「シェルサイズ1」「シェルサイズ2」ではない。そして、その見出しの下に並ぶ品番の先頭2桁は、Screwなら必ず20、Solderなら必ず30、Crimpなら必ず10になっている。極数がどれであっても、この対応は崩れない。13頁の「Female Cable Connectors」の表でも、D・F・Gという別のスタイル記号に対して、まったく同じ20/30/10の対応が繰り返されている。ここまで一貫していると、これは接続方式のコードだと考えるほうが自然だ。
では、シェルサイズという概念自体は存在しないのか。そちらは、より大型の「C|16-3 / C|16-L」シリーズの公式カタログに、はっきりと書かれていた。10頁の「Coding system」には「Shell size 1」「Shell size 2」という2つの区分があり、それぞれが扱える極数が表になっている。シェルサイズ1は3+PE・8+PE・14+PE・17+PE・12+3+PEの5構成、シェルサイズ2は4+PE・5+PE・14+PE・12+PE・19+PEの5構成だ。さらに25頁には「C16-3 Part No. syntax」という、まさに型番の構成図そのものが掲載されている。そこでは型番は、シリーズ・接続方式(1桁)・偏心角度(1桁)・スタイル記号・極数(3桁)・接点メッキ(1桁)・ケーブルグランド径(1桁)・シェルサイズ(1桁)・特殊仕様、という8つのフィールドに分解されており、シェルサイズはここでは末尾寄りの独立した1桁として定義されている。つまり、シェルサイズという情報は確かに型番の中に存在するのだが、それは先頭の2桁とは別の場所にあり、しかもこの詳細な構成図が対象としているのは、eco|mate C16の小型標準品(3+PE・6+PEのみを扱う12〜13頁の系列)ではなく、より大きな極数まで対応する別冊のC16-3/C16-L系列だった。
見た目の同じ「C016」という接頭辞を共有していても、実際には2つの異なる号数体系が存在する。小型のeco|mate標準品は3極・6極の2構成しか持たず、独自の簡略な品番一覧表(12〜13頁)で管理されている。大型のC16-3/C16-L系列は2極から19極まで、シェルサイズ1・2という枠組みと、25頁の詳細な構成図に基づいて管理されている。同じ「10」「20」という先頭2桁が、どちらの系列でも接続方式を意味している点は共通しているが、その後ろに続くオプションコードの意味は系列によって違う。小型標準品側の3桁(100/110/200/210など)は接点メッキ系統とケーブルクランプ方式の組み合わせを表すのに対し、大型C16-3/C16-L側で同じ位置に来る3桁(103/104/105など)は、ケーブル引出し部の外径(Ø12-14/Ø14-16/Ø19-21)という、まったく別の情報を表している。同じ桁位置だからといって、同じ意味だと決めつけるのは危うい。
スタイル記号についても、25頁の構成図がすべての選択肢を書き出している。I=オス・ケーブル取付(内部ひずみ除去)、H=オス・ケーブル取付(クランプ式)、K=オス・ケーブル取付(アングル)、E=メス・ケーブル取付(内部ひずみ除去)、D=メス・ケーブル取付(クランプ式)、F=メス・ケーブル取付(アングル)、C=オス・パネル取付(フランジ)、P=オス・パネル取付(スルーホール)、G=メス・パネル取付(フランジ)、N=オス・パネル取付(リングナット)、V=メス側の保護キャップ、U=オス側の保護キャップ。極数とはまったく関係のない、性別と取付形状だけの記号だ。12頁・13頁の外観図を見比べても、H・K・Cの3つはいずれもピンコンタクトが並ぶオス側の写真、D・F・Gの3つはソケットコンタクトが並ぶメス側の写真として、明確に描き分けられている。
実機への当てはめ ── 6つの型式を分解する
ここまでの読み方を、実際に取り扱う6つの型式に当てはめてみる。
C016 10D006 000 12(メス・ケーブル取付・6極+PE)は、eco|mate標準品の12〜13頁品番一覧表に、Crimp(圧着)・黒・6+PEの行として実在する型式そのものだ。10(圧着)・D(メス・ケーブル取付クランプ式)・006(6極+PE)・000(圧着タイプにつき接点メッキは別注文)・12(黒)という構成で、公式カタログの品番と一致を確認できた。
C016 10D010 000 12(10極+PEを想定)は、確認した2冊のカタログのどこにも極数コード「010」が見当たらなかった。eco|mateの小型標準品は3・6極のみ、大型C16-3/C16-L系列も2・3・4・5・8・12・14・17・19極+PEに限られており、10極+PEという構成自体が資料上で確認できない。品番の骨格(先頭2桁・スタイル記号・末尾の色コード)は他の型式と揃っているだけに惜しいが、この型式に限っては、極数の裏付けが取れないまま資料を離れることになる。
C016 10D019 000 12(メス・ケーブル取付・19極+PE)は、極数とスタイルの組み合わせとしては大型C16-3/C16-L系列に実在する。同系列のカタログ19頁「Shell size 2 Female cable connectors」には、C016 10D019 003 2(ケーブル引出し外径Ø10-12)、C016 10D019 004 2(同Ø12-14)という2つの型式が掲載されている。10(圧着)・D(メス・クランプ式)・019(19極+PE)という骨格は一致するが、末尾のオプションコードは「000 12」ではなく「003 2」または「004 2」であり、末尾の「2」は25頁の構成図によれば金メッキを表す。つまりこの型式は、極数・性別・取付形状までは公式資料で裏付けが取れる一方、末尾のオプション表記だけは現行カタログの表記と一致しない。発注前に現物型番か最新のディストリビューター掲載品番との突き合わせを勧めたい。
C016 20H003 110 12(オス・ケーブル取付・3極+PE)は、eco|mate標準品12頁の「Male cable connector straight | with internal cable clamping and clamping ring」の行に、黒・3+PEの銀メッキ系品番として文字どおり掲載されている。20(ねじ接続)・H(オス・クランプ式)・003(3極+PE)・110(銀メッキ系・内部クランプ方式)・12(黒)という構成で、外観図もケーブル取付タイプとして描かれている。「レセプタクル」という呼び方をされることがあるが、公式カタログの分類ではケーブル取付のプラグに当たる。
C016 30H006 110 12(オス・ケーブル取付・6極+PE)も同じ12頁の表に実在し、30(はんだ接続)・H(オス・クランプ式)・006(6極+PE)・110(銀メッキ系・内部クランプ方式)・12(黒)という構成で一致した。
C016 20D003 100 12(メス・ケーブル取付・3極+PE)は13頁の表に実在し、20(ねじ接続)・D(メス・クランプ式)・003(3極+PE)・100(銀メッキ系・標準クランプ方式)・12(黒)という構成で一致した。
現場で間違えやすい点
一つめは、ここまで見てきた「先頭2桁=シェルサイズ」という思い込みだ。10・20・30という区切りのよい数字が並んでいると、シェルサイズや世代番号のように読みたくなる。だが実際は接続方式(圧着・ねじ・はんだ)のコードであり、極数やハウジングの外形寸法とは別の情報である。互換品や代替品を探す際、この桁を外形サイズの手がかりとして扱うと、探す条件そのものを間違える。
二つめは、スタイル記号の性別の取り違えだ。H系はオス、D系はメスという対応は固定されているが、販売サイトや社内資料での呼び方(「レセプタクル」「プラグ」といった通称)が、公式カタログのスタイル区分と一致しているとは限らない。今回もC016 20H003 110 12という、公式にはケーブル取付のオス品を指す型式に、レセプタクルという呼称が添えられている例があった。型番のスタイル記号と、通称としての呼び方は別々に確認する必要がある。
三つめは、同じ「C016」という接頭辞を見て、すべてが1つの号数体系に従っていると思い込んでしまう点だ。小型のeco|mate標準品(3・6極)と、大型のC16-3/C16-L系列(2〜19極)は、先頭2桁の接続方式コードこそ共通しているが、その先のオプションコードが指す内容(メッキ系統+クランプ方式なのか、ケーブル引出し外径なのか)が系列によって違う。型番の桁数や見た目が似ているからといって、片方の系列で覚えた読み方をもう片方にそのまま当てはめると、オプションの意味を取り違える。
四つめは、型番として渡された数字の並びが、必ずしも現行カタログに存在する実在の品番とは限らない点だ。C016 10D010 000 12のように、骨格は他の型式とそろっているのに、肝心の極数コードが資料上で裏付けられない型式もある。型番の「読み方」が分かることと、その型番が現行品として存在することは、別の話として扱ったほうがよい。
実務上の注意点
型番から仕様を読み取る際は、まず先頭2桁を接続方式(圧着/ねじ/はんだ)として確認し、続く1文字のスタイル記号で性別と取付形状(ケーブル取付かパネル取付か)を確認したい。極数は3桁のコードがそのまま極数+PEを表しているが、この対応は小型のeco|mate標準品(3・6極)と大型のC16-3/C16-L系列(2〜19極)で扱える構成そのものが異なるため、手元の型式がどちらの系列に属するかを先に切り分けたほうが、以降の読み違いが減る。
オプションコードとハウジング色の対応は、圧着タイプでは接点を別途手配する都合上、メッキ系統の情報を持たない点にも注意したい。接点の銀メッキ・金メッキを指定する必要がある場面では、ハウジング本体の型番だけでなく、別途注文する接点側の型番(公式カタログでは(1)=銀メッキ、(2)=金メッキという記号で管理されている)まで確認する必要がある。
また、極数コードが今回のように資料上で確認できない型式に出会った場合は、型番の骨格が読めることと実在性の確認は切り離して考えたい。図面や手配履歴に残る型番が現行品かどうか分からない場合は、電設資材専門商社の松本電業株式会社(東京都台東区台東2-4-11)にて品番の確認を承る。
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