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バルーフの近接センサーBESの型番はどう読むのか|BES M12MI-PSC20B-S04Gが並べる出力方式・検出距離・接続方式の規則と、末尾一文字が仕込む落とし穴

読了目安: 10分 編集: 電材サーチ編集部(編集・出典ポリシー

型番ラベルを見比べて、指が止まった経験はないだろうか。「BES M12MI-PSC80B-S04G」「BES M08ZI1-PSC20B-S49G」「BES 516-300-S135-S4-D」。同じ「BES」で始まっているのに、後ろに続く記号の並びがまるで違う種類の暗号のようだ。前の二つは似た構造をしていそうだと当たりがつく。だが三つ目は、桁数もハイフンの位置も明らかに毛色が違う。これは本当に同じセンサーシリーズなのか——そう疑いたくなる。

バルーフ(Balluff)の公式サイト(balluff.com)は、この型式を分解した「凡例表」のようなものを一枚のPDFとしては公開していない。オムロンの一部製品カタログにあるような、①から⑬まで番号を振った形式基準表は見当たらなかった。その代わりに、製品ページごとの仕様表と、同じ系列内での型式違いの比較データが用意されている。今回はこの一次資料を型式ごとに取得し、パズルのピースを一枚ずつ突き合わせるようにして規則を確認した。

結論——PSC/NSCが出力方式を、2桁の数字が検出距離を、末尾の記号が接続方式を表す

M12MI系・M08ZI系と呼べる現行のBES型式は、おおむね次の並びでできている。

BES[ねじサイズ:M12/M08][筐体バリエーション記号:MI/ME/ZI1など]-[出力:P=PNP/N=NPN]SC[検出距離×10:20=2mm/40=4mm/80=8mmなど][特殊仕様の有無:B=標準/A=耐溶接・広温度など]-[接続方式:S04G=M12コネクタ/S49G=M8コネクタ/BPxx=TPUケーブルxxm/BVxx=PVCケーブルxxm]

BES M12MI-PSC20B-S04Gを例に分解すると、「M12」がM12x1ねじサイズ、「MI」が筐体バリエーション、「P」がPNP出力、「SC」がノーマルオープン接点、「20」が検出距離2mm、「B」が標準仕様、「S04G」がM12コネクタ接続を示す——という組み立てになる。

ただし、この規則には二つの見落としやすい落とし穴がある。ひとつは末尾のB/A一文字が検出距離の微調整ではなく特殊仕様の有無を示すこと。もうひとつは、「BES 516-300-S135-S4-D」のような旧世代の型式が、この規則にまったく従わないことだ。この二点については後半で詳しく確認する。

型番を4つの部品に分解する

まずねじサイズ。バルーフの製品ページは各型式の「Style Housing」欄にM12x1・M8x1という表記を明記しており、これが型番冒頭のM12・M08にそのまま対応する。BES0060(BES M12MI-PSC20B-S04G)はStyle Housing=M12x1、BES060T(BES M08ZI1-PSC20B-S49G)はStyle Housing=M8x1で、いずれも型番の数字と一致する。

次に出力方式。BES0060・BES0517・BES0062はいずれも型式に「PSC」を含み、Switching outputは揃って「PNP Normally open (NO)」。一方、BES0054は「NSC」を含み、Switching outputは「NPN Normally open (NO)」だ。今回確認できた全サンプルにおいて、PとNの違いはPNP/NPNの違いに一貫して対応していた。ただし、SCの部分がノーマルクローズ(NC)品でどう変わるのかは、今回取得できた一次資料の範囲では確認できていない。ノーマルオープン以外の接点が必要な場合は、型式を推測で組み立てず、必ず公式ページで実在を確認してほしい。

続いて検出距離。BES0060(PSC20B)はデータシートPDF(文書番号305473)でRated operating distance Sn=2mm、BES0062(PSC40B)はSn=4mm(文書番号306174)、BES0517(PSC80B)はSn=8mm(文書番号244489)と、型番中の2桁の数字を10で割った値がそのままmm単位の検出距離と一致する。これは分かりやすく、現場感覚とも噛み合う規則だ。

最後に接続方式。BES0060・BES0517・BES0054はいずれもM12ねじで、末尾は揃って「S04G」。BES060T・BES060N(比較対象、BES M08ZE1-PSC20B-S49G)はいずれもM8ねじで、末尾は揃って「S49G」。ケーブル直出しの品番になると様相が変わり、BES0062(BP03)はデータシートPDFでCable length L=3m・Material jacket=TPUと明記されている。比較対象のBES0061(BP02)はCable 2.00m TPU、BES0001(BV03)はCable 3.00m PVCで、この3点を並べると「B」が固定、次の一文字(PまたはV)がケーブル被覆材質、末尾の数字がケーブル長(m)という対応が見えてくる。

実機に当てはめる——6つの型式を横に並べる

ここまでの規則を、yamlに載っている実際の型式に当てはめてみる。

  • BES M12MI-PSC80B-S04G(BES0517):M12x1、quasi-flush(準フラッシュ)、Sn=8mm、PNP-NO、M12コネクタ4ピン。データシートのRemarks欄に「Quasi-flushed: See installation instructions for inductive sensors with extended range 825356」とあり、quasi-flushが完全埋め込み(フルフラッシュ)より検出距離を拡張した取付方式であることが分かる。なお本品は廃番で、後継品BES05KH(BES M12MG1-PSC80B-S04G)への切替が公式ページで案内されている。
  • BES M12MI-PSC20B-S04G(BES0060):M12x1、フルフラッシュ、Sn=2mm、PNP-NO、M12コネクタ4ピン。IP68、切替周波数3500Hz。
  • BES M08ZI1-PSC20B-S49G(BES060T):M8x1、フルフラッシュ、Sn=2mm、PNP-NO、M8コネクタ3ピン。Product line=Entry(BES Entry Lineの廉価版ライン)。比較対象のBES060N(BES M08ZE1-PSC20B-S49G)は同じ仕様でボディ長のみ45mm(BES060Tは65mm)と短い。
  • BES 516-300-S135-S4-D(BHS001L):M12x1、フルフラッシュ、Sn=1.5mm、PNP-NO、ステンレス筐体、耐圧500bar(oil pressure rated)。バルーフの製品カテゴリ上は「Pressure-rated inductive sensors(耐圧センサー)」という別枠に属し、内部管理番号もBES00xx/BES05xx/BES06xxではなく「BHS001L」というまったく別の体系になっている。
  • BES M12MI-PSC40B-BP03(BES0062):M12x1、フルフラッシュ、Sn=4mm、PNP-NO、ケーブル直出し3m・TPU被覆。
  • BES M12MI-NSC20B-S04G(BES0054):M12x1、フルフラッシュ、Sn=2mm、NPN-NO、M12コネクタ4ピン。

現場で間違えやすい点——「B」と「A」、そして「516」系列

型番の中で最も見落とされやすいのが、検出距離の数字のすぐ後ろに付く一文字だ。「PSC20B」と「PSC20A」——BES0060とBES05U4を比較すると、公式の製品比較表ではどちらもSn=2mm・PNP-NOで並んでいる。数字と出力方式だけを見れば同じ品に見える。

だが仕様表を最後まで読むと、この二つは別物だ。末尾がBの標準品(BES0060)は切替周波数3500Hz・IP68・周囲温度-25〜70℃。対して末尾がAの品(BES05U4)は、Additional features欄に「Factor 1」「Extended temperature range」「Weld-immune (magnetic field 100kA/m)」と明記されており、切替周波数800Hz・周囲温度-40〜85℃という、溶接ノイズ環境や極低温・高温環境向けに振った別仕様になっている。IP68の記載も標準品にはあるが、A品の当該欄はハイフン(未記載)だ。検出距離の数字だけを見て「同じ2mm品だから在庫のどちらでもいい」と判断すると、耐溶接ノイズ仕様を必要とする現場に標準品を納めてしまう——あるいはその逆——という取り違えが起こり得る。

もう一つの落とし穴は、型番の見た目が近いからといって同じ規則で読めるとは限らない点だ。「BES 516-300-S135-S4-D」は、M12MI系と同じ「BES」で始まり、ハイフン区切りの記号が並ぶという意味では似た印象を与える。しかし公式の製品比較表を見ると、この系列の型式中の数字(135・298など)は検出距離を直接表していない。BES 516-300-S135-S4-D(BHS001L)とBES 516-300-S298-S4-D(BHS0049)はどちらもSn=1.5mmで、両者を分けているのは今回確認できた範囲ではハウジング材質の鋼種表記(通常のStainless steelか、1.4104という具体的な規格番号が明記されたステンレスか)だった。この系列はバルーフの製品分類上も「Pressure-rated inductive sensors(耐圧センサー)」という別カテゴリに属しており、内部の管理番号もBHS001Lのように、M12MI系のBES00xx/BES05xx/BES06xxとは異なる体系になっている。型番の見た目の類似性から「同じ読み方ルールが使えるはず」と早合点しないほうがいい。

実務上の注意点

検出距離の数字は信頼できる規則だが、その手前の筐体バリエーション記号(MI・ME・MG1・ZI1・ZE1など)については、バルーフの公開情報の範囲で断定できることが限られている。今回の比較では、M12のMIとMG1(BES0517とその後継BES05KH)、M8のZI1とZE1(BES060TとBES060N)がいずれもボディ長や世代・接続ピン数の違いに対応していることは確認できた。しかし、どの文字がどの意味を持つかを一文字ずつ定義した公式の凡例は見当たらなかった。この部分の記号だけを根拠に代替品を選定するのは避け、必ず該当する型式の製品ページ・データシートで寸法(Dimension)や接続仕様を直接照合してほしい。

また、廃番品への対応にも注意したい。BES0517(BES M12MI-PSC80B-S04G)は公式ページ上で廃番(Discontinued)扱いとなっており、後継品BES05KH(BES M12MG1-PSC80B-S04G)が推奨代替品として案内されている。同じ検出距離・同じ出力方式であっても、接続ピン数(4ピン→3ピン)やハウジング材質(Brass→Brass, Nickel-free coated)、感知面材質(LCP→PBT)が変わっているため、既設設備の更新では単純な型式の読み替えではなく、実際の取付寸法・配線仕様まで確認したうえで発注したほうがいい。

BESシリーズの型番確認・見積りについて

電設資材専門商社の松本電業株式会社(東京都台東区台東2-4-11)では、バルーフBESシリーズの型番読み取りから、廃番品の後継品確認、検出距離・出力方式・接続方式の照合までのご相談を見積フォームで受け付けている。型番ラベルが摩耗して読み取りにくい場合は、現物の写真があると照合が早い。

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よくある質問

BES M12MI-PSC20B-S04GのPSCとNSCは何を表していますか?

出力方式です。バルーフ公式のBES0060(BES M12MI-PSC20B-S04G)製品ページとデータシートPDF(文書番号305473)は、Switching outputを「PNP Normally open (NO)」と明記しています。一方、BES0054(BES M12MI-NSC20B-S04G)は「NPN Normally open (NO)」です。確認できた全サンプルで、Pで始まる区分はPNP出力、Nで始まる区分はNPN出力に一貫して対応しており、SCの部分は少なくとも今回確認した範囲ではすべてノーマルオープン(NO)接点でした。ノーマルクローズ(NC)品がどの記号になるかは、今回の一次資料の範囲では確認できていません。

型番中の2桁の数字(20・40・80など)はそのまま検出距離ですか?

M12MI系・M08ZI系の型式に限れば、その通りです。BES0060(PSC20B)はSn=2mm、BES0062(PSC40B)はSn=4mm、BES0517(PSC80B)はSn=8mmと、各データシートPDFの「Rated operating distance Sn」欄が数字の10分の1(mm換算)と正確に一致します。ただし旧世代の「BES 516-300-S135-S4-D」(耐圧センサー、内部管理コードBHS001L)ではこの規則が成立しません。同型式のデータシートはSn=1.5mmですが、比較対象のBHS0049(BES 516-300-S298-S4-D)も同じくSn=1.5mmであり、数字が検出距離を直接表していないことが公式データシートの比較から確認できます。

同じ『PSC20』でも末尾がBとAで何が違いますか?

検出距離の違いではなく、特殊仕様の有無です。BES0060(BES M12MI-PSC20B-S04G)とBES05U4(BES M12MI-PSC20A-S04G)は、公式製品ページの比較表によればどちらもSn=2mm・PNP-NOで一致します。しかし末尾がBの標準品は切替周波数3500Hz・IP68であるのに対し、末尾がAの品はAdditional featuresに「Factor 1」「Extended temperature range」「Weld-immune (magnetic field 100kA/m)」を持ち、切替周波数800Hz・周囲温度-40〜85℃という別仕様になっています。末尾の一文字を検出距離の微調整だと思って読み飛ばすと、耐溶接ノイズ品と標準品を取り違える恐れがあります。

型番末尾のS04G・S49G・BP03のような記号は何を表していますか?

接続方式です。今回確認できたM12ねじサイズのコネクタ接続品(BES0060、BES0517、BES0054、BES0068、BES05U4)はすべて末尾が「S04G」、M8ねじサイズのコネクタ接続品(BES060T、BES060N)はすべて末尾が「S49G」でした。一方、コネクタではなくケーブル直出しの品番は末尾が「BPxx」または「BVxx」になります。BES0062(BES M12MI-PSC40B-BP03)のデータシートはCable length L=3m・Material jacket=TPUと明記しており、比較対象のBES0061(BP02、Cable 2.00m TPU)・BES0001(BV03、Cable 3.00m PVC)と合わせると、PがTPU被覆・Vがpvc被覆、末尾の数字がケーブル長(m)を示すという対応が見えてきます。

参考文献・出典

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