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電材基礎端子・コネクタ

圧着端子の種類と選び方|裸端子・絶縁端子・棒端子の使い分けと圧着工具

読了目安: 8分 編集: 電材サーチ編集部(編集・出典ポリシー

本記事の事例は、安全啓発を目的として典型的な事象を再構成したものです。特定の現場・企業を指すものではありません。

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【現場のやらかし事例】「サイズが合わないから」と電線を間引いて無理やり圧着して起きた発熱事故

ある制御盤の改修現場で、2.0sqの電線に接続するための2sq用圧着端子が手元に不足していました。 作業者は「少し電線の芯線を間引けば入るだろう」と考え、2.0sqの電線の銅線をハサミで少し細くカットし、手元にあった1.25sq用のY形端子に無理やり差し込んで圧着し、接続しました。

試運転時は問題ありませんでしたが、数ヶ月後、その制御盤から焦げ臭いにおいが発生。確認すると、無理に圧着した端子台の接続部が熱で黒く炭化し、周囲のプラスチックカバーが溶け落ちていました。

原因は「電線と端子のサイズ不適合による接触抵抗の増大」です。 芯線を間引いて圧着したため、圧着部内部で十分な圧着力がかからず隙間が生じ、そこが高抵抗となって電流が流れるたびに発熱し続けたのです。幸い火災には至りませんでしたが、盤内の他の精密部品まで熱で損傷し、数十万円の改修費用が発生しました。

圧着端子は電線と電気機器を繋ぐ最も基本的なパーツですが、「サイズ違いの組み合わせ」や「不完全な圧着」は重大な発火トラブルに直結します。本記事では、このような事故を防ぐための正しい端子の選び方、電線サイズとの正確な適合表について解説します。


電線をしっかり固定して電気的接続を確保するための圧着端子——「なんとなく手元にある端子を使っている」「電線に合ったサイズの選び方がわからない」という状況では、接触不良・抜け・短絡といったトラブルの原因になる。

端子の選定ミスは制御盤の誤動作や現場での再施工コストに直結する。本記事では裸端子・絶縁端子・棒端子の違いから、電線サイズとの対応表、圧着工具の選び方まで体系的に解説する。

この記事でわかること

  • 裸圧着端子(R形・Y形・P形)の種類と用途
  • 絶縁被覆付き圧着端子の特徴と使い場所
  • 棒端子(フェルール端子)が必要なケース
  • 電線サイズ(mm²・AWG)と端子サイズの対応
  • 圧着工具(ラチェット式)の選び方

圧着端子の種類と定義

裸圧着端子(裸端子)

裸圧着端子は絶縁被覆のない金属製の端子で、圧着後に絶縁キャップや熱収縮チューブによる絶縁処理が必要だ。JIS C 2805で規定されており、端末の形状によってR形・Y形・P形に分類される。

R形(丸形・リング形)

端末がリング(丸穴)状で、機器のねじ端子やアース端子に固定する。ねじを外さないと取り外せないため固定強度が高い。アース線の接続やパワー系統の固定端子に多用される。

Y形(フォーク形・スパナ形)

端末がU字(フォーク)状で、ねじを緩めるだけで着脱できる。端子台への接続や頻繁に着脱する部位に適している。制御盤内の端子台配線で広く使われる。

P形(ピン形)

端末が棒状(ピン)で、タブ形端子や特定のコネクタに差し込む形式。音響機器や計装配線で使われることがある。

絶縁被覆付き圧着端子(絶縁端子)

ビニル絶縁スリーブが一体化された端子で、圧着のみで絶縁処理まで完了する。裸端子より施工が速く絶縁処理の品質が安定するため、制御盤内配線・パネル配線で多用される。

色分けで電線断面積を識別できる(JIS/ISO準拠の標準色):

スリーブ色適合電線断面積(目安)
0.25〜1.65mm²(概ねAWG 22〜16)
1.04〜2.63mm²(AWG 17〜13)
4〜6mm²(AWG 12〜10)

メーカー(ニチフ・TE Connectivity等)によって色と適合断面積が若干異なる場合がある。必ずメーカーのカタログを確認すること。

棒端子(フェルール端子・絶縁スリーブ付き棒端子)

棒端子(フェルール端子)は撚り線の端末を円柱形の金属スリーブ内に圧着して、端末を固形化する端子だ。ねじ込み式・スプリング式端子台への撚り線挿入時に素線の広がりを防ぎ、接触不良・ショートを防止する。

PLCや制御機器のスプリング式端子台では、棒端子の使用が事実上必須とされているケースが多い。欧州規格を採用した産業機器(Siemens・Schneider Electric等)では棒端子使用がメーカー推奨または仕様要求となっている。

端子種別絶縁処理主な用途
裸圧着端子(R/Y/P形)別途処理必要アース・動力・固定端子台接続
絶縁被覆付き端子圧着のみでOK制御盤・パネル内配線
棒端子(フェルール)絶縁スリーブ一体スプリング式端子台・PLC入出力

電線サイズと端子サイズの対応表

端子のサイズ選定で最も重要なのは「適合電線断面積」の一致だ。

この「電線の断面積に合った圧着具を選ぶ」という原則は、第二種電気工事士の技能試験でも形を変えて出てくる。技能試験で使うのは端子ではなくリングスリーブだが、選定の考え方は同じで、束ねる電線の太さと本数の合計からスリーブの呼び(小・中・大)を決め、対応するダイスで圧着マーク(○・小・中・大)を刻む。スリーブの呼びと刻印は別物で、同じ小スリーブでも組合せによって「○」と「小」に分かれる。ここを外すと一発で欠陥になる。詳しくはリングスリーブの選定と圧着マークにまとめてある。

mm²表記(JIS・日本国内流通)

電線断面積(mm²)裸端子型番例(ニチフ)絶縁端子型番例
0.75mm²R0.75-X / Y0.75-XTIC0.5
1.25mm²R1.25-X / Y1.25-XTIC1.25
2mm²R2-X / Y2-XTIC2
3.5mm²R3.5-X / Y3.5-XTIC3.5
5.5mm²R5.5-X / Y5.5-XTIC5.5
8mm²R8-X / Y8-X
14mm²R14-X / Y14-X

Xはねじ径を示す数字(例:R1.25-3.5はΦ3.5mmのねじに対応)。端子台のねじ径も確認して選定すること。

AWG表記との対換算(参考)

AWGおおよそのmm²対応する端子(日本規格)
AWG 220.33mm²0.5mm²クラス
AWG 180.82mm²0.75〜1.25mm²クラス
AWG 161.31mm²1.25mm²クラス
AWG 142.08mm²2mm²クラス
AWG 123.31mm²3.5mm²クラス
AWG 105.26mm²5.5mm²クラス

AWG→mm²換算は参考値。輸入電線や機器付属の電線はメーカー仕様書の実測外径も確認する。

圧着工具の選び方

ラチェット機構の有無

圧着工具の選定で最も重要なポイントだ。ラチェット式は規定の圧着量に達しないとダイスが開かない仕組みで、不完全圧着を構造上防げる。品質重視の施設・検査が厳しい工事ではJIS C 9711適合品のラチェット式を選ぶ。

コストを優先する場合はラチェットなしの普通の圧着ペンチも存在するが、圧着力の管理は作業者のスキルに依存する。

対応サイズの確認

圧着工具はダイスが固定の「一体型」と「交換型」がある。

  • 一体型: 0.75〜2mm²など特定の範囲をカバーする専用品。取り扱う電線サイズが限定される場合に経済的。
  • 交換ダイス型(多機能型): ダイスを交換することで0.25mm²〜6mm²以上まで幅広くカバー。制御盤工事など複数サイズを扱う現場に向いている。

棒端子用圧着工具

棒端子専用の圧着工具が別途必要だ。棒端子用は六角圧着(ヘックス型)が主流で、円形断面の棒端子をメーカー指定の六角形に圧着する。棒端子メーカー(PHOENIX CONTACT・Weidmüller等)は専用工具を提供しており、適合工具との組み合わせで使用することが推奨される。

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主要メーカーの品種

ニチフ(Nichifu)

国内電線端子のトップシェアメーカーだ。裸圧着端子・絶縁被覆付き端子のラインナップが非常に充実しており、型番体系が明確で代理店流通も豊富。R形・Y形の主要サイズは電材代理店の在庫品として容易に入手できる。

ニチフ 品種詳細はこちら

TE Connectivity(タイコエレクトロニクス)

世界最大級のコネクタ・端子メーカーだ。AMP Superseal・DTM・MATINGなどのコネクタシステムと端子のラインナップが広く、産業機器・車載・防水コネクタまで幅広くカバーする。欧州規格準拠品が充実しており、輸入機器の改修工事でも標準的な選択肢となっている。

TE Connectivity 品種詳細はこちら

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よくある質問

裸圧着端子と絶縁被覆付き圧着端子はどう使い分けますか?

端末の露出環境と絶縁要件によって使い分けます。裸圧着端子は圧着後に絶縁キャップや収縮チューブで保護する必要があります。絶縁被覆付き圧着端子はビニル被覆が一体になっており、圧着のみで絶縁処理まで完了します。制御盤内の配線やパネル内配線では絶縁被覆付きが多用されます。

棒端子(フェルール端子)はどういうときに使いますか?

棒端子はねじ込み式端子台やスプリング式端子台への撚り線の接続に使います。棒端子なしで撚り線を端子台に差し込むと素線が広がって接触不良や短絡の原因になりますが、棒端子で端末をまとめることで確実な接続が得られます。PLCや制御機器のスプリング式端子台では棒端子の使用が事実上必須です。

圧着端子のサイズ(mm²)と電線のサイズはどう合わせますか?

端子の「適合電線断面積(mm²)」と電線の公称断面積を一致させます。例えば、「1.25mm²用端子」は1.25mm²の電線に対応します。必ずメーカーの適合表を確認し、電線断面積・外径両方が適合していることを確認してください。サイズが合わない端子を使うと圧着不足・接触不良・発熱の原因になります。

ラチェット式圧着工具とそうでないものの違いは何ですか?

ラチェット機構の有無が「圧着の確実性」に大きく影響します。ラチェット式は規定の圧着量に達しないとダイスが開かない仕組みになっており、不完全圧着を防げます。品質重視の現場や検査が厳しい設備工事では、JIS C 9711適合品のラチェット式圧着工具の使用が推奨されます。

Y形端子とR形端子の違いは何ですか?

ねじへの取り付け方法が異なります。R形(丸形)端子はリング状で、ねじを取り外さないと端子を外せず固定強度が高いです。Y形(フォーク形)端子はU字状で、ねじを緩めるだけで端子を外せます。頻繁に着脱が必要な端子台や機器の接続にはY形、アース端子など固定確実性が重要な箇所にはR形を選ぶのが基本です。

電線サイズ(sq) ⇄ 適合圧着端子(ニチフ標準) ⇄ JIS適合圧着工具ダイス 適合表

電気工事実務で必須となる、銅線(撚り線)のサイズに対する、適合するニチフ製の裸圧着端子・絶縁被覆付圧着端子の呼び型番と、JIS C 9711適合圧着ペンチで選択すべき圧着ダイス(めすダイス)の選定表。

元の製品仕様 (電線サイズ)代替・互換推奨品 (ニチフ端子)互換レベル移行・施工時の注意点
電線サイズ0.75 mm²AWG 18 相当ニチフ端子R0.75-X / Y0.75-X裸端子用TIC: 0.5〜0.75用ダイス: 1.25

圧着工具はJIS規格品(例:ロブテックス AK15A等)の『1.25』ダイスを使用し、適切な力で圧着してください。

電線サイズ1.25 mm²AWG 16 相当ニチフ端子R1.25-X / Y1.25-X絶縁被覆付: TMEV1.25ダイス: 1.25

裸端子はJIS工具の『1.25』、絶縁端子は専用の絶縁端子用圧着工具(例:ニチフ NH1等)の対応ダイスで圧着します。

電線サイズ2.0 mm²AWG 14 相当ニチフ端子R2-X / Y2-X絶縁被覆付: TMEV2ダイス: 2.0

裸端子はJIS工具の『2.0』ダイスを使用。撚り線の素線が端子からはみ出さないよう、完全に挿入して圧着します。

電線サイズ3.5 mm²AWG 12 相当ニチフ端子R3.5-X / Y3.5-X絶縁被覆付: TMEV3.5ダイス: 5.5

注意:3.5sqの裸端子はJIS工具の『5.5』のダイスで圧着を行います(JIS C 9711による標準指定)。過少圧着にならないよう確認してください。

電線サイズ5.5 mm²AWG 10 相当ニチフ端子R5.5-X / Y5.5-X絶縁被覆付: TMEV5.5ダイス: 5.5

裸端子はJIS工具の『5.5』ダイスを使用。絶縁被覆付端子は太いスリーブに対応した専用の工具で確実に圧着を行ってください。

電線サイズ8.0 mm²AWG 8 相当ニチフ端子R8-X / Y8-X一般的に裸端子が主流ダイス: 8.0

裸端子はJIS工具(大サイズ対応型:例AK22A等)の『8.0』ダイスで圧着。手動ラチェット式では握力が必要となるため、油圧式も検討されます。

電線サイズ14.0 mm²AWG 6 相当ニチフ端子R14-X / Y14-X高圧・動力幹線配線用ダイス: 14.0

裸端子はJIS工具の『14.0』ダイスで圧着。14sq以上の太物になると、手動式より電動・手動油圧式圧着工具の使用が推奨されます。

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参考文献・出典

この内容は、第二種電気工事士ではこう問われる

電線を間引いて圧着してはいけない理由は、試験でも「電線の接続の条件」として明文で問われます。学科の配線図では、接続点ごとにスリーブの種類と個数を数えさせる形で出ます。

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