盤間の配線表に「CVV-S 1.25sq-4C」とあり、その区間はインバータ盤の横を20mほど並走する。「遮へい付きにしてあるから、インバータのノイズは大丈夫ですよね」と念を押される。CVVSを選ぶこと自体は筋が通っている。ただ、銅テープ1枚で減らせるノイズと、減らせないノイズがある。
ケーブルメーカーの技術資料は、銅テープの遮へいを「静電遮へい」と呼び、電源線の磁束による誘導を減らす「電磁遮へい」とは分けて扱っている。では、インバータの出力線が流す電流の磁界には、何が効くのか。
CVVとCVVSは「銅テープ1枚」の差
CVVはJIS C 3401(制御用ケーブル)に規定される制御用ビニル絶縁ビニルシースケーブルで、適用は600V以下の制御回路だ。JIS C 3401は1954年に制定され、2026年6月に確認されている。同じJISには、ポリエチレンで絶縁したCEEや、耐燃性ポリエチレンをシースに使うCEE/Fなども含まれる。
SFCCの仕様書では、CVVの導体は軟銅の円形より線で、1.25mm²は直径0.45mmの素線7本、2mm²は0.6mmの7本。1.25mm²と2mm²では、絶縁体はビニル0.8mm、シースは黒のビニル1.5mm(30心は1.6〜1.7mm)だ。線心は2心が黒・白、3心が黒・白・赤、4心が黒・白・赤・緑で、5心以上は黒い絶縁体の表面に印字した番号で見分ける。
CVVS(メーカーによってはCVV-S)は、より合わせた線心の上に銅テープを巻いた品種で、SFCCの製品名は「銅テープ遮へい付制御用ビニル絶縁ビニルシースケーブル」。規格は日本電線工業会のJCS 4258(制御用ケーブル(遮へい付))で、2003年版に2024年の追補1が出ている。SFCCの仕様書では、遮へいは厚さ0.05mm以上の軟銅テープを重ね巻きする。
| 比べる点 | CVV | CVVS(CVV-S) |
|---|---|---|
| 規格 | JIS C 3401 | JCS 4258 |
| 遮へい | なし | 銅テープ |
| 主に減らせる誘導 | ー(対型を選べば磁界による誘導に効く) | 電界による静電誘導 |
| 端末処理 | 線心の処理のみ | 遮へいの処理と接地が加わる |
| 屈曲の多い場所 | ー | 銅テープ遮へいは不向き(銅線編組の遮へいが向く) |
(出典:JIS C 3401概要、JCS 4258、SFCC仕様書、JMACS技術資料「ケーブルのノイズ対策」)
銅テープが防ぐノイズ、防げないノイズ
ケーブルメーカーJMACSの技術資料「ケーブルのノイズ対策」は、遮へいを2つに分けている。銅テープ・アルミテープ・銅線編組で覆う静電遮へいは、近くの電線の電界による静電誘導や、不要な電波の飛び込みを減らす。電源線の電流がつくる磁束による誘導を減らすには、磁性体の鉄テープを加えた電磁遮へいが別に要る。
| 誘導の種類 | 原因 | 効く対策 | 遮へいの接地 |
|---|---|---|---|
| 静電誘導 | 近くの電線の電圧(電界) | 銅テープ・アルミテープ・銅線編組の静電遮へい | 1点接地 |
| 電磁誘導 | 電源線の電流がつくる磁束 | 対より(ツイストペア)、動力線との離隔、鉄テープを加えた電磁遮へい | 電磁遮へいは両端接地(地電位差をなくす) |
(出典:JMACS技術資料「ケーブルのノイズ対策」)
磁界の誘導には、線心のより方が効く。同じ資料は「ノイズ対策ハンドブック」(日刊工業新聞社)から、並行線の誘導を1としたときの比を引いている。より合わせのピッチが4インチ(約100mm)で1/14、1インチ(約25mm)で1/141まで下がる。並行線を1インチの電線管に収めた場合は1/22で、ピッチ3インチ(1/71)のより線のほうが効く。
これらの比は、資料が「交流電源による電磁誘導の軽減」として載せている表の値で、商用周波の電源線を想定したものだ。インバータの出力線のように高い周波数を含むノイズでは、インバータの取扱説明書が指定する配線(ケーブルの種類・離隔・接地)を優先する。
CVVにも、2本の線心をより合わせた「対型」がある。SFCCの仕様書では1.25mm²と2mm²に1〜20対が並ぶ。磁界による誘導が心配な区間では、遮へいの有無とは別に、対型かどうかを図面と機器の指定で確かめる。ノイズを出す側の配線も効く。資料は、電源線をVVFやIVのような並行の線にするより、線心を撚り合わせたVVRやVCTにしたほうが誘導が少ないとしている。
この資料は冒頭で、ノイズは信号の大きさ・周波数・機器の強さなど多くの要素が絡むため、ケーブルの対策だけでトラブルを完全に防ぐのは難しい、とも断っている。CVVSに替えても止まらないノイズがあるのは、この前提からも分かる。
遮へいの接地は「1点」が基本で、例外は電磁遮へい
CVVSで現場が迷うのは、遮へいをどこで接地するかだ。JMACSの資料は、静電遮へいは1点で接地するよう求め、接地しない場合や両端で接地した場合は、遮へい効果が大きく下がったり、かえって誘導を拾ったりすると説明している。アナログ入力信号は、電流信号を電圧信号に変換する側(コンピュータ側)で接地する。
両端接地が正しいのは電磁遮へいのほうだ。この場合は両端の接地を通じて大地とのループができるので、両端の地電位差をなくして遮へいに電流が流れないようにする必要がある、と資料は注意している。「CVVSは片端接地」という覚え方は、静電遮へいの話としては正しい。どちらの端で落とすかは、受信側の機器メーカーの指定と設計図書で決める。
接地には安全上の意味もある。SFCCのCVV-S仕様書は、電技解釈が被覆金属体の接地を定めているとして、遮へい層を確実に接地するよう注意している(使用電圧300V以下のケーブル工事による低圧屋内配線では、電技解釈 第164条第1項第四号が電線の被覆に使用する金属体にD種接地工事を求める)。1点接地は、遮へいを浮かせてよいという意味ではない。
心数の決め方
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回路ごとに必要な線の数を数える。独立した無電圧接点が3回路なら各2線で6心、共通線をまとめられるなら回路数+1心になる。
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予備心を足す。何心見込むかは、将来の増設計画と設計図書・発注者の指定で決める。
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メーカーの心数に丸める。SFCCの心型CVVは、1.25〜3.5mm²で2・3・4・5・6・7・8・10・12・15・20・30心、5.5mm²は20心まで、8mm²は12心まで、14mm²は6心まで、22mm²は4心までだ。
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外径を確かめる。1.25mm²でも10心は15.5mm、30心は23mmになる(SFCC)。ケーブルグランドやパッキンで外径の公差が要る場合は、メーカーに事前に相談するよう仕様書に書かれている。
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7心と8心の境目を意識する。外径とPSEマークの扱いが変わる(次の節)。
心数×サイズ別の仕上外径(SFCC仕様書の付表)
ケーブルグランドや配管の太さを決めるときは、仕上外径で見ます。SFCCのCVV仕様書(SF-0012B)の付表から、よく使う3サイズを並べました。値は「約」の外径で、メーカーや製造ロットで多少変わります。
| 心数 | 1.25mm² | 2mm² | 3.5mm² |
|---|---|---|---|
| 2 | 9.2mm | 10.5mm | 11.5mm |
| 3 | 9.7mm | 11.0mm | 12.0mm |
| 4 | 10.5mm | 11.5mm | 13.0mm |
| 5 | 11.5mm | 12.5mm | 14.5mm |
| 6 | 12.5mm | 13.5mm | 15.5mm |
| 7 | 12.5mm | 13.5mm | 15.5mm |
| 8 | 13.0mm | 14.5mm | 16.5mm |
| 10 | 15.5mm | 17.0mm | 19.5mm |
| 12 | 16.0mm | 17.5mm | 20mm |
| 15 | 17.0mm | 19.0mm | 22mm |
| 20 | 19.0mm | 21mm | 25mm |
| 30 | 23mm | 26mm | 30mm |
5.5mm²(20心まで)、8mm²(12心まで)などは仕様書の付表を見てください。他社品は外径が異なることがあるので、グランドの径が厳しいときは使うメーカーの仕様書で確かめます。
型番がまだ決まっていない段階で、確認しておくことを想定例で並べる。
| 想定条件 | 品種を決める前に確認すること | 相談時に残す情報 |
|---|---|---|
| 独立した無電圧接点が3回路、各回路2線 | 共通線を使うか、予備心を何心確保するか | 回路図、使用6心という前提、設計指定の予備心、必要長 |
| アナログ信号がインバータ近傍を通る | 機器指定のケーブル・対より・遮へい・接地側・離隔 | 両端機器の型番、信号方式、ルート、並走距離 |
| 既設の「CVVらしい」ケーブルを交換 | シース印字と図面から品種・サイズ・心数を確認 | 印字の写真、図面の記号、未確認の事項 |
一段深い理解:「7心」で変わる2つのこと
6心と7心は同じ太さ
SFCCの付表を並べると、6心と7心の仕上外径がどのサイズでも同じになっている。1.25mm²は12.5mm、2mm²は13.5mm、3.5mm²は15.5mm、5.5mm²は18.5mm、8mm²は22mmだ。8心になると外径は一段上がる。
幾何で考えると説明がつく。同じ太さの円7つは、中心の1つの周りに6つがちょうど接して並ぶ。6心でも中心に1本分の場所が残り、仕様書の言う介在で埋めて円く仕上げることになるので、外のりは7心と変わらない。1.25mm²の質量は6心185kg/km、7心200kg/kmと近い。6心で足りる回路でも、同じ外径で1心多い7心は予備心の候補になる。
PSEマークが付くのは7心まで
電気用品安全法施行令の別表第一は、特定電気用品(ひし形のPSEマークの対象)になるケーブルを、定格電圧100V以上600V以下で「導体の公称断面積が22mm²以下、線心が7本以下」、外装がゴム又は合成樹脂のものに限っている。CVVの仕様書でも、JMACSはシース表示の例で7心以下にだけ
つまり、8心以上のCVVにPSEマークがないのは不備ではなく、電気用品安全法の対象外だからだ。低圧の電路に使うケーブルについて、電技解釈第9条は「電気用品安全法の適用を受けるもの」のほかに、絶縁体の厚さや耐電圧などの性能を満たすものを認めている。受入検査で「10心にPSEがない」と止められたら、まず心数を見る。
CVVの仲間と、取り違えやすい品種
| 品種 | 使う回路 | 規格 | 詳しい解説 |
|---|---|---|---|
| CVV | 制御回路(盤間・盤と機器の間) | JIS C 3401 | このページ、CVVケーブル品種ハブ |
| CVVS(CVV-S) | 静電誘導を避けたい制御・計装回路 | JCS 4258 | このページ |
| EM-CEE(CEE/F)、EM-CEE-S | 公共建築の制御回路(エコケーブル) | JIS C 3401、JCS 4258 | 下の段落 |
| CV | 動力・幹線 | ー | CVケーブルとCVTの違いと太さの決め方 |
| KIV | 盤内の機器配線 | JIS C 3316 | KIV・IV・HIVの違いと盤内配線の選び方 |
| VCT | 移動機器・可動部への電源 | ー | 電線・ケーブルの種類と構造 |
官庁施設の営繕に使う公共建築工事標準仕様書(電気設備工事編)令和7年版を見ると、電線類の表に載る制御ケーブルは、EM-CEE(CEE/F)と、銅テープ遮へい付きのEM-CEE-S(CEE/F-S)の2つだけで、CVVは載っていない。同仕様書は、標準仕様書と標準図ではこの表の呼称で示すとしている。官庁営繕の図面に「CVV」ではなく「EM-CEE」と書かれているのは、このためだ。
寸法・許容電流・メーカー別の仕様を横並びで見たいときは、CVVケーブル品種ハブにまとめている。
現場で間違いやすい点
予備心ゼロで発注する
必要な信号点数ぴったりで発注すると、竣工後に「1点だけ信号を増やしたい」となったとき、ケーブルを引き直すことになる。7心が6心と同じ外径であることを使えば、ルートの余裕を変えずに1心を足せる場面がある。
動力線と同じ金属ダクトに入れる
JMACSの資料は、電源線と信号線が並行する場合はできるだけ離し、同じ金属ダクトに入れることは避けるよう求めている。やむを得ないときは金属セパレータで分け、セパレータを含むダクトの接地を確実に取る。信号線を金属製可とう電線管や鋼製電線管に入れる方法も有効だとしている。
銅テープ品を、曲げの多い場所に使う
銅テープの遮へいは、屈曲点の多い場所の配線には適さない、と同じ資料にある。曲げが続くルートや可動部では、銅線編組の遮へいのように曲げに強い構造を、機器メーカーの指定とあわせて検討する。
注文・問い合わせで伝える項目
品種(CVVかCVV-Sか、心型か対型か)、導体サイズ、心数、長さの4つがそろえば、品物はほぼ決まる。書き方は「CVV 1.25sq-10C 150m」「CVV-S 2sq-7C 80m」のように並べる。メーカーの指定、PSE表示の要否、ケーブルグランドの外径公差もあれば添える。
価格は銅の相場で動くので、見積の有効期限と価格の適用日を確かめておく。見方は銅建値とはにある。
関連情報
- KIV・IV・HIVの違いと盤内配線の選び方
- CVケーブルとCVTの違いと太さの決め方(動力・幹線)
- SUNLIGHTケーブル(太陽ケーブルテック)の全シリーズと型番の読み方(耐油環境の信号線)
- 制御盤の製作・配線に使う電材一式
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- 漁船・小型船舶の電装とケーブル交換(船用電線・JCI検査)
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