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古河電工メタルケーブルの耐火電線KRF-8の型式はどう読むのか|「-F」の有無が平形と丸形を分け、シースには「KRF-8」ではなく「EM KRF-8」と刻まれている

読了目安: 9分 編集: 電材サーチ編集部(編集・出典ポリシー

非常用照明の配線図に「KRF-8-F2×1.6」という指定を見つけたとき、頭の中で何を思い浮かべるだろうか。8という数字、F、2、×、1.6――記号がやけに詰め込まれている割に、どれが太さでどれが心数なのか、パッと言い切れる人は意外と少ない。しかも「耐火電線」という言葉が付くだけで、間違えたときの重さが他の電線とは違う気がしてくる。

そう感じるなら、感覚は正しい。耐火電線は消防法に基づく非常用設備の配線に使われる法令適合品で、選定を誤れば設備そのものが要件を満たさなくなりかねない。だからこそ、まずは型式の骨格を、公式の一次資料に照らして一つずつ確認しておきたい。

型式の骨格――「-F」の有無が、平形と丸形の分かれ目になる

製造・販売元である古河電工メタルケーブル株式会社(古河電工グループの会社で、旧社名はKANZACC)の公式製品ページ「KRF-8(FP) 消防用耐火電線」を開くと、「構造」の項目に2枚の表が並んでいる。見出しはそれぞれ「KRF-8-F 平形」「KRF-8 丸形」。この時点で、型式の骨格はもう見えている。「-F」が付けば平形、付かなければ丸形だ。

そのあとに続く数字も、飾りではない。平形の表には「線心数C」という列があり、2または3の値を取る。丸形の表でも同じ列があるが、こちらは2から6まで幅がある。線心数の右には「×」を挟んで導体サイズが続く。平形の表では1.2mm・1.6mm・2.0mmという単線の直径、あるいは2mm²・3.5mm²・5.5mm²というより線の断面積が並び、丸形の表ではさらに大きな8mm²から100mm²までの断面積が並ぶ。つまり型式の並び順は、

KRF-8(+F)-線心数×導体サイズ

という骨格で読める。「KRF-8-F2×1.6」なら平形・2心・1.6mm単線、「KRF-8-2×38」ならFが付いていないので丸形・2心・38mm²のより線、という具合だ。ここまでは、シリーズ名の付いた電線にありがちな、素直な組み立てである。

もっとも、「KRF-8」というシリーズ名そのものが何の略なのかは、この構造表もほかの公式ページも説明していない。古河電工メタルケーブルには同じ「消防用電線」のカテゴリに「KRF-3(HP)」という製品もあり、末尾の数字が違えば性能区分そのものが違う。KRF-3は380℃×15分間の耐熱試験(消防庁告示第11号)に合格した製品で、非常電源の弱電回路・表示灯回路・音響回路向け。対するKRF-8は840℃×30分間の耐火試験(消防庁告示第10号)に合格した製品で、消火設備回路・火災報知回路・誘導灯回路・非煙設備回路という強電回路向けだ。同じ「KRF」を名乗っていても、8と3の違いは枝番ではなく、適合する告示そのものの違いを表している。ここは、型式を読むうえで一番混同しやすい境目になる。

実機への当てはめ――4つの型式を、公式スペック表で照合する

骨格が分かったところで、実際の型式に数値を当てはめてみる。KRF-8-F2×1.6(平形・2心・1.6mm単線)は、構造表の線心数C=2・導体1.6mmの行にそのまま対応し、仕上外径7.4×12.0mm、概算質量125kg/km、最大導体抵抗8.92Ω/km、耐電圧2,000V/min、最小絶縁抵抗(20℃)2,500MΩ・kmという数値が並ぶ。同じ平形でも3心のKRF-8-F3×1.6になると、線心数C=3・導体1.6mmの行に切り替わり、仕上外径7.4×16.5mm、質量175kg/km、最大導体抵抗は同じ8.92Ω/km。導体そのものの太さが変わらなければ、抵抗値も心数に関係なく同じ値を保つ、という当たり前だが見落としがちな性質がここに表れている。

丸形はどうか。KRF-8-2×38(丸形・2心・38mm²)は、丸形表の線心数C=2・導体38mm²の行に対応し、仕上外径26.0mm、質量1,020kg/km、最大導体抵抗0.491Ω/km、耐電圧2,500V/min。KRF-8-3×22(丸形・3心・22mm²)は線心数C=3・導体22mm²の行に対応し、仕上外径23mm、質量915kg/km、最大導体抵抗0.849Ω/km。断面積が小さくなれば抵抗が上がり、外径も細くなる――ここまでは電線としてごく素直な振る舞いだが、型式の4文字ぶんの記号が、これだけ具体的な数値の行を一意に指し示しているという事実は、あらためて確認しておく価値がある。発注時に型式だけを伝えれば、相手はこの行を正確に引き当てられるということだからだ。

現場で間違えやすい点――カタログの構造表と、認定取得サイズの表がずれて見える

ここまでは型式の読み方の話だった。だが公式ページをもう少し先まで読み進めると、見過ごしにくい記述に行き当たる。「構造」の下に「認定取得サイズ・心数」という項目があり、一括シースタイプについて、丸形(単心・2〜4心・5〜7心・8〜30心・2〜3対・4〜15対)と平形(2〜3心)の組み合わせごとに、サイズ区分別の対応可否が○と―で示されている。

単線1.2〜2.6mm、より線1.25〜8mm²の区分は、丸形・平形のどの組み合わせもすべて○だ。ところが、より線14〜22mm²の区分になると、○が付くのは丸形の単心と2〜4心だけで、それ以外(5〜7心・8〜30心・2〜3対・4〜15対・平形2〜3心)はすべて―になる。そして、より線38〜100mm²の区分に至っては、丸形単心から平形2〜3心まで、7つの区分すべてが―だ。

これが意味することを、慎重に確認しておきたい。先ほど数値を当てはめたKRF-8-3×22(3心・22mm²)は「2〜4心」の区分に入るため、この表の上では○にあたる。ところがKRF-8-2×38(2心・38mm²)は「38〜100mm²」の区分に入り、表の上ではどの組み合わせも―だ。構造表には38mm²から100mm²までのスペックが確かに記載されているのに、その同じページの認定取得サイズ・心数表を見ると、38〜100mm²の一括シースタイプは対応区分としては挙げられていない、という状態になっている。

なぜこの2つの表にずれがあるのか、公式ページ自体はその理由を説明していない。構造表に載っている以上、製造・供給自体は可能な仕様なのだろう、とは思う。ただし、認定取得サイズ・心数という項目名が示すとおり、この表は消防法上の認定と結び付いた区分の一覧のはずで、そこに載っていないサイズを「認定を取得した耐火電線」として発注してよいかどうかは、このページだけでは判断がつかない。大容量幹線でKRF-8の丸形38mm²以上を検討する場面があれば、発注前に古河電工メタルケーブルまたは仕入先へ、該当サイズが現行の認定範囲に含まれているかを直接確認したほうがいい。

もう一つ、型式そのものについても触れておきたい発見がある。JECTEC(一般社団法人電線総合技術センター)が公開する「認定品・評定品一覧」の中に、低圧耐火ケーブル(電線管用)の認定製品を一覧したPDFがある。2026年8月分まで更新されているこの資料を確認すると、古河電工メタルケーブル(株)の認定製品として、認定番号JF1399・JF1405・JF1411・JF1421・JF1430・JF1446・JF1459・JF1460・JF1462・JF1463(2023年3月から2025年9月にかけて認定)が並んでおり、いずれも電線表面表示の欄に「EM KRF-8」という記載がある。カタログ上の型式は「KRF-8」だが、実際に消防庁の登録認定機関へ認定登録されている品名表示は「EM KRF-8」なのだ。古河電工グループの他製品(例えばノンハロゲン難燃電線のEM-LMFC)と同じ命名法から考えると、この「EM」はエコマテリアル系・非ハロゲン系のシース材料を示す接頭辞と見られるが、この点についてKRF-8(FP)の製品ページ自体が明言しているわけではない。いずれにせよ、カタログの型式名と、実際にケーブルへ法定表示として印字される品名表示は、必ずしも一字一句同じではないと考えておいたほうが安全だ。

実務上の注意点

まず、耐火電線の認定制度そのものについて、呼び方を正確にしておきたい。総務省消防庁が公開する「耐火電線の基準」(平成9年12月18日消防庁告示第十号、平成26年4月14日消防庁告示第十一号で改正)は、消防法施行規則第十二条第一項第四号ニ(ロ)ただし書に基づく告示であり、JECTECの解説ページによれば、この基準への適合は消防庁の登録認定機関(JECTEC)または指定認定機関(一般社団法人日本電線工業会)が認定・評定する制度である。建築基準法に基づく国土交通大臣認定とは、根拠法令も認定主体も異なる。社内資料や見積書に「国土交通大臣認定品」とだけ書いてしまうと、根拠が実際の制度と食い違う可能性があるため、正確には「消防庁告示第10号に基づく認定品」と表現したほうが実情に合っている。

次に、KRF-8シリーズは公式ページの「特長」欄に明記されているとおり、全て受注生産品である。平形・丸形の別、心数、導体サイズを型式として正確に伝えれば済む話ではあるが、在庫品のようにすぐ手配できるとは限らない点は、納期の見通しに織り込んでおきたい。

最後に、KRF-8とKRF-3のような、似た型式名を持つ別カテゴリの製品を取り違えないこと。同じ非常用設備の配線であっても、耐火電線と耐熱電線では想定する回路も試験基準もまったく別だ。図面や仕様書に書かれた型式を鵜呑みにせず、それが耐火なのか耐熱なのか、根拠となる告示番号まで確認する習慣をつけておくと、選定ミスのリスクを一段減らせる。

電設資材専門商社の松本電業株式会社(東京都台東区台東2-4-11)では、古河電工メタルケーブルの耐火電線KRF-8シリーズについて、型式・心数・サイズを確認したうえでのお見積りに対応している。

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よくある質問

KRF-8-FとKRF-8(Fなし)は何が違うのですか?

平形か丸形かの違いです。古河電工メタルケーブルの公式製品ページ「KRF-8(FP) 消防用耐火電線」の構造欄には、「KRF-8-F 平形」と「KRF-8 丸形」という2枚の見出しでそれぞれ別のスペック表が掲載されています。「-F」が付けば平形、付かなければ丸形と読み分けることになります。ただし、この規則はKRF-8シリーズの構造表という一次資料の範囲で確認できたものであり、古河電工の他の電線シリーズすべてに同じ規則が当てはまるとは限りません。

「KRF-8-2×38」の「2」と「38」はそれぞれ何を表していますか?

「2」は線心数(2心)、「38」は導体の公称断面積(38mm²)です。公式ページの「KRF-8 丸形」構造表では、線心数Cの列に2・3・4・5・6が並び、その下に導体サイズごとの行が続く形で表が組まれています。線心数2・導体38mm²の行を実際に見ると、仕上外径26.0mm、概算質量1,020kg/km、最大導体抵抗0.491Ω/kmという数値が載っており、型式の「2×38」がそのままこの行を指していることが確認できます。なお単線を使う平形の場合はサイズの単位がmm(導体径)になり、丸形で断面積が大きくなるとmm²(より線の公称断面積)に切り替わる点は、古河電工のVVF・VVRケーブルの記事でも触れた「物差しの切り替わり」と同じ構造です。

KRF-8とKRF-3は同じ耐火電線ですか?

いいえ、性能区分が異なります。公式ページによれば、KRF-8(FP)は消防庁告示第10号に規定された840℃×30分間の耐火試験に合格した製品で、消火設備回路・火災報知回路・誘導灯回路・非煙設備回路といった強電回路に使います。一方のKRF-3(HP)は380℃×15分間の耐熱試験に合格した製品で、非常電源に用いる弱電回路・表示灯回路・音響回路の配線が対象です。同じ「KRF」を冠していても、8と3という数字の違いは、単なる型番の枝番ではなく、対応する消防庁告示と適用回路そのものの違いを表しています。

KRF-8は国土交通大臣認定品と説明されることがありますが、正しいのでしょうか?

確認できた一次資料の範囲では、耐火電線の認定制度は国土交通大臣認定ではありません。総務省消防庁が公開する「耐火電線の基準」(平成9年消防庁告示第10号)は消防法施行規則第12条第1項第4号ニ(ロ)に基づく告示であり、JECTEC(一般社団法人電線総合技術センター)の解説ページによれば、この基準への適合は消防庁の登録認定機関(JECTEC)または指定認定機関(一般社団法人日本電線工業会)が認定・評定する仕組みです。国土交通大臣認定は建築基準法に基づく別の制度であり、耐火電線そのものの認定根拠とは制度の出どころが異なります。呼び方が混同されやすい部分なので、社内資料や提案書に記載する際は、根拠となる告示・認定機関の名称まで正確に書いたほうが安全です。

参考文献・出典

型番不明でもOK

この記事の内容で、製品選定から相談できます

「古河電工メタルケーブルの耐火電線KRF-8の型式はどう読むのか|「-F」の有無が平形と丸形を分け、シースには「KRF-8」ではなく「EM KRF-8」と刻まれている」に関連する製品を、用途・仕様・写真からお探しします。リンク先には相談内容を入れた状態で用意するため、型番が分からなくてもそのまま進められます。 手書きメモや型番リストの写真・PDFでも依頼できます。

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