分電盤の更新工事で、既設の小さな電磁接触器を外す。ブレーカーの脇に収まる、手のひらに乗るサイズの機器だ。銘板には「GMC-20P2」。三菱電機のS-N10やS-N20、富士電機のSC-N1といった、これまで見てきた電磁接触器の型式とは並びが違う。数字の後に続くのは「P2」というアルファベットと数字の組み合わせで、フレーム記号なのか、極数なのか、それとも別の何かなのか、銘板の文字列だけでは判断がつかない。
LS ELECTRIC(旧LS産電)の分電盤用電磁接触器「GMC-□P2」シリーズについて、公式カタログと国内代理店・日本電商の納入仕様書を照合し、この型式がどんな規則で組み立てられているかを確認する。
結論——数字は定格電流、P2は「2極」
LS ELECTRIC公式カタログ「2-pole AC Contactors, Definite purpose」のType and rating表には、GMC-10P2からGMC40P2までの6形式が一覧になっている。ここに示された対応は明快だ。GMCに続く数字は、AC-3級・200〜220V条件での定格使用電流(A)をそのまま表している。GMC-10P2なら10A、GMC-20P2なら20A、GMC-25P2なら25A、GMC-30P2なら30A、GMC-35P2なら35A、GMC40P2なら40A。
そして末尾の「P2」は、この系列すべてに共通する固定の記号だ。同じ表にはNumber of poles(極数)の行があり、6形式すべてが「2」と記載されている。Main contact(主接点構成)の行も、すべて「2a」で揃っている。つまりP2という記号は、フレームや世代を示すものではなく、この製品群が一貫して2極・主接点2a構成であることを表す固定サフィックスと読める。
なぜ「2極」なのか——単相回路のための電磁接触器
三菱電機のS-Nや富士電機のSC形、シュナイダーエレクトリックのLC1Dなど、これまで確認してきた電磁接触器の多くは3極構成で、三相モーターの起動・停止を主な用途としていた。GMC-□P2はこれと毛色が違う。
日本電商の納入仕様書1ページの品名欄には「分電盤用単相電磁接触器」と明記されている。単相、という言葉がここで効いてくる。2極という構成は、三相の1相分を間引いたものではなく、単相2線(もしくは単相3線の一部)をそのまま開閉するための構成だ。旧カタログ「Meta-MEC Contactors And Overload Relays」(2007年版)でも、この系列は当時の型式「SMC-□P2」のまま「2-pole AC Contactors, Definite purpose」という章に独立して収められており、Features and specifications欄には「照明機器・空調機器・冷蔵庫・ポンプなど、開閉頻度の低い機器での使用に適する」という趣旨の説明がある。分電盤の中で、電気温水器やタイムスイッチ制御の照明回路、単相の電動機器といった負荷の入切に使われる想定の製品ということになる。
三相用の一般的なGMC系列(GMC-9、GMC-32、GMC-100など)とは型式の骨格自体が異なる点にも触れておきたい。旧カタログ16ページの「Catalog numbering system」には、一般形GMC系列の型式構成図(GMC+Type+Nominal rating+Combination+No. of pole、極数は「なし=3極」「4P=4極」という指定方式)が示されているが、GMC-□P2のラインはこの構成図には含まれていない。同じ「GMC」という頭文字を持ちながら、□P2シリーズは独立した命名規則を持つ、別立ての製品群だと考えたほうがいい。
実機への当てはめ——GMC-20P2という文字列だけでは1台に決まらない
ここまでで、GMC-20P2という型式が「定格電流20A・2極・主接点2a」の器を指すことは分かった。しかし、これだけでは発注できる1台の製品にはまだ届かない。
日本電商の納入仕様書「1.品目コード」表を見ると、GMC-20P2という同一形式のまま、コイル電圧100V・110V・200V・220V・240V(50/60Hz)のそれぞれに対応する品目発注コードが別々に割り振られている。同じGMC-20P2という文字列でも、コイル電圧が違えば発注コードは別物になる。基本形式のGMC-20P2は、あくまで器のサイズと極数を固定するだけの表記で、実際に手配する1台を特定するには、コイル電圧までを含めた品番全体、あるいは品目発注コードを確認する必要がある。
なお、この納入仕様書の形式欄には「GMC-□□P2 PD」という記載がある。確認できたLS ELECTRIC公式カタログ・旧カタログ・納入仕様書のいずれにも、この「PD」が何を表すコードなのかという定義は見当たらなかった。無理に意味を推測するより、発注時は品目発注コード、あるいは品番の文字列を末尾まで一致させて照合するのが確実だ。
現場で間違えやすい点
GMC-□P2の数字を、三菱電機のS-N10・S-N20のような「呼び番号」や、Metasol MCCBの「フレームコード」と同じ感覚で読まないことだ。GMC-□P2の数字は、AC-3級・200〜220V条件の定格使用電流(A)そのものであり、フレームサイズを示す抽象的なコードではない。公式カタログのAC-3 Rated current表では、同じGMC-20P2でも電圧条件が380〜440Vになると17A、500〜550Vになると14Aへと下がる。銘板の「20」という数字を見て、どの電圧条件でも20A使えると思い込むと、実際の使用電圧によっては過負荷側に振れる可能性がある。既設更新の際は、必ず使用電圧に対応するAC-3定格電流を確認したい。
もう一点、GMC-□P2は「2極」であって「3極品の派生形」ではないという点も押さえておきたい。分電盤内の三相負荷を開閉する目的でGMC-□P2を選んでしまうと、そもそも極数が足りない。日本電商の製品ページが「分電盤用単相電磁接触器」と明記している通り、この系列は単相回路の開閉を前提とした製品であり、三相モーターの起動用途にはGMC-9やGMC-32といった3極の一般形GMCシリーズを検討する必要がある。
実務上の注意点
GMC-□P2シリーズは、JIS C 8201-4-1(2007)に準拠し、公式カタログ・日本電商の製品ページともにIEC 60947-4-1適合、CE宣言・UL規格認証取得を明記している。分電盤協約寸法(JIS C 8370)に準拠したコンパクト設計で、取付爪・ねじ取付・縦方向取付・横方向取付に対応する点も両資料で一致している。
更新工事で銘板の型式を控える際は、GMC-□□P2という基本形式に加えて、コイル電圧の表記、そして末尾に付く「PD」を含めた品番全体を写真に残しておくと、後の照合がスムーズになる。基本形式だけを頼りに手配すると、コイル電圧違いの製品が届くリスクがある。
GMC-□P2シリーズの型番確認・見積りについて
電設資材専門商社の松本電業株式会社(東京都台東区台東2-4-11)では、分電盤内で外したGMC-□P2シリーズの型番・コイル電圧の照合から、後継品・代替品の選定、他メーカー3極電磁接触器との使い分けの相談を見積フォームで受け付けている。銘板の文字がかすれている場合や、コイル電圧の表記が判読しづらい場合は、現物の写真を添えてもらえると照合が早い。
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