在庫確認・見積は今すぐ フォームで依頼する 写真の添付もOK / 24時間受付
測定器具高圧受電設備保守・点検

部分放電測定とは何か|TEV法・UHF法・超音波法の違いと、絶縁劣化を『壊れる前に』見抜く仕組み

読了目安: 10分 編集: 電材サーチ編集部(編集・出典ポリシー

毎月欠かさずTEV検出器を盤面にかざしてきた高圧設備がある。「異常なし」の記録がずっと続いていて、担当者もその数字を信じていた。ところが実際に絶縁劣化が進んでいたのは、盤の中ではなく、そこから伸びる高圧ケーブルの接続部だった。TEV検出器は正常に動作していたし、測定手順にも問題はなかったはずだ。ただ、その部分放電は金属製の筐体を持たないケーブル内部で起きていて、TEV検出器が拾う信号——筐体の継目やガスケットから漏れ出す電磁波——の経路には、そもそも乗っていなかった。

測定者に落ち度はない。TEV法は電磁波を拾う検査であり、電磁波が伝わる経路の外側で起きていることまでは原理的に検知できない。部分放電測定は、絶縁劣化をまだ壊れていないうちに見つけられる数少ない手段として注目されている一方で、「この検査さえしておけば安心」という単純な話ではない現実がある。

部分放電とは何か——絶縁破壊の「前駆現象」

部分放電(PD:Partial Discharge)は、2つの電極間の絶縁体に何らかの不純物や隙間が存在したとき、そこに局部的な絶縁破壊が生じて起こる放電現象と説明される。絶縁体の中にある気泡(ボイド)は、周囲の絶縁体本体より誘電率が低い。そのため電圧をかけると、ボイドにかかる電圧のほうが周囲より高くなり、結果的にボイドの中だけが先に耐えきれず短絡してしまう。これが部分放電の起きる仕組みだ。

厄介なのは、この放電が起きた瞬間に設備がただちに壊れるわけではない、という点だ。放電現象はまず絶縁体の内部にとどまり、外部への影響は現れない。しかし繰り返し放電が起きるたびに絶縁体は少しずつ損傷し、その損傷が育っていくことで、最終的には外部と直接接触してしまう場合がある。総研電気株式会社の解説でも、部分放電は絶縁破壊の前駆現象であると位置づけられている。つまり部分放電測定が狙っているのは、絶縁抵抗が目に見えて落ちるよりも前の、もっと早い段階の兆しだ。

放電の起き方も一様ではない。株式会社サンコーシヤの分類によれば、絶縁体内部のボイドで起きる「ボイド放電」は最終的に絶縁破壊・地絡につながる可能性があるとされる一方、ケーブル終端接続部の表面などで起きる「コロナ放電」は絶縁体内部そのものには関係しないとされ、リスクの大きさは放電の種類によって異なる。同じ「部分放電が検出された」という結果でも、その中身は一枚岩ではない。

検出方式ごとに「聞こえる音」が違う

ここから先が、この検査のいちばんわかりにくいところだと思う。部分放電を検知する方法は一つではなく、TEV法・HFCT法・超音波法(AE法)・UHF法という、原理も検出範囲も異なる複数の手法が併存している。

TEV法(過渡接地電圧法)は、部分放電が金属製の筐体を持つ開閉器やケーブルボックスの内部で発生した際、放射されたエネルギーが筐体内部の金属表面に誘導され、継目・ガスケット・排気口といった隙間から外部へ漏れ出す現象を捉える方法だ。閉塞配電盤の扉を開けなくても、盤面にセンサを当てるだけで検知できる手軽さが特徴で、実際の携帯型測定器(Megger PD SCAN)ではTEVセンサの帯域幅は2〜80MHzに設定されている。

HFCT法(高周波変流器法)は、接地線に流れる高周波電流を検出する方法で、主にケーブルの診断に使われる。同じ携帯型測定器ではHFCTセンサの帯域幅は100kHz〜20MHzとされ、TEV法とは別の周波数帯を担っている。冒頭のケースのように、放電が金属筐体の外——ケーブル自体の内部——で起きている場合、頼るべきはこちらの方式になる。

超音波法(AE法)は、放電に伴って発生する音響信号(超音波)をマイクで拾う方法だ。同測定器のAEセンサー・フレキシブル超音波マイクの中心周波数は30・40・80kHzに設定されており、パラボラレシーバーを使えば設備に触れることなく離れた場所からもコロナ放電などを検知できる。三菱電機技報の解説によれば、この振動・超音波による検出方式は電磁波検出方式に比べて感度が劣るとされ、主な役割はガス絶縁開閉装置(GIS)内部を動き回る自由異物の検出用に移り変わってきたという。感度で劣る分、空気中を伝わる放電を離れた場所から拾えるという別の強みで補っている格好だ。

UHF法は、これらの中でもっとも高い感度を持つとされる方式だ。三菱電機技報によれば、検出する電磁波の周波数帯はUHF帯(500〜1,500MHz以上)まで引き上げられており、これはそれより低いVHF帯以下では外部ノイズが多く、ノイズの少ないUHF帯を使うことで検出精度を高めるという狙いによる。ただしUHF法は主にGIS内蔵の平面アンテナ型センサとして実装されており、既設のGISに後付けする場合も絶縁スペーサ部という特定の箇所へのセンサ取り付けが必要になる。つまりTEV法のように「盤面にセンサを当てるだけ」という手軽さは、UHF法には期待しにくい。感度の高さと導入のしやすさは、必ずしも両立しない。

現場が一台で済ませない理由

こうした制約の違いを裏づけるように、実際の携帯型測定器は、単一のセンサだけで完結していない。前述のPD SCANは、キュービクルなど高圧配電盤だけを扱うなら標準セット(TEVのみ)、ケーブルも扱うならHFCTを追加したセット、より詳細な分析をしたいならフレキシブル超音波マイクとAEセンサーを追加したセット、屋外設備も扱うならパラボラレシーバーまで加えたセットという具合に、対象設備の広がりに応じてセンサー構成そのものが分かれている。一台のTEV検出器だけを買い足しておけば済む、という発想では、扱う設備の幅が広がった時点で足りなくなる。

検出した後の話も一様ではない。放電を検知しただけでは、それがコロナ放電なのか沿面放電なのか、あるいは絶縁破壊に直結しうる内部放電なのかまでは分からない。PD SCANでは放電レベルの大きさとパルスの数から自動診断を行い、PRPD(位相分解部分放電)という表示によって放電の種類とノイズとの分別を可能にしている。三菱電機技報が紹介するエキスパートシステムも同様に、放電の数・電荷量・発生位相とその変化傾向から、どのような部分放電が発生しているかの推定を行うという。数値が出た、で終わりではなく、その数値がどんな位相パターンを描いているかまで見て初めて、放置していい放電か、対応が要る放電かの判断がつく。

他の劣化診断とどう違うのか

このサイトでは、絶縁劣化を見つけるための検査として、赤外線サーモグラフィによる点検直流漏れ電流法もすでに取り上げてきた。これらと部分放電測定は、そもそも見ている物理量が違う。サーモグラフィは接触抵抗の増大が生む「熱」を見る検査であり、直流漏れ電流法は絶縁体を通り抜ける「漏れ電流」の大きさと時間変化を見る検査だ。これに対して部分放電測定は、絶縁体の内部で瞬間的に起きている放電そのものが発する電磁波・電流・音を直接捉えようとする点で異なる。中国電気保安協会の資料でも、部分放電試験は直流漏れ電流試験・Tanδ試験・活線診断と並ぶ複数ある診断法の一つとして位置づけられている。どれか一つが万能な検査というわけではなく、漏れ電流としてまだ現れていない早期の予兆を拾いたいのか、すでに進行した劣化の程度を数値で把握したいのかによって、選ぶべき検査が変わってくる。

まとめ——測定方式の選定こそが診断の核心

部分放電は、絶縁破壊が起きるよりずっと手前の、微小な段階で検知できる可能性を持つ現象だ。しかしそれを「検知できる」のは、放電が起きている場所と、使う測定方式の検出経路が一致しているときに限られる。金属筐体の隙間から漏れる電磁波を拾うTEV法、接地線の電流を拾うHFCT法、空気中の音を拾う超音波法、GIS内蔵センサで高感度を狙うUHF法——それぞれが「聞こえる範囲」を持ち、その外側で起きていることには原理的に手が届かない。だからこそ現場の測定器は、対象設備に応じて複数のセンサーを組み合わせる構成になっている。冒頭のケーブル接続部の例のように、盤内は健全でも盤外のケーブルで放電が進んでいることは起こりうる。どの設備の、どの部位の放電を捉えたいのかを先に決めてから、検出方式を選ぶ順序が欠かせない。

高圧設備向けの絶縁抵抗計・測定器の調達については、松本電業株式会社の「電材サーチ」でお見積りのご相談を承っています。実際の部分放電診断業務そのものは電気保安協会や専門の診断業者が請け負っているケースが多く、自社で機器を保有するか外部の診断サービスを活用するかは、設備の重要度と点検頻度に応じてご検討いただくのがよいかと思います。

見積もり依頼をする →

あわせて読みたい

関連する部分放電測定・TEV法・UHF法・超音波法・絶縁劣化の品種・型番をお探しですか?
電材サーチでは、メーカー横断で目的の型番を素早く見つけ、そのまま見積もりを依頼できます。

対象の電材・品種を検索する →

参考文献・出典

QUOTATION SIGNAL

電設資材・FA部品の無料見積もり

仕入れコスト削減、廃盤代替品の選定、お急ぎの在庫確認まで。型番や数量を送っていただくだけです。 手書きメモや型番リストの写真・PDFでも依頼できます。

SPONSOR / AD

Google AdSense 広告配信エリア

(AdSense管理画面で広告ユニットを作成し、実際のslot値に差し替えるとここに本番広告が挿入されます)

AIと状況を整理してから相談する

普段お使いのChatGPT・Gemini・Perplexity等に貼り付けられる質問文をコピーできます。 自分の状況を伝えて相談すると、最後に電材サーチへの見積依頼文もまとめてもらえます。