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シュナイダーのActi9 iC60ミニチュアサーキットブレーカの型番はどう読むのか|A9F74120とA9F84120を分けるたった一桁の意味

読了目安: 9分 編集: 電材サーチ編集部(編集・出典ポリシー

見積書や過去の制御盤図面を3枚並べたことがある。型番の欄には、A9F74120、A9F84120、A9F94120。どれも「A9F」で始まり、末尾は「4120」で揃っている。違うのは、頭から4文字目のたった1桁だけだ。同じ現場の同じ盤で、別の担当者が別の年に発注したものだとしたら、これは同じ製品の型番の書き方の揺れなのか、それとも実は別物を指しているのか——判断がつかないまま、次の工程に進めなくなる。

答えは、後者に近い。この1桁は、シュナイダーエレクトリックのミニチュアサーキットブレーカ「Acti9 iC60」シリーズにおいて、グレードそのものを切り替える桁である。7ならiC60N、8ならiC60H、9ならiC60L。電流値も極数もトリップ曲線もそろえたまま、この桁だけが変わると、遮断容量が20kAから30kA、さらに50kAへと積み上がっていく。公式カタログ「Acti 9 simplified」(文書番号CA909006E、Version 1.0、2017年8月2日付)のCatalogue numbers表を根拠に、この1桁を含めた型番8桁の並びを分解する。

結論——型番8桁は「A9F+グレード+曲線+極数+電流」の4部品

Acti9 iC60の型番は、公式カタログのCatalogue numbers表を突き合わせる限り、次の8文字で組み立てられている。

  • 1〜3文字目:固定の「A9F」
  • 4文字目:グレード(7=iC60N、8=iC60H、9=iC60L)
  • 5文字目:トリップ曲線(4=C曲線、5=D曲線)
  • 6文字目:極数(1=1P、2=2P、3=3P、4=4P)
  • 7〜8文字目:定格電流(01・02・03・04・06・10・16・20・25・32・40・50・63のいずれか、2桁ゼロ埋め)

A9F74120を分解すると、A9F=固定部、7=iC60N、4=C曲線、1=1極、20=定格電流20A、という並びになる。グレードの数字は7→8→9と一つずつ上がり、遮断容量もN→H→Lの順に上がっていく。番号の若さと性能の低さが、ちょうど逆向きに並んでいるわけではない——むしろ番号が大きいほど、遮断容量は大きい側に振れる。この対応だけは、覚えておいて損はない。

実機への当てはめ——同じ「20A・C曲線・1極」で遮断容量だけが変わる

冒頭の3つの型番を、公式カタログの数値に当てはめてみる。いずれも定格電流20A、トリップ曲線C、1極という条件は共通のまま、220〜240V時の遮断容量(Icu)だけが変わる。

  • A9F74120(iC60N):Icu 20kA
  • A9F84120(iC60H):Icu 30kA
  • A9F94120(iC60L):Icu 50kA

この3本は、盤の中で見た目もサイズもほぼ同じに映る。型式ラベルを遠目に見ただけでは、グレードの違いに気づきにくい。だが、想定される短絡電流が20kAをわずかに超える現場にA9F74120を据えてしまえば、遮断容量が足りない。逆に言えば、末尾の「4120」が一致していることを理由に「同じものだろう」と早合点するのが、この型番でいちばん起きやすい取り違えだということになる。

現場で間違えやすい点

型番の規則が分かった上で、選定の場面で見落としやすい点を3つ挙げておく。

一つ目は、今しがた見た「グレード1桁だけの違い」そのものである。過去の図面や手書きの発注控えから型番を拾うとき、視線は末尾の電流値に吸い寄せられがちで、4文字目のグレード桁は読み飛ばされやすい。控えを引き写すときほど、この1桁を指でなぞって確認する価値がある。

二つ目は、極数のラインアップがグレードごとに違う点だ。公式カタログの表を素直に読むと、iC60Nは1P・2P・3P・4Pの4通りがそろい、iC60Lも同じく4通りそろう。ところがiC60Hだけは、1Pと3Pの型番しか掲載されていない。2極や4極でiC60Hグレードの遮断容量が欲しい、という選定は、そもそもカタログ上に存在しない組み合わせを探していることになる。

三つ目は、DINレール上の専有幅に関するものだ。iC60Nは1P・2P・3P・4Pの順に2・4・6・8モジュール幅と、極数に比例して素直に広がっていく。ところがiC60Lの表では、1P・2P・3P・4Pの幅が2・4・4・6モジュールとなっており、3Pだけが2Pと同じ4モジュール幅で収まっている。盤の配置設計をiC60Nの感覚(3Pなら6モジュール分空ける)のまま流用すると、iC60Lでは実際の専有幅とずれる。

実務上の注意点——遮断容量規格の適合範囲は電流帯で分かれる

Acti9 iC60は、産業用の配線用遮断器規格IEC/EN 60947-2と、住宅・分電盤用の遮断器規格IEC/EN 60898-1の両方に多重適合する製品として案内されている。だが公式カタログのiC60L表では、IEC/EN 60947-2は1〜63Aの全域に対応する一方、IEC/EN 60898-1の欄には「1 to 40 A」という電流範囲の限定が明記されている。50A・63AのiC60Lを住宅・分電盤系統の主開閉器として選ぶ場面では、この上限がそのまま効いてくる可能性がある。カタログの脚注や電流帯の範囲欄まで含めて確認したうえで選定したい。

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よくある質問

A9F74120とA9F84120は、末尾の「4120」が同じです。何が違うのですか?

違うのは型番の4文字目、「A9F」の直後に来る1桁だけです。公式カタログ「Acti 9 simplified」(CA909006E)の9・10ページによれば、この桁が「7」ならiC60N、「8」ならiC60Hを指します。A9F74120はiC60Nの20A・C曲線・1極、A9F84120はiC60Hの20A・C曲線・1極で、極数もトリップ曲線も電流値もそろっています。違うのはグレードだけで、これに応じて遮断容量(Icu)が220〜240Vで20kAから30kAへ変わります。同じ理由でA9F94120はiC60L(9)となり、50kAまで上がります。

iC60Hに2極・4極の製品はありませんか?

公式カタログ10ページのCatalogue numbers表を見る限り、iC60Hは1極(1P)と3極(3P)のみが掲載されており、2極・4極の型番(A9F84201系列やA9F84401系列)は存在しません。単相の分岐だけでなく2極で開閉したい場合や、3相4線式で4極が必要な場合、iC60Hのグレードでは選べないことになります。同じ条件で極数の選択肢を広げたい場合は、1P〜4PがそろうiC60NかiC60Lのグレードで遮断容量要件を満たせないか検討することになります。

iC60Nのカタログ番号にある「4」と「5」という桁は、それぞれ何を意味しますか?

トリップ曲線を表す桁です。公式カタログ9ページのiC60N表では、同じ電流値・同じ極数でも、この桁が「4」ならC曲線、「5」ならD曲線の型番になります(例:20A・1PはC曲線がA9F74120、D曲線がA9F75120)。ただしこのカタログで確認できる限り、D曲線が用意されているのはiC60Nだけで、iC60H・iC60Lのカタログ番号表にはC曲線の型番しか掲載されていません。

iC60Lは1〜63Aまで注文できますが、性能はすべて同じ規格に適合していますか?

いいえ、上限が電流帯によって変わります。公式カタログ11ページの表では、IEC/EN 60947-2(産業用配線用遮断器の規格)は1〜63Aの全域に適用される一方、IEC/EN 60898-1(住宅・分電盤用の遮断器規格)は「1 to 40 A」の範囲にしか明記されていません。50A・63AのiC60Lは、産業用規格には適合していても、住宅用規格への適合が同じ表からは読み取れないということです。50A・63Aのグレード選定では、この頭打ちを見落とさないようにする必要があります。

参考文献・出典

型番不明でもOK

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