制御盤の予備品リストを開くと、シーメンスのCPUだけが5行並んでいることがある。6ES7215-1AG40-0XB0、6ES7214-1AG40-0XB0、6ES7212-1AE40-0XB0、6ES7211-1AE40-0XB0、6ES7211-1BE40-0XB0。頭の「6ES7」は5行とも共通、末尾の「-0XB0」も共通。違うのはハイフンを挟んだ中央部分だけで、しかもその変化は一見、法則性のない記号の羅列に見える。
215と214は「AG40」で揃っているのに、212と211は「AE40」に変わる。そして211だけは「1AE40」と「1BE40」という、AとBだけが違う2行を抱えている。この一文字の違いは、単なる表記のゆれなのか、それとも盤内の配線方式まで変えてしまう実質的な違いなのか——型番の見た目だけでは判断がつかない。
答えを急ぐ前に、一つ断っておく。シーメンスのMLFB(機械可読型式表示)には、かつて桁ごとの意味を一枚の表にまとめた公式凡例ページが存在したらしい。だが少なくとも今回の調査でその凡例ページは見つからなかった。ここから先に書くのは、シーメンス公式のオーダーガイド「SIMATIC S7-1200 Easy Book」に載る型式一覧表と、公式サイトSiePortalの製品ページを実際に突き合わせて見えてきた対応関係である。断定できる部分と、観察はできても理由まで説明しきれなかった部分を、混ぜずに書く。
結論——数字はCPU型式、AとBは電源仕様、GとEとFの境目は単純ではない
先に要点を書く。「6ES7」+3桁の数字+ハイフン+「1」+1文字+1文字+「40」+ハイフン+「0XB0」という並びのうち、3桁の数字(215/214/212/211)はCPUの型式番号(CPU 1215C/1214C/1212C/1211C)にそのまま対応する。ハイフン直後の「1」は、今回確認できた組み合わせすべてで共通しており、単独で何を表す桁なのかは分からなかった。続く1文字(A/B/H)は電源・入力・出力の組み合わせを表し、A=DC/DC/DC、B=AC/DC/Relayという対応は、CPU1211Cの2型式(6ES7211-1AE40-0XB0と6ES7211-1BE40-0XB0)で直接確認できている。
その次の1文字は、1211C・1212CがE、1214C・1215C・1217CがGという分かれ方をしている。本体サイズの違いを表しているようにも見えるが、話はそこで終わらない。シーメンスのフェイルセーフ仕様CPU(1214FC・1215FC)を確認すると、この位置の文字はGではなくFになっている。本体の型式番号(214・215)は標準品と同じままなのに、である。この食い違いをどう扱うかは、本文の後半で扱う。
型番の分解——シーメンス公式「Easy Book」が並べる型式一覧表
シーメンスのオーダーガイド「SIMATIC S7-1200 Easy Book」には、付録の技術仕様編にTable A-10「General specifications」という一覧表がある。CPU1211C・1212C・1214C・1215C・1217Cの5機種を横に並べ、AC/DC/Relay・DC/DC/Relay・DC/DC/DCという3種類の電源仕様ごとに型式を書き出した表だ。実際の記載を、機種別に並べ直すとこうなる。
- CPU 1211C:AC/DC/Relay=6ES7211-1BE40-0XB0、DC/DC/Relay=6ES7211-1HE40-0XB0、DC/DC/DC=6ES7211-1AE40-0XB0
- CPU 1212C:AC/DC/Relay=6ES7212-1BE40-0XB0、DC/DC/Relay=6ES7212-1HE40-0XB0、DC/DC/DC=6ES7212-1AE40-0XB0
- CPU 1214C:AC/DC/Relay=6ES7214-1BG40-0XB0、DC/DC/Relay=6ES7214-1HG40-0XB0、DC/DC/DC=6ES7214-1AG40-0XB0
- CPU 1215C:AC/DC/Relay=6ES7215-1BG40-0XB0、DC/DC/Relay=6ES7215-1HG40-0XB0、DC/DC/DC=6ES7215-1AG40-0XB0
- CPU 1217C:DC/DC/DC=6ES7217-1AG40-0XB0(AC/DC/Relay・DC/DC/Relayの設定はなし)
この一覧を横に並べて眺めると、法則が立ち上がってくる。3桁の数字は縦の並び(211/212/214/215/217)でCPUの型式そのものを指し、電源仕様の違いはA・B・Hという1文字だけで表現されている。A=DC/DC/DC、B=AC/DC/Relay、H=DC/DC/Relay。同じ表の別行、Table A-11「CPU features」を見ると、この電源仕様の違いに対応してオンボードの入出力構成も変わる。1211Cは6DI/4DO、1212Cは8DI/6DO、1214C・1215C・1217Cは14DI/10DOと、アナログ入出力を除く基本のデジタルI/O点数は電源仕様に関係なく機種ごとに固定されている——電源仕様の文字が変わっても、入出力の点数自体は変わらないということだ。
ここまでは、比較的すっきりした規則だと言っていい。厄介なのは、その次に来る1文字である。
実機への当てはめ——siemens-japan.yamlの5型式を公式データで照合する
社内のyamlに載っている5型式を、SiePortalの製品ページで一つずつ照合した。結果は次のとおりで、すべてEasy Bookの一覧表と一致した。
6ES7215-1AG40-0XB0は「CPU 1215C, DC/DC/DC, 14DI/10DO/2AI/2AO」。6ES7214-1AG40-0XB0は「CPU 1214C, DC/DC/DC, 14DI/10DO/2AI」で、製品説明文には「power supply: DC 20.4-28.8 V DC, program/data memory 150 KB」とある。6ES7212-1AE40-0XB0は「CPU 1212C, DC/DC/DC, 8DI/6DO/2AI」、program/data memoryは100KB。6ES7211-1AE40-0XB0は「CPU 1211C, DC/DC/DC, 6DI/4DO/2AI」、program/data memoryは75KB。
そして6ES7211-1BE40-0XB0だけが違う顔を見せる。「CPU 1211C, AC/DC/Relay, 6DI/4DO/2AI」。製品説明文は「onboard I/O: 6 DI 24 V DC; 4 DO relay 2 A; 2 AI 0-10 V DC, power supply: AC 85-264 V AC at 47-63 Hz」。同じCPU1211C、同じ6DI/4DO/2AIという入出力点数でありながら、電源はAC85-264V、出力はDC出力ではなくリレー接点2Aに変わっている。型番の中でAとBが入れ替わっただけの一文字が、盤の電源設計と出力側の配線方式をまるごと切り替えているわけだ。
現場で間違えやすい点——「G」は本体サイズの記号だと思い込んでいないか
211と212がE、214と215がG。この並びだけを見ていると、「Eは小型、Gは中型以上」という単純な区分だと思い込みたくなる。実際、1211Cと1212Cは本体の幅がどちらも90mmで共通しており、1214C(110mm)・1215C(130mm)・1217C(150mm)とは明らかに体格が違う。ここまでなら、Eグループ・Gグループという分け方は体格の話としてすんなり腑に落ちる。
ところが、Easy Bookの別の章がこの理解を揺さぶる。同マニュアルの「1.6 New features」内「New modules for the S7-1200」には、S7-1200のファームウェアV4.1以降で追加されたフェイルセーフ仕様のCPUとして、CPU 1214FC DC/DC/DC(6ES7214-1AF40-0XB0)、CPU 1215FC DC/DC/DC(6ES7215-1AF40-0XB0)という型式が明記されている。CPUの型式番号は標準品と同じ214・215のままなのに、この位置の文字はGではなくFになっている。本体サイズが変わったわけではないはずのフェイルセーフ版で、この文字だけが差し替わっているのだ。
だとすると、E・Gという文字を単純な「本体サイズの区分記号」として覚えるのは、少なくとも正確ではない。フェイルセーフの有無という、サイズとは別の軸でも、この位置の文字は変化する。今回参照できた公式資料の範囲では、この桁が具体的に何を体系的に表しているのか——サイズなのか機能グレードなのか、あるいはその両方を兼ねた別の分類軸なのか——を単独で定義した記述は見つからなかった。E・G・Fという3つの実例が確認できた、というところまでが、正直に書ける限度である。
もう一つ、見積り作業で実害が出やすい落とし穴がある。CPU1211Cのワークメモリは、2015年発行のEasy Bookでは50KBと記載されているが、2022年11月発行のファームウェアV4.6の製品情報を見ると75KBに増えている。型番(オーダー番号)自体は6ES7211-1AE40-0XB0のまま変わっていない。古い技術資料やカタログPDFの数値を鵜呑みにすると、実際に納品される機体の仕様と食い違う可能性がある。
実務上の注意点——型式は数字とA/B/Hまでは確定、その先は公式ページで都度確認する
今回の照合作業から言えることは二つある。一つは、型番前半(3桁の数字)とハイフン直後2文字目(A/B/H)までは、公式のオーダーガイドと製品ページの双方で裏付けが取れる、信頼して読める部分だということ。CPU型式と電源・入力・出力の組み合わせは、この2箇所さえ正確に読めば取り違えない。
もう一つは、それより後ろの桁——E/G/Fの文字や、末尾の「40」「-0XB0」——については、今回参照できた一次資料の範囲で意味を単独で確定させることができなかったという事実である。観察できた対応関係(E=1211C・1212C、G=1214C・1215C・1217C、F=フェイルセーフ版)は書いたが、それを「こういう規則です」と断定するだけの根拠は持ち合わせていない。見積りや代替品選定の最終確認では、型番を桁ごとに解読して満足するのではなく、必ずSiePortalの該当製品ページを開いて型式・仕様・在庫状況を直接確認してほしい。実際、今回確認した5型式のページにはいずれもS7-1200 G2のメーカー案内への表示があり、シーメンスは現行のS7-1200シリーズについて、すでに後継世代(S7-1200 G2)への案内を製品ページ上で始めている。型番の読み方が分かったとしても、その型番がいつまで現行品であり続けるかは別の問題であり、長期の設備更新計画では合わせて確認しておく価値がある。
SIMATIC S7-1200の型番確認・見積りについて
電設資材専門商社の松本電業株式会社(東京都台東区台東2-4-11)では、制御盤に記載されたSIMATIC S7-1200の型番から、電源仕様(DC/DC/DC・AC/DC/Relay・DC/DC/Relay)の確認、後継機種(S7-1200 G2含む)への読み替えまでのご相談を見積フォームで受け付けている。型番の一部が判読できない場合や、古い資料の仕様値に不安がある場合も、現物の写真や型番を添えてもらえれば公式データとの照合を行う。
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