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東芝産業機器システムのインバータTOSVERT VF-AS3の型番はどう読むのか|同じ『160K』が二つの容量を指す『4重定格』の正体

読了目安: 12分 編集: 電材サーチ編集部(編集・出典ポリシー

銘板に「VFAS3J-2037PL」とある。ハイフンの前後を分解すれば、機種もおおよその容量も見当がつく――他社のインバータで何度か見てきた構成だ。数字とアルファベットの並びには規則があり、規則さえ押さえれば型式は読める。そのはずだった。

ところが東芝産業機器システムのインバータには、もう一つの型式体系がある。同じ「次世代インバータ」を名乗りながら、容量が大きくなると型式の作り方そのものが変わり、しかも公式カタログの型式構成図の中に、同じ容量コードが二つの異なる容量を指して二重に載っている箇所があった。読み方を間違えたわけではない。カタログの記載そのものが、意図的に二重になっている。

型式の骨格――VF-AS3Jは5つの区分でできている

東芝産業機器システムのVF-AS3J総合カタログには、「インバータ形式」という項目に型式構成図が示されている。並びは「VFAS3J - 2 037 P L」。

先頭の「VFAS3J」は機種名で、TOSVERT VF-AS3Jシリーズであることを表す固定の接頭辞。続く1桁が入力電圧で、2が200V〜240V、4が380V〜480V。次の3桁が容量コードで、HD定格(定トルク用途向けの過負荷耐量150%-1分)の適用モータ容量をkW表示で10倍し、3桁にそろえた値だ。0.4kWは004、3.7kWは037、11kWは110という具合になる。続く1文字は操作パネルの有無を示すPで、末尾の1文字が追加機能を表す。

この追加機能の末尾記号がまず一段落とし穴を持っている。Lは「EMC対応+国土交通省仕様対応フィルタ内蔵」、Mは「国土交通省仕様対応フィルタ内蔵」、Cは「EMC対応フィルタ内蔵」。3種類あるように見えて、実際には「欧州EMC指令への適合」と「国土交通省の公共建築工事標準仕様書が求める高周波ノイズ対策への適合」という、互いに独立した2つの合否を組み合わせているだけだ。Lは両方に適合、Mは国交省仕様のみ、Cは欧州EMC指令のみ。どちらにも適合しない無印の型式も存在する。1文字の記号が、実は2軸の掛け合わせでできている。

容量コードの分解――HDとNDがずれ始める境目

容量コードの規則には、もう一段見ておくべき事情がある。VF-AS3Jの型式構成図の脚注には、こうある。

「18.5kW以上はND定格でHD定格より1枠上のモータに適用可能です。」

容量コード「185」を例に取ると、HD定格側の適用モータ容量は18.5kW。ところが型式構成図の括弧内には「(18.5/22kW)」と、二重の数値が示されている。実際の製品ラインアップ表を確認すると、VFAS3J-2185PMのND定格の適用モータ容量は18.5kW(定格電流80A)と22kW(定格電流86A)のどちらも選べる、という表になっていた。容量コード一つが、HD側は単一の値を、ND側は選択可能な2つの値を、同時に背負っている。

容量コードが220(22kW)まで進むと、この二重性はさらに踏み込む。ラインアップ表を見る限り、VFAS3J-2220PMのND定格の適用モータ容量は30kWの一択で、22kWという選択肢はもう出てこない。300(30kW)はND37kW、900(90kW)はND110kW、110K(110kW)はND132kW。容量コードに刻まれているのはあくまでHD定格の数字であり、ND定格で運用する場合の実際の適用モータ容量は、型式のどこにも数字としては現れない。括弧の中を見なければ、その値には辿り着けない。

そしてコードが3桁の限界に近づくと、表記の作法そのものが変わる。110kWを10倍すれば1100になり、3桁には収まらない。そこで東芝産業機器システムは110Kという書き方を選んでいる。数値をそのままkW単位で書き、末尾にKを付けるやり方だ。10倍して3桁化するという規則は、100kWの手前で静かに別の規則に置き換わっている。

驚きはここから――『160K』が名乗る二つの正体

ここまでは、VF-AS3Jという1つのシリーズの中で起きている話だった。ところが同じ次世代インバータのラインアップには、もう一つ「VF-AS3」という大容量帯専用のシリーズがある。HD定格132kW以上を担う、VF-AS3Jの延長線上にある製品群だ。

このVF-AS3の型式構成図を確認して、目を疑った。

型式は「VFAS3 - 4 280K P C - A」という並びで、VF-AS3Jとほぼ同じ骨格を踏襲している。入力電圧は4(380V〜480V)のみで、200Vクラスの区分自体が存在しない。容量コードはHD定格のkW数値をそのまま使い、末尾にKを付ける方式で統一されている。ここまでは素直な延長だ。

問題は、容量コードの一覧そのものにあった。カタログにはこう並んでいる。

「132K:132kW(160kW)」 「160K:132kW(160kW)」 「160K:160kW(220kW)」 「200K:200kW(250kW)」

「160K」が、2行にわたって書かれている。しかも中身が違う。1行目の160Kは「HD132kW・ND160kW」の組を指し、2行目の160Kは「HD160kW・ND220kW」の組を指す。同じ3文字の容量コードが、同じ1枚の型式構成図の中で、二つの異なる容量の組に割り当てられている。

製品のラインアップ表と突き合わせると、この二重表記の出どころが見えてくる。VFAS3-4160KPC-Aという型式は、ラインアップ表の中で「HD最大適用モータ容量132kW/160kW」「ND最大適用モータ容量160kW/220kW」という4つの数値をまとめて背負っている。同じ表の脚注には、こう書かれていた。

「VFAS3-4160KPC-Aについては4重定格となります。」

型式ラベルに刻まれた「VFAS3-4160KPC-A」という1本の文字列は、実は4通りの容量設定のどれとも一致しうる。容量コード「160K」を読んだだけでは、そのインバータが132kW側で使われているのか、160kW側で使われているのかは判別できない。

なぜこんな仕組みになっているのか

理由をカタログの中に明言する一文は見つからなかった。手がかりとして言えるのは、VFAS3-4132KPC-AとVFAS3-4160KPC-Aが、容量帯としては隣接する2つの枠だという点だ。おそらく東芝産業機器システムは、この隣接する2枠を1つのハードウェア筐体でカバーできるよう設計し、パラメータの設定次第でどちらの容量帯としても出荷できるようにしたのだろう。そのため型式としては「VFAS3-4160KPC-A」という1つのSKUに集約されながら、実際に現場で何kWのモータを駆動する設定になっているかは、型式ラベルではなく設定パラメータや定格銘板の電流値のほうで確認する必要がある。この設計判断の意図そのものを東芝産業機器システムが説明している一次資料は見つかっていない。

もう一つ、傍証になりそうな脚注もあった。VFAS3-4132KPC-Aについては、「VFAS1-4132KPCより小型となります。」という一文が製品ラインアップのページに残されている。同じ132kWという容量を担いながら、新型のほうが物理的に小さい。機能を増やしながら筐体を縮めるという、素直には両立しなさそうな進化を、東芝産業機器システムはこの世代交代で実現したことになる。

現場での注意点――容量コードだけでは足りない場面がある

VFAS3-4160KPC-Aのような4重定格の型式を扱う場合、型式ラベルの「160K」という記載だけを頼りに後継品や代替品を選定すると、132kW側と160kW側のどちらの設定なのかを取り違える恐れがある。現地確認では、定格銘板に記載された定格電流の値まで見て、HD/ND・132kW/160kWのどの組み合わせで運用されているかを特定する必要がある。

VFAS3-4132KPC-Aにはもう一つ注意点がある。外付け制動抵抗器が適用できない型式だ。制動が必要な用途でこの型式を選ぶと、あとから制動抵抗器を追加できないため、選定の段階で用途を確認しておく必要がある。

追加機能の末尾記号についても、VF-AS3Jで見たL・M・Cの区分が、VF-AS3ではCしか存在しないことは覚えておきたい。VF-AS3の型式には国土交通省仕様対応フィルタという選択肢がなく、EMC対応フィルタの有無だけが型式に現れる。同じ「次世代インバータ」という括りでも、容量帯が変われば選べるオプションの粒度そのものが変わっている。

置き換えの場面では、VF-AS1からの取付サイズ互換もVF-AS3J・VF-AS3の双方に共通して用意されている。ただし取付サイズが合うことと、型式の容量コードが指す容量帯が一意に定まることとは、まったく別の確認事項だ。

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東芝産業機器システムVF-AS3(J)インバータの型式確認・見積りについて

電設資材専門商社・松本電業株式会社では、盤に残ったVF-AS3J・VF-AS3いずれの型式からも、容量コードと追加機能記号を照合し、後継品への読み替えに対応している。VFAS3-4160KPC-Aのように容量コードが一意に定まらない型式については、定格銘板の電流値まで確認したうえで実際の設定容量を特定する。銘板が判読しにくい場合は、写真を添えてもらえれば照合が早い。

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