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ヴァイドミュラー(Weidmüller)の端子台の型番はどう読むのか|「SAK 2.5」と「WDU 2.5」は同じ2.5mm²でも同じレールに乗らない

読了目安: 11分 編集: 電材サーチ編集部(編集・出典ポリシー

制御盤の更新工事で、古い端子台列の一角に「SAK 2.5」という刻印を見つけたとする。カタログで調べると、今の主力ラインアップに「SAK」の名は出てこない。代わりに出てくるのは「WDU 2.5」という型番で、数字の部分は変わらず「2.5」のままだ。同じ断面積、同じ2.5という数字――ならば型番が変わっただけで、中身は同じものの後継品と考えてよいのだろうか。

そう考えて発注し、現物が届いてから、レールに乗らないことに気づく。数字が同じだったからといって、足元まで同じとは限らない。ヴァイドミュラー公式の製品データに基づいて、WDU・ZDU・SAKという主要な型番がそれぞれ何を積み重ねて成り立っているのかを分解する。

型番の骨格は「接続方式を示す頭の記号」+「断面積そのものの数字」

ヴァイドミュラーのねじ式端子台は、多くが「WDU」という3文字から始まる。公式eShopの製品ページを見ると、WDU 2.5は「Screw connection, dark beige, 2.5 mm², 24 A, 800 V」と説明されており、型番の数字「2.5」は「Rated cross-section 2.5 mm²」、つまり公称断面積とそのまま一致する。WDU 4は4mm²・32A、WDU 6は6mm²・41A、WDU 10は10mm²・57A・1000Vと、確認できたサイズはいずれも型番の数字と定格断面積が食い違わない。フェニックス・コンタクトのUKシリーズのように、型番の数字と定格断面積がずれるサイズが混在するようなややこしさは、少なくともWDUの主要サイズには見当たらなかった。

一方、同じ盤の中でよく見かける「ZDU」は、頭の一文字が違うだけで中身が別物になる。公式eShopはZDU 2.5/4ANを「Feed-through terminal, Tension-clamp connection, 2.5 mm², 800 V, 24 A, dark beige」と説明しており、接続方式は「Tension-clamp connection」、つまりねじではなくバネのテンションクランプだ。断面積を数字でそのまま示すという考え方はWDUと共通しているが、頭の記号――WはScrew(ねじ)、ZはTension-clamp(独語のZugfeder=引きバネに由来すると見られる)――が、ねじ締めかバネ式かを分けている。WDUとZDUを見分けるのに断面積の数字は役に立たない。見るべきは頭の一文字だ。

ここまでは、型番の骨格としては素直な設計だと言える。数字は断面積、頭の記号は接続方式。だが、この骨格だけを覚えて満足していると、次の二つの落とし穴を見落とす。

「WDU 2.5N」は同じ2.5mm²・24Aなのに、定格電圧が800Vではなく500V

WDU 2.5のすぐ近くに、末尾に「N」が付いた「WDU 2.5N」という型番がある。断面積も電流も同じだから、単に色違いか何かだろうと思ってよいのだろうか。

公式eShopのデータを見ると、そうではない。WDU 2.5Nは「Screw connection, dark beige, 2.5 mm², 24 A, 500 V」と説明されており、断面積2.5mm²・電流24Aという数字はWDU 2.5とそろっているのに、定格電圧だけが800Vから500Vに下がっている。外形寸法もWDU 2.5の高さ60mmに対し、WDU 2.5Nは44mmと一段低い。奥行もWDU 2.5の46.5mmに対しWDU 2.5Nは37mmで、全体にひとまわり小柄だ。

さらに細かい違いがもう一つある。WDU 2.5のシステム仕様欄には「for plug-in cross-connector」、つまり工具を使わずに差し込むだけで済む渡り線への対応が明記されているが、WDU 2.5Nの同じ欄にはこの項目が見当たらない。WDU 2.5Nが対応しているのは、ねじで固定するタイプの渡り線だけのようだ。

つまり「N」は、断面積や電流をそのままに、背を低くする代わりに定格電圧と渡り線の選択肢を削った、省スペース仕様を示す記号だと読める。断面積と電流の数字だけを見て「WDU 2.5と同格」と判断すると、定格電圧が800Vと500Vという違うクラスの製品を取り違えることになる。

「SAK 2.5」は今のレールに乗らないことがある

もう一つの落とし穴は、冒頭の場面そのものだ。「SAK」はヴァイドミュラー公式サイトが紹介する、1948年発売の端子台に由来する型番で、WDUよりずっと古い系譜にある。今も現行品としてカタログに残っているサイズがあるが、その型番には枝番が付く。

公式eShopのデータを突き合わせると、無印の「SAK 2.5」は「Mounting rail」欄が「TS 32」だけで、「TS 35」の記載がない。ところが「SAK 2.5/35」は逆に「TS 35」だけが記載され、「TS 32」の記載がない。さらに「SAK 2.5/EN」を見ると、「Mounting rail」欄に「TS 35」と「TS 32」の両方が並んでいる。同じ「2.5」という数字を背負いながら、末尾の枝番によって対応するレールの組み合わせが三通りに分かれているわけだ。

TS 32とTS 35は、単なる呼び名の違いではない。DINレールの寸法をまとめた資料によれば、TS 32は非対称な「G形」断面を持つ幅32mmのレールで、左右対称の「トップハット形」であるTS 35の幅35mmとは断面の形そのものが異なる。同じ資料は「Devices made for G-rail, TS32, or miniature rail will not clip on correctly with TS 35 rails」――G形レールやTS32、あるいはミニチュアレール用に作られた機器は、TS 35レールには正しくクリップできない――と明記している。つまりTS 32とTS 35は、寸法が数ミリ違うだけの互換品ではなく、そもそも噛み合わない別のレール規格だ。

そして、SAK 2.5/35とSAK 2.5/ENの公式eShopページには、どちらにも「Alternative product」として現行品の品番1020000000――つまりWDU 2.5――が案内されている。WDU 2.5の「Mounting rail」欄はTS 35のみで、TS 32の記載はない。SAK 2.5/ENのようにTS 32のレールにも乗っていた個体を、TS 35専用のWDU 2.5にそのまま置き換えることはできない。SAK 2.5/ENの製品ページには「This product is discontinued.」「Last order date 2022.03.30」ともあり、少なくとも2022年3月までは、TS 32との互換性を保ったSAK系がWDU系と並行して現行品として売られていたことになる。

なぜレール規格をまたぐ枝番が残っていたのか

ここから先は、確認できた事実からの推測になる。ヴァイドミュラー公式サイトはSAK系端子台を1948年発売の製品に由来すると紹介しており、その時代にはTS 35のような統一規格のトップハットレールが今ほど普及していなかったと考えるのが自然だ。SAK 2.5という無印の型番がTS 32専用であるのは、古い規格のレールを前提に設計された名残だろう。

一方、TS 35が業界標準のDINレールとして広く定着したあとも、現場にはTS 32のレールを使った古い盤が残り続ける。「SAK 2.5/35」でTS 35専用の版を追加し、「SAK 2.5/EN」で両方のレールに乗る互換版を用意したのは、規格が入れ替わる過渡期に、どちらのレールを使っている現場にも同じ断面積・同じ電流定格の端子台を供給し続けるための工夫だったのではないか、というのが公式資料の記載から立てられる仮説だ。ただし、なぜ移行の完了に70年以上を要したのか、「/EN」という記号が正式に何の略なのか(Euronormの意だと推測されるが、その定義を明記した一次資料は見当たらなかった)は、確認できていない。

WDU系がTS 35専用に一本化されているのは、この移行がすでに完了した現在のラインアップとして設計されているからだと見れば筋は通る。ただし、これも公式資料が明言しているわけではなく、状況から読み取れる範囲の理解にとどまる。

現場での実務上の注意点

古い盤の更新工事で「SAK」という型番を見つけたら、断面積の数字だけで「今のWDUに置き換えればよい」と判断しないほうがよい。まず現物のレールを確認し、TS 32とTS 35のどちらに乗っているかを見分ける必要がある。TS 32のレールに乗ったSAK端子台をWDUに置き換える場合、端子台だけでなくレールごと交換する工事が発生する可能性がある。

「WDU 2.5N」のような「N」付きの型番を見かけたときも、断面積と電流が同じだからと無印の代替品として扱わないほうがよい。定格電圧が800Vと500Vとで異なるクラスにあることを、発注前に必ず確認したい。

見積もりの段階で型番の読み違いに気づかず進めてしまうと、現地でレールごと交換する手間が発生し、工期にも影響する。型番の読み方に迷ったら、現物の写真や刻印を確認したうえで見積もりに進むのが確実だ。

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