制御盤の予備品リストに、「SGD7S-R70A20A020000B」と「SGD7S-780A20A020000B」が並んでいる。末尾に近い「020」という3桁は、どちらも同じに見える。同じオプションが付いた兄弟機なのだろう、とひとまず当たりを付けたくなる。
だが安川電機公式の「形式の見方」を開いて確認すると、この当たりは外れる。020という数字は、型式の前半にある容量コードが変わった瞬間に、指している中身ごと入れ替わっている。
型式の骨格——8つの区切りに分けて読む
安川電機のΣ-7シリーズは、単軸モデルのサーボパックを「SGD7S」という頭に続けて、①1+2+3桁目=最大適用モータ容量、②4桁目=電圧、③5+6桁目=インタフェース、④7桁目=設計順位、⑤8+9+10桁目=ハードウェアオプション仕様、⑥11+12+13桁目=FT/EX仕様、⑦14桁目=BTO仕様、という7つの区切りで構成する。公式の型式構成図が示す例は「SGD7S-R70A20A001000B」で、これを区切りに沿って割ると、R70(0.05kW)+A(AC200V)+20(MECHATROLINK-III通信指令形)+A(設計順位)+001(ラックマウント仕様)+000(FT/EX仕様なし)+B(BTO仕様)という7つの部品に分解できる。
インタフェースの5+6桁目には、20(MECHATROLINK-III通信指令形)のほかに10(MECHATROLINK-II通信指令形)、00(アナログ電圧・パルス列指令形)が並ぶ。ここまでは三菱電機MELSERVOのB・A・GFのような通信方式の切り替えと似た感覚で読める。骨格を覚えてしまえば、あとは表を当てはめるだけの単純な作業に見える。
「020」は容量帯をまたぐと逆の指示になる
その単純さが崩れるのが、⑤のハードウェアオプション仕様に並ぶ020という数字だ。公式のハードウェアオプション仕様表には、001(ラックマウント仕様、対応機種SGD7S-R70A330A・SGD7S-R70F2R8F)、002(ワニス処理、全機種)、008(単相200V電源入力仕様、対応機種SGD7S-120A限定)と並んだあとに、020が2行にわたって載っている。
一行目には「ダイナミックブレーキ機能なし」、対応機種はSGD7S-R70A2R8A・SGD7S-R70F2R8F。もう一行には「ダイナミックブレーキ抵抗器外付け」、対応機種はSGD7S-3R8A~780A。同じ020という3桁が、小容量帯では機能そのものを「なし」にする指示として使われ、中大容量帯では抵抗器を筐体の外に出す指示として使われている。機能を削る話と、部品を外付けする話は別物だ。SGD7S-R70A(0.05kW)の020とSGD7S-780A(15kW)の020を、数字が同じだからという理由で同一仕様として発注すると、届く実体はまったく違う。
なぜ数字を使い回しているのか
公式の形式構成図は、020がどちらの意味になるかを対応機種の一覧で示しているだけで、なぜ同じ数字を使い回しているのかまでは説明していない。ここから先は、容量帯ごとの標準仕様の違いから逆算した推測になる。
小容量帯(R70A2R8A、R70F2R8F)は、020を選べば「ダイナミックブレーキ機能なし」になるという書き方から見て、標準状態ではダイナミックブレーキを内蔵していると読める。停止時に持つ運動エネルギーが小さい軸であれば、内蔵の制動機能を持たない簡易な仕様を選べる余地があり、020はその引き算のオプションとして機能しているのだろう。
一方、中大容量帯(3R8A~780A)で020が指すのは「抵抗器外付け」だ。標準では内蔵しているはずの制動抵抗を、わざわざ筐体の外に出す指示になっている。容量が大きい軸ほど制動時に発生する熱量も大きくなるため、アンプ内蔵の抵抗器では放熱が追いつかない場面があり、020はその放熱経路を外部の抵抗器ユニットへ逃がすためのオプションだと考えられる。同じ「020」という記号でも、小容量帯では機能の引き算、中大容量帯では熱設計の逃がし先の変更として働いている——という筋書きは立つが、これは公式資料に明記された理由ではなく、対応機種の切り分け方から推測した範囲にとどまる点は断っておきたい。
ハイフンが消える瞬間——セット購入とFT/EX桁の入れ替え
020の読み替えとは別に、もう一つ見落としやすい仕掛けがある。SGD7SのINDEXER機能搭載形・DeviceNet通信機能搭載形には、指令オプション取付形と呼ばれるE0というインタフェース記号のベース機がある。このベース機を単体で発注する形式は「SGD7S-R70AE0A001000B」のようにハイフンが入り、⑥の11+12+13桁目はFT/EX仕様(無し/000のみ)、⑦の14桁目はBTO仕様として通常どおり並ぶ。
ところが、INDEXERモジュールやDeviceNetモジュールをサーボパックに取り付けた状態で手配する「セット購入の形式」を選ぶと、型式は「SGD7S*1 R70AE0A000100」のように変わる。公式の注記には「オプションモジュール付きサーボパック形式には、SGD7Sの後にハイフン(-)は入りません」とある。ハイフンが消えるだけでなく、⑥にあたる桁の役割そのものがFT/EX仕様からオプションモジュールの識別番号へ入れ替わり、100(INDEXERモジュール)・101(INDEXER+フルクローズモジュール)、あるいはDeviceNet側なら500(サーボ制御電源駆動形)・501(同+フルクローズ)・600(外部電源駆動形)・601(同+フルクローズ)という、まったく別の番号帯がそこに入る。同じ桁位置に、購入形態によって別々の情報が格納されているということだ。
この入れ替わりが起きるのはSGD7Sの単軸モデルだけではない。2軸一体のΣ-7Wモデルでも、ハードウェアオプション仕様に同じ020の二重使用が現れ、対応機種はSGD7W-1R6A2R8AとSGD7W-5R5A7R6Aに分かれる。さらにΣ-7Wにはハードウェアブレーク機能を追加する700(HWBB機能オプション、全機種対応)という、単軸のSGD7Sには存在しない記号も加わる。コントローラ内蔵2軸一体のΣ-7Cに至っては、5+6桁目のインタフェース記号が数字ではなくMA(バス結合指令形)という英字表記になり、型式そのものが11+12+13桁目・14桁目を持たず10桁で終わる。区切りの位置関係は共通していても、そこに入る記号の書式や、型式の長さそのものがモデルによって変わっている。
部品を探すとSGD7Sでは出てこない——SGDVという旧世代の型式
INDEXERモジュールやDeviceNetモジュールの周辺部品を発注しようとすると、もう一段別の食い違いに当たる。INDEXERモジュール用のオプションケースキットは「SGDV-OCA03A」、フルクローズモジュールは「SGDV-OFA01A」、DeviceNetモジュール用のオプションケースキットは「SGDV-OCA04A」(サーボ制御電源駆動形)・「SGDV-OCA05A」(外部電源駆動形)という型式で案内されている。頭がSGD7Sではなく、Σ-7より一世代前のΣ-VのSGDVのままだ。
サーボパック本体の世代がΣ-7に進んでも、ケースキットのような周辺部品は旧世代の型式体系を引き継いでいる、ということになる。おそらく世代をまたいで共通に使える部品をわざわざ新しい型式に振り直さなかったのだろうが、これも公式資料が明言している理由ではなく、型式が共存している事実からの推測だ。発注担当者からすれば、サーボパック本体の型式に引きずられて周辺部品まで「SGD7S」で検索してしまうと、該当する形式にたどり着けない。
現場での実務的な注意点
制御盤の改修や予備品の手配でΣ-7の型式に020という記号を見かけたら、まず確認すべきは容量コードだ。R70A2R8A・R70F2R8Fの範囲であれば「ダイナミックブレーキ機能なし」、3R8A~780Aの範囲であれば「ダイナミックブレーキ抵抗器外付け」であり、容量コードを見ずに020だけをコピーして別容量の予備品を注文すると、意図した仕様にならない。
型式にハイフンが入っていない銘板を見つけても、誤植や汚損による読み取りミスと決めつけないほうがいい。INDEXERやDeviceNetのモジュールを工場出荷時に組み込んだセット購入品である可能性があり、その場合は11+12+13桁目がFT/EX仕様ではなくオプションモジュールの番号として読む必要がある。そして、オプションケースキットやフルクローズモジュールのような周辺部品を発注する際には、サーボパック本体の型式ではなくSGDVという型式で検索し直す必要がある。型式を1か所だけ確認して安心せず、容量コード・購入形態・周辺部品という3つの切り口で読み直すことが、Σ-7の型式を取り違えないための実務的な確認手順になる。
あわせて読みたい
- 安川電機完全ガイド|インバータGA700・サーボΣ-7・産業用ロボットMOTOMANの三本柱を選ぶ
- 安川電機A1000インバータの型番はどう読むのか|CIMR-AAの電流クラスが「四捨五入した値」である理由
- 三菱電機ACサーボアンプMELSERVOの型番はどう読むのか|MR-J4-40AのA・B・GFと「40」が表す定格出力コード
- サーボモータのインクリメンタル方式とアブソリュート方式は何が違うのか
関連する安川電機・Σ-7・SGD7S・サーボアンプ・型番・見方の品種・型番をお探しですか?
電材サーチでは、メーカー横断で目的の型番を素早く見つけ、そのまま見積もりを依頼できます。