幹線は100A、機械は60A、移動用の電源は30A。アメリカン電機の2027年版カタログは、電流容量がこう3段階に落ちていく流れを、「工場設備2(高容量 50A〜100A定格)」の使用例に描いている。
どの器具とどの器具を組むか、電線は何mm²か、水がかかるときはどこまで揃えれば防水になるか。手配の順に整理した。
幹線から機械まで、何をどうつなぐのか
カタログの使用例(工場設備2)が示す組み合わせ。
| 組み合わせ | カタログの用途の説明 |
|---|---|
| 防水形パネルコンセント100A+防水形プラグ100A | 防塵・防水が要る盤面に直接取り付けて電源を供給する |
| フランジコンセント100A | 盤面に直接取り付けて電源を供給する |
| 埋込コンセント60A+L型プラグ60A(平刃形) | 壁面などのボックスに収めて電源を供給する。省スペース |
| プラグ60A+コードコネクタボディ60A | 届かない電源電線を延長する |
| プラグ60A+T型分岐用コネクタボディ | 工場施設内の100A電源の幹線から分岐して、設備用の60A電源にする |
| 移動用分岐ボックス | 60Aの電源環境で、30Aの電源が要る場所 |
| 防水形プラグ100A+防水形コードコネクタボディ100A | 防塵・防水が要る場所で、電源電線を延長する |
展示会場の100Aの配線ピットでは、防水形プラグ60AとT型分岐用コネクタボディを組み、30Aを移動用分岐ボックスで取り出す例が、カタログにある。造船現場の例には、高容量の受電用に防水形フランジインレット、持ち運べる電源増設用に移動用分岐ボックスが、別の用途として描かれている。
60Aは、器具の形で品番がどう変わるか
引掛形の60Aは、極配置が4種類ある。3P(3P,3W)の250V、3Pの600V、接地形3P(3P,4W GND)の250V、接地形3Pの600V。器具ごとに、この4つの順で品番が並ぶ。
| 器具 | 3P 250V | 3P 600V | 接地形3P 250V | 接地形3P 600V |
|---|---|---|---|---|
| 埋込コンセント | 3620 | 3660 | 4620 | 4660 |
| フランジコンセント | 3626 | 3666 | 4626 | 4666 |
| 防水形パネルコンセント | 3626RW | 3666RW | 4626RW | 4666RW |
| 防水形露出コンセント | 3621RW | 3661RW | 4621RW | 4661RW |
| フランジインレット | 3625 | 3665 | 4625 | 4665 |
| 防水形フランジインレット | 3625RW | 3665RW | 4625RW | 4665RW |
| プラグ(ポリカーボネートカバー) | 3622E | 3662E | 4622E | 4662E |
| プラグ(ゴムカバー) | 3622R | 3662R | 4622R | 4662R |
| 防水形プラグ | 3622RW | 3662RW | 4622RW | 4662RW |
| コードコネクタボディ(ポリカーボネートカバー) | 3624E | 3664E | 4624E | 4664E |
| 防水形コードコネクタボディ | 3624RW | 3664RW | 4624RW | 4664RW |
100Aは、極配置が同じ4種類で、品番の頭が31(3P)と41(接地形3P)になる。
| 器具 | 3P 250V | 3P 600V | 接地形3P 250V | 接地形3P 600V |
|---|---|---|---|---|
| フランジコンセント | 31026 | 31066 | 41026 | 41066 |
| 防水形パネルコンセント | 31026EW | 31066EW | 41026EW | 41066EW |
| フランジインレット | 31025 | 31065 | 41025 | 41065 |
| プラグ(ゴムカバー) | 31022R | 31062R | 41022R | 41062R |
| 防水形プラグ | 31022RW | 31062RW | 41022RW | 41062RW |
| 防水形コードコネクタボディ | 31024RW | 31064RW | 41024RW | 41064RW |
平刃形にも50A・60Aがある。埋込コンセントは50Aが8520N(3P)・9520N(接地形3P)、60Aが8620N・9620N。8620N・9620Nは、カタログの脚注でPSEの表示から除かれている。
品番の数字から、定格は読めるのか
カタログの「型番設定の決まり」は、型番の数字を「極数・電流・電圧・品種・仕様」の順に読む、という原則を示している(旧型番はこの原則に従っていない、と注記がある)。
| 位置 | 意味 | 60A・100Aでの値 |
|---|---|---|
| 極数 | 先頭の数字。品番表では、60Aは3が3P、4が接地形3P | 36…は3P、46…は接地形3P。100Aは31…が3P、41…が接地形3P |
| 電流 | 6=60A、10=100A | 36…・46…(60A)、31…・41…(100A) |
| 電圧 | 2=250V、6=600V | …2…が250V、…6…が600V |
| 品種 | 0=埋込コンセント、2=プラグ、4=コードコネクタボディ、5=フランジインレット、6=フランジコンセント・パネルコンセント | 末尾に近い数字 |
| 仕様 | E=ポリカーボネート、N=ナイロン、R=ゴム、W=防水形(RWはゴムの防水形)、T=分岐用、Z=抜止形など | 末尾の英字 |
カタログの例は20Aの4222Rで、同じ読み方を60Aに当てはめると4622Rは、引掛形の接地形3P、60A、250V、プラグ、ゴムカバー。品番の読み方そのものは、アメリカン電機の型式の読み方にも詳しい。
電線と端子は、60Aと100Aで何が変わるのか
| 項目 | 60A | 100A |
|---|---|---|
| 適用電線 | 14mm²(2CT/VCT) | 38mm²(2CT) |
| 圧着端子 | R14-6(別売CR14-6) | 38mm²用の2つ穴圧着端子Z0301(付属)。22mm²はZ0300(別売)、38mm²アルミ電線はZ0301-A(別売。2026年10月発売予定、下記) |
| 端子ねじ | M6、締付トルク2.5N·m。振動による緩みに強いダブルセムスねじ | 同左 |
| 結線部の保護 | 絶縁カバーZ0256(熱収縮タイプ) | 絶縁カバーZ0257(熱収縮タイプ) |
| 未使用時のほこり対策 | 60A埋込コンセント用のカバーWK、フランジインレット用はKF60 | 100A用カバーWK100、フランジインレット用はKF100 |
60A防水形コードコネクタボディ(3624RWなど)は、14mm²に加えて22mm²(Z0300、別売)も、ある頁の寸法欄に載せている。同じ品番の別の頁には14mm²しかなく、カタログの記載が一致していない。電線の表記も頁で違い、プラグ・コードコネクタボディは「2CT/VCT 14mm²」「2CT 38mm²」、コンセントとインレットは「14mm²」「38mm²」、T型分岐は「VCT/2PNCT 38mm²」。
100Aの電線が22mm²のとき、プラグ側ではコード口との隙間を埋める22mm²用ゴムブッシングZ0202・Z0203が別売で載っている。
38mm²のアルミ電線に使う銅製の1つ穴圧着端子Z0301-Aは、アルミ電線の酸化被膜を除去する作業をしなくても圧着できる、と書かれている(公式ニュース2026/08/31は「強化被膜」と書く)。100Aのフランジコンセント、防水形パネルコンセント、フランジインレットに取り付けられる。ただし、適用するアルミ電線、圧着工具、ダイスが指定されており、ニチフ端子工業に確認するよう求めている。Z0301-Aは1つ穴で、付属のZ0301は2つ穴。カタログは「2026年10月発売予定」、公式ニュースは「新たにラインナップしました」で、時期の記載は一致していない。
100Aの幹線から、60A・30Aへ分けるには
| 器具 | 入力 | 出力 | 品番 |
|---|---|---|---|
| T型分岐用コネクタボディ | 接地形3P 100A 250V/600V(両端に38mm²電線を結線) | 引掛形60A 接地形3P 250V/600V | 41024ET-60/41064ET-60 |
| 移動用分岐ボックス(漏電ブレーカ) | 接地形3P 60A 250V/480V(プラグ・ケーブルなし) | 引掛形30A × 2(30A漏電ブレーカ付) | HB4323、HB4323-L15、HB4363 |
| 防水形移動用分岐ボックス(IP44) | 2P・3P・接地形3Pの30A(フランジインレット) | 15A・20Aの口 4〜8口 | HK7113GZPT、HK3223ELBなど |
| 移動用分岐ボックス/分岐ボックス | 定格15A・20A | 引掛形・平刃形 3〜4口 | 3113RK、PRZ-4-160、BZ-3など |
T型分岐用コネクタボディの特長は次のとおり。
- 両端のどちらからでも100A定格の38mm²電線を結線でき、送り配線ができる。端子台に結線用の銅管圧着端子(38mm²)が8本付属する。
- 中央の引掛形60A出力コンセントを通すと、38mm²から14mm²の電線へダウンサイジングできる。
- 外郭は難燃グレードUL94 V-0のポリカーボネート、さし込み口・端子台も難燃グレードUL94 V-0。端子ねじはM6で、平ワッシャーとスプリングワッシャー付きのセムスねじ。
- 接続したプラグの脱落を防ぐワイヤーバンドと、未使用時の防じんカバーが付属する。
使用例には、分電盤→100A→T型分岐用コネクタボディ→60Aプラグ・14mm²電線で各装置へ、さらに移動用分岐ボックスで30Aに分ける流れが描かれている。注記として、分岐から電気機械器具までの電路には、必要に応じて適切な過電流遮断器を設けるよう書かれている。移動用分岐ボックスのPRZ-4-160は、2027年1月20日の製造中止予定。
水がかかる場所では、何が揃えばIP65なのか
60A・100Aの防水は、器具の組み合わせで成立する。
| 構成 | 等級 |
|---|---|
| 防水形プラグ+防水形コードコネクタボディ(60A・100A)を嵌合 | IP65 |
| 防水形パネルコンセント(60A・100A)。防水形プラグとの組み合わせで挿入時に防水仕様、防水ゴムカバーを付けた未挿入時も | IP65 |
| 防水形露出コンセント(60A)。同上 | IP65 |
| 防水形フランジインレット(60A)。付属の防水ゴムカバーまたは防水形コードコネクタボディとの組み合わせ | IP65 |
| 防水形マルチボックス(60A用)+防水形パネルコンセントまたは防水形フランジインレット。電線挿入穴などに防水施工をしたとき | IPX5 |
注意する点が4つある。
- 60Aのフランジコンセント(3626など)は、防水形プラグが使えない。 頁の注記で明記されている。防水形プラグの適用欄に載るコンセントは防水形パネルコンセントと防水形露出コンセントで、埋込コンセントの表にも3622RWなどが載る。100Aは、フランジコンセントの表に31022RWなどが載るが、防水形プラグ側の適用欄に載るコンセントは防水形パネルコンセントだけ。
- 防水形以外の器具と組み合わせると、防水性能はなくなる。 防水形コードコネクタボディの注記にある。
- 防水形マルチボックスは、器具ごとに型番が分かれる。 MBW8000はフランジコンセントとフランジインレット用、MBW8500は防水形パネルコンセントと防水形フランジインレット用。ステンレス製で、国土交通省仕様・民間仕様に対応し、蓋は水切防水仕様。埋込コンセント用にはMBW7100が載っている。
- IP65は使用環境まで保証するものではない。 組み合わせ・施工・環境が合っていること、経年変化や変形・破損で性能が下がることが、前提とされている。等級の読み方はIP保護等級の解説。
引掛形の60A・100Aには、PSEの表示がない
コンセント、プラグ、防水形、フランジインレットの適合規格等の帯に出ているのは、RoHS2と本体難燃性UL94 V-0(プラグは耐トラッキング、防水形はIP表示も)で、PSEのマークは出ていない。15A〜30Aのコンセントやプラグの帯には、PSEのマークが並んでいる(一部の品番は除外の脚注付き)。
カタログからは、PSEの要件を満たすかどうかは判断できない。PSE表示を求める現場かどうか、求められるならどの品番で満たすかは、仕様書と発注先で確認する。制度の違いはPSEマークの解説にある。
施工で見落としやすい点
- 電線が太い。 14mm²・38mm²を圧着端子で結線し、端子ねじ(M6)を締める。各製品の頁は2.5N·mと書き、一般の注意は、締付トルクの参考値の表の80〜100%以内を推奨している。
- コード引止部は確実に締める。 緩むと端子ねじが緩み、発熱や発火の原因になる。防水形では、熱収縮チューブをコード口に被せて収縮させてから、グリップのねじを締める。
- ゴムカバーの白い粉は、ブルームという自然現象。 製品の不良や劣化を示すものではない、とカタログに書かれている。防水形の嵌合部が固くなったら、シリコングリスなどの潤滑剤を適量塗り直す。
- 天井のコンセントには、ケーブル支持金具がある。 吊りボルト用ケーブル支持金具Z0271は、天井のコンセントにプラグを接続したときの電線の荷重を減らす金具。60A・100Aの器具の説明で推奨製品として載る。
- できれば1年に1回の点検と増し締め。 10年を経過した配線器具は交換が推奨され、VCTFなどのコードを使った製品は3〜5年が目安とされている。
見積・発注の前に、手元で確認すること
次が分かると、品番が絞れる。
- 設備の銘板の、電圧(250Vか600Vか)・電流(60Aか100Aか)・相数と接地の有無。これで4つの極配置のどれかが決まる。
- 器具の形。盤に付けるのか(フランジ)、壁のボックスに収めるのか(埋込)、電線の端末か(プラグ・コードコネクタボディ)、機器の受電口か(インレット)。
- 水・粉じんの有無。あるなら防水形の組み合わせ(プラグとコネクタボディ、またはパネルコンセント)。
- つなぐ電線の種類とサイズ。60Aは14mm²、100Aは38mm²(22mm²やアルミ電線は端子が別)。
- 数量。プラグ側とコンセント側の両方が要るか。
見積フォームには、分かっている型番と、上の情報を分かる範囲で添えて送る。
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