制御盤の更新工事で外した電磁弁のボディに、「4GA110R-C6-E2-1」という刻印が残っている。頭の4Gを見てCKD製だろうとは見当がつく。だが、その先がまったく読めない。1が2つ出てくるし、0Rという聞き慣れない2文字が挟まっている。ネット検索に型番をそのまま打ち込めば代替品らしきものは出てくるが、それは記号を読み解いたからではなく、検索エンジンが文字列の一致で拾ってきただけのことだ。
CKD株式会社のパイロット式5ポート電磁弁4GA1〜3シリーズの型番は、公式カタログに「形番表示方法」という名前で明文化された規則に従って組み立てられている。ここでは、そのカタログに載っている構成例に沿って、この型番を一段ずつ剥がしていく。
型番は「機種形番→切換位置→操作区分」から始まる
CKDのカタログに載っている構成例は「4GA1・1・0R-C6-E2・(空欄)・1」というものだ。ハイフンで区切られる前の3つの塊——機種形番・切換位置区分・操作区分——が弁そのものの構造を決め、ハイフンの後ろに接続口径・電線接続・オプション・電圧が続く。
機種形番は「4GA1」「4GA2」「4GA3」の3種類がある。単純な連番に見えるが、この末尾の数字が弁のボディサイズと流量特性そのものを決めている。カタログの体系表によれば、4GA1は適応シリンダ径φ20〜40で流量特性0.70〜0.72dm³/(s・bar)、4GA2はφ40〜80で2.4〜2.8、4GA3はφ63〜100で3.4〜4.1だ。数字が一つ違うだけで、つなげられる配管の太さも、送れる流量も別物になる。
機種形番の直後に来る一桁は②切換位置区分だ。カタログには1から5までが定義されている。1は2位置シングル、2は2位置ダブル、3は3位置クローズドセンタ、4は3位置エキゾーストセンタ、5は3位置プレッシャセンタ。2位置シングルは電磁石一つで切り換え、通電を止めるとばねの力で元の位置に戻る。ダブルは両側に電磁石を持ち、最後に通電した側の位置を保持し続ける。3位置は中間位置を含む3状態を切り換える構成で、シリンダを任意の位置で止めたい用途に使われる。
「0R」と「9R」——丸数字の外側にある記号
ここが、この型番でいちばん見落としやすい場所だ。切換位置区分のすぐ後ろに続く「0R」「9R」という2文字は、カタログの図の中で①②③…と丸数字が振られた項目の並びには入っていない。図には「操作区分 電磁弁」という説明だけが添えられ、①〜⑥の一覧からは独立した扱いになっている。
だが、意味がないわけではない。カタログに載っている2つの構成例を並べると、その違いがそのまま見えてくる。「4GA110R-C6-E2-1」には「パイロット式5ポート弁」という注記が、「4GA119R-C6-E2H-3」には「ベース搭載用5ポート弁」という注記が、それぞれ添えられている。同じ4GA1という機種形番であっても、0Rが付けば単体でダイレクト配管する通常の弁になり、9Rが付けばベースに搭載して使う弁になる。配管をどこに、どう通すかという設計の前提が、この2文字だけで入れ替わる。
接続口径——継手の種類ごとに、機種形番が使える組み合わせを絞る
③接続口径の表は、機種形番ごとに使える記号が変わる形で組まれている。ミリ継手・Rcめねじ・M5めねじの表では、ワンタッチ継手φ6の記号「C6」は4GA1・4GA2・4GA3のどれでも選べるが、φ1.8の「C18」は4GA1専用、φ10の「C10」は4GA3専用というように、口径ごとに対応する機種形番が絞り込まれている。めねじ接続も同様で、M5(M5)は4GA1、Rc1/8(06)は4GA2、Rc1/4(08)は4GA3という対応関係だ。
このほかに、インチ継手・NPTめねじの表と、ミリ継手・Gめねじの表が別立てで用意されている。海外規格に合わせて配管する場合はこちらを見る必要があり、注記には「4GA3の『C8N』『C10N』『O8N』はカスタム品です」ともある。同じロ径記号でも標準品と特注品が混在している以上、口径の数字だけを見て発注可否を判断するのは早計だ。
電線接続——グロメット・DIN端子箱・コネクタで、回路そのものが変わる
④電線接続の記号は、単なる配線の見た目の違いではない。カタログp.431「電線接続回路図」を見ると、記号ごとに実際の回路図が変わる。
無記号(グロメットリード線、300mm)はもっとも簡素な形に見える。ところが、この記号にはDC電圧のみという制約が付く。カタログの注記には「⑥電圧がDC電圧仕様のみ対応しています」とあり、AC100V・AC200Vのコイルが欲しい場合はこの記号を選べない。素の状態がいちばん汎用性が高いだろう、という直感は、ここでは裏切られる。
DIN端子箱(B・BN)は、サージキラー(整流・保護回路)とランプ(通電表示)を内蔵できる代わりに、機種形番の制約を受ける。注記には「①機種形番『4GA1』は選択できません」とあり、DIN端子箱は4GA2・4GA3限定だ。適応シリンダ径φ20〜40の小口径帯でDIN端子箱配線を希望しても、そのままでは選べない。なお端子箱の規格はEN175301-8037TypeC(旧DIN43650-C)適合品であることもカタログに明記されている。既設の端子箱付きソレノイドコネクタが流用できるかどうかは、この規格名で照合するのが確実だ。
E形コネクタ(E0・E1・E2・E3等)とEJ形コネクタ(E01J〜E23J、カバー付ソケット)は、サージキラー・ランプの有無とリード線長(300〜3000mm)の組み合わせで細かく枝分かれしている。E1はサージキラーのみ、E2はサージキラーとランプの両方、E0系はどちらも付かないという具合だ。ここでもう一つ、見落としやすい注記がある。「⑥電圧がAC電圧の場合、整流回路付となります」。つまりAC100V・AC200Vを選んでも、コネクタ側の回路には整流回路(ダイオードブリッジ)が組み込まれ、コイル自体は直流で駆動される。回路図を見ると、AC100V・AC200Vの図にもダイオードの記号がきちんと描かれている。AC駆動コイルと聞いて、鉄心の吸着状態によって突入電流が変動する古典的な交流電磁石を思い浮かべると、この弁に関しては前提が違う。
オプションと電圧——排気誤作動防止弁と、整流回路内蔵の電圧記号
⑤オプションには、無記号(ノンロック・ロック共用手動装置)、M(ノンロック式手動装置)、H(排気誤作動防止弁付)、P(取付板付)、A(オゾン・切削油対応品)、S(サージレス)、E(低発熱・省電力回路)、F(A・Bポートフィルタ内蔵)が並ぶ。このうちHの排気誤作動防止弁は、②切換位置区分が3(3位置クローズドセンタ)または5(3位置プレッシャセンタ)の場合は選択できないという注記が付く。3位置弁で排気誤作動防止を検討している場合、まずこの組み合わせが成立するかどうかを確認する必要がある。SとEも同時選択はできない。
⑥電圧は1(AC100V)、2(AC200V)、3(DC24V)、4(DC12V)、7(DC3V)、8(DC5V)の6段階だ。1と2にはどちらも「整流回路内蔵」という注記が付いており、これが先に触れたコネクタ側の整流回路と対になる。現場でいちばん見かけるのは3のDC24Vで、シーケンサ(PLC)の出力電圧とそのまま合わせやすいこともあって定番になっている。
実際の型番を分解する——4GA110R-C6-E2-1
ここまでの記号を踏まえて、冒頭で触れた型番を分解する。
「4GA110R-C6-E2-1」は、4GA1(機種形番=適応シリンダ径φ20〜40、流量0.70〜0.72dm³/(s・bar))・1(切換位置区分=2位置シングル)・0R(操作区分=パイロット式5ポート弁、単体・ダイレクト配管)という頭部分に、C6(接続口径=ワンタッチ継手φ6)・E2(電線接続=E形コネクタ、リード線300mm、サージキラー・ランプ付)・オプションなし・1(電圧=AC100V、整流回路内蔵)が続く。
カタログにはもう一つ、対になる構成例が載っている。「4GA119R-C6-E2H-3」だ。頭の4GA1・1までは同じだが、操作区分が9R(ベース搭載用5ポート弁)に変わり、オプションにH(排気誤作動防止弁付)が加わり、電圧が3(DC24V)になっている。同じ機種形番・切換位置区分・接続口径・電線接続でも、操作区分と電圧、オプションの違いだけで、単体弁とベース搭載弁という別の使い方に分かれる。
一つ、正直に断っておく。カタログの形番表示方法の図は、①〜⑥の各項目を丸数字付きの独立した凡例として示しているが、0R・9Rの操作区分だけは、その丸数字の並びの外側に置かれている。この記事で「操作区分」と呼んでいるのは、図に添えられた「操作区分 電磁弁」という説明文と、2つの構成例の注記を突き合わせて確認した内容であり、①〜⑥と同格の項目として番号が振られているわけではない。発注の際は、最終的にCKDの形番表示方法の図そのもので、記入欄の並びを確認してから記入するのが確実だ。
現場で間違えやすい点
型番の並びが頭に入っても、実際の発注や現物照合では、いくつかの組み合わせでつまずきやすい。
機種形番の1・2・3を、電圧やソレノイド数の記号と混同しやすい。4GA1の「1」は適応シリンダ径φ20〜40を示す型番の一部であって、その直後に続く切換位置区分の「1」(2位置シングル)とは無関係だ。「4GA1・1」という並びを見て、同じ数字が続いているからと安易に読み飛ばすと、シリンダ径の情報を取りこぼす。
操作区分の0Rと9Rを見落とすと、単体弁のつもりで発注した弁が、実はベース搭載用だったということが起こり得る。配管を直接つなぐ設計なのか、ベースを介す設計なのかは、この2文字にしか表れていない。
グロメットリード線(無記号)とAC電圧の組み合わせは存在しない。既設のAC100V配線をそのまま使うつもりで無記号を選ぶと、そもそも成立しない注文になる。
DIN端子箱(B・BN)は4GA1には設定がない。小口径帯の弁で端子箱配線を希望する場合、機種形番を4GA2以上に変更するか、電線接続の記号自体を見直す必要がある。
排気誤作動防止弁(H)は、3位置クローズドセンタ・プレッシャセンタでは選べない。3位置弁で排気時の誤作動対策を検討している場合、切換位置区分とオプションの組み合わせを先に確認しておいたほうがいい。
型番が読めると、現場で何ができるか
ここまでの記号を押さえれば、盤の中から外した電磁弁の刻印一つから、ボディサイズ・切換方式・単体かベース搭載か・接続口径・電気配線方式・オプション・電圧まで、カタログを開かなくても見当が付くようになる。改修現場で現物しか手元にない場合でも、型番を書き写すだけで代替品の候補をかなり絞り込める。
ただし、この記事で確認した記号の意味は、4GA1〜3シリーズの単体バルブ・ダイレクト配管という限られた形式表示方法のページに基づくものだ。ベース配管形の4GB1〜3シリーズ、個別配線マニホールド用のM4GA、省配線マニホールド用の各シリーズまで踏み込むと、機種形番の意味の一部が変わり、電線接続の選択肢も別表になる。型番の骨格(機種形番→切換位置→操作区分→接続口径→電線接続→オプション→電圧)という考え方は流用できても、記号一つひとつの意味は発注前に必ずその形式そのもので確認する必要がある。
電磁弁の型番確認・見積りについて
電設資材専門商社・松本電業株式会社(東京都台東区台東2-4-11)では、現物の刻印からの現行品・代替品の照合、電線接続方式や電圧を含めた発注仕様の確定までのご相談を見積フォームで受け付けている。刻印が判読しづらい場合は、現物写真を添えてもらえると照合が早い。
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