冒頭の場面・会話は、内容の理解を助けるための例示です。特定の現場・企業・案件を指すものではありません。
「615800」と「615880」を並べて見せられて、どこが違うか一目で言えるだろうか。数字は6桁のうち5桁までまったく同じで、末尾から2桁目が0か8かの違いしかない。もう一つ、「615880」と「635880」も並べてみる。今度は2桁目が1か3かだけが違う。どちらも銅被覆鋼棒の接地棒——エリコ・ジャパンが扱う、変電所や建築物のアース工事で使う、あの太い棒である。
見積書にこの3つの型番が並んでいたとして、径の違いだと思い込んでいないだろうか。実際、着手前の見立てもそうだった。6桁のカタログ番号なら、前半が径、後半が長さか形状だろう、と。だが実際にnVent公式の製品ページを1本ずつ開いて確かめると、思っていた区切り方とは少しずれていた。
型番の骨格:材質・形状・径・長さの4区分
nVent公式の製品ページには、Specifications欄に「PRODUCT ATTRIBUTES」という仕様表がある。615800のページを開くと、Ground Rod Diameter(Nominal)=5/8”、Length(L)=10’、Plating Thickness=10mil、Unit Weight=8.5lbと並んでいた。615880のページを同じように開くと、Diameter・Plating Thicknessの欄は615800とまったく同じ値のまま、Length(L)だけが8’に変わっている。
つまり615800と615880の違いは、径でもメッキ厚でもなく、長さだけだった。型番の6桁を1文字ずつ書き出すと、
6 1 5 8 0 0 ← 615800(先端尖形・5/8インチ・10ft)
6 1 5 8 8 0 ← 615880(先端尖形・5/8インチ・8ft)
5桁目だけが「0」から「8」に変わっている。8ftの製品では8、10ftの製品では0——10という数字の一の位を取っている、と見れば辻褄が合う。
では635880のほうはどうか。635880のページを開くと、Diameter・Length(L)・Plating Thicknessは615880と同じ値のまま、Thread Size(TS)=5/8” UNCという欄が新たに現れ、Thread Locationは「Pointed and Chamfered Ends」となっていた。先端尖形はそのままに、連結用のねじ加工が追加された品、ということになる。
6 1 5 8 8 0 ← 615880(先端尖形のみ・8ft)
6 3 5 8 8 0 ← 635880(先端尖形+ねじ切り・8ft)
今度は2桁目だけが「1」から「3」に変わっている。長さを決めていた5桁目の役割とはっきり分かれており、2桁目は端部の加工方法——先端尖形のみか、ねじ切り加工付きか——を区別する桁だと見てよさそうだ。
3桁目・4桁目の「58」は、5/8インチという公称径を、分数の見た目のままインチ表記で2桁に落とし込んだ数字だった。この時点では、まだ2種類の径でしか確認できていない。
実機に当てはめる:もう一つの径のファミリーで裏を取る
5/8インチの3型式だけでは、桁の区切り方を「たまたまそう見えた」で終わらせてしまう恐れがある。そこで、径違いの製品ファミリーでも同じ規則が成り立つかを確認した。3/4インチの銅被覆鋼棒・先端尖形には、613440(4ft)・613460(6ft)・613480(8ft)・613400(10ft)という4型式がある。
| 型番 | 径コード | 長さコード | 実際の仕様 |
|---|---|---|---|
| 613440 | 34(3/4インチ) | 4 | 4ft・先端尖形 |
| 613460 | 34(3/4インチ) | 6 | 6ft・先端尖形 |
| 613480 | 34(3/4インチ) | 8 | 8ft・先端尖形(613480のPRODUCT ATTRIBUTESで実測径0.68”・Length8’・Plating10milを確認) |
| 613400 | 34(3/4インチ) | 0 | 10ft・先端尖形 |
長さコードが4→6→8→0(10の一の位)と、フィート数の一の位そのまま4段階そろって並んだ。5/8インチの615800/615880で見た「5桁目=長さの一の位」という見立てを、独立した4点で裏付けられたことになる。
ねじ切りタイプの側でも、3/4インチ・10ftのねじ切り品として633403という型番がある。PRODUCT ATTRIBUTESを見ると、Thread Size(TS)=3/4” UNC、Length(L)=10’まではここまでの規則どおりだが、Plating Thicknessが10milではなく13milになっていた。635880系列の末尾桁が「0」で揃っていたのに対し、633403は末尾桁が「3」——メッキ厚という標準からの派生仕様を、末尾の1桁に載せている個体が存在する、ということになる。ただしこの対応が確認できたのは今回1例だけで、「末尾桁=メッキ厚コード」と言い切るところまでは裏が取れていない。
現場で間違えやすい点
一つ目は、見た目が近い型番を「径違い」だと決めてかかることだ。615800と615880は径ではなく長さが違い、615880と635880は長さではなく端部形状が違う。6桁の数字をひとまとまりで眺めるのではなく、「材質・端部形状(1〜2桁目)」「公称径(3〜4桁目)」「長さの一の位(5桁目)」という3つのブロックに割ってから読む必要がある。
二つ目は、先頭1桁だけの違いを見落とすことだ。3/4インチ・10ft・先端尖形の銅被覆鋼棒は613400だが、同じ3/4インチ・10ft・先端尖形でも溶融亜鉛めっき鋼棒(材質はSteel、仕上げがHot-Dip Galvanized)は813400になる。末尾5桁がまったく同じまま、1桁目が6から8に変わるだけで、耐食性も価格帯も違う別製品に切り替わる。手書きの見積書やFAXで6と8が読み違えられると、材質を取り違えたまま発注してしまう恐れがある。
三つ目は、公称径と実測径を混同することだ。「5/8インチ」「3/4インチ」という型番上の径表記(Nominal)は、実際に打込む棒の直径(Actual)とは数値がわずかにずれる。615800では公称5/8インチに対し実測0.56インチ、613480では公称3/4インチに対し実測0.68インチだった。継手やクランプの適合径を確認する場面では、型番の呼び径ではなく実測径の欄を見る必要がある。
発注前に確認しておきたいこと
UL 467の認証を受けるには、接地棒の長さが8ft(2.44m)以上であることが条件になっている。615800(10ft)・615880(8ft)のページにはこの規定が明記されていたが、4ftや6ftといった短尺品(613440・613460)は、この認証条件に該当しない可能性がある点は留意しておきたい。屋内の狭小スペースで短尺品を検討する場合は、認証の要否を先に確認したほうがよい。
また、615800・615880の仕様表には「Additional lengths available(追加の長さバリエーションあり)」という記載があった。6桁の型番一覧に載っていない中間の長さが別途存在する可能性はあるが、その型番の付番規則までは今回の一次資料からは確認できていない。標準ラインナップにない長さが必要な場合は、規則からの類推で型番を組み立てるのではなく、販売店経由で現行の型番を確認するほうが確実だろう。
銅被覆鋼棒接地棒の型式確認・見積りについて
電設資材専門商社の松本電業株式会社(東京都台東区台東2-4-11)では、エリコ・ジャパンの接地棒・接地プレートの型式照合から、CADWELDモールドとの組み合わせ選定までのご相談を見積フォームで受け付けている。土壌条件や要求接地抵抗値が分かれば選定の相談にも乗れるので、現物の刻印や図面があれば併せて共有してもらえるとスムーズだ。
あわせて読みたい
- ERICO(nVent)のCADWELDモールド型番はどう読むのか|GTC182BとGTC182Gが接続形状ではなく導体の種類で分かれる理由
- アース(接地)工事の種類と施工方法|A種・B種・C種・D種の違いと用途
- 接地抵抗測定(E-P-C法)の正しいやり方|補助接地棒の配置間隔が測定値を左右する理由
- 連接接地(共用接地)とは|種別の異なる接地をまとめてよい場合・いけない場合
関連するERICO・nVent・銅被覆鋼棒・接地棒・型番・見方・615800・615880・635880の品種・型番をお探しですか?
電材サーチでは、メーカー横断で目的の型番を素早く見つけ、そのまま見積もりを依頼できます。