未来工業のデータを見ながら、こう思っていた。SRM6-15は幅144mm・高さ60mmの塗装仕様だと。数字の並びも自然に見える。SRM、6、ハイフン、15。塗装された鋼線ラックが1本、思い浮かぶ。
ところが、未来工業の公式カタログPDFを開くと、様子が違う。SRM6-15は「電気亜鉛めっき仕様」という見出しの下に並んでいる。塗装(黒色)と明記された製品は、SRM6-15Kという、末尾にKが付いた別の品番だった。同じ「15」という数字を挟みながら、無印とKとでは仕上げそのものが違う。
型番の数字が何を指しているのか、思い込みのまま発注していいものだろうか。未来工業の公式カタログPDF(電気亜鉛めっき仕様・溶融めっき仕様・ステンレス仕様・塗装品黒色の4系統、SRM6・SRM11・SRM16の3シリーズ)を実際に取得し、型番の骨格を分解する。
型番の骨格——数字は2箇所にあり、片方は高さ、もう片方は幅の呼び数である
結論から書く。ミラメッシュの直線ラックは「SRM+高さコード+ハイフン+幅の呼び数+仕上げ記号(無印/D/S/K)」という構造をしている。SRM6-15であれば、6(高さコード)、15(幅の呼び数)、無印(仕上げ=電気亜鉛めっき)。SRM11-20Dであれば、11(高さコード)、20(幅の呼び数)、D(仕上げ=溶融めっき)という組み立てだ。
高さコードは、そのまま10倍すると実際の高さ(mm)になる。カタログPDFで確認すると、SRM6シリーズの高さは60mm、SRM11シリーズは110mm、SRM16シリーズは160mm。6×10=60、11×10=110、16×10=160と、3シリーズすべてで数字と実寸がぴったり一致する。ここは思い込みで読んでも裏切られない部分だ。
厄介なのは、ハイフンの後ろに来るもう一つの数字のほうだ。
分解——幅の呼び数は、実寸そのものではない
SRM6シリーズの品番と寸法を並べてみる。
| 品番 | W(内寸法) | B(外形寸法) | H(高さ) |
|---|---|---|---|
| SRM6-10 | 72 | 94 | 60 |
| SRM6-15 | 122 | 144 | 60 |
| SRM6-20 | 172 | 194 | 60 |
| SRM6-30 | 272 | 294 | 60 |
| SRM6-40 | 372 | 394 | 60 |
| SRM6-50 | 472 | 494 | 60 |
| SRM6-60 | 572 | 594 | 60 |
呼び数(10・15・20・30・40・50・60)をそのまま実寸だと思って読むと、どの数字も当てはまらない。ところが呼び数を10倍して比べると、規則が見えてくる。W(内寸法)は呼び数×10-28、B(外形寸法)は呼び数×10-6。呼び60なら600-28=572、600-6=594。表のどの行に当てはめても、この式は崩れない。
この二段構えの規則は、SRM11・SRM16でも同じように成り立つ。SRM11-30もSRM16-30も、呼び数が同じ「30」であれば、W272・B294とまったく同じ数値になる。高さの違うシリーズ同士で、幅の展開だけが完全に共通しているというわけだ。
ここでようやく、幅の話に戻れる。未来工業のマニュファクチャラーデータには「SRM11は電気亜鉛めっき仕様・SRM6系列より広幅サイズもラインアップ」という記述があった。だが、SRM6のカタログページには呼び60(W572・B594)までの品番が電気亜鉛めっき仕様として並んでおり、SRM11のカタログページに載っている電気亜鉛めっき仕様は呼び50(W472・B494)までしかない。呼び60・70・80はSRM11でも「特注品として承ります」という注記付きの扱いだ。標準ラインアップの範囲で見る限り、SRM11のほうが広幅という説明とは、逆の並びになっている。
実機への当てはめ——無印とK、SD-とZ-のような落とし穴
冒頭の疑問に戻る。SRM6-15はなぜ「塗装仕様」ではなかったのか。
答えは、SRM6-15Kという別品番が存在するからだった。未来工業のカタログには、SRM6シリーズ向けに「塗装品(黒色)スチール製」という専用ページがあり、そこにSRM6-10Kから60Kまでの品番が並んでいる。無印のSRM6-15(電気亜鉛めっき仕様)とSRM6-15K(塗装品・黒色)は、W122・B144・H60という寸法こそ同じだが、仕上げも希望小売価格も別物だ。2026年9月1日改定後の価格で見ると、SRM6-15が7,670円、SRM6-15Kが11,100円。無印を「塗装仕様」だと思って発注すると、届くのは塗装されていない電気亜鉛めっき品ということになる。
仕上げの記号は、K以外にもう二つある。溶融めっき仕様のD、ステンレス仕様のSだ。SRM6-15D(溶融めっき)、SRM6-15S(ステンレス)というように、どちらも呼び数の後ろに付く。ただしステンレス仕様は、SRM6シリーズでも呼び40(SRM6-40S)までしか掲載がなく、呼び50・60のステンレス品はカタログページに見当たらなかった。仕入れ先の資料や過去の見積書で「SRM6-S」という表記だけを見かけることもあるが、これは呼び数を省いたシリーズ全体の呼び名であって、実際に発注する品番には必ず呼び数が入る。SRM6-Sと書いて発注すれば済む品番は存在しない。
現場で間違えやすい点——「在庫問合せ品」と「受」マークの違い
カタログページを見ていて、もう一つ気になる表示があった。SRM6の電気亜鉛めっき仕様(無印)の品番欄には、全サイズに黄色いハイライトが付いており、ページ下部の凡例には「在庫問合せ品」と書かれている。一方、溶融めっき仕様(D)とステンレス仕様(S)の見出しの横には、緑色の四角い「受」というマークが付いている。
この「受」マークについて、ページ内に明確な凡例は見当たらなかった。ただし未来工業のFAQサイトを「受注生産」で検索すると、カラーエフへの印刷やケーブルカッシャーの仕様違いなど、他の製品でも「受注品」という区分語が使われているのが確認できる。同じ言葉づかいから推測する限り、この「受」マークは受注生産品——注文を受けてから作る、つまり在庫を持たない仕様——を示していると考えるのが妥当だろう。
高さ110mmのSRM11、高さ160mmのSRM16になると、この「受」マークはページ全体に一つだけ、大きく表示されている。個別の仕様ごとではなく、電気亜鉛めっき仕様も溶融めっき仕様も含めて、シリーズ全体が受注扱いになっているという意味だ。無印だから在庫があるはず、という判断は、SRM11・SRM16では成り立たない。
SRM11・SRM16にはもう一つ、SRM6にはない注記もある。「重ねる事はできません」という一文だ。高さが増した分、積み重ねての保管や運搬に制約が出るということだろう。荷姿を考える段階で見落としやすい点だ。
実務上の注意点——価格改定と、はしご形ラックとの型番の違い
未来工業の電設資材ページには「2026年9月1日より価格が改定されました」という告知が出ており、実際に新価格一覧表とカタログPDF(作成日2026年3月25日)の価格を突き合わせると、ミラメッシュの全品番が値上げされている。SRM6-10であれば6,580円から7,230円へ、SRM11-20であれば9,970円から11,000円へという具合だ。カタログPDFをダウンロード済みでも、作成日が古ければ価格はそのまま信用できない。見積もりの直前には、価格改定の告知が出ていないか、発行元のページで確認する一手間を挟みたい。
型番のプレフィックスにも触れておく。未来工業は鋼線メッシュ状の「ミラメッシュ」(SRM)だけでなく、はしご形の「ミラックラダー」(SRY)もラインアップしている。同じケーブルラックというカテゴリでも、型番の頭文字からしてSRMとSRYで分かれており、幅の呼び数の付け方が似ているからといって、SRM用の付属品やジョイント金具をSRY系列に流用できるとは限らない。形状も、メッシュ(編んだ鋼線)とはしご(親桁・子桁の梯子状)とで別物であり、ラック開口部からのケーブルの出し入れやすさを重視するならメッシュ形状、というのがミラメッシュ側のカタログが強調している特長になる。
冒頭のSRM6-15に戻る。呼び数の「15」は幅の実寸ではなく、W122・B144という数値へ変換して初めて意味を持つ呼び名だった。そして無印は塗装仕様ではなく電気亜鉛めっき仕様であり、黒色塗装品はSRM6-15Kという別の品番として存在する。型番の文字と数字を、思い込みで実寸や仕上げに変換する前に、該当するカタログページで一度確かめておきたい。
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