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減速機・動力伝達電材基礎型番の読み方

ナブテスコRVシリーズ精密減速機(E形・C形)の型番はどう読むのか|『RV-20E』の『20』が定格トルクと一致しない理由

読了目安: 9分 編集: 電材サーチ編集部(編集・出典ポリシー

制御盤の中を歩き回るのと違って、産業用ロボットの関節部を開ける機会はそう多くない。だが開けてみると、その中心には円盤状の部品が収まっていて、側面にこう刻まれている。「RV-20E」。

RVはナブテスコの精密減速機シリーズを示す接頭辞だ。そのくらいは電材を扱う人間なら知っている。だとすれば続く「20」は何を表すのか。素直に読めば、定格トルクの数字だろうと見当がつく。ロボットの関節に組み込む減速機なのだから、20kgf-m前後のクラスだろう、と。

ところがナブテスコの公式仕様ページでRV-20Eの定格トルクを確認すると、そこに書かれているのは「167N・m」という数字だ。kgf-mに換算すれば17。20ではない。3割近く低い。

見間違いではないかと、同じページのRV-40Eも確認してみる。定格トルクは412N・m、kgf-m換算で42。今度は逆に、型式の数字より実際のトルクのほうが大きい。

型式の数字は、いったい何を約束している数字なのか。

フレーム番号という区分――トルクの実測値ではない

ナブテスコが英語版の技術カタログに載せている「Ordering Information(発注のための製品識別)」のページには、この疑問への答えがそのまま図で示されている。E系列の型式構成図はこう並ぶ。「RV 80 E 121 A B」。先頭のRVが型式記号、次の「80」が「Frame No.(フレーム番号)」、続く「E」がシリーズ、「121」が速度比(減速比の逆数)、最後の2文字が入力ギヤの形式と出力軸の形式だ。

この構成図の下に、フレーム番号と定格トルクの対応表が載っている。フレーム番号6・20・40・80・110・160・320・450に対して、定格出力トルクはkgf-m(Nm)表記でそれぞれ6(58)・17(167)・42(412)・80(784)・110(1078)・160(1568)・320(3136)・450(4410)。

つまりフレーム番号は、定格トルクをkgf-m単位で表した数字にほぼ一致するように付番されている。「ほぼ」であって「必ず」ではない。RV-6E、RV-80E、RV-110E、RV-160E、RV-320E、RV-450Eの6機種はフレーム番号と定格トルク(kgf-m)が完全に一致するが、RV-20EとRV-40Eの2機種だけは、フレーム番号(20・40)と実際の定格トルク(17kgf-m・42kgf-m)がずれている。

なぜこの2機種だけずれるのか、その設計上の理由はカタログに明記がない。確認できるのは「フレーム番号は定格トルクの目安であり、正確な値は仕様表を見なければ確定できない」という事実だけだ。見積や選定の場面で型式の数字を暗算のショートカットに使うと、この2機種で踏み外す。

もう一つ、見落としやすい注記がある。定格トルクの測定条件だ。カタログの脚注には「定格トルクは出力回転数15r/minを基準とする。ただしRV-6Eのみ出力回転数30r/minで測定した値を定格トルクとする」とある。RV-6Eだけ測定条件が他の7機種と違う。単純な比較表として型式間の数字を横に並べる際は、この一点も頭の片隅に置いておいたほうがいい。

C系列では、フレーム番号がそのまま定格トルクになる

同じ疑問をC系列で確認すると、様子が変わる。同じOrdering Informationのページに載るC系列の型式構成図は「RV 100 C 36.75 A B」。フレーム番号100、シリーズC、速度比36.75、中心歯車形と出力軸形の記号が続く。

フレーム番号と定格トルクの対応表は、10・27・50・100・200・320・500というフレーム番号に対して、定格出力トルクkgf-m(Nm)が10(98)・27(265)・50(490)・100(980)・200(1961)・320(3136)・500(4900)。ナブテスコの公式サイトの現行の仕様表(RV-C製品ページ)でも、この7機種すべてでフレーム番号がkgf-m換算の定格トルクと完全に一致することを確認できる。

E系列で例外だったRV-20E・RV-40Eのようなズレは、C系列の7機種には一つもない。同じ「RV」の型式でありながら、系列によって数字の信頼度が違う。この非対称性が、型番を読むときにまず押さえておくべき一点目になる。

E形とC形――中実か、中空か

型式の中央に挟まる1文字、EとCの違いも確認しておきたい。

ナブテスコの公式カタログはEを「Main bearing built-in type」、Cを「Hollow shaft type」と定義している。公式サイトの製品ページの言葉を借りれば、RV-Eは「精密減速機のベーシックモデル」で中実軸を持つ。対してRV-Cは「世界トップシェア・累計700万台出荷の実績を持つ精密減速機RVの中空タイプ」で、「中空化により配管・ケーブルなどの取り回しの面で使い勝手を向上」させている。中心に大径の穴が通っているため、ロボットアームの中を配線・配管が貫通できる。バックラッシュ1分以内、ロストモーション1分以内、主軸受内蔵という基本性能は、EとC共通の特徴として両方の製品ページに並んでいる。

数字が同じフレーム番号を共有する場面もある。RV-320EとRV-320Cは、どちらも定格トルク3136N・mで並ぶ。数字だけを見れば同格の部品に見える。だが公式仕様表で質量を確認すると、RV-320Eは44.3kg、RV-320Cは79.5kgと、ほぼ倍近い開きがある。許容モーメントもRV-320Eの7056N・mに対し、RV-320Cは20580N・mとさらに差が大きい。トルクの数字が並んでいても、中実のEと中空のCとでは背負っている構造がまるで違うから、互換部品として扱うことはできない。

型式の全体像――RV-80E121ABまで読む

ここまでの内容を、ヤマ場だった数字の話から一歩引いて、型式全体の構成として整理しておく。

E系列の完全な型式は「RV-[フレーム番号]E-[速度比]-[入力ギヤ形式]-[出力軸形式]」という並びになる。入力ギヤ形式はA(標準形・狭幅タイプ)、B(標準形・大径タイプ)、Z(特殊仕様・記号なし)の3区分。出力軸形式はB(ボルト締結)、P(ボルト・ピン締結)の2区分だ。公式サイトが公開しているCAD図面のファイル名も、RV-20E-57-xx-B.dxfのように「型式-速度比-xx-出力軸形式」の順で並んでおり、この構成をそのまま裏付けている。

C系列は「RV-[フレーム番号]C-[速度比]-[中心歯車形式]-[出力軸形式]」。中心歯車形式はA(標準形)とZ(特殊仕様・記号なし)、出力軸形式はB(ボルト締結)とT(通しボルト締結)。RV-100C-36.75-A-B.dxfというCAD図面名も、この並びと一致する。

つまり「RV-20E」「RV-100C」という表記は、フレーム番号とシリーズ記号だけを取り出した略称であって、実際に発注する部品を一意に特定する情報ではない。速度比と出力軸形式まで確定して初めて、1個の部品として発注可能になる。

ナブテスコRV-E・RV-C主要機種の対応表

型式系列定格トルク(N・m)フレーム番号とkgf-m換算値の一致
RV-6EE(中実)58一致(30r/min基準の特例あり)
RV-20EE(中実)167不一致(フレーム番号20に対し17kgf-m)
RV-40EE(中実)412不一致(フレーム番号40に対し42kgf-m)
RV-80EE(中実)784一致
RV-110EE(中実)1078一致
RV-160EE(中実)1568一致
RV-320EE(中実)3136一致
RV-450EE(中実)4410一致
RV-10CC(中空)98一致
RV-27CC(中空)265一致
RV-50CC(中空)490一致
RV-100CC(中空)980一致

現場で間違えやすい点

型式の数字を見た瞬間に「フレーム番号=定格トルクのkgf-m値」だと機械的に読み替えてしまうのが、いちばん起きやすい間違いだ。RV-80EからRV-450Eまでの6機種、そしてC系列の全機種ではその読み替えが実際に成立するため、一度成功体験があると次も同じように読んでしまう。RV-20EとRV-40Eの2機種だけがその読み替えを裏切る例外であり、しかも例外が2つとも小型サイズに集中しているために、初めて選定する担当者ほど疑わずに通り過ぎやすい。

もう一つは、型式を「RV-〇〇E」「RV-〇〇C」の略称のまま見積や手配の依頼に使ってしまうことだ。速度比・入力ギヤ形式(またはC系列の中心歯車形式)・出力軸形式のいずれかが欠けると、フレーム番号とシリーズが合っていても部品としては特定できない。銘板や図面に記載された型式は、ハイフンの先まで含めて丸ごと控える必要がある。

そして、RV-320EとRV-320Cのようにフレーム番号が一致する組み合わせを見て、「番号が同じだから代替できる」と早合点することだ。中実のE形と中空のC形は質量も許容モーメントも別物であり、フレーム番号の一致は互換性を意味しない。

実務上の注意点

老朽化したロボットの減速機を更新する相談を受けたときは、銘板の型式をフレーム番号・シリーズ記号(E/C)・速度比・出力軸形式まで、省略せずに写し取ってもらうのが最初の一歩になる。型式の一部だけを頼りに定格トルクを類推すると、RV-20E・RV-40Eのような例外機種で見立てを外す。

後継品・代替品を検討する際も、フレーム番号とシリーズ記号が一致しているかどうかだけでなく、公式仕様表の定格トルク・質量・許容モーメントまで突き合わせたほうが安全だ。とくにE形とC形の間で「近い定格トルクだから」という理由だけで乗り換えを検討すると、配管・ケーブルの取り回し方式や取付寸法が根本的に異なるため、机上の検討段階でつまずくことになる。

型式の読み方に不安が残る場合や、銘板の文字列から現行品・代替品を特定したい場合は、実物の型式を確認したうえで手配を進めるのが確実だ。

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よくある質問

RV-20Eの『20』は定格トルク20kgf-mを表しているのですか?

いいえ、一致しません。ナブテスコの公式仕様ページ(RV-E製品ページ)によれば、RV-20Eの定格トルクは167N・m(kgf-m換算で17)です。型式の『20』は『フレーム番号』と呼ばれるケースサイズの区分番号で、多くの機種では定格トルク(kgf-m)とほぼ一致するように付番されていますが、RV-20EとRV-40Eの2機種は、フレーム番号と実際の定格トルク(kgf-m換算)が一致しません(RV-40Eは40ではなく42kgf-m=412N・m)。

RV-CシリーズもRV-Eシリーズと同じようにフレーム番号と定格トルクがズレるのですか?

確認できた範囲では、C系列にズレはありません。公式仕様ページのRV-10C/27C/50C/100C/200C/320C/500Cはいずれも、フレーム番号(10・27・50・100・200・320・500)がそのまま定格トルクのkgf-m値と一致します(N・m換算で98・265・490・980・1961・3136・4900)。ズレが確認できるのはE系列のRV-20EとRV-40Eの2機種に限られます。

RV-320EとRV-320Cは同じ部品ですか?

いいえ、別の部品です。どちらも定格トルクは3136N・mで数字上は同じ枠に入りますが、公式仕様ページで質量を比較するとRV-320Eは44.3kg、RV-320Cは79.5kgと大きく異なり、許容モーメントもRV-320Eの7056N・mに対しRV-320Cは20580N・mです。E形は中実(主軸受内蔵の基本構造)、C形は中空(配管・ケーブルを通せる大径中空軸)という構造そのものが異なるため、フレーム番号が同じでも互換部品ではありません。

E形とC形の違いは一言で言うと何ですか?

ナブテスコの公式カタログの型式構成図では、Eは『Main bearing built-in type』、Cは『Hollow shaft type』と説明されています。公式製品ページの表現ではE形(RV-E)は『精密減速機のベーシックモデル』で中実軸、C形(RV-C)はそれを『中空化』し、配管・ケーブルなどの取り回しの面で使い勝手を向上させたタイプです。バックラッシュ1分以内・ロストモーション1分以内・主軸受内蔵という基本性能は両形式に共通しています。

参考文献・出典

  • 減速機|RV-E(精密減速機・中実)|ナブテスコ株式会社 精機カンパニー (「仕様」表でRV-6E/RV-20E/RV-40E/RV-80E/RV-110E/RV-160E/RV-320E/RV-450Eの型式と定格トルク(N・m)=58/167/412/784/1078/1568/3136/4410を確認。RV-320E行の質量44.3kg・許容モーメント7056N・mを確認。「製品特徴」欄の『バックラッシュ1分以内』『ロストモーション1分以内』『主軸受内蔵』の記載、紹介文『世界トップシェア・累計700万台出荷の実績を持つ精密減速機のベーシックモデル』を確認。ダウンロード欄に「RV-E,C,Originalシリーズ カタログ_Rev.009(2019年5月10日発行)」の記載があることを確認(アクセス日2026年9月1日)。)
  • 減速機|RV-C(精密減速機・中空)|ナブテスコ株式会社 精機カンパニー (「仕様」表でRV-10C/RV-27C/RV-50C/RV-100C/RV-200C/RV-320C/RV-500Cの型式と定格トルク(N・m)=98/265/490/980/1961/3136/4900を確認。RV-320C行の質量79.5kg・許容モーメント20580N・mを確認。「製品特徴」欄の『中空構造』『バックラッシュ1分以内』『ロストモーション1分以内』『主軸受内蔵』の記載、紹介文『中空化により配管・ケーブルなどの取り回しの面で使い勝手を向上』を確認。製品CAD図面の命名がRV-10C-27-A-B.dxf、RV-100C-36.75-A-B.dxfのように「型式-速度比-中心歯車形-出力軸形」の並びになっていることを確認(アクセス日2026年9月1日)。)
  • Precision Reduction Gear RV™ E Series / C Series / Original Series(Rev.004.1、CAT.150430、Issued on Apr. 30, 2015)|ナブテスコ株式会社 (p.1-2「1 Ordering Information」のE seriesの型式構成図(例:RV 80 E 121 A B)で、フレーム番号6/20/40/80/110/160/320/450に対応する『Rated output torque kgf-m (Nm)』=6(58)/17(167)/42(412)/80(784)/110(1078)/160(1568)/320(3136)/450(4410)の対応表を確認。同ページのC seriesの型式構成図(例:RV 100 C 36.75 A B)で、フレーム番号10/27/50/100/200/320/500に対応する定格出力トルクkgf-m(Nm)=10(98)/27(265)/50(490)/100(980)/200(1961)/320(3136)/500(4900)の対応表を確認。同ページの入力ギヤ・中心歯車形記号(Aは標準形/狭幅、Bは標準形/大径、Zは特殊)と出力軸形記号(Eは『B ボルト締結』『P ボルト・ピン締結』、Cは『B ボルト締結』『T 通しボルト締結』)の定義を確認。p.11の脚注4「The rated torque is a torque at an output speed of 15 r/min...The RV-6E, however, has its rated torque determined as the output torque at an output speed of 30 r/min.」を確認。p.6-7・p.52-53の「1 Features and Benefits」で、C seriesのみ『Hollow shaft structure - Cables and other lines can pass through the reduction gear - Allows space saving design』が特徴の筆頭に掲げられている一方、E seriesにはこの項目がないことを確認。奥付に『Rev. 004.1』『CAT.150430 (Issued on Apr. 30, 2015)』の記載があることを確認。本カタログはナブテスコ株式会社発行の英語版技術資料で、同社の欧州販売代理店(オランダ、abi.nl)がミラー公開しているPDFを直接取得して内容を確認した。)
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