TBF-064という型番を見て、隣に並ぶTBF-063Jとの関係をどう捉えるべきか、一瞬迷った経験がある人は少なくないはずだ。「06」で始まる数字は共通していて、末尾がJかどうかだけが違う。だったら「4」と「3」の位置だけが極数の違いで、Jは何かのオプション記号なのだろう——そこまでは、たぶん誰でもたどり着く。
ただし、そこで安心して先に進むと足をすくわれる。TBF-064は4P・90Aの端子台だが、TBF-063Jは3P・60Aの端子台だ。同じ「06」なのに、電流の数字が90Aと60Aで揃っていない。極数がずれているのだから多少の違いは仕方ない、と片付けたくなるところだが、実際に効いているのはもっと構造的な違いだった。日東工業のTBF(経済形)端子台は、無印・J・W・Sという末尾記号で製品カテゴリそのものが分かれており、「06」という数字の意味あいも、そのカテゴリごとに微妙にずれる。公式のN-TEC商品情報サイトに掲載されている全価格表と、2020年4月発行の取扱説明書(文書番号C433060920)を突き合わせて、この型番の規則を分解する。
型番の骨格——枠を示す2桁と、極数を示す1桁、そして接続方式を示す記号
結論から書く。TBFの品名記号は「TBF-[枠コード2桁][極数1桁]+接続方式の記号」という構造をしている。枠コードは06・10・15・25・40・60の6段階、極数は2P・3P・4Pのいずれか(600Aクラスのみ1Pも存在する)、接続方式の記号は無印・J・W・Sの4種類に分かれる。
無印(記号なし)は「固定式」に分類される。ブレーカの端子に直接ボルト接続するのではなく、CB形・R形の圧着端子を介して配線を渡す仕様で、TBF-062・063・064(4P・90A)や、より大容量のTBF-401〜404・601〜604まで、幅広い枠のラインナップがここに属する。
J・W・Sの3つは、いずれも「ブレーカへの直接接続ができます」と明記された系列で、末尾の記号ごとに接続部品の種類が違う。Jは「ジョイントバー付」、Wは「ワイドバー付」、Sは「送り端子形」——送り端子形は主幹側の端子に加えて、5.5sq程度の送り回路用の端子をもう1個、ジョイントバーで一体化した仕様になる。TBF-063J、TBF-153W、TBF-403Jという型番に共通する「ブレーカ用端子台」という呼び名は、この3系列全体を指す言葉であって、無印の「固定式端子台」とは別カテゴリだと考えたほうが実情に近い。
型番の分解——なぜ同じ「06」でも90Aと60Aに分かれるのか
さて、冒頭の疑問に戻る。無印のTBF-06x(062・063・064)は定格通電電流90A、電線サイズ22mm²、端子ねじM6。ジョイントバー付のTBF-06xJ(062J・063J)は定格通電電流60A、電線サイズ22mm²、端子ねじM6。電線サイズと端子ねじ径はぴったり一致しているのに、定格通電電流の数字だけが90Aと60Aでずれている。
種明かしをすると、「06」という数字が指しているのは、端子台自身が扱える電線・端子ねじの枠であって、接続先のブレーカの定格電流そのものではない。無印タイプは圧着端子(CB形・R形)を介して配線するだけなので、端子台の電線容量いっぱいの90Aまで通電できる。一方のJタイプは、ジョイントバーで直接接続するブレーカの側にも定格があり、TBF-062J・063Jの適用機種欄にはNE52A・62A、NE53A・63Aといった、50〜60Aクラスのブレーカ形式名が並ぶ。端子台のハードウェアとしての枠は同じ「06」でも、実際に流れる電流はつながる先のブレーカの定格で頭打ちになる——だから60Aという、より控えめな数字が定格通電電流欄に載ることになる。
この「枠コードと実電流のずれ」は、06に限った話ではない。無印のTBF-15x(152・153・154)は定格通電電流175A、対するTBF-15xJ(152J・153J)は150A、TBF-153Sは150A。無印のTBF-25x(252・253・254)は310A、TBF-253Jは250A、TBF-253Sも250A。無印のTBF-40x(402・403・404)は430A、TBF-403Jは400A。枠コードの末尾に0を足した数字(15→150、25→250、40→400)に近い値がJ・S系列の定格通電電流になり、無印はそれよりやや高めの実測値が定格になる、という傾向は読み取れる。ただし、これはあくまで価格表の数字を並べて気づく傾向であって、日東工業側が「枠コード×10=ブレーカ側の定格電流」という換算式を明言しているわけではない。数字から逆算せず、型番ごとに価格表の定格通電電流欄と適用機種欄を直接確認する必要がある。
実機への当てはめ——公式価格表の数字を読む
無印の固定式(TBF)は、枠コードごとにこう並ぶ。
| 品名記号 | 極数 | 定格適合電線mm² | 定格通電電流 | 端子ねじ径 |
|---|---|---|---|---|
| TBF-062〜064 | 2P/3P/4P | 22 | 90A | M6(なべ小) |
| TBF-102〜104 | 2P/3P/4P | 38 | 130A | M8(なべ小) |
| TBF-152〜154 | 2P/3P/4P | 60(CB形) | 175A | M8(六角ボルト) |
| TBF-252〜254 | 2P/3P/4P | 150(CB形) | 310A | M10(スタッド) |
| TBF-402〜404 | 2P/3P/4P | 250 | 430A | M12(スタッド) |
| TBF-601〜604 | 1P/2P/3P/4P | 325 | 600A | M16(スタッド) |
冒頭で触れたTBF-064はこの表の1行目、4Pの列にあたる。マニュファクチャラーDBに載っている型式例をこの表に照らすと、来歴がはっきりする。
ジョイントバー付(TBF-J)は、こういう並びになる。
| 品名記号 | 極数 | 定格通電電流 | 適用機種(一部) |
|---|---|---|---|
| TBF-062J / 062JK | 2P | 60A | NE52A・62A / NE52C・62C等 |
| TBF-063J / 063JK | 3P | 60A | NE53A・63A等 / NE53C・63C等 |
| TBF-063EJ / EJK | 3P+1E | 60A | 同上(アース端子付) |
| TBF-153J | 3P | 150A | NE103A・153A等 |
| TBF-253J | 3P | 250A | NE222・223・252・253等 |
| TBF-403J | 3P | 400A | NE402A・403A・403GA等 |
ワイドバー付(TBF-W)は3機種だけの小さな系列だが、数字の読み方でいちばん注意が要る系列でもある。
| 品名記号 | 極数 | 定格通電電流 | 適用機種(一部) |
|---|---|---|---|
| TBF-153W | 3P | 150A(ワイドバー60A) | NE53A・63A等 |
| TBF-253W | 3P | 250A(ワイドバー150A) | NE103A・153A等 |
| TBF-403W | 3P | 400A(ワイドバー250A) | NE222・223・252・253等 |
現場で間違えやすい点——数字はブレーカの容量ではなく、端子台自身の枠を指している
ここまでの表を横に並べると、一つ引っかかる場所が出てくる。TBF-153Wの品名は「15」で始まり、定格通電電流欄にも「150A」と書いてある。だが実際に接続できるブレーカは、適用機種欄を見る限りNE53A・63Aといった50〜60Aクラスだ。150Aクラスのブレーカを想像して発注すると、現物は明らかに小さいブレーカ用の端子台が届く。
種明かしは、定格通電電流欄の「150A(ワイドバー60A)」という併記にある。端子台の本体側——電線を差し込む側——は150Aの電線サイズに対応できる作りになっている。しかし実際にブレーカへ橋渡しするワイドバーそのものの定格は60Aで、ここが電流経路のボトルネックになる。つまりTBF-153Wという型番の「15」は、電線側の枠を指しているのであって、ブレーカ側の容量を指しているのではない。同じことはTBF-403W(電線側「40」=400A、ワイドバー側は250A、適用機種はNE222・223等の225〜250AFクラス)にも当てはまる。取扱説明書にも「TBF-403Wは225・250AFブレーカにワイドバーで直接接続する端子台です」と明記されており、型番の数字だけを見て「40だから400AFのブレーカに使える」と判断するのは誤りになる。
もう一つ、TBF-062JとTBF-062JKのように、末尾の「K」1文字だけで適用機種が入れ替わるケースもある。両者とも2P・60Aという仕様はまったく同じで、違うのは対応するブレーカの形式名だけだ。JはNE52A・62Aなど、JKはNE52C・62C、NE52CX・62CXなど。現場で古いブレーカを同型のブレーカに交換した際、形式名の末尾がAからCやCXに変わっているのに気づかず、以前と同じ「J」の端子台を再発注してしまうと、取り付け段階で適合しないという事態になりかねない。型番の数字と極数が合っていても、それだけで互換性を保証したことにはならない。
実務上の注意点
見積や図面に型番だけが書かれている場合、まず確認したいのは末尾の記号だ。無印であれば固定式(圧着端子接続)、J・W・Sであればブレーカへの直接接続を前提とした仕様であり、そもそも配線方法自体が異なる。次に、枠コード(06・10・15・25・40・60)を接続予定のブレーカの容量とそのまま同一視せず、公式価格表の適用機種欄に載っている形式名——NE○○A、NE○○Cといった具体的な型式——で照合する。特にワイドバー付(W)は、この記事で見た通り、品名の数字と実際のブレーカ容量が一致しない代表例なので、要注意だ。
ジョイントバー・ワイドバーは、無印タイプに後付けできる単品部品としても販売されている(TB-060JS、TB-100WAなど)。すでに固定式のTBF-062〜064を発注済みで、あとからブレーカへの直接接続に切り替えたい、という場面では、J・W付きの型番を買い直すのではなく、対応するジョイントバー・ワイドバー単品の追加で対応できる可能性がある。
電設資材専門商社の松本電業株式会社(東京都台東区台東2-4-11)では、現物の型式名からの読み解き、接続予定ブレーカとの適合確認、ジョイントバー・ワイドバー単品での追加対応まで、TBFシリーズの選定・お見積りに対応している。
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