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安川電機V1000インバータの型番はどう読むのか|CIMR-VABAの「単相」がモータの相を意味しない理由

読了目安: 9分 編集: 電材サーチ編集部(編集・出典ポリシー

冒頭の場面・会話は、内容の理解を助けるための例示です。特定の現場・企業・案件を指すものではありません。

「CIMR-VABA0010BAA」という型式を銘板で見つけたとする。ハイフンのあとに続くBを見て、多くの人はこう考えるだろう。「単相仕様のインバータということは、単相モータを回すためのものだ」。ごく自然な連想だし、家庭用の換気扇や小型ポンプの世界では、この読み方はだいたい正しい。

ところが安川電機V1000シリーズの公式仕様書には、この連想を真正面から否定する注記がある。「単相電源入力のインバータは、出力側が三相出力となっております。単相モータは使用できません。」——Bという記号が示しているのは、あくまで電源の受け方が単相200Vだということだけで、その先につながるモータは三相モータが前提になっている。単相で受けて、三相で吐き出す。型式の1文字を見ただけで安心してモータ選定に進むと、後工程で相が合わないという事態になりかねない。

姉妹機種のA1000シリーズにはこの「単相受電」という区分自体が存在せず、電圧クラスは三相200Vと三相400Vの2種類しかない。V1000はより小容量・省スペース向けの機種として設計されているぶん、電圧クラスの記号表にもう1つ枠が増えている。安川電機公式の「形式の見方」と200V級・400V級の形式一覧に基づいて、CIMR-VAという型式の並びが、どこまでを確定させ、どこから先を電源仕様やモータ仕様の確認に委ねているのかを、A1000との違いを意識しながら一段ずつ確認する。

型式の骨格——8つの位置、A1000より1つ多い電圧クラスの選択肢

公式の形式説明図は、CIMR-VA2A0001BAAという型式を、頭から8つの位置に分けて示している。CIMRは固定の接頭辞でインバータを表す。続く1文字目のVはV1000シリーズであることを示す記号、2文字目のAは仕向地で、記号表にはA=日本とだけ定義されている。

3文字目が電圧クラスで、ここがA1000と構造的に異なる。安川電機の記号表には、B=単相200V、2=三相200V、4=三相400Vの3つが並ぶ。A1000の電圧クラスが2と4の2種類しかなかったのに対して、V1000には単相受電に対応するBという枠が加わっている。続く4文字目がカスタマイズ仕様で、Aは標準品を意味し、「専用ソフトウェア(高周波)についてはご照会ください」という注記が付く。ここまでの4つの記号のうち、製品ごとに変わり得るのは電圧クラスだけで、シリーズ・仕向地・カスタマイズ仕様はほぼ固定と考えてよい。

ハイフンをまたいだ次の4桁が電流クラス、その後に保護構造・耐環境向上仕様・設計順位という3つの記号が続き、型式全体で8つの情報が積み上がる。位置の数はA1000と同じ8つだが、3文字目の電圧クラスに割り当てられた選択肢の中身が違う——この違いが、後述する電流クラスの読み方にまで影響してくる。

電流クラス——四捨五入の先に、電圧クラスによる枝分かれがある

電流クラスの4桁が「ND定格の定格出力電流を四捨五入した値」であるという規則自体は、A1000と共通している。400V級の形式一覧で確認すると、CIMR-VA4A0004のND定格出力電流は4.1A、四捨五入で0004。CIMR-VA4A0018は17.5A、四捨五入で0018。ここまでは素直な規則通りだ。

問題は、この4桁が電圧クラスをまたいで一意には決まらない点にある。200V級の形式一覧を見ると、三相のCIMR-VA2A0004と単相のCIMR-VABA0003は、どちらも最大適用モータ容量がND定格0.75kW・HD定格0.4kWという同じ枠に属している。同じモータ容量の枠なのに型式の数字が0004と0003に分かれているのは、三相版のND定格出力電流が3.5A、単相版が3.3Aとわずかに違い、四捨五入した結果がそれぞれ4と3になるからだ。カタログの容量表記だけを見て「0.75kW枠だから電流クラスは0004のはずだ」と決め打ちすると、単相仕様の型式では数字がずれる。

もう一つ、単相ラインには数字の枝分かれでは済まない例外がある。単相200V級の最大容量帯はCIMR-VABA0018だが、形式一覧の注記には「CIMR-VABA0018はHD定格のみの仕様です」とある。三相ラインの多くの型式がパラメータ(C6-01)でND/HD定格を選べるのに対して、この型式にはND定格という選択肢自体が用意されていない。単相ラインの容量上限がカタログの表題どおり3.7kW止まりであることと合わせて、単相仕様を三相ラインと同じ感覚で読むと、選べるはずの設定が実は選べないという食い違いに当たる。

保護構造と耐環境向上仕様——A1000の記号感覚を持ち込むと読み違える

電流クラスの後ろに続く1文字が保護構造だ。V1000公式の記号表では、B=IP20、F=UL Type1、J=フィンレス(IP20)の3種類が定義されている。ここで注意したいのは、A1000の保護構造がA=IP00を基準にしていたのに対し、V1000の記号表には「A」という選択肢がそもそも存在しないことだ。同じCIMR-で始まる型式でも、シリーズが変われば記号と仕様の対応表そのものが別物になっている。A1000の型式を見慣れた目でV1000の型式を読むと、Bという見慣れない記号に戸惑うか、逆に自己流の意味を当てはめてしまう危険がある。

保護構造の次に続くのが耐環境向上仕様で、A=標準、M=耐湿・耐じん、N=耐油、S=耐振、K=耐ガスの5種類が並ぶ。A1000がP(耐湿・耐じん・耐振)やR(耐ガス・耐振)のような複合仕様まで含めて8種類を用意していたのに対し、V1000は単一属性の組み合わせのみで5種類とやや簡素だ。ただしこの項目にも「耐環境向上仕様についてはご照会ください」という注記が付く点は共通しており、記号の意味が公開されていることと、その仕様が実際にどの容量で選べるかは別問題になる。

型式の最後に残る1文字は設計順位だ。ここまでの7項目にはすべて記号と仕様を対応させる表が添えられているのに対して、設計順位だけは形式説明図の中に凡例表が示されていない。分からないことを分かったふりで埋めるよりは、確認できていないとはっきりさせておいた方がいい。

CIMR-VA2A0001BAAを通しで読む

ここまでの内容を、形式説明図に載っている型式そのもので読み通しておく。CIMRはインバータであることを示す固定の接頭辞。1文字目のVはV1000シリーズ。2文字目のAは仕向地で日本向け。3文字目の2は電圧クラスで三相200V。4文字目のAはカスタマイズ仕様で標準品。続く0001が電流クラスで、200V級の形式一覧によればND定格出力電流1.2Aを四捨五入した値、最大適用モータ容量はND定格0.2kW・HD定格0.1kW。7文字目のBは保護構造でIP20、8文字目のAは耐環境向上仕様で標準。最後のAは設計順位で、意味までは公開資料からは確認できない。

同じ形式説明図が載るカタログには、もう一つ実務的な例が添えられている。ファン駆動用の0.75kWモータにV1000を選ぶ場合はCIMR-VA2A0004を軽負荷(ND)定格のまま使い、チェーンブロック駆動用の同じ0.75kWモータに選ぶ場合はCIMR-VA2A0006を重負荷(HD)定格に設定して使う、という選定例だ。同じ0.75kWという数字でも、負荷の性質によって選ぶべき型式そのものが変わる。電流クラスの数字は、モータの銘板に書かれたkW数を単純に置き換えたものではなく、ND/HDという運用条件込みで決まる値だということが、この一例からも読み取れる。

現場で間違えやすい点

まとめると、V1000の型式で足を止めやすいのは次の3か所になる。一つめは、電圧クラスのBを見て単相モータ用だと早合点すること。実際には出力側は常に三相で、単相モータには使えない。二つめは、同じモータ容量帯でも電圧クラスが変わると電流クラスの数字がずれること。三相0004と単相0003のように、見た目の桁が違うからといって別容量とは限らない。三つめは、A1000で覚えた保護構造の記号(A=IP00)をV1000に当てはめること。V1000の保護構造にAという記号自体が存在しないため、この読み替えは成立しない。

実務上の注意点

型式を照合するときは、電流クラスの4桁だけを見て容量やND/HDを断定せず、必ず該当する電圧クラス(B・2・4)の形式一覧まで戻って数値を確認したい。特に単相仕様は三相仕様と容量上限が異なり(単相は3.7kW止まり、三相200V級は18.5kWまで)、かつ最大容量帯のCIMR-VABA0018はHD定格専用という例外も抱えている。設備の電源が単相か三相かという情報を型式確認の最初の段階で押さえておくことが、後戻りを防ぐ一番の近道になる。

安川電機V1000インバータの型式確認・見積りについて

電設資材専門商社の松本電業株式会社(東京都台東区台東2-4-11)では、現物の銘板に残ったCIMR-VA系列の型式から、電圧クラス・電流クラス・保護構造の読み解き、ND/HD定格の確認、単相・三相の電源仕様との整合までのご相談を見積フォームで受け付けている。銘板の型式が判読しにくい場合は、写真と設備側の電源仕様を添えていただけると照合が早い。

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よくある質問

型式中の「B」(単相200V)と「2」(三相200V)はどう違いますか?

電圧クラスを表す記号で、Bは単相200V、2は三相200V、4は三相400Vです。ただし注意が必要なのは、Bを選んだからといって単相モータを回せるわけではない点です。安川電機の形式一覧には「単相電源入力のインバータは、出力側が三相出力となっております。単相モータは使用できません」という注記があり、Bは電源の受け方(単相で受電できる)を示しているだけで、モータ側は三相モータを前提にした製品だということになります。

電流クラスの4桁は、そのままモータの容量(kW)に対応しますか?

常に一意ではありません。安川電機の200V級形式一覧によれば、三相のCIMR-VA2A0004と単相のCIMR-VABA0003は、どちらも最大適用モータ容量がND定格0.75kW・HD定格0.4kWという同じ枠に属しています。それでも型式の4桁が0004と0003に分かれているのは、三相版のND定格出力電流が3.5A、単相版が3.3Aとわずかに異なり、それぞれを四捨五入した結果が違う数字になるためです。同じ容量帯でも、電圧クラスが変われば電流クラスの数字も変わり得ると理解しておく必要があります。

V1000の保護構造記号は、姉妹機種のA1000と同じ意味で読めますか?

読めません。V1000公式の形式説明図では保護構造はB=IP20、F=UL Type1、J=フィンレス(IP20)の3種類で、「A」という記号は保護構造の欄に存在しません。一方でA1000の形式説明図では保護構造はA=IP00、F=UL Type1、J=IP20フィンレス、L=IP00フィンレスの4種類で、AがIP00を意味します。同じ安川電機のCIMR-から始まる型式でも、シリーズが変われば記号と仕様の対応表そのものが別物になるため、片方のシリーズで覚えた記号の意味をもう片方に持ち込むと読み違えます。

単相200V対応モデルの容量範囲と、V1000シリーズの型式確認・見積りはどこに依頼すればいいですか?

安川電機の200V級形式一覧によれば、単相電源用モデルはCIMR-VABA0001(ND定格0.2kW)からCIMR-VABA0018(HD定格のみ3.7kW)までのラインアップで、電設資材専門商社の松本電業株式会社(東京都台東区台東2-4-11)の見積フォームからご相談いただけます。銘板の型式が判読しにくい場合や、単相・三相どちらの電源に接続する設備かが不明な場合は、写真と設備の電源仕様を添えていただければ照合を含めて確認いたします。

参考文献・出典

  • 形式の見方|V1000|安川電機の製品・技術情報サイト (型式図「CIMR-VA2A0001BAA」の分解(①インバータV1000シリーズ ②仕向地:記号A=日本 ③電圧クラス:記号B=単相200V/2=三相200V/4=三相400V ④カスタマイズ仕様:記号A=標準品(注:専用ソフトウェア(高周波)についてはご照会ください) ⑤電流クラス:注記「軽負荷(ND)定格の定格出力電流の小数点以下1桁を四捨五入した値を示しています」 ⑥保護構造:記号B=IP20/F=UL Type1/J=フィンレス(IP20) ⑦耐環境向上仕様:記号A=標準/M=耐湿,耐じん/N=耐油/S=耐振/K=耐ガス(注:耐環境向上仕様についてはご照会ください) ⑧設計順位(記号表の掲載なし))
  • 200 V級|仕様|V1000|安川電機の製品・技術情報サイト (三相CIMR-VA2A□□□□(電流クラス0001〜0069)と単相CIMR-VABA□□□□(電流クラス0001〜0018)の形式一覧表。最大適用モータ容量(ND/HD、kW)・定格出力電流(ND/HD、A)を掲載。注記*1「CIMR-VABA0018はHD定格のみの仕様です」、注記*2「単相電源入力のインバータは、出力側が三相出力となっております。単相モータは使用できません」を確認。三相CIMR-VA2A0004のND定格出力電流3.5A(括弧内は同じ容量帯に対応する単相CIMR-VABA0003のND定格出力電流3.3A)を確認)
  • 400 V級|仕様|V1000|安川電機の製品・技術情報サイト (CIMR-VA4A□□□□の形式一覧表(電流クラス0001〜0038)。電流クラス0004=ND定格出力電流4.1A、0018=同17.5Aを確認(四捨五入によりそれぞれ0004・0018の表記になることを確認))
  • 安川インバータ 小形ベクトル制御 V1000(安川電機カタログ、資料番号KAJP C710606 08U<28>-2、Published in Japan 2024年5月) (p.18「形式の見方」がWeb版と同一の記号表であることを確認。同ページの「用途に合わせた最適選定」の選定例:ファン駆動用モータ0.75kWにはCIMR-VA2A0004を軽負荷(ND)定格で適用、チェーンブロック駆動用モータ0.75kWにはCIMR-VA2A0006を重負荷(HD)定格に設定して適用、という同一容量に対する型式の使い分け例を確認)
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