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施工・ノイズ対策制御盤設計技術

制御盤のFG(フレームグラウンド)とSG(シグナルグラウンド)はなぜ分けるべきなのか|ノイズ対策の接地系統の考え方

読了目安: 9分 編集: 電材サーチ編集部(編集・出典ポリシー

「アースはアースだから、まとめて一箇所に落としておけば安全だろう」——制御盤の配線を任された経験があるなら、この考え方に一度は頼ったことがあるはずだ。盤の扉にも、DINレールにも、PLCのアナログ入力にも、それぞれ緑色の線が伸びていく。行き先が同じ接地端子台なら、それで話は済むように見える。

ところが、原因不明のノイズトラブルの相談を聞いていくと、この「まとめておけば安全」という前提そのものが崩れている場面によく出くわす。センサーの値がときどき暴れる。PLCの入力がチャタリングする。インバータを動かした瞬間だけ、隣のアナログ計器の表示が揺れる。犯人捜しの過程で盤を開けてみると、原因は電線の断線でもノイズフィルタの故障でもなく、接地の「まとめ方」そのものだった、というケースが少なくない。

FGとSG、実は別の「アース」

制御盤内の接地は、大きく2つの役割に分けて考えることができる。

ひとつはFG(フレームグラウンド)だ。盤の外箱・扉・DINレール・ノイズフィルタのケースといった金属製の構造物を対象とする接地で、感電防止に加えて、機器から発生するノイズを大地へ逃がす経路としての役割を持つ。富士電機テクニカの技術資料は、FGを「筺体、外箱などの金属製構造物で、ノイズに対してSGを保護するためのシールドを兼ねた導体」と定義している。

もうひとつがSG(シグナルグラウンド)である。PLCのアナログ入力コモンやセンサーの0V、計装アンプの基準電位など、信号回路が「ここを0Vとみなす」ための基準点だ。同じ資料はSGを「回路の基準電位(零電位)を保持すべき導体」と説明している。

言葉の上ではどちらも「グラウンド」であり、電位としてはどちらも大地に近い値であるはずだ。ここに落とし穴がある。FGは本来、多少ノイズが乗ってきても構わない――むしろノイズを受け止めて逃がすための接地であり、SGはその逆で、揺れてはいけない基準点として扱われるべき接地だ。役割が正反対の2つの系統に、同じ「アース」という名前がついている。

なぜ混ぜると信号がふらつくのか

接地線は理想的には抵抗ゼロの導体だが、現実の電線にはわずかな抵抗とインダクタンスがある。この点を踏まえると、多点接地の問題が見えてくる。

富士電機の技術資料は、複数の場所で接地(多点接地)をした場合、「接地線のインピーダンスによって各接地点の電位が違ってしまうことがあり、その間に電流が流れ、ノイズが発生する」と説明している。インバータのスイッチングノイズや、モーターの起動・停止に伴う過渡的な電流は、まさにFG系統を流れやすい種類のノイズだ。このノイズ電流が接地線のわずかなインピーダンスを通過するとき、その両端にはごくわずかな電位差が生じる。

問題は、この電位差が発生する場所とタイミングが、FGとSGの接続点に近いほど、そしてノイズの周波数が高いほど無視できなくなることだ。もしFG系統とSG系統が同じ接地端子台の同じネジで無頓着に共用されていれば、FG側に乗ったノイズ電流の影響が、そのままSG側の「基準電位」を揺さぶることになる。PLCのアナログ入力は、その揺れる基準電位を0Vだと信じて信号を読み取ろうとする。結果として、実際の信号は変化していないのに、読み取り値だけがふらつくという現象が起きる。

同じ富士電機の資料は、SGとFGも「最短で、一点で接続(接地)する」ことを勧めている。分けること自体が目的ではなく、それぞれの系統をまとめたうえで、電位差が生まれにくい一点だけで合流させる――これが技術資料が示す落としどころだ。複数の接地線の長さが揃わない場合は、共通の銅バーを使って各接地点の条件を揃えることも有効だとされている。

「D種を満たしていれば安全」という誤解

ここで整理しておきたいのが、接地の「等級」と「系統」は別の論点だという点だ。D種接地工事が定める接地抵抗100Ω以下という基準は、大地との間の抵抗値をどこまで下げるかという等級の話であり、盤内でFG系統とSG系統をどう配線し、どこで一点にまとめるかという系統設計の話には直接触れていない。

三菱電機FAのFAQによれば、電源装置のFG(フレームグラウンド)は2mm以上の電線を用いて50m以内で単独に接地し、第三種接地(D種相当、接地抵抗100Ω以下)とすることが実務上の基準として示されている。別のFAQでは、電源ユニットのLG端子とFG端子は「可能な限り太く短い接地線(2平方ミリメートル)で短絡し、必ず接地」することが求められている。これらはいずれも「FGという1つの系統を、どう正しく大地へ落とすか」の話であり、その先にあるSG系統との関係にまでは踏み込んでいない。

つまり、D種接地の抵抗値をきちんと満たし、FGの配線も規定通りに太く短く施工していたとしても、そのFG端子台にPLCのアナログ入力コモンまで無頓着に相乗りさせていれば、ノイズによる基準電位の揺れという問題は残ったままになる。等級の基準をクリアすることと、系統を正しく分けることは、別々に確認する必要がある事柄だ。

現場での分け方——一点接地という発想

実務での分け方の骨格は、それほど複雑ではない。

盤の外箱・扉・DINレール・ノイズフィルタのケース・シールドケーブルの編組線といった「フレーム側」の接地は、まとめて一つの接地バーまたは接地端子台に集約する。これがFG系統だ。一方、PLCのアナログ入力コモン・センサーの0V・計装アンプの基準電位といった「信号側」の接地は、別の配線・別の端子台でまとめる。これがSG系統になる。

そのうえで、機器メーカーが指定する一点(多くの場合、電源装置の近くや盤内の主接地点)でのみ、両者を接続する。ここまでを踏まえると、「分ける」という表現よりも「まとめる場所を一点に絞る」という表現の方が、実務の感覚には近い。分けたまま宙に浮かせておくのではなく、意図的に選んだ一点だけで合流させることが、ノイズを避けながら電位の基準を共有する現実的な落としどころになる。

見落としやすい落とし穴

現場でよく見かける失敗のパターンにも触れておきたい。

シールドケーブルの編組線は、性質としてはFG系統に近い。ノイズを受け止めて逃がす役割を持つ線だからだ。ところが配線の都合で、この編組線をSGの端子台にそのまま接続してしまう例がある。役割が違う2つの系統を、物理的な近さだけで結びつけてしまう典型的なケースだ。

もうひとつは、増設のたびに担当者が変わることで起きる。最初の設計時にはFGとSGがきちんと分かれていたとしても、数年後の増設工事で「とりあえず近くのアース端子に接続しておく」という判断が積み重なると、気づかないうちに複数箇所での接続――多点接地――が出来上がっていることがある。設計図には反映されないまま、現物の配線だけが変化していくパターンだ。

そして「導通していれば同じ電位だろう」という思い込みも、見落としの一因になる。テスタで導通を確認できても、それは直流的な抵抗がゼロに近いという確認に過ぎない。ノイズのような高周波・過渡的な電流に対しては、わずかなインダクタンス成分がインピーダンスとして働き、導通していても電位差が生じうる。この点は、上に見た多点接地の理屈がそのまま当てはまる。

実務チェックリスト

  • 盤内の接地端子台・接地バーの結線を図面で確認する:FG系統とSG系統が同じ端子台・同じ配線を共用していないかを見る。
  • FG系統(外箱・扉・DINレール・ノイズフィルタケース・シールド編組)をひとまとめにする:意図的にひとつの接地バーへ集約する。
  • SG系統(アナログ入力コモン・センサー0V・計装基準電位)を別配線でまとめる:FG系統と物理的に混在させない。
  • 両系統の合流点を一点に絞る:機器メーカーの指定がある場合はそれに従い、なければ電源装置付近など一箇所に定める。
  • 増設時は既設の接地系統を確認してから接続する:「近くのアース端子」への安易な接続が、多点接地を生む最大の原因になる。
  • D種等の等級基準と、系統分離は別々に確認する:抵抗値を満たしていることは、系統設計が正しいことの証明にはならない。

制御盤の接地系統の見直し、FG・SG分離を踏まえた接地バー・端子台・シールド線・ノイズフィルタなどの資材選定についても、電材サーチではご相談いただけます。図面が整理しきれていない段階でも、現状の結線からのご提案が可能です。

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