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一般用電気工作物等の検査方法 ・ 1 / 9

点検の流れ(竣工検査の全体像)

読み終えると、こうなる

『電気がちゃんとつく』ことと『基準を満たしている』ことの違いを踏まえて、4つの検査がそれぞれ何を確かめているのか切り分けられるようになる

  • 停電で行う試験と通電で行う試験を、計器が自前の電源を使うかどうかで仕分けられる
  • 電力計(W)と電力量計(kWh)、検相器と回転計のように紛らわしい計器の組を、単位や見ているものの違いで選び直せる
  • 竣工検査の3つの空欄(電路の状態・測定する接地極・使う計器)を、1つずつ独立に照合できる
考えてみよう

新築住宅の電気工事が終わった。担当者は施主に急かされ、ブレーカーを入れて照明とコンセントの動作確認を先に済ませた。「ちゃんと点くし、これで完了ですよね」。そばで見ていた先輩が、その言葉に顔色を変えた。

まだ絶縁抵抗も接地抵抗も測っていなかったからだ。実際、あとから測り直してみると、対地電圧100Vの回路なのに絶縁抵抗は0.08MΩしかなかった。基準の0.1MΩに届いていない。

動作確認では何の異常もなかったのに、なぜ数値で見ると基準を割っていたのか。このトピックを読み終えるころには、4つの検査がそれぞれ何のためにあるのか、迷わず説明できるようになっている。

電気工事が完了したら、使用を開始する前に「竣工検査」を行い、施工が安全基準どおりに行われているかを確認する。竣工検査は一般的に、次の順序で進められる。

  1. 目視点検: 電線の種類・太さが適切か、配線方法が施設場所に適合しているか、器具の取付状態や接続部に緩み・損傷がないかなどを、実際に目で見て確認する
  2. 絶縁抵抗測定: 絶縁抵抗計(メガー)を使い、電路の絶縁性能が基準値を満たしているかを確認する
  3. 接地抵抗測定: 接地抵抗計(アーステスタ)を使い、接地(アース)が基準値どおりに取れているかを確認する
  4. 導通試験: 回路計(テスタ)を使い、配線の断線や誤配線(結線ミス)がないかを確認する

この順序は試験対策サイトで広く紹介されている一般的な流れであり、試験では「順番そのもの」よりも、それぞれの検査で何を確認し、どの測定器を使うのかという個別の知識が問われることが多い。

「電気がちゃんとつく」ことと「絶縁抵抗が基準を満たしている」ことは、まったく別の確認事項だ。絶縁性能のわずかな劣化は、スイッチを入れたときの見た目の動作には現れない。だからこそ、目で見る点検・動作の確認とは別に、数値で測る検査が必要になる。

冒頭の住宅で先輩がなぜ青ざめたのか、そして絶縁抵抗測定・接地抵抗測定・導通試験がそれぞれ具体的に何を確認する検査なのかは、以降のトピックで1つずつ見ていく。

どの試験に・どの計器を・どんな状態で — 1枚にまとめる

個別のトピックで学んだ知識は、試験ではしばしば「組合せ」の形で問われる。絶縁抵抗は停電だったか通電だったか、接地抵抗で測るのはどの極だったか、導通に使うのは検電器だったか回路計だったか——1つずつは知っているのに、並べられると混線する。この表を、迷ったときに戻ってくる場所にしてほしい。

確認したいこと試験・測定使う計器電路の状態合格の目安
絶縁性能絶縁抵抗測定絶縁抵抗計(メガー)=直流で測る停電(無充電)0.1/0.2/0.4MΩ以上(対地電圧の区分による)
接地の良否接地抵抗測定接地抵抗計(アーステスタ)=交流で測る補助接地極2本をE→P→Cの順・約10m間隔で打つD種は100Ω以下(高速形漏電遮断器付きなら500Ω以下)
断線・誤配線導通試験回路計(テスタ)の抵抗レンジ停電設計どおりに導通・非導通が切り替わる
電圧の有無検電検電器通電(充電の有無そのものを確認)音と光で有無のみ。数値は出ない
電圧値・極性電圧測定回路計(テスタ)の交流電圧レンジ通電定格どおりの電圧・正しい極性
漏れ電流漏れ電流測定クランプ形漏れ電流計(クランプ形電流計の漏れ電流用)通電(使用電圧を加えたまま)1mA以下

丸暗記に見えるが、実は軸が1本通っている。絶縁抵抗と導通は、計器が自前の電源で電気を送り込んで電路の性質を測る試験だ。相手が充電されていたら測定はでたらめになり、計器の破損や感電にもつながる。だから必ず停電。一方、検電・電圧測定・漏れ電流はいま流れている電気そのものを見る試験だから、通電が前提になる。この軸の外にいるのが接地抵抗測定で、測る相手は電路ではなく接地極と大地。だから答え方も「停電か通電か」ではなく「補助接地極を打つ」になる。学科試験でも、電路の状態・基準値と比べる接地極・導通試験に使う計器という3点をまとめて埋めさせる形式が、繰り返し登場している。

竣工検査の外にも、名前を問われる計器がある

学科試験の測定器問題には、竣工検査の4つに登場しない計器も決まった顔ぶれで出てくる。問われ方はいつも同じだ。名前と「測るもの」の組合せが並び、1つだけ入れ替えられている。

測定器測るもの使う場面
検相器三相回路の相順(相回転)三相電動機をつなぐ前に、回転方向を決める相の並びを確認する
電力計電力(W)いまこの瞬間に消費している電力を測る
電力量計電力量(kWh)時間をかけて積み上がった使用量を測る。各家の引込口付近に付いているメーターがこれ
周波数計周波数(Hz)電源の周波数を確認する
照度計照度(lx)照明設備の明るさが設計どおり出ているかを確認する
回転計回転速度(min⁻¹)電動機の回転の速さを測る

入れ替えの筆頭候補が、電力計と電力量計だ。名前は1文字違いでも、瞬間の値(W)と積算の値(kWh)はまったく別の量で、計器も別物になる。もう1つの候補が検相器と回転計。どちらも三相電動機のそばで使う計器だが、検相器が見ているのは回転の速さではなく、相の並び順のほうだ。

計器は、写真からも当てられるようにしておく

名前と「測るもの」の対応を覚えても、写真1枚を見せて用途を答えさせる形式では手が止まる。よく出る計器の外観を、言葉にしておきたい。

計器外観の決め手
検相器(相回転計)本体から3本の色分けされたリード線(赤・白・青など)が出て、先端がワニ口クリップ。本体には回転方向を示す窓や矢印があり、正相・逆相のランプが並ぶ
絶縁抵抗計(メガー)目盛が。測定電圧(125V/250V/500V)の切替つまみと、押している間だけ測定するボタンを持つ
接地抵抗計本体のほかに補助接地棒2本とリード線3本(E・P・C)が一式で付く。この付属品が最大の目印
クランプメーター開閉する輪(クランプ部)が本体上部に付く。回路を切らずに挟むための形
回路計(テスタ)中央に大きなレンジ切替のロータリースイッチ。棒状のテストリードが2本
検相器の決め手は**「3本組のリード線」**だ。三相の相順を見る道具なので、3本まとめて当てなければ意味がない。1本や2本しか出ていない計器は、この時点で候補から外れる。

紛らわしいのが接地抵抗計で、こちらもリード線が3本(E・P・C)出ている。区別は補助接地棒の有無だ。地面に打ち込む金属の棒が一緒に写っていれば接地抵抗計、ワニ口クリップだけなら検相器と読む。

「点いた」で終わらせない人から、検査を任される

竣工検査は、資格を取ったあとに最初に任されやすい仕事のひとつだ。配線を引く工程は経験がものを言うが、決められた4つを決められた測定器で確認し、数字を記録して報告する作業は、手順さえ知っていれば新人でも担える。しかも記録が残る仕事なので、丁寧にやったことがそのまま評価として残る。

今日できるのは、自宅の分電盤を開けて回路を数えてみることだ。主幹の下に分岐ブレーカーが何個並び、それぞれに何と書かれているか。台所、エアコン、洋室。ラベルを写真に撮って一覧にすると、「この家を検査するなら何回路を測ることになるのか」が見えてくる。検査は測定器の使い方の前に、対象の全体像をつかむところから始まる。

見落としがちなのは、竣工検査で覚えたこの4つが、そのまま定期点検の型になっていることだ。新築のときだけの儀式ではない。太陽光、蓄電池、EV充電設備のように住宅側に増えていく設備は、いずれも設置したあと年月をかけて劣化していく。点検すべき対象は、建てた数・付けた数だけ積み上がっていく性質のものだ。この4つを体で覚えている人の仕事は、その先に続いている。

冒頭の0.08MΩという数字の意味、答え合わせは理解度チェックの最後の問題でしてみよう。

出題者のワナ — ここで受験者を転ばせにくる

この論点は、知っているだけでは足をすくわれる。試験でよく仕掛けられる崩し方を、先に知っておこう。

  1. 竣工検査の順序を「点検→通電試験(試送電)→測定及び試験」と、通電試験を先に置き換える

    なぜ引っかかる点検・通電試験・測定及び試験という3つの語はすべて正しい検査項目で、それぞれの中身を説明した記述も正しく作られている。誤りは順番の1か所だけ——通電試験と測定及び試験を入れ替えてある。語がすべて見慣れたものなので、並びの違和感に気づきにくい。

    見破り方「安全を確かめてから電気を入れる」という一方向で順序を思い出す。通電を先にすれば、絶縁不良や誤配線があったまま電圧をかけることになり、感電や機器の損傷につながる。通電試験は最後、と固定して読む。

  2. 測定器と用途の組合せで、電力計と電力量計を入れ替える

    なぜ引っかかる「電力計—消費電力量の測定」という組合せが、正しい組合せ3つ(回路計—導通試験、検相器—相順の確認、クランプ形電流計—負荷電流の測定)に混ぜて置かれる。名前が1文字違いなうえ、日常の言葉では電力と電力量を区別せずに使うため、読み飛ばしやすい。

    見破り方単位で仕分ける。電力計はW(いまこの瞬間)、電力量計はkWh(時間をかけて積み上がった量)。もう1つの入れ替え候補が検相器と回転計で、どちらも三相電動機のそばで使うが、検相器が見ているのは回転の速さではなく相の並び順だ。

  3. 電路の状態・測定する接地極・使う計器の3か所を、1つずつ差し替えて組み合わせる

    なぜ引っかかる空欄補充の形式では、絶縁抵抗測定を「充電状態の回路」で行うとしたもの、接地抵抗測定で基準値と比べる対象を「補助接地極」としたもの、導通試験の計器を「検電器」としたものが、それぞれ複数の選択肢に散らばる。3つのうち2つが正しく見えると、残り1つの誤りが目に入らなくなる。

    見破り方3か所を独立に判定する。絶縁抵抗計は自前の直流電源で測るので相手は無充電。接地抵抗測定で基準値と比べるのは測定対象のE極で、P極・C極は測定のために打つ補助のほう。導通試験は回路計の抵抗レンジ。1つでも合わなければその選択肢は落とす。

参考文献・出典

理解度チェック(6問)

このトピックの内容がどれくらい身についたか、6問で確認しよう。 内訳は基本3問・応用1問・ひっかけ2問。基本が解けたら、条件を足した応用と、本番で足をすくいにくるひっかけまで踏み込む。

/ 6 問正解

覚えておきたいポイント

  1. 竣工検査は「目視点検→絶縁抵抗測定→接地抵抗測定→導通試験」の順で行われることが多いが、試験では順序そのものより各検査の目的・使用測定器が問われやすい
  2. 「電気がちゃんとつく」という動作確認は、絶縁抵抗などの数値基準を満たしていることの証明にはならない
  3. 4つの検査はいずれも、通電して人が使い始める前に安全性を確認するために行う
  4. 組み合わせ問題は「停電で測る組(絶縁抵抗・導通)」と「通電で測る組(電圧・漏れ電流)」の軸で混線を断つ。接地抵抗測定だけは電路ではなく接地極を測るため、補助接地極を打つという別の答え方になる
  5. 測定器は名前と「測るもの」を一対一で覚える。検相器は三相回路の相順(相回転)の確認、電力計は電力(W)、電力量計は電力量(kWh)、周波数計は周波数、照度計は照度、回転計は回転速度
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