STUDY PLAN
第二種電気工事士 独学の進め方
8週間の学習計画と、科目の順番
学科試験は50問中30問正解すれば合格です(合格基準点60点・1問2点)。20問は落としてよい。技能試験は候補問題13問が事前に公表され、欠陥の判断基準も公開されています。つまりこの試験は、出題範囲も採点基準も最初から分かっている試験です。独学で足りないのは情報ではなく、手を動かす量の管理だけ。この記事は、本番日から逆算して8週間で学科を仕上げ、学科が終わった翌日から技能に移る計画の立て方をまとめたものです。
一次資料の確認日 2026-07-28
まず、合格ラインを「問題数」で数え直す
受験案内に明記されている合格基準は、学科試験が60点、 技能試験が「作品に欠陥がないこと」です。 試験センターが公表している学科の過去問題はいずれも50問構成です。 100点満点を50問で割れば1問2点。つまり30問正解すれば合格で、20問は落としても構いません。
この20問という余白が、学習計画のすべてを決めます。満点を目指す必要はなく、 「どの20問を捨てるか」を先に決めてよいということだからです。 一方で技能試験の基準は真逆で、欠陥が1つでもあれば不合格。ここには余白がありません。 学科は割り切り、技能は詰める。この非対称を最初に理解しておくと、 時間の配分を間違えずに済みます。
| 学科試験 | 技能試験 | |
|---|---|---|
| 形式 | 四肢択一・120分 | 候補問題13問から1問・40分 |
| 合格基準 | 60点(100点満点) | 作品に欠陥がないこと |
| 出題範囲 | 7科目。範囲は受験案内に明示 | 13問が事前公表。範囲は完全に既知 |
| 採点の性質 | 加点式。20問落としてよい | 絶対基準。欠陥1つで不合格 |
| 計画の作り方 | 捨てる論点を決める | 13問すべてを時間内に完成させる |
受験案内は「学科試験問題の計算については、四則計算(加減乗除)等の筆算によって十分解答できる 前提の問題となっています」として、電卓と計算尺の使用を禁じています。 計算問題を捨てる判断をするにしても、筆算で解ける程度の負荷だと知ってから決めてください。
科目の順番は「覚えれば取れる」ものから
学科は7科目。多くの教材が第1科目の「電気に関する基礎理論」から始まりますが、 電気の初学者がそこから入ると、オームの法則・合成抵抗・力率と、いきなり計算が続きます。 ここで止まる人が多い。
得点効率で考えるなら、順番を入れ替えるのが合理的です。おすすめは次の3段構えです。
第1段:覚えれば取れる3科目から入る
配線図、 電気機器・配線器具・材料及び工具、 保安に関する法令。 この3科目は計算がほとんどなく、覚えた分だけ点になります。 しかも配線図は技能試験の複線図に直結するので、ここで得た読図力は最後まで効き続けます。 最初の2週間で得点源を作ってしまうと、そのあとの計算科目に向かう気力が残ります。
第2段:現場の手順として理解する3科目
電気工事の施工方法、 検査方法、 配電理論及び配線設計。 施工方法と検査方法は「どこに何を施設してよいか」「測って何を確かめるか」という手順の知識で、 暗記と理屈が半々です。配電理論はここで扱う許容電流・幹線・分岐回路が、 施工方法の判断根拠になっているので、この位置に置くと理解が早まります。
第3段:最後に計算の基礎理論
電気に関する基礎理論。 最後に回すのは、ここが捨てても届く科目だからではありません。逆で、 他の6科目を通ったあとだと「この式は何を計算しているのか」が像を結ぶからです。 配電理論で電圧降下を扱ったあとにオームの法則へ戻ると、記号の意味が体に入っています。
電気系の学科を出ている人、現場経験がある人は、教材どおり第1科目から順に進めて構いません。 科目の並び自体は試験センターが定めた出題範囲の順で、当サイトも 試験トップのロードマップでは公式の順に並べています。
本番から逆算する8週間モデル
学科試験日を第8週の終わりに置いて逆算します。1日あたりの想定は 平日30〜45分、休日90分。週の最後に必ず復習日を1日入れるのが要点です。
| 週 | やること | 到達の目安 |
|---|---|---|
| 第1週 | 配線図(図記号)。器具の記号を実物と結びつける | 単線図を見て、何がどこに付くか言える |
| 第2週 | 電気機器・配線器具・材料及び工具 | 写真を見て名前と用途が出る |
| 第3週 | 保安に関する法令 | 電気工事士でなければできない作業の線引きが言える |
| 第4週 | 電気工事の施工方法 | 施設場所ごとに使える工事の種類を選べる |
| 第5週 | 検査方法 | 絶縁抵抗・接地抵抗の基準値を数字で言える |
| 第6週 | 配電理論及び配線設計 | 許容電流と分岐回路の条件を表なしで追える |
| 第7週 | 電気に関する基礎理論 | 捨てる計算と取る計算を自分で仕分けできる |
| 第8週 | 全科目の弱点だけを2周目。過去問を通しで解く | 通しで60点を安定して超える |
各週は「トピックを読む → その場の練習問題を解く → 間違えたトピックに戻る」の繰り返しです。 当サイトの第二種電気工事士対策は学科7科目・技能2科目を 合計85本のトピック(学科64本・技能21本)に分け、 各トピックに基本・応用・ひっかけの3段階の練習問題を付けています(全554問)。 1トピックが1論点なので、通勤の20分でちょうど1本読み切れる分量です。
令和8年度下期に当てはめると
下期の学科試験は筆記方式が10月25日、CBT方式が9月24日〜11月8日の期間から選択です。 筆記方式を10月25日に受けるなら、8週間モデルの起点は8月末。 受験申込みは8月17日10時から9月3日17時までなので、 申し込んだその週から第1週を始めるのがちょうど噛み合います。 CBT方式なら、仕上がり具合を見て受験日を後ろにずらせるのが強みです。 日程の詳細は受験ガイドにまとめました。
1日の回し方 ― 20分×3で1論点
- 読む(10分)
トピックを1本読む。冒頭の問いかけに自分なりの答えを出してから読み進めると、記憶の定着がまるで違います。
- 解く(7分)
そのトピックの練習問題を解く。基本→応用→ひっかけの順に難度が上がるので、ひっかけまで正解できたら次へ。
- 戻る(3分)
間違えた問題の解説を読み、「出題者のワナ」の節をもう一度見る。ここで拾える1問が、本番の1問になります。
間違えた問題は復習ノートに自動でたまります。 週末はここだけを回してください。2周目に読むべきなのは、全部ではなく間違えた論点だけです。
技能試験の練習は、学科の合格発表を待たない
ここが独学で最も差がつくところです。技能試験の候補問題13問は毎年1月ごろに公表され、 その年度の上期・下期はどちらもこの13問から出題されます。 つまり出題される図は、学科を受ける前からすべて手元にある。 待つ理由がありません。
それでも多くの人が学科の合格発表後に慌てるのは、日程が厳しいからです。 令和8年度上期でいえば、学科の結果発表が6月22日、技能試験が7月18日または19日。 4週間弱しかありません。工具と材料の手配、13問の通し練習、 欠陥の潰し込みをこの期間に詰め込むのは現実的ではない。
| 時期 | 技能でやること |
|---|---|
| 学科の勉強と並行 | 複線図を描く練習。紙とペンだけでできる。13問すべてを描けるようにしておく |
| 学科試験の1〜2週間前 | 工具をそろえる。とくに指定工具のリングスリーブ用圧着工具は規格適合品が必要 |
| 学科試験の翌日 | 材料が届いている状態にして、単位作業(輪づくり・結線・圧着)を始める |
| 結果発表まで | 候補問題を1問ずつ通しで。40分の時間感覚を体に入れる |
| 結果発表後 | 時間が足りなかった問・欠陥が出た問だけ電線を追い足して繰り返す |
複線図は本番でも問題用紙の余白に描きます(技能試験では当日配布の保護板も使えます)。 描き方の手順は複線図を起こす5つの手順、 時間配分は40分の時間配分にまとめています。
材料の手配には季節があります。学科の合格発表から技能試験までの数週間は、 全国の受験者が一斉に練習材料を買う時期です。この山に入ってから探し始めると、 欲しい電線の定尺や器具が品薄になることがあります。 学科試験の前に発注だけ済ませておくのが、いちばん静かで確実です。
もう1つ、周回数の見積もりでよく外れるのが電線です。器具は繰り返し使えますが、 電線は切って剥いた分だけ短くなり、寸法が配線図の50%以下になると欠陥(判断基準2-2)に該当します。 2周目以降は器具を使い回して電線だけ追い足すのが、費用の面でも作業の面でも合理的です。 必要量の考え方は練習用材料セットのページに、 候補問題13問の構成要素から算出した内訳を載せています。
独学でよくある5つの失敗
- 第1科目の計算で止まる。 基礎理論から入って合成抵抗でつまずき、そこで終わる。前述のとおり、順番を入れ替えれば回避できます。
- 複線図を後回しにする。 複線図は学科の配線図問題でも技能でも問われる、この試験の背骨です。 技能の直前に始めると、描き方を覚える時間と手を動かす時間が同時に必要になって破綻します。
- 工具を試験直前に買う。 とくにリングスリーブ用圧着工具は、JIS C 9711:1982・1990・1997適合品(握りが黄色のもの)でないと 圧着マークが刻印されず、それだけで欠陥になります。借り物や中古で済ませようとして当日に気づくのが最悪です。
- 電動工具を持ち込もうとする。 充電式を含め電動工具は使用禁止で、電動機能をOFFにしても認められません。 現場で当たり前に使っている道具ほど、試験では通らないことがあります。
- 過去問を解いて終わりにする。 正解した問題より、間違えた問題の周辺論点のほうが本番で出ます。 間違えた1問を、その論点のトピックまで戻って読み直す。ここを省くと、点が伸び止まります。
教材は何を使うか
当サイトの学習コンテンツは全85トピック・練習問題554問がすべて無料です。 そのうえで、市販の教材を足すかどうかの判断基準を書いておきます。
- 紙のテキストを足す価値があるのは、移動中に読む人。 選ぶ基準は「候補問題13問の複線図と完成写真が載っていること」「その年度の候補問題に対応した版であること」の2点だけです。候補問題は年度ごとに公表されるので、古い版は図が合いません。
- 過去問は試験センターが無料で公表しています。 学科試験の問題と解答は、試験実施完了後(夜)に公式サイトで公表されます。市販の過去問集を買う前に、まず公式のものを解いてみてください。
- 技能は動画が効く。 輪づくり(のの字曲げ)のような手作業は、文章より動画のほうが早いことがあります。当サイトのトピックは寸法と判断基準を担当し、手の動きは動画で補う、という組み合わせが現実的です。
学習チェックリスト(全85トピック)
科目名をクリックすると、その科目のトピック一覧と腕試しクイズに進みます。 1科目を終えるたびに、その科目のクイズで6割を超えているか確かめてください。
よくある質問
第二種電気工事士は独学で合格できますか。
できます。理由は3つあります。第1に、学科試験の合格基準点は60点で、50問中30問を正解すれば合格になること。第2に、技能試験は候補問題13問が試験前に公表されるため、出題範囲が完全に分かっていること。第3に、欠陥の判断基準も試験センターが公表しており、何をしたら不合格になるかが読めることです。範囲も基準も公開されている試験なので、独学と講座の差は「情報の有無」ではなく「手を動かす量の管理」に出ます。
勉強時間はどれくらい必要ですか。
試験センターは学習時間の統計を公表していません。資格予備校各社のコラムでは、電気の知識がない未経験者で学科・技能あわせて100〜200時間程度という目安が示されていますが、これは公的な数値ではありません。より確実な計画の立て方は、時間ではなく「学科の全論点を1周+苦手だけ2周」「技能の候補問題13問を1周+苦手を2周」という到達量で管理することです。
どの科目から勉強すればいいですか。
電気の初学者なら、計算のない「配線図(図記号)」「電気機器・配線器具・材料及び工具」「保安に関する法令」から始めるのが挫折しにくい進め方です。この3科目は覚えれば取れる論点が多く、しかも配線図は技能試験の複線図に直結します。オームの法則から入って計算でつまずくより、先に得点源を作ってから理論に戻るほうが、60点までの距離が見えやすくなります。
技能試験の練習はいつから始めるべきですか。
学科の合格発表を待つ必要はありません。候補問題13問は毎年1月ごろに公表され、その年度の上期・下期とも同じ13問から出題されます。つまり学科の勉強と並行して、複線図を描く練習は今日から始められます。工具と材料をそろえた実作業は、学科試験が終わった翌日から始めるのが現実的です。上期は学科の結果発表(6月22日)から技能試験(7月18日)まで4週間弱しかありません。
練習用の材料は何周分そろえればいいですか。
まず1周分で全13問を通し、時間が足りなかった問と欠陥が出た問だけ電線を追い足すのが無駄のない進め方です。器具は繰り返し使えますが、電線は切って剥いて使い捨てになります。寸法が配線図の50%以下になると欠陥(判断基準2-2)に該当するため、本番想定の通し練習は新しい電線で行うのが安全です。
市販のテキストは必要ですか。
必須ではありませんが、通勤中に紙で読みたい人には1冊あると回転が上がります。選ぶ基準は「候補問題13問の複線図と完成写真が載っていること」と「その年度の候補問題に対応した版であること」の2点です。候補問題は年度ごとに公表されるため、古い版を安く買うと図が合いません。当サイトの学習コンテンツは全トピックが無料で、練習問題も付いています。
このページの根拠
日程・金額・手続きは公表資料が更新されると変わります。申込前に必ず一次資料でご確認ください。
- 一般財団法人 電気技術者試験センター「第二種電気工事士試験」 令和8年度の試験日程(学科CBT・筆記・技能)
- 同センター「令和8年度 第二種電気工事士試験 上期試験受験案内」(PDF) 学科試験の科目と範囲、合格基準点60点、技能試験の合格基準「作品に欠陥がないこと」、候補問題および欠陥の判断基準の公表、電卓・計算尺の使用禁止
- 同センター「電気工事士試験 過去問題」 学科試験の問題・解答の公表